キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
ななとレイの夏祭りデートの裏。影人達はいなくなってしまったプリルンを大慌てで探していた。
「アイツ毎回毎回……」
「ひとまず手分けしますか?夏祭りは開催範囲が広いですし……」
何しろハート木がある登山道にはギッチリという程では無いが、屋台が沢山並んでいる。ただ、密度は少ないが範囲はかなり広い。そう考えると三人だけで探すのは骨が折れる。メロロンにも探してもらいたいが、ここでプリルンと同じように動き回ると悪目立ちしてしまうだろう。
「いや。分散したら合流できる保証が無い。……ここは俺達も山道を登りながらしらみつぶしにした方が良い。多分プリルンの事だからこの屋台のある範囲のどこかにはいると思う」
プリルンは興味のある屋台があればそこにフラフラ〜っと行く可能性が高い。つまり逆に言えば屋台の無い場所に行く確率はかなり低いだろう。夏祭りの屋台というプリルンの気を引きやすい場所なので尚更だ。
「途中で知り合いに出会ったらそれとなくプリルンの事も聞きつつ、少しずつ探してない範囲を狭くしていく方向にするよ」
影人達はプリルンの事なので新しい興味が湧く物を求めて先に先に進むと仮定。それはつまり、一度通り過ぎた場所はあまり戻らないという事。ならば見落としを少なくしつつ上に上に探していけばどこかのタイミングで会えると考えたのだ。
「メロロンはプリルンがいなくて心細いからって絶対動くなよ?ここでメロロンまで迷子になったらどうしようもなくなるからな?」
「わかってるのメロ。それに、メロロンはにいたまがいてくれるだけで安心できるメロ」
影人はひとまずメロロンがこれ以上ウロウロしないという展開になって一安心する。初めて出会った頃なんてプリルンが近くにいないだけで人目につくのもお構い無しにフラフラと宙を飛んで彼女を探そうとしていたのだからメロロンも影人対して相当心を許しているのだろう。
「さて、メロロンの安全は確保した所で。肝心のプリルンを探そうか」
影人達三人は敢えて大声を上げずに目視で探す。理由は夏祭りで賑わう人々の事を考慮した上での事だ。
「取り敢えず、プリルンが行きそうな食べ物のお店を重点的に探しましょう」
「うん。あ、あとプリルンの事だからフランクフルトのお店とかにいるかも」
「ああ……。タコさんウインナーも元を辿ればフランクフルトと同じだからな」
影人、うた、こころの三人は所々でそれとなくプリルンの聞き込みをしつつ彼女を探して進んでいく。一応聞き込みをする際には念のため落としてしまったぬいぐるみを探すという名目上で話を持ち込んだ。
同時刻。プリルンはちょこちょこと地上を歩いていた。一応飛ぶ事も考えたが、人が多くてぶつかりそうだったために諦めて歩いていたのだ。
「プリ〜。お腹空いたプリ」
そんな中、プリルンは早速お腹が空いたために手頃な食べ物のお店を探す。
「プリプリ、プリプリ……」
プリルンはまるで犬のように周囲の屋台からの匂いを嗅ぎ、自分の心が動く食べ物を探していた。そんな時にとある店を見つける。
「プリ!この匂いは……」
プリルンは匂いのする方へと向かう形で人混みを抜けるとそこにあったのは焼きそばの屋台であった。
「プリ〜。美味しそうな焼きそばプリ!」
プリルンは早速焼きそばにありつこうとフワフワと浮かび上がる。丁度その時、鉄板の上ではもうすぐ完成しそうな焼きそばがあったために余計にプリルンは食べたそうに涎を垂らす。
「あれ?プリちゃん?」
プリルンは焼かれている焼きそばをそのまま食べてしまおうとしたそんな時である。いきなりプリルンは後ろから聞き覚えのある声を聞いて振り返った。
「夢乃、夢乃もここに来てたプリ?」
「夢乃ちゃん、どうしたの?」
プリルンは夢乃と話そうとしたそのタイミングで彼女の近くにうたの妹であるはもりがいるのを確認。慌ててぬいぐるみのフリをするとフラッと落下。それを夢乃が受け止めるとはもりに対応する。
「この子ね。君のお姉ちゃんのうた先輩から預かってほしいって言われてたんだ」
「あっ、この子。お姉ちゃんが最近連れてる子だ!」
プリルンの事を問われた夢乃は取り敢えずはもりへと彼女の姉から預かったものという体を取る形で誤魔化した。夢乃としても何でプリルンがここに単独でいるのか問い詰めたかったが、今は誤魔化す方が優先のためにその思考を一度後回しにしたのである。
「そうだ。はもりちゃん。今度は焼きそばとかどう?」
「うん!はもりも丁度お腹空いてたんだ!」
夢乃はそのままの流れで焼きそばを購入する事にした。夢乃は何となくプリルンがここにいた理由を焼きそばが食べたいからだと予想。このまま放置すると夏祭りの屋台でのルールを知らない彼女が無銭飲食しかねないので、どうにかそれを抑える方向で動いたのである。
「プリちゃん」
「プリ?」
「焼きそばは買ってあげるから少しだけ我慢してて」
「プリ」
夢乃はどうにかプリルンを大人しくさせると二人で焼きそばをそれぞれ購入。二人はそれから人混みを避けた道の端にある縁石のような場所で座って焼きそばを食べる事にした。
「はむっ……美味しい!」
「うん。焼きたてって事もあってホカホカだね」
夢乃は隣にいるはもりの相手をしつつさりげなくプリルンにも焼きそばを食べさせる。プリルンも夢乃に食べさせてもらう形で美味しい焼きそばにありつけて幸せそうだった。
「「ごちそうさまでした」」
約十分後。二人は焼きそばを食べ終わるとまた山道を進み始める。彼女達も頂上での花火を目的として来ていたのだ。
「そうだ。夢乃ちゃん」
「どうしたの?」
「ぬいぐるみはお姉ちゃんから預かったって聞いたけど、何でこの子だけなの?」
その言葉を聞いて夢乃は内心頭を抱える。はもりの中でのイメージはうたが連れているぬいぐるみは二体。つまり、プリルンとメロロンのセットだ。しかし、今ここにはプリルンしかいない。普通ならプリルンとメロロンのセットで預けられるはずなのに何故メロロンがいないのか夢乃は気になったのだ。
「え、えっとねぇ……それは……」
夢乃はどうにかはもりを誤魔化すための案を思考する。ここで変な答えを返すと疑われてしまうと感じたからだ。
「って、あれ?」
するとふと夢乃は違和感を感じる。先程まで自分が抱いていたはずのプリルンがいないのだ。
「プリちゃん!?何で……」
夢乃はいきなりいなくなってしまったプリルンに慌てる中、はもりは首を傾げている。夢乃が変な挙動をしているから気になってしまっているのだ。
「夢乃ちゃん?」
「あはは……えっと」
夢乃が苦笑いしてどうにかはもりへの言い訳を考えていたそんな時。彼女達へと声がかけられた。
「夢乃!はもりちゃん!」
「えっ!?お兄ちゃん!?うた先輩にこころ先輩も」
そこにプリルンがいなくなったために彼女を捜索していた影人達が合流。ただ、一歩タイミングが遅かったせいでプリルンはもういない。
「夢乃、プリルン見てないか?」
「それが……さっきまでいたんだけど」
影人はそれを聞いて頭に手を置くと唖然とする。あと少し早ければ補足できたと連絡を先に送らなかった事を後悔した。
「そっか……。プリルン……本当にアイツ!」
「仕方ないよ。ここにはプリちゃんの興味を引きそうなものが沢山あるし……」
嘆いても仕方ない。まずは再びいなくなったプリルンを探さないといけないだろう。
「ひとまず夢乃はそのまま夏祭りを楽しんでて。はもりちゃんにプリルンの動いてる所見られるわけには行かないし、ここで彼女を一人だけにはできないからな」
「うん。わかった」
影人は夢乃にはそのままはもりの隣にいてもらう事にした。そうしないとはもりが迷子になってしまうのと、万が一プリルンの動いている所を見た時に一人ではパニックになってしまうだろうからだ。
「カゲ先輩。目撃情報に関しては私とうた先輩で集めました。恐らくこの先にいます」
「早くプリルンを連れ戻そう!」
こうして、影人達は慌ただしくまたプリルンを探しに向かう事になるのだった。同時刻。登山道を半分来た辺りの地点。プリルンは再び興味のある物を見つけていた。
「プリ?タコさんウインナーフランクフルト……プリ?」
それはその場所にレイ達が来る少し前。プリルンもタコさんウインナーフランクフルトの屋台を見つけてやってきていたのである。
「何だかわからないけどタコさんウインナーなら美味しそうプリ!」
プリルンは人目に付かないようにお店の前に移動するが、先程とは違って鉄板の上で毎回焼いているわけでは無いので商品は置かれていなかった。プリルンの来るタイミングが悪くて元々焼いてあった物が丁度全部売れたあとというのもある。
「プリ……。上に置いてないプリ」
するとプリルンの鼻が何かの匂いをキャッチ。プリルンはそれに導かれて移動を開始した。
「プリ?こっちから匂いがするプリ」
プリルンが移動した先というのが、屋台の裏側。そこには保冷バッグが置かれており、それを開けてみると焼かれていない生の状態のタコさんウインナーフランクフルトがあった。
「プリィ〜!美味しそうなタコさんウインナープリ!」
プリルンはタコさんウインナーが大好きである。それはうたから毎日食べさせてもらう程だ。そしてそれが生の状態とはいえ目の前に綺麗に陳列されてある。プリルンが欲しがらないわけが無い。
「プリプリ〜。それじゃあ早速いただきますプ……」
そんな時だった。プリルンが生のタコさんウインナーフランクフルトを食べようとするとその時にタイミングが良いのか悪いのか。店の店主が切らしてしまったタコさんウインナーフランクフルトを追加で焼くために店の裏に出てきてしまった。
そうなるとプリルンが食べようとしている瞬間を見られるわけで。プリルンの顔に冷や汗が出るとその店主は唖然としていた。
「プ……プ……プリィ〜!」
プリルンは慌てて手にしていた商品を手放すと一口も食べる事無く退散。店主の方も数秒の間唖然とすると何事も無かったように商品に手を伸ばす。どうやら彼もプリルンの存在をただの小さくて可愛い野良犬か、疲れによる幻を見ていると判断してくれたらしく。
まだ一口も食べてなかった事も相まってプリルンはギリギリセーフという事になるのだった。
そんな中。スラッシューに発破をかけられてアジトから出てきたチョッキリーヌは一人、夏祭りの人だかりの中を山道を下る方向に向かって歩いている。
「く……。ザックリーを探しに来たのは良かったものの、どいつもコイツもキラキラしてて目障りだね……」
チョッキリーヌは先程から沢山の人々のキラキラに当てられてイライラしており、ザックリーも中々見つからない事もあって余計にストレスが溜まっている状態だった。
「とは言ってもこれだけキラキラの平均値が高いとどれにするか迷っちまうね」
普段はキラキラの全体的に見た平均値が低いので目的となるキラキラした人が余計に強く輝いて見えるのだが、今の夏祭りの中では周囲の人が大体キラキラしてるためにどのキラキラを使うべきか悩んでしまうのだ。
「この前みたいに凄いキラキラの奴がいれば良いんだけど……」
チョッキリーヌは前の茅原の事を考える。彼女くらい飛び抜けたキラキラがあればそれだけでも狙う理由になり得るのだが、あそこまでキラキラした人間が早々いない事もチョッキリーヌは理解していた。
「……ん?」
するとチョッキリーヌの視線の先には一組の親子がいた。少女はその手に金魚の入った袋を持っており、嬉しそうに笑っている。その近くには彼女の母親と思われる人物もニコニコと笑っていた。……そう、二人は先程ななとレイが金魚すくいの屋台で助けた人達である。
「ぐ……。あのキラキラが何だかわからないけど一際大きいね。……この際仕方ない。あの二人にするか」
チョッキリーヌがそう考えた時。そこに一人の女性が合流した。それは以前影人達が訪れたひまわり畑の主人である夏野はなえである。
「はなえお姉ちゃん!」
「ひま。ご機嫌だね!」
「実はさっき近くにいた中学生くらいの男女に助けられて」
「姉さん……そうなんだ」
どうやら夏野は先程ななとレイが助けた少女こと夏野ひまの母親と姉妹であり、一応少女視点では叔母さん的立ち位置に当たるようである。ただ、ひまは叔母であるはなえに対する尊敬から姉として呼んでいるらしい。
「ひま、良かったね〜。助けてくれたお兄ちゃんやお姉ちゃんにありがとうって言った?」
「うん!」
そんな風に三人のキラキラは更に増え、チョッキリーヌも流石にこれは看過できなかったためにターゲットをこの三人に確定させた。
「コイツら、更に眩しくなって!そんなにもキラキラを奪われたいのなら望み通り奪ってやるよ!」
