キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
クラヤミンダーが降り立ち、プリキュア達も変身を完了。先に動いたのはクラヤミンダーだ。
「クラヤ……ミンダー!」
クラヤミンダーが手に大量のチラシのような硬質化した紙を用意するとそれを配るが如く投げつけてくる。
「チラシでの攻撃か!」
「全員で対応するよ!」
「「「うん!」」」
チラシの数はそれなりに多く。プリキュア達は総出で対応する事になる。そのため、アイドルプリキュアの三人はブローチをタッチ。ソウルはソウルメガホンを使用。ズキューンキッスはダブルキックをする。
「アイドルグータッチ!」
「ウインクバリア!」
「キュンキュンレーザー!」
「ソウルソニック!」
「「はぁああっ!」」
六人はそれぞれ目の前に来たチラシを相殺する形で防ぎ、クラヤミンダーのチラシ攻撃は全て消し飛ばされた。
「くっ、クラヤミンダー!もっとやってやりな!」
チョッキリーヌはクラヤミンダーへと指示を出すとクラヤミンダーは手にしたメガホンを正面に構える。
「何を……」
「ヤバい。耳塞げ!早く!」
ソウルが全員に促すと直後にクラヤミンダーから騒音級凄まじいの声が放たれる。前のピアノマックランダー同様の音による攻撃だ。
「クラヤミ……ンダー!ンダー!ンダー!」
クラヤミンダーからの声にプリキュア達は耳を塞いでも頭に響く不快な音のせいで動けなくなってしまう。
「「「「「「ううっ!?」」」」」」
ピアノマックランダーもそうだが、音の攻撃は避けたくとも物理的な壁が無いと中々上手くいかない。ましてはこの辺りはひらけた平原のような場所。遮蔽物なんてここには無い。
「クラァ!」
するとクラヤミンダーは一瞬だけ音波攻撃を中断して先程のチラシを投げてくる。
「「「「「「うわあっ!?」」」」」」
音波攻撃を受けてまともに動けないソウル達はその一瞬のタイムラグだけではどうする事もできずに紙の爆発を受けてしまう。
「ンダー!ンダー!ンダー!」
しかも六人がダメージから復帰する頃にはもうクラヤミンダーが次の音波攻撃を始めてしまっている。そのため、プリキュア達はまた身動きが取れなくなってしまった。
「ちょっと、卑怯過ぎるわよ!」
「ソウル、前みたいにできないの?」
「ッ、そうしたいのはやまやまなんだけど……今はスマホ操作できるような時間が無いんだ……」
マックランダーの時よりも更に強くなった音圧はソウルにスマホ操作をさせてノイズキャンセルを使う時間を与えなかったのだ。
「クラァ!」
そんな間にクラヤミンダーは再びチラシを射出。六人はまた攻撃をまともに喰らってしまうとチョッキリーヌは一方的に勝てている展開に上機嫌だった。
「ザマァ無いね。プリキュア!私にかかればお前達も大した事無いんだよ!その調子だ!クラヤミンダー!」
クラヤミンダーは容赦無く三度目の騒音攻撃を放つとプリキュア達はまたその不快な音に苦しめられる。
「何か……何か打てる手は……」
このままでは手も足も出ずに全滅のため、ソウルがどうにか打開策を考えようとするとキュンキュンはクラヤミンダーからの騒音攻撃の中でも必死に体を動かしていた。
「絶対……絶対に!心……キュンキュンを守る!だって、心キュンキュンしてる気持ちは、誰にも止められないんだから!」
キュンキュンは一歩、また一歩と耳を塞いだ状態のままクラヤミンダーに接近していく。それはキュンキュンが大好きな事のためなら一直線に進んでいけるという精神力が成せる技であり、誰かの心キュンキュンを守りたいという気持ちがクラヤミンダーの騒音にも負けず進む原動力になっていたのだ。
「ふん!キュンキュンが何だい?そんな物……何の役にも立たないんだよ!クラヤミンダー、フルパワーだ!」
「クラヤ……ミンダーァアアッ!」
「ううっ!?」
クラヤミンダーは先程以上の騒音を響かせる中、キュンキュンは他の五人よりも距離が近いために思わず怯みかけてしまう。しかし、彼女の心はそれでも折れなかった。
「私の心キュンキュンは……こんな程度では……止まらないんです!」
