キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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カッティンとザックリンの過去 カッティンからの提案

アイドルプリキュア・ズキューンキッスソウルのファンクラブが開設されてから数日が経過した。今現在、出張所ではこころが荷物の入った段ボール箱を積み重ねている。

 

「アイドルプリキュア・ズキューンキッスソウルファンクラブ!よいしょ!いや〜、皆さん大忙しですね」

 

こころが振り返るとそこでは影人達が分担してファンクラブ会員に向けた会員証の作成やそれを送るための封筒への封入作業。更にグッズの製作などを行なっていた。勿論前々から言及している通り、今後は企業に任せる物も出てはくるだろう。しかし、今はまだその相手を探したり交渉中の段階なので手作業で少しずつ消化している状態だ。

 

「プリプリ!」

 

「メロメロ!」

 

プリルンとメロロンが会員証を製作中でカッティンとザックリンはお便り系統の仕事を進めている。そして田中はパソコン作業中であった。

 

「入会希望者がどんどん増えてますね!」

 

「はい、頑張りましょう!沢山の人がこの会員証が送られてくるのを楽しみにしてますから!」

 

「ほんと、それがあるからこの作業も頑張れる所があるんだよな」

 

「あはは、まぁそれももう少しの辛抱だろ」

 

影人とレイの二人はグッズ周りの製作をしている。そして、カッティンとザックリンの二人も封入作業を少しずつ進めていた。

 

「頑張るッティン」

 

「ザックリいつ終わるリン?」

 

やる気十分のカッティンに対してザックリンの方はこの仕事量の多さにやや気持ちが押され気味だが……少なくとも前までのブラック環境では無いので少しはマシと言えるだろう。

 

ちなみにここにはいないうたやななの二人が何をしているのかという話になるが、その答え合わせをするかのようにこの部屋に繋がるドアが開く。

 

「皆〜!お疲れ様!」

 

「差し入れ買ってきたよ!」

 

そこにはうたとななが立っており、彼女達が入ってくるとその手にはドーナッツの入った箱を持っていた。どうやら作業を頑張る影人達のために丁度差し入れのドーナッツを買いに行っていたらしい。

 

「それじゃあ、休憩も兼ねて買ってきてくれたドーナッツを食べようか」

 

影人達はうた達の買ってきたドーナッツを食べるために一度作業を止めると早速皿に盛り付けた上でそれを全員で囲む事になる。

 

「はむっ、美味しい!あ、そういえば。カッティンとザックリンも一生懸命手伝ってくれてるんです!」

 

「ザックリ言えば、カッティンの方が頑張りまくリン」

 

カッティンもザックリンも一応会員側の人間なのだが、当たり前のように作業を手伝うと言い出して当たり前のようにここに来て作業する事になっていた。

 

影人達としても人手が増える事は大助かりなので彼等を快く受け入れている。

 

「ありがとうね、カッティン!」

 

「ティ〜ン!じ、自分はアイドルプリキュアの近くにいられるだけ幸せッティン!」

 

カッティンはうたにお礼を言われたのが幸せ過ぎたのか、目をハートにするとその場で踊る。

 

「カッティン、カッティーの頃からアイドルプリキュアのファンになりたい自分とチョッキリ団という立ち位置の自分で葛藤してたからなぁ……。チョッキリ団という枷が外れた今、推し活を精一杯頑張ってるって所か」

 

影人がそう言っているといつの間にかカッティンはその場でうつ伏せで倒れており、丁度嬉しさで感動の涙を流しつつ起き上がる所だった。

 

「いや、会員番号一番を背負い。ファンクラブの運営に携わる身としては当然の事ッティン!」

 

「おー、燃えてるな。カッティン」

 

カッティンはメラメラと燃え立つハートが全身にまで影響し、体から情熱の炎のエフェクトが燃え盛る。

 

メタ的に見ても彼は一人だけ先にチョッキリ団を離脱して以降、出番が無かったというのもあって久しぶりの表立った出番にやる気が十分と言った所なのだろう。

 

「燃え過ぎリン」

 

そんなカッティンがやる気が溢れ過ぎてこのままだとオーバーヒートしそうだと思ったザックリンは手にした携帯扇風機を使って風を送ると一応彼の炎を鎮静化させた。

 

「か、か……カッ……ティン」

 

「さて、カッティン。ザックリン。一応ここ数日作業してみて色々と慣れたと思う。そろそろ色々と聞きたい事があるんだけど良いか?」

 

「聞きたい事ッティン?」

 

「あ、そうそう!カッティンとザックリンってどうしてチョッキリ団にいたの?」

 

レイの言葉にカッティン、ザックリンが横に並ぶとうたが思い出したかのように質問する。そして、二人は早速それに答える事にした。

 

