キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
グリッターにいた影人達の元にやってきたこころからの提案。それは、アイドルプリキュア及び、ズキューンキッスソウルのオフィシャルファンクラブの設立である。
「ファンクラブ……」
「そう、ファンクラブです!ファンクラブがあれば、きっと皆がもっと、もっと心キュンキュンして貰えるはずです!」
こころはアイドルプリキュアやズキューンキッスソウルのファンクラブを作りたいと感じ、それに向かって一直線に進もうとしていた。ただ、うた達はファンクラブがよくわからない様子でキョトンとしている。
「ファンクラブって何?」
「プリ〜?」
「やっぱりそこからか……」
影人はいつも通りの知識のないうたやプリルンに唖然とする中、こればかりはななもわからない様子で。
「正直、私もよくわからないなぁ……」
「メロロンも知らないメロ」
「だってさ。折角だから説明よろしく、こころ」
「勿論です!」
レイはファンクラブについてわからない様子を見せるうた達のために説明が必要であるとこころへと促した。
「でしたら早速。授業と行きましょう!」
その瞬間、こころは前にも見せた先生モードとなるとファンクラブについての説明を開始した。
「はい、注目!紫雨こころの、心キュンキュン!ファンクラブ講座!えっへん!」
すると何故かこころの説明開始と同時に背景が教室の黒板風な物に変わるとこころがスーツを来て眼鏡をかけた教師のようなコスプレをしたペープサートを操り、説明を進めていく。
「ファンクラブとは、同じ推しのファン達が集まる応援チームのような物です!」
「皆で応援するって楽しそう!」
「プリ!」
「私達の情報がい〜っぱい載ってる会報やオリジナルグッズが届いたり、更に……会員だけが参加できるライブやイベントがあったり!お誕生日にはバースデーカードが届いたりするんです!」
こころは説明に熱を込めるとファンクラブに入る事の利点を次々と説明していく。その解説にファンクラブを知らないうた達は目をキラキラと輝かせるくらいに興奮していた。
「キラッキランラン〜!」
「プリ〜!」
「ねえたまやにいたまの限定ライブにバースデーカード!」
「ふふっ」
うたやプリルンが瞳にキラキラマークを浮かべるとメロロンの方は自分の大好きなプリルンや影人のライブやバースデーカードを貰えると聞いてハートマークが浮かぶ程に嬉しそうにする。ななはメロメロなメロロンを見て微笑ましい顔をしていた。
「ファンクラブは、ファンの……キミ!キミ!キミ〜!皆の物なんです!」
要するにファンクラブに入れば推しを応援する事だけでなく、様々な特典が貰える上に同じ趣味を持つ人々と仲良くだってできる。アイドル達本人もファンが増える事は自分達の活動が認められるという事にも繋がるのだ。
正に無限の可能性を秘めた物である。……そのような趣旨の話を一通りした所で、こころはこの話をシメた。
「確かに、学校のアイドルプリキュア研究会は生徒じゃないと参加できないもんね」
なながそう補足。彼女の言う通り、ファンクラブの利点はどんな人でも入会する事が可能であるという点だ。これでアイドルプリキュアの輪はファンクラブを通じてもっと大きく広げられるようになっていくだろう。
「そうなんです!子供から大人、お爺ちゃん、お婆ちゃん。更には国境を越えて……世界み〜んなの心キュンキュンがいっぱい集まったら良いなって!」
「それ、レジェンドアイドルの響カイトさんクラスを目指すって事か?」
「まぁ、ゆくゆくはそうなるのかなと」
「そう考えると相当大きな目標だね」
こころの興奮っぷりに影人やレイは苦笑いを浮かべる。流石に響カイト程の人気は得られずとも、こころが沢山の人々の心キュンキュンが集まる場所としてファンクラブを設立したいという熱意は影人やレイも感じられた。
「プリルンもファンクラブ入りたいプリ!」
「メロロンはにいたまやねえたまのファンクラブに入りたいメロ」
プリルンがファンクラブに入りたいという意思を示すとメロロンもプリルンや影人のファンクラブに入りたい様子を見せる。そのため、こころはそんなメロロンに話しかけた。
「メロロンはいつもプリルンやカゲ先輩に心キュンキュンしてるもんね!」
「メロ?そういえば前々からずっと思ってたんだけど、心キュンキュンって何なのメロ?」
こころの言葉にメロロンは首を傾げる。こころがよく口にする心キュンキュンの意味を彼女は知らないのだ。
「心キュンキュン……。好きが溢れて止まらないって事だよ!」
「好きが溢れて止まらない……メロ」
「プリ!」
メロロンがこころの解説を復唱するとふとプリルンの方を向く。すると彼女も気がついてメロロンの方へと笑顔を向ける。その瞬間、メロロンの心はズキューンと撃ち抜かれるわけで。