キュンキュンの気持ちがソウルに響くとソウルも前と同様に銀のオーラを立ち昇らせて立ち上がる。
「キュンキュンの心キュンキュン……俺にも響いた……俺も心メラメラしてきたぞ!」
ソウルが銀の光を放出しつつ前に前進していった。そんな中でキュンキュンはソウルを見る。
「ソウル!」
「手伝うよ、キュンキュン。……こんな奴らに誰かの心キュンキュンを奪われたく無いから!」
その瞬間、前と同様にソウルの体から出てきた銀色のオーラがキュンキュンへとリボンの紐のように伸び、彼女の体に巻き付くとキュンキュンが紫に光り輝く。
「ッ!あの変化ってもしかして!」
「うん。私の時と同じ!」
それと同時にソウルメガホンが飛び出すとそのダイヤルが紫に合わせられる。すると謎の空間内に存在すると思われるペンライトのような形状の何のある場所に移動。ペンライトのような物に巻き付いた二本の鎖の内、その中の一つが紫の光と共に鎖にヒビが入って砕かれる。
ペンライトの鎖が一つ砕かれると同時に消えていたソウルメガホンの紫のダイヤルが再度発光。それと同時に使えなくなっていたソウルバレットが発動した。
「キュンキュンの力……ソウルバレット!だぁああっ!」
ソウルはメガホンから生成された紫のエネルギーボールを腕が使えないために渾身のドロップキックで射出するとそれが音波攻撃の波を打ち破り、クラヤミンダーに命中。その手からメガホンを手放させた。
「なっ!?」
「「「やった!」」」
「……封じられた力……紫の輝きを得て鎖がまた一つ解き放たれた……。キュアキュンキュンの心がお兄様の力をまた戻したのね」
アイドル達が喜ぶ中、キッスはキュンキュンの気持ちがソウルのキュンキュンの力を蘇らせたのだと感じ取る。
「ッ、だからってクラヤミンダーに勝てるとは……」
「はぁあああっ!」
クラヤミンダーに隙が出来たのを見てキュンキュンはすかさず走り込むと懐に入った状態でクラヤミンダーの左腕を蹴り上げる。
「クラァ!?」
これにより、手にしていたチラシも全て落としてしまうとクラヤミンダーは動揺。アイドル達はそんなキュンキュンが輝いている事に声を上げた。
「キュンキュンが心キュンキュンしてる!」
「心……キュンキュン!」
「「「頑張れキュンキュン!」」」
アイドル、ウインク、ズキューンが紫に光らせたキラキライトを振る中、ズキューンはキッスにもキラキライトを握らせる。
「ほら、キッスも!」
「……ッ、キュンキュン!」
キッスは受け取ると少し前に話してもらったキュンキュンの……こころのある言葉を思い出す。
“そういう心キュンキュンこそが最強なんだよ!”
「(だったら見せてみて……あなたの、心キュンキュン!)」
キッスもキュンキュンに大切な事を教えてもらった。だからこそこの場面でその大切な事が起こす力を信じたくなったのだ。彼女は他の三人と同様にキラキライトを紫に光らせるとそれをささやかだが、振った。
「キュンキュン、受け取れ!」
同時にソウルは自らのオーラを紫に変換。それをキュンキュンへと送り出すとキュンキュンはそれを後ろから受ける形で吸収。ソウルの力による一時的なパワーアップを果たす事になる。
「ありがとうございます!私、行きます!」
キュンキュンはソウルから受け取った力を上乗せした状態で浄化技を発動。領域を展開した。
「クライマックスは私!準備はオッケー?」
キュンキュンの曲のイントロが始まると彼女はインカムを装着。それと同時にクラヤミンダーが強制着席し、拘束されると歌が始まった。
『ハイ!ハイ!』
♪決め歌 ココロレボリューション♪
「ねえ、キミも!かわいーな♪(キュンキュン!) かっこいーな ♪キュンキュン!)完全同意にアガるテンションコーレスプリーズ ♪(イェイ!)とびきりキュンキュン響かせて〜踊ろっ♪(Let's dance!)もう1回♪(キュンキュン!)アンコール♪(キュンキュン!)完全ダイスキハイなステップがナンバーワン!もっと夢中になれるね〜♪こころビート〜yes!キュンキュン♪……プリキュア!キュンキュンビート!」