「それは、こんな物語(ものがたリン)

 

「自分達がキラキランドで暮らしていた頃」

 

二人の過去を語るには時間を遡る必要がある。具体的にはキラキランドの光であるビッグキラキラリボンがチョッキンされてしまう前の所だ。

 

〜回想〜

 

光に溢れていたキラキランド。そこで住む多数の妖精達の中にカッティンとザックリンの姿もいた。彼等も一応キラキランドの住人ではあったので普通に過ごしてはいた……のだが。

 

「美味しい木の実ッティン!全部独り占めッティン!」

 

カッティンは桜の木のようなピンクの花が咲き誇る木に成っていた木の実を全て取ると一人でパクパクと食べていた。そこに他の妖精が注意しに来る。

 

「カッティン!独り占めは酷いッポン!」

 

「ティン!?」

 

カッティンは木の実を独り占めにしてしまった事で他の妖精から注意を受けると同時にその噂が広まってしまった。

 

ザックリンの方は同じような桜のような花の咲く木の下で寝ていた所、彼の元にも他の妖精がやってくる。

 

「ザックリン〜!」

 

「リン!?」

 

ザックリンはその言葉で起きると妖精が手にしていた丸められた紙を見せられた。そこにはザックリンの絵が描かれている。

 

「似顔絵描いたからあげるタフ!」

 

「別に要らないリン」

 

「タフ!?酷いタフ!」

 

ザックリンは割とバッサリと他の妖精の好意を断ってしまった。そのためその妖精は傷つくと泣き出して居なくなってしまう。ザックリンはその時、自分の言葉に棘があったと気がつくがもう遅い。

 

結局、二人はキラキランドの妖精達の中ではあまり周りとは馴染めてない側の妖精達だった。この点に関してはプリルン以外と全く接点を持たなかったメロロンよりはマシだったものの、それでもあまり良い印象では無かっただろう。

 

「反省ッティン自分、なんて自分カッティンなんッティン」

 

「自分もリン。またザックリした言葉で傷つけてしまったリン」

 

二人はキラキランドで他の妖精と上手くやれてない者同士という事でここの二人はよく弛んでいた。勿論、タナカーンのようなちゃんと自分達と接してくれる相手がいないわけでは無い。しかし、そのタナカーンはとっくにはなみちタウンに行ってしまったせいで彼等は余計に二人で闇を溜め込むようになってしまった。

 

そんな彼等の前に現れてその闇に目を付けたのがダークイーネである。彼女はカッティンとザックリンの闇を見つけると早速闇を通じて接触してきた。

 

「ッティン!」

 

「リン!」

 

二人はダークイーネに介入されてしまうと目が赤く発光し、それと同時に闇の中でカッティー、ザックリーとしての自分達を生み出されてしまう。

 

〜現在〜

 

「自分達の中の真っ暗闇をダークイーネに膨らまされティン」

 

「キラキラが嫌いになったリン」

 

「そのままチョッキリ団に入れられティン。とんでもない事をしたのは覚えッティン」

 

その会話を聞くとやはりチョッキリ団の構成員というのはダークイーネが介入した影響で後天的に生み出されてしまったもう一人の自分という側面が大きいのかもしれない。そう考えると、チョッキリーヌやこの前一度記憶の狭間で苦しんだスラッシューも彼等と似たような境遇である可能性が高いだろう。

 

「自分の中の真っ暗闇を膨らませる……か。確かに俺も一度洗脳された事があるからその感覚は何となくだけどわかる」

 

「あ、そっか。影人君もブレイク……だったっけ?プリキュアに変身する前に本当に一瞬だけ闇堕ちしてたんだよね」

 

影人は自分がスラッシューに無理矢理連れて行かれた挙句一度洗脳されていたので二人が受けてしまった苦痛は理解していた。また、彼の事例があるので二人の言った事にも説得力がある。

 

「あの時は自分の意思ではどうにもできなかったからな。二人の気持ちも理解できる」

 

「失礼しますッティン!」

 

「平謝リン!」

 

「そんな事があったんだ……」

 

「メロ……」

 

ここに来てわかったチョッキリ団の結成秘話(強制)。そしてカッティンとザックリンは自分達の犯した罪の重さもしっかりとわかっていた様子だった。

 

「それにしてもダークイーネがキラキランドに忍び込んでいたとは」

 

「でも、カッティンとザックリンはファンクラブには欠かせない仲間ですよ!」

 

「こころの言う通り。二人がファンクラブ運営スタッフとして熱意を持ってやってくれてるのは俺達全員理解しているし。自分達の罪の重さを気にしているのなら、ここで貢献して少しずつでも善行で返していってほしいかな」

 

影人達はもうカッティンやザックリンを責めるつもりなど無い。二人もある意味被害ではあるのