キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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素直になれない男 休みを経て得られた物

スラッシューがソウル達を連れて行った直後、その場に残されたウインク、キュンキュン、キッスの三人はクラヤミンダーに対応する事になる。

 

「クラヤミンダー!マッサージチェアの本気……見せてやれ!」

 

「マッサージチェアの本気?」

 

「クラ!」

 

するとクラヤミンダーが左手に長方形の何かを取り出す。それはマッサージチェアのリモコンであった。リモコンには上ボタンと下ボタンが付いており、クラヤミンダーはリモコンの上ボタンを連打する。

 

「ヤミンダ」

 

“ポチッとな”と言わんばかりのノリでクラヤミンダーはマッサージ機能をフル稼働。これにより、両腕の出力が向上して常時ブルブルと震えるようになった。

 

「クラララッ!」

 

自らの腕の振動によって声も震えるような発し方になる中、アレに掴まればクラヤミンダーからのマッサージフルコースを受ける事になるためにプリキュア達は構える。

 

「マッサージチェアの本気って、機械のパワーを最大に上げただけじゃないですか!」

 

「とにかくアレを受けるのは……」

 

「クラヤミンダー!」

 

キュンキュンやキッスが動揺するとクラヤミンダーはその隙に一気に畳み掛けるべく拳を繰り出す。

 

「二人共下がって!ウインクバリア!」

 

その瞬間、ウインクはキラキラマークをモチーフにしたバリアを展開。それでクラヤミンダーからの攻撃を受け止める。しかし、クラヤミンダーからのパワーは凄まじかったためにウインクは顔を歪めた。

 

「うっ……くぅ……」

 

ウインクはどうにか持ち堪えようとするものの、クラヤミンダーのパワーの方が上なのかバリアにはヒビが入る。

 

「良し……そのまま潰せ、クラヤミンダー!」

 

「やばい。このままじゃウインクバリアがやられる……だったら!」

 

レイは流石にこのままではウインクが押し負けるという事で持ってきていたある物を出す。それはウインクのカラーである青に光らせたキラキライトだ。

 

「負けるな!キュアウインク!」

 

レイが声を出してウインクを応援。その声にザックリーはギョッとしたような顔になる。

 

「なっ!?」

 

「レイ君が……応援してくれてる……はぁああっ!」

 

するとウインクもその声を受けて力が湧いてきたのか、壊れかけていたバリアがそれ以上押されなくなった。

 

「馬鹿な……クラヤミンダー、もっと本気を出せ!」

 

「クラァ!!」

 

クラヤミンダーはどうにかウインクをバリアごと粉砕するべく力をかけるが、やはりそれ以上はどうにも押し込む事ができない。ザックリーは流石にこの展開に混乱する。

 

「(ふざけんな……何なんだよ。アイツを見てるとただでさえ胸の辺りが変になるってのに……どうして小僧からの応援を受けて更に強くなってんだ。そんなの、まるで……)」

 

ザックリーはレイからの応援に呼応して強くなるウインクを受け入れるのが嫌だった。自分の相手をしてくれたウインクとレイから応援された今のウインク。どちらがより輝いてるかなんて……火を見るよりも明らかだったからだ。

 

「クソ……クラヤミンダー!良い加減そのバリアをぶっ壊せよ!」

 

「クラァアアッ!」

 

クラヤミンダーはどうにかパワーを強めようと躍起になる。だが、応援の力がブーストされたウインクとほぼ互角なせいでどうにも攻めあぐねてしまう。

 

「レイ先輩の応援のおかげで持ち堪えてますけど……このままじゃ」

 

「……私に考えがある。力を貸して」

 

キュンキュンがどうすべきか悩む中、キッスが声をかけるとキュンキュンも頷く。

 

「キュンキュンレーザー!」

 

キュンキュンはブローチをタッチするとキュンキュンレーザーを正面……では無く、真上に放出。巨大なエネルギーボールにするとそこにキッスが投げキッスをした。

 

「お願い。チュッ!」

 

「チュ〜!」

 

キッスが召喚したキッスの精はキュンキュンの真上に生成されたキュンキュンレーザーボールの中に入り込むとレーザーボールに虹の輝きが宿る。そのままレーザーボールは粘土のように細長い棒の形状に伸ばされていく。そのままクラヤミンダーの周囲に何周も棒が巻き付いていくと体を拘束した。

 

「クラヤミィ!?」

 

「うげっ!?」

 

これにより、クラヤミンダーが完全に身動きを封じられたのに加えてウインクも救い出される事になる。

 