「メロ〜!それならメロロンにもわかるメロ!」
「でしょ!そういう心キュンキュンこそ最強なんだよ!」
「最強メロ!」
どうやらメロロンにも心当たりがあったようで、こころからの言葉に同意するとそんな彼女のやる気を煽るようにこころが話を誘導していく。
「そんなメロロンが手伝ってくれたら、きっと凄っごく心キュンキュンするファンクラブができちゃうよ!」
「ねえたまとにいたまのファンクラブを作るメロ!」
するとメロロンはやる気を出しまくるとプリルンや影人のファンクラブを作りたいと言わんばかりに興奮しながらクルクルとその場で回転する。ただ、こころが作りたいのはプリルンや影人だけでなくアイドルプリキュアやズキューンキッスソウルのファンクラブの話なので二人の間に少し認識の違いは出ていた。
「メロ!メロ!」
「まぁ、作るのは皆のなんだけど……」
「いや。やる気が無いよりはあってくれた方が良いのには間違い無いだろ」
「それにやる気いっぱいのメロロン、可愛い!」
ここまで来たら些細な差だと影人はこころをフォローし、彼女も頷く。そんな所で影人達がファンクラブ設立にやる気が高まってきた所で話を聞いていた田中がやってくる。
「ファンクラブ、良いですね」
「田中さん!」
「私もお手伝いしましょう」
「「「「やった(プリ)(メロ)!」」」」
「心キュンキュンしてます!」
田中もこころの意見に賛同したお陰でアイドルプリキュア、ズキューンキッスソウルのファンクラブが設立されるのは確定的となった。ただ、そんな田中にレイがこっそり話しかける。
「田中さん、大丈夫ですか?この後アレも控えてるのに」
「ええ、確かに大変な作業になるのは承知してます。それでもアレに関しては姫野さんに度々手伝ってもらえてるお陰で作業効率は上がってますし、恐らく予定通りやり切れるかと」
レイや田中が話をしているのはこの前の夏祭りの日の夜に田中と姫野が二人で作業を進めていたある仕事である。
「そうなんですね。あ、でも本当に体力的にヤバいって思ったらちゃんと休んでくださいよ」
「えぇ、勿論です」
それから数日の時が経過。はなみちタウンにあるIDOL STOREでは田中の働きかけにより、店内にてオフィシャルファンクラブのチラシを配る事ができていた。
「皆さん!大ニュースです!アイドルプリキュア、ズキューンキッスソウルのオフィシャルファンクラブが設立されますよ!」
丁度そのタイミングでお店を訪れた人々はこの報に湧き上がった。加えて、お店の中で田中や姫野。更にアカペラ講師のメンバー達も多少手伝う形でチラシを配っていた。
「どうぞ、こちらをご覧ください」
また、同時にネットの方でもそれに関する投稿をする事で世界中にこの話題が広がっていた。勿論専用のアカウントも作っている。
「ああ〜!楽しみ過ぎる!私も絶対入会する〜!」
店員も嬉しそうな顔をしており、ネットの方でも世間の反応は上々であった。アイドルプリキュアとズキューンキッスソウルがどれだけ浸透しているかがよくわかるだろう。
「ふむ、盛り上がってきました」
「本当に凄まじい知名度ですよね」
姫野は田中に手伝うように頼まれた際に食いつくように首を縦に振ったのだが、それはさておこう。
同時刻、夏休みの間も研究会の活動は定期的に継続していたために影人達は学校に来ていた。
「皆さん、遅れてすみません!」
こころが研究会に到着するとネットの方で広がっていたファンクラブ情報で生徒達の話題は持ちきりになっている。何人かはチラシも持っており、その中でも東中がこころへと話しかけた。
「こころちゃん、知ってる?ファンクラブだって!楽しみ過ぎる〜!」
彼女だけで無く、会員達全員がファンクラブの設立に嬉しそうであったためにこころもやる気パワーが湧き上がってくる。
「これは、俺達も全力でやらないとだな。こころ」
するとそこに先に来ていた影人がこころの隣に並ぶと話しかけ、こころもその意見に賛同するように頷く。
「はい、皆がこうやって凄く喜んでくれて。この気持ちにちゃんと応えたいです」
「会長、副会長!皆揃ったし始めましょうよ!」
「そうですね!」
「……副会長って。ここ最近すっかりそれが定着したよな……」
影人は自分が副会長と呼ばれた事に僅かに困惑する。影人がアイドルプリキュア研究会に入会して約一ヶ月経ったある日、唐突に会員達の中で満場一致で推薦された形で彼は副会長として決定された。
影人とこころがお付き合いしている話はもう学校中で知らない人が殆どいないくらいに有名であるのと、影人は何でもそつなくこなせるという事で他の会員達は誰一人として影人の副会長案に異議を唱えなかったのである。