キュンキュンが放った降り注いだ紫の光のエネルギーがクラヤミンダーへと降り注ぐと技を喰らったクラヤミンダーは浄化される。
「「キラッキラッタ〜」」
クラヤミンダーが浄化された事でキラルンリボンが生成し、今回はキュンキュンが技を使ったために彼女がリボンを手にする事になるのだった。
「ふんっ……調子に乗るんじゃ無いよ!」
チョッキリーヌはクラヤミンダーが浄化されてはどうしようもできないのでそのまま撤退。プリキュア達は勝利の余韻に浸るのもそこそこにに出張所へと戻る事になった。
「ファンクラブの申し込み、どうなってるかな?」
「……見てる感じ、順調だぞ」
うたからの言葉にそこにはパソコンと向き合っていたレイが嬉しそうな声色で答えを返した。
「そっか、レイ君はずっと見てたんだよね」
それから一同が画面を覗くと目を見開く事になる。そこに書いてあった数字には早くも3000を突破していたのだ。
「もう三千人!?」
「申し込み、沢山来てるね!」
「心、キュンキュンしてます!」
そんな中で、田中は僅かに顔色が青くなっていた。理由は説明するまでも無く今彼が手元で作っている物である。
「レイ、やっぱりこうなるよな?」
「だから言ったんだよな。手作業じゃまず限界が来るって」
「良かったですね……会員証、会員の数だけ……」
田中は数字を見るだけで既にゲッソリとした様子だった。初動で三千人来た時点で既にここに枚数だけではもう到底足りない。しかも、絶望的なのはここから更に増えるという事で。
「「「「「五千人……七千人……一万人!!」」」」」
「がふっ!?ハート……ブレイク!?」
田中はすっかりハートブレイクされてしまったのか、いつもの田中からは出ないような声が出てしまうと倒れてしまう。
「田中さん!?しっかりしてください!」
田中が完全に精神的にやられてしまったので姫野は不安そうに駆け寄ると彼を介抱する。そんな様子に影人とレイは苦笑いを浮かべるのみだ。するとうたは登録者情報が気になったのか確認してみた。
「えっと、まずは会員番号が一番の人……ん!?住所がキラキランド!?」
「……は?」
影人はうたからの言葉を聞いて慌てて画面を覗きに行く。そこにあったのは会員番号一番として来ていた人の住所が本当にキラキランドと書いてある。
「マジか。キラキランドが住所って」
「どういう事ですかね?」
「皆、一番だけに目が行ってるけどその下見てみな」
影人達がその下にある会員番号二番も見てみると同じく住所がキラキランドと書いており、二人がプリルン達と同郷であるとわかった。
「あ、よく見たら二番の人もだね。名前が……」
「一番がカッティンさん」
「二番がザックリンさん……?」
「その名前……聞いた事あるような」
田中は何か思い当たる節があるようで、どうにかハートブレイク状態から起き上がる事に。
「なぁ、レイ?」
「影人、どうした?」
「何となくオチが見えた。要するに、アイツらだろ?」
「だろうな」
影人とレイは既に理解した様子であり、同時に出張所のドアがコンコンとノックされた。
「失礼!聞きたいことがあるのですぞ」
「はい?」
それから田中がドアを開けるとそこには青い服を着た巨漢と緑の服を着たヒョロっとしたヤンキーのような男が立っている。その二人は以前と比べて明るめな青や緑の服を着るようになった所から闇の色がすっかり抜け落ちており、少なくとも悪い印象は薄くなっていた。
「ファンクラブに、ザックリ申し込んだんだけどさ」
そして、その二人の顔つきや髪型、話し方は以前と変わっておらず。どこか懐かしさを感じられる。そう、ここにいる二人というのが……。
「カッティーに……」
「ザックリーさん!?」
「まさか、会員番号一番のカッティンと二番のザックリンと言うのが……」
その瞬間、ポンと音を立てると二人の姿が可愛らしく変化。そこにいたのはプリルンやメロロン、田中ことタナカーンや姫野ことヒメーノと同じようなサイズ感の妖精である。
カッティーの方は水色をベースに青色の腹部。そこには逆さ向きの音符が模様としてあり、髪は人間態と同様に金髪のオールバックにしている。