「キュンキュン、キッス、ありがとう!それにレイ君も!」

 

「ああ!」

 

「ですがどうしましょう……」

 

「えぇ、私達だけではきっと浄化できない」

 

幾らキッスの拘束が入ってるとしてもウインクやキュンキュンの技では火力不足感が否めない。このままではクラヤミンダーの浄化をする事はできないのだ。

 

「クラヤミンダー、今のうちにさっさとその拘束を何とかしろ!」

 

「クラ!」

 

ザックリーがクラヤミンダーへと拘束の破壊を指示。どうにか拘束を粉砕しようとクラヤミンダーが力を入れる。このままでは突破されるのも時間の問題だ。

 

「どうしよう」

 

「ひとまず少しでも長く足止めするわ。キッスショック!」

 

キッスは少しでもクラヤミンダーによる拘束破壊を遅くするためにキッスショックを発動。クラヤミンダーへと電撃によるダメージを与えた。

 

「クラァアアッ!?」

 

しかもキッスショックによる電撃によってクラヤミンダーの体が誤作動を起こしたのか、抵抗どころかその場で殆ど動けなくなるというラッキーが発生する。

 

「やった!」

 

「今回はマッサージチェアという機械が素体だからか、キッスの電撃が有利に働いたな……ただ、このままだとジリ貧な事には変わらない」

 

レイは状況を分析するとそう呟く。未だにクラヤミンダーを浄化できる状態で無いのは変わらない。だからこそどうすべきか彼が悩む。するとそこに声が聞こえてきた。

 

「皆、お待たせ!」

 

「キュアアイドルにお兄様、お姉様!」

 

「ウインク、キュンキュン、一緒に決めよう!」

 

「うん!」

 

「わかりました!」

 

これにより、アイドルプリキュアの三人が集結。そしてクラヤミンダーは動けないとなれば、このまま一気に倒す事ができる。

 

♪決め歌 Trio Dreams♪

 

「「「ウー、レッツゴー!Try, try, trio dreams♪」」」

 

『Let's sing, let's swing, let's dance, let's bound,Let's smile, let's fly』

 

「「「ハート上げてくよ!」」」

 

三人のプリキュアは領域を展開しつつインカムを装着。それとほぼ同時にクラヤミンダーは技の効果で席に強制着席。そのまま歌が始まるとクラヤミンダーを浄化しにかかる。

 

「「「Sing!♪音符に夢乗せて〜♪キミ、あなたのもとへ〜for you!♪もっともっと輝き合えるね〜♪みんな、キラッキラン!♪瞳水晶にいつだって〜♪笑顔映し合おう〜promise!♪キミがいるからパワー、生まれるよ、今日も〜♪Try, try, trio dreams♪……プリキュア!ハイエモーション!」」」

 

三人が力を合わせる事で発生した虹のエネルギーがクラヤミンダーへと降り注いでその体を浄化させていく。

 

「「キラッキラッタ〜」」

 

クラヤミンダーがやられた事によって今回も新たなキラルンリボンが生成。それを今回もアイドル達が技を使用したという事でセンターのアイドルが手にするのだった。

 

そして、戦いが終わるとザックリーが悔しそうな顔を浮かべつつプリキュアを睨む。

 

「ぐうぅ……きょ、今日は調子が悪かっただけだ……うぐあっ!?」

 

そのままザックリーは力が抜けるとそのまま力無く空中から落下してくる。それをウインクが抱き止めた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「く……うわっ!?何ザックリお姫様抱っこしてんだよ!降ろせ!止めろ!」

 

その際にザックリーはウインクにお姫様抱っこの形で抱き抱えられたせいか、慌てて声を荒げる。それを聞いてウインクは彼を降ろすと心配そうに声をかけた。

 

「早く元気になってくださいね」

 

ザックリーはそれに苛立ちを露わにする。先程の言葉を言ったウインクとしてはただ純粋に彼を心配した上での言葉であった。だが、ザックリーはそれが余計に気に入らないようで……。

 

「くっ……俺に優しくするな……。アイドルのくせに彼氏まで作って……お前なんか、嫌いだ!」

 

ザックリーはそのままの勢いでウインクへとハッキリ拒絶の言葉を宣告。それを聞いたウインクは当然悲しい気持ちになるとザックリーも同時に“やらかした”という顔に変わる。

 

「え……」

 

「はっ……」

 

「折角ウインクが心配してるのに、そんな酷い事言わないで!」

 