チョッキリーヌは早速三人へといつもの綱引きポーズをやると共に彼女達のキラキラを引き抜いてしまう。
「お前のキラキラ……オーエス!」
「「「きゃああっ!?」」」
夏野達はキラキラを抜かれたせいで叫び声を上げるとリボンが生成。チョッキリーヌはそれを真っ二つに切り裂く。
「チョキッとね!」
これにより、三人は暗闇の中に閉じ込められてしまうとチョッキリーヌはクラヤミンダー召喚のための水晶を持つ。
「さぁ、来な!クラヤミンダー!世界中をクラクラの真っ暗闇にするんだよ!」
チョッキリーヌがそのまま地面へと三人と水晶を合わせた物を叩きつけるとクラヤミンダーが召喚される。その瞬間、クラヤミンダーは二体に分裂して別個体となった。
今回の個体の片方は袋の中に入った金魚のようなクラヤミンダーであり、袋から手足が出てはいるもののクラヤミンダーの顔自体は金魚の方に現れていた。つまり、金魚が本体と言わんばかりの姿である。
もう片方はひまわりを模した姿をしており、綺麗に咲いているはずの大きなひまわりの花からクラヤミンダーの顔が出ていた。
この時点でお気づきだろうが、夏野ひまとその母親が金魚のクラヤミンダー。夏野はなえがひまわりのクラヤミンダーの宿主である。
「「クラヤミンダー!」」
夏祭り会場の下の方で誕生した二体のクラヤミンダー。人々はそれを見て慌てて逃げ出す中、単独行動をしていたプリルンは真っ先にそれに気がつく。
「ブルっと来たプリ!?」
丁度彼女は新しい美味しい物を探して再度移動を再開したばかりだったが、今はそんな事も言ってられないので飛びながら急いで移動を開始。そして、影人達三人とメロロンも上の方の道からクラヤミンダーの姿を視認した。
「うえっ!?こんな時にクラヤミンダー!?」
「本当にタイミングの悪い奴!」
「どうします!?なな先輩とプリルン無しで行きますか?」
「……今レイの方に連絡は入れた。ただ、蒼風さんには悟られないように倒す」
影人の言葉を聞いて一同は影人の方を向く。まさかのなな抜きで倒すという彼の話に驚いたのだ。
「でも、ななちゃんもきっと気づくんじゃ……」
「……それでも、折角のデート中を壊したく無い。レイならある程度こっちの意図を汲んでくれるはず。最悪プリルンは自分で察知して来れるからな」
ただ、そうなると短期決算で倒さないといけない上に尚且つ大きな音は立てられない。しかもあまり夏祭り会場の中でやり合うと他の人々の混乱で気付かれる危険があった。
「……仕方ないのメロ。メロロンに考えがあるのメロ。このまま変身するメロ!」
「わかった。皆、まずは四人で行くぞ!」
「任せて!」
「絶対に夏祭りを守りましょう!」
四人はそれぞれの変身アイテムを構えると同時に変身を開始。メロロンはプリルンがクラヤミンダー化した時と同じで影人をペアとして変身する事になる。
「「プリキュア!ライトアップ!キラキラ!ドレスチェンジ!YEAH♪」」
「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」
「キミと踊る、ハートのリズム!心キュンキュン、キュアキュンキュン!」
「「プリキュア!ライトアップ!キラキラ!ショータイム!YEAH♪」」
「ハートをメロっとひとりじめ!キミと口づけ、キュアキッス!」
「ハートをメラッと熱くする!キミと高まれ、キュアソウル!」
四人が変身完了すると降り立つ。ただ、それぞれのチームで一人ずつ欠けがいるのでチーム名の名乗りはカットする事になった。
「お願い、チュッ!」
するとキッスが投げキッスをするといつものキッスの精が飛び出す。それと同時にソウル達プリキュア及び二体のクラヤミンダーを含む周囲の空間が一気に変化。そこにはカラフルな色合いのキノコが生えたまるでおとぎ話に出てくるようなメルヘンチックな庭園が広がっていく。
「何これ!?」
「ハートガーデン。ここなら周りを気にせず戦えるわ」
「ありがと、キッス!」
「別に。お兄様の意向を汲んだだけよ」
キッスは僅かに恥ずかしそうな顔をしつつ四人は早速目の前にいるクラヤミンダー二体を浄化するために走り出す事になるのだった。
また次回もお楽しみに。