ザックリーの方は黄緑をベースに体には緑の服を着用。胸にはカッティーと同じように逆さ向きの音符が模様としてあると髪は緑髪を七三分けにしていた。
「そうッティン!カッティン一番ティン!」
「二番リン!ザックリ残念リン!」
どうやら、カッティーとザックリーは田中や姫野と同様に元々キラキランドの妖精が変化した人間であったらしい。カッティー改めカッティンおザックリー改めザックリンを見たうた達は当然驚く。
「「「「「ええっ!?モフモフだったの!?」」」」」
「まさか、お二人だったとは……」
田中もポンと妖精へと変化するとタナカーンの姿となる。そしてタナカーンは二人へと親しそうに話しかけた。
「私、タナカーンタナ!」
「タナカーン!」
「久しぶリン!」
「全然気づかなかっタナ!」
「ちょっとちょっと!お二人は誰なんですか!」
姫野はそんな二人を見て慌ててヒメーノの姿に変わるとタナカーンの前に割り込むようにして二人を睨みつける。
「ちょっ、ヒメーノ!?」
「タナカーン、この二人は誰なのヒメ!」
「ヒメーノ、落ち着くタナ。二人はキラキランドでの私の友達タナ」
「友達……あっ……す、すみませんヒメ……」
ヒメーノはいきなりタナカーンと馴れ馴れしく接する二人を見て慌てて介入しようとするが、タナカーンからの指摘を受けて顔を赤くすると自分の早とちりで迷惑をかけたと恥ずかしがってしまう。
「……やっぱりヒメーノさんは」
「田中さんに一途って事なのかな」
「何だか微笑ましいね!」
うた達女子組三人はヒメーノが自分の恋心が邪魔されると思って必死に抵抗しようとしたのを微笑ましい顔つきで見ており、ヒメーノは年下からそういう目線を向けられて余計に恥ずかしくなってしまった。
「タナカーン、それよりも会員証が欲しいッティン!」
「入会セットもザックリ頂戴リン!」
「っと、そうですね!」
カッティンとザックリンの件で少し遅れたが、入会してくれたという事でこころが奥からまずは入会セットを二人に差し出す事になる。
「アイドルプリキュア・ズキューンキッスソウルのオフィシャルファンクラブ。入会ありがとうございます!」
「やッティン!」
「嬉しいリン!」
カッティンとザックリンがセットを受け取ると早速希望の会員証の種類を選択して二人は無事、ファンクラブへと入会する事になるのだった。
それから時間が経過し、その日の夜。紫雨家ではこころが仕事から帰ってきた愛と向き合って座っていた。
「あー、ほんとファンクラブ作って良かった」
「ふふっ、それがこころの才能ね」
「えっ?ファンクラブを作るのが?」
「そこまで頑張れる何かを好きになれるって事がこころの才能だよ」
愛からの言葉にこころは思わず首を傾げる。すると愛は更にある事を付け加える。
「“好きこそ物の上手なれ”。お父さんがこころによく言ってたものね」
「……うん」
それからこころが部屋のある場所を見るとそこには幼い頃の父親との想い出が写真として額縁に収められていた。
「今のこころみたいに、好きになる気持ちを追いかけたら。素敵な世界がもっともっと広がる」
「うん、そうだよね!心キュンキュンは最強だもん!キュンこそ物の……上手なれ」
そんな感じにこころが話を締めようとしたその時、愛は少し悪戯っぽく微笑むとこころへとある爆弾を投げる。
「そうだ、こころは影人君とのお泊まりをして。彼から沢山甘やかしてもらえた?」
「……へ?」
「影人君と一夜を明かしたこころ。今までも幸せそうだったから、やっぱり何かしてもらったのかなって」
「ちょっとお母さん!するって何のこと!?私、やったっておはようのキスくらい……あっ」
こころは慌ててしまったせいで思わず余計な事を言ってしまった。そして、愛は聞いたことの無い話が出たら突然気になるわけで。
「ふ〜ん?こころ、影人君におはようのキスをしてもらったんだ。その話、詳しく聞かせて!」
「そんなの、お母さんには恥ずかしくてできなぃよぉ……!」
結局こころは最終的に影人とのお泊まりの事で沢山問い詰められてしまうのだった。
また次回もお楽しみに。