「……それと、勘違いしてる所悪いけど。俺とウインクはお付き合いしているわけじゃない。それだけは履き違えないでくれ」

 

アイドルはザックリーからの言葉に傷ついたであろうウインクを庇うように彼へと詰め寄り、レイもザックリーの誤解を解くためにあくまで冷静に話す。

 

「く……何だよそれ……」

 

ザックリーはウインクへと向けてしまった“嫌い”という言葉に加えて、ウインクとレイの二人が付き合って無いという事実に混乱。その場に居づらくなったのか、その場から消え去ってしまう。

 

「やっぱり、ザックリーと何かあったんですか?」

 

「……ううん、大丈夫だよ」

 

ウインクはキュンキュンからの問いにそう答えた。レイもそんな彼女の意思を尊重するべきだと考えるとプリキュア達に合流しつつソウルへと尋ねる。

 

「ソウル、そういえばスラッシューは?」

 

「やっぱり、言わないとダメだよな」

 

ソウルは辛そうであったが、これもちゃんと話さないといけないために説明を始めようとした。そんな時、ソウル達は自分達の背後に何かの気配を感じる。

 

「ッ!誰だ!」

 

ソウルがそう言って振り返ると他の六人もその方を向く。そこにいたのは一人の女性の影だった。その足取りは弱々しく、今にも転んでしまいそうである。

 

「ッ!?あなたは!」

 

「嘘、何で……死んだはずじゃ……」

 

「死んだ?……この私が?……冗談言わないで。はぁ……はぁ……」

 

そこにいたのは全身傷だらけ、殆ど虫の息と言わんばかりの状態のスラッシューであった。ソウル、アイドル、ズキューンは先程完全に浄化して消滅したと思い込んでいたために余計に困惑する。

 

「さっき倒したと思ったのに……」

 

「倒した?何馬鹿な事言ってるの……はぁ、はぁ、あんなのでやられるわけ無いでしょ……」

 

そんなスラッシューの言葉にアイドルは違和感を感じる。何しろ先程まで自分の最期を受け入れていたはずなのに、やられる訳がないといきなり辻褄が合わない事を言言い出したのだ。そのため、アイドルは一度倒される前の彼女の言った言葉に触れる内容を話す。

 

「ねえ、スラッシューさん……。さっき言った“うた”って名前……何であなたがそれを知ってるんですか?」

 

「……は?うた?何の事……私そんな事を口走った覚えは無いわ」

 

「え……?」

 

やはりスラッシューは先程自分達にやられたという記憶を含めて、色々と記憶が飛んでしまっている。ソウル達はそんなスラッシューに困惑していると突然スラッシューの体から力が抜けたかと思うと闇の炎に包まれた。

 

「はぁ……はぁ……うっ!?」

 

「スラッシューさ……え?」

 

その身を包んだ闇の炎が消えて変身解除したスラッシュー。そこにいたのは紺色の髪色でウェーブのかかったセミディヘア。瞳は紫よりの黒であり、その姿は美しく……いや、ダメージは共通なのか全身の傷は残りっぱなしだった。そしてその姿はプリキュア達にとってとても見覚えのある姿である。

 

「嘘……ですよね?」

 

「ッ、スラッシュー……お前」

 

「天城さんが……スラッシュー?」

 

そこにいたのはグリッターでここ暫くバイトとして働き、度々ソウル達も顔を合わせていた女性。天城切音がいた。彼女は辛そうな顔を浮かべつつも、ソウル達に動揺が広がった事に笑みを浮かべる。

 

「……そうよ、私は今日までずっとグリッターで働いていたわ。……ただ、時折り思い出す目障りな記憶のせいで私の心はもうメチャクチャよ!」

 

「……え?」

 

「キュアアイドル。あなたの両親に話は付けている……私があそこに戻る事はもう二度と無いでしょうね」

 

「そんな……」

 

スラッシューからの言葉にアイドルは落ち込んだような顔になる。スラッシューこと天城とアイドルことうたの間にはそれなりに長い時間を過ごしたお陰で情が生まれていた。そのため、少なくとも天城の事を受け入れていたアイドルはどうにか彼女を説得できないかと声を上げる。

 

「天城さん!私、天城さんと一緒にいられて……楽しかったんですよ!お店で一生懸命働くあなたは……凄くキラッキランランで……」

 

「……言ったでしょ……。私はあそこにはいられない。それに、もうあんな場所に未練なんて……うっ!?」

 

スラッシューはそこまで言った所でまたドクンと胸が高鳴ると頭に痛みが走る。ここ最近過去の記憶を思い出したりダークイーネに無理矢理封印されたりを繰り返したせいで頭へのダメージ回数が異常に増えており、スラッシューへとその負担が更に重くのしかかったのである。

 

「あ……がああっ!」

 

ただでさえ満身創痍のスラッシューにこれは手痛い追い討ちだったのか、そのまま崩れ落ちそうになってしまう。

 

「天城さん!」

 

アイドルはそんなスラッシューこと天城を心配して駆け寄ろうとする。しかし、スラッシューはどうにか意識を保つとアイドルを睨む。

 

「ッ……」

 

「こんな辛い思いをするくらいなら……バイトなんてしなきゃ良かった」

 

スラッシューはそう呟くと酷く落ち込んだような顔をして指を鳴らす。アイドルはそんなスラッシューを助けようと手を伸ばした。

 

「スラッシューさ……」

 

その直後、アイドルの手は彼女に届く事無く空を切る。スラッシューはこれ以上プリキュアの前で話すのは危険と感じて撤退してしまったのだ。

 

こうして、ソウル達はザックリーの事に関しても、スラッシューの事に関しても未だに二人の事を救えていない現状を思い知る事になるのだった。

 

同時刻、はなみちタウンの海が見えるあの海岸線では。ザックリーが一人歩きながら小石を蹴っていた。勿論その顔は後悔の念ばかりである。

 

「……くっ、俺は何であんな事を。しかも、俺はキュアウインクのファンでも何でもねぇのに小僧の方に嫉妬までして……」

 

ザックリーはウインクへとかけた罵倒の言葉を言ってしまった事が自分でも嫌になっており、思わず胸の奥から叫びたい気持ちが湧き上がってきた。

 

「俺の……馬鹿野郎!」

 

そのまま彼は夕陽が沈む水平線の向こうに向かって大きな声で叫ぶ事になる。その声はやまびこのように響き渡り、辺りにこだますのだった。

 

それから少し時間が経って、場面は喫茶グリッター。ソウル達プリキュアは変身解除しており、ひとまず残った仕事を片付けようという話になってグリッターに戻る事になった。

 

その際に田中や姫野に心配をかけないようにザックリーやスラッシューの事は全員敢えて触れず、笑顔で迎えようという話も事前に決められる事になる。

 

「ただいま!」

 

「「お帰りなさい」」

 

「あれ、何で店から二人の声が……って、なっ!?何で……」

 

影人はグリッターの中からまさか田中や姫野の声が聞こえるとは思わずにそう呟いてから驚く。その視線の先にいたのはグリッターでエプロン姿となった田中と姫野が作業を進めていたのだ。

 

「田中さん、姫野さん、もう帰ってきてたんですか!?」

 

「ええ、一刻も早く皆さんにお見せしたい物がありまして」

 

そう言って田中が出したのはクリップによって纏められた分厚い資料の束であった。姫野が田中を手伝う形で隣に資料を更に置く。

 

「アイドルプリキュアとズキューンキッスソウルの今後について、企画を考えました!」

 

そこには大量の資料いっぱいに企画の内容が記載されており、影人達がいなくなった後から今までに沢山の案を出してくれたのだと察する。

 

「公式SNSの開設に……」

 

「子供達に向けたダンスレッスン講座」

 

「スーパー銭湯とのコラボ商品の開発!?」

 

「凄っ……これ全部田中さんが?」

 

「いえ、姫野さんにも手伝ってもらいましたよ。お陰で内容をいつもより効率的に詰められました」

 

姫野は田中に褒められたおかげか僅かに顔を赤くすると俯く。そんな彼女を見て、影人達はこの二人は仕事仲間として一緒に仕事をするのが一番仲を深めやすいのだと感じ取った。

 

「他にも姫野さんと一緒に様々なアイデアを出してみました。何か気になる物はありますか?」

 

田中は眼鏡の端を押し上げつつそう言うとその場の全員が僅かに唖然とする。

 

「田中さん、今日は姫野さんと一緒にお休みしてたんじゃ……」

 

「はい、おかげさまで自分のすべき事に……本当の気持ちに気づく事ができました!」

 

「本当の気持ち?」

 

うたからの質問に田中はいつも以上に活き活きとした顔つきで答えを返し、姫野もそれに続いた。

 

「はい、私ももっと頑張ってアイドルプリキュアを……いえ、うたさん、ななさん、こころさん、影人さん。そしてプリルン、メロロン、レイさん!皆さんを支えたいと!」

 