そんなわけではアイドルプリキュアとズキューンキッスソウルのオフィシャルファンクラブの話は世間にどんどん浸透して行った。こうなると計画は次の段階に移行する。また場面が移り、今度は喫茶グリッターでの話だ。
「……で、どんなファンクラブにする?」
「私達らしいファンクラブにしたいですね!」
「プリ!」
「ファンの人達、一人一人に喜んでもらえたら素敵だよね!」
影人達はグリッター二階の丸いテーブルを囲んでファンクラブについての会議を進めていく。すると影人がとある提案をした。
「だったら限定グッズとかはどうだ?アイドルプリキュアもズキューンキッスソウルもリアルでのグッズ展開はコラボ商品や前にレコーディングしたCD以外あまり無いし、プレミア感は出ると思うぞ」
「それ、良いですね!実はこの前、小学生の子達が楽しそうに私達のライブの真似をしてて。もし私達のインカムとかコスチュームとか……。色んなグッズがあれば、もっと心キュンキュンしちゃうと思うんです!」
こころはファンクラブを提案したあの日に公園で見た子達の事を思い浮かべつつ話す。するとレイが補足で話した。
「だったらインカムやコスチュームはファンクラブの外側。例えば子供の玩具売り場とかに展開する用に調整した方が良いかもな。子供向けのグッズとなると、ファンクラブではあまり重宝は出来なさそうだし」
これに関してはファンクラブへの入会等は大体の場合、大人が入る可能性が高いからだ。親にもよると思うが、子供だけでファンクラブに入らせると色々と不安を持つ親も出てしまうからである。
「それなら団扇とかは?五人の団扇!合体……みたいな?」
「Tシャツとかカレンダーとかも!」
「プリ〜!」
うたやななもファンクラブで欲しい物を次々に提案していく。二人の意見にある団扇やTシャツ、カレンダーであればファンクラブの会員限定グッズにした方が良さそうであるためにレイはこちらには賛成の様子である。
「そうだな。その三つなら限定グッズにしても大丈夫そうだろ」
そんな中で、約一名。六人組で括られる事が不服な者もいるようで。その本人、メロロンは声を上げる。
「メロ〜!そんなのより、メロロンはねえたまやにいたまのグッズが欲しいのメロ!」
「プリ?」
「まぁ、メロロンはそう思うだろうな……」
そんな事はさておき、こころはファンクラブを設立する上で最重要事項を口にする。
「そしてやはり、ファンクラブには会員証が欠かせません!」
「「「「会員証?」」」」
「はい!ファンクラブ会員の証、名前や会員番号が書いてある自分だけのお宝です!」
会員証無くしてファンクラブ会員を名乗ることはできない。加えて、その会員証は自分だけが自由に持ち歩く事ができる世界で唯一無二の代物。こころが会員証をお宝と言った発言もあながち間違いでは無いのだ。
「プリ〜!」
「私も欲しい!」
「でも、どうやって作るプリ?」
会員証を作るにしてもそれを作るための物が必要だ。加えて、世間で人気のアイドルプリキュアやズキューンキッスソウルのファンクラブ。会員の人数もそれなりに多い事を考えるとやり方次第では早々に詰みかねない。
「ここはメロロンに任せるのメロ」
するとメロロンは何かを取り出すとそれを丸いテーブルの上に置く。それはプリカードクラブと呼ばれるオリジナルのカードを作るための物だった。
「このプリカードクラブで作るメロ!くるりんくるりんメロ!」
メロロンが出したのはプリルンが写った写真とハートが沢山枠のように描かれた二枚のカードであり、それをプリカードクラブに通して横のダイヤルを回すとその二枚が重ねられて一枚のカードとして完成する。
「おお!綺麗なカードになって出てきた!」
「シールを貼って……できたメロ!」
そこにあったのは沢山のハートが縁に描かれている中でその中心でハートの枠の中に入ったプリルンがいた。更に申し訳程度にハートやキラキラマーク、雫と言った小さなシールも点在している。
「プリ〜!」
「凄い!」
「これに会員番号を入れたら完璧です!メロロン!」
こころもこのプリカードクラブで作った会員証を気に入ったようで、メロロンに話しかけた。
「メロ?」
「これ、使わせてもらうね?ありがとう!」
「メロ!?……メロ」
メロロンもこころにそう言われて少し驚く。彼女も自分のやり方が取り入れてもらえて満更でも無かったのだろう。
「レイ」
「何だ?」
「このやり方、最初は良いけど……一度に一枚しか作れないからちょっと不安だな」
「まぁ、その場合はまたやり方を変えれば良いさ。今はファンクラブでの他のグッズの事を考えようぜ」
「わかった」
こうして、影人達のファンクラブの話は着々と先に進んでいく。このままファンクラブは無事に開設されるのだろうか。その話はまた次回にてするとしよう。
また次回もお楽しみに。