「……私も、やっぱりそんな田中さんと一緒に働けるのが一番の幸せな時間だと思えます。だから、私も自分の仕事の合間に少しずつですけど……田中さんを手伝おうかなって」

 

田中と姫野。二人のマネージャーの一番の生き甲斐はやはり裏方としてキラキラと輝ける存在をサポートする事。そして、二人は今回の休みを通して知る事ができた。今回は二人にとって有意義な休みになったのだ。

 

「あ、とはいえ……私如きが本当にお役に立てるかわかりませんが」

 

「ええ、私も上手く支えられる自信は無いです。何しろ、私……最初の方とかはドジ踏んでばかりですし」

 

そんな風に自信無さそうな顔をする二人。そんな二人の言葉を少しだけ唖然としつつ聞いていた影人達。それから最初にプリルンが口を開いた。

 

「タナカーンは凄いプリ!プリルンは……お手紙とプレゼントの仕分けもまだできてないプリ……」

 

「……え?」

 

「実は、色々あって……私達もパトロールがまだ終わってないんです」

 

「電話では大丈夫って言ってたんですけど、本当は一日中バタバタしていて……」

 

「やっぱり、田中さんみたいにはできないですよ。……それでもカゲ先輩は手際良くやってましたけど」

 

「まだ俺達が田中さんのレベルになるにはまだ早いってだけだ。あまり気にする事じゃ無いよ」

 

うた達女子組とプリルン達妖精組が申し訳なさそうにする中で影人はそんな五人をフォローするように話す。そして、最後にレイが二人へと言った。

 

「……俺達も今日一日で田中さんや姫野さんの存在が俺達にとってとても大きい事を思い知らされました。だから、お二人の力が必要無いなんて事には絶対にならないですよ」

 

「そう……ですか」

 

それから田中は少し考えたような顔つきになる中、うた達はそんな田中へと不安そうな顔で今回の件を謝ろうとする。

 

「逆に仕事を増やしちゃったみたいですみません……」

 

話を最後まで聞いた田中は少しだけ無言の時間ができた。そして、プリルンやメロロンはそんな田中へと恐る恐る声をかける。

 

「タナカーン……」

 

「怒ってるプリ?」

 

「……そんな事無いですよ」

 

「「「「「え?」」」」」

 

姫野は田中の様子を見て心配するうた達へと安心させるように優しく話し始めた。……彼女は知っている。こういう時、田中ことタナカーンだったら何を思うのかを。そして彼女の考えは的中する事になる。

 

「……仕方ありませんね!私の仕事は……私にしかできませんから!ふすっ、ふふふ、ははははっ!ははははっ!」

 

田中は自分の力が必要だと聞いて安心したのか、その場で笑い始める。そんな彼に影人やレイを除く一同は困惑。ヒソヒソと話し始めた。

 

「田中さん、どうしたのかな?」

 

「わからないけど……キラッキランだね!」

 

「……やっぱり、田中さんにとっての天職は……自分を必要としてくれるアイドルプリキュアやズキューンキッスソウルのマネージャーって事なんだろうな」

 

「ああ、そしてそれは俺や姫野さんも同じだよ」

 

「ふふっ、そうですね!」

 

影人やレイ、姫野はそんな活き活きとした顔を見せる田中に微笑み合う。こうして色々あった夏休みの初日が終わり、これから夏休みも本番に向かっていく。

 

田中や姫野達、プリキュア達を支える人々の戦いはまだまだこれからだ!

 

 

そんな感じに今日もシメになるかと思われた所にレイが影人の方を向くとある事を話し始める。

 

「……そうだ、影人」

 

「何だ?折角良い雰囲気なんだから変に壊すなよ?」

 

「……お前に話したい事があるんだ」

 

それからレイは影人へとある事を伝えた。その直後、影人は一度唖然としてからもう一度レイの方を向く。

 

「……嘘だろ?」

 

「マジ。……というか、もう確定事項」

 

「はぁあああっ!?」

 

その場で影人は思わず叫び声を上げてしまう。果たして、レイが伝えた事とは何なのか。それは次回のお楽しみとしよう。




今回、スラッシューが生き残った上で天城=スラッシューという話を影人達へとカミングアウトしました。……一応この時点での予定ですが、少なくともスラッシューはまだ退場させません。というかさせられません。まだまだ彼女に関しては未回収な事が結構ありますので。

ただ、作品の前半戦としてのスラッシューとの決着は今回の件で一区切りとなります。彼女との決着がどのような着地として終わるか、またこれからも見守ってもらえると嬉しいです。

それではまた次回も楽しみにしてください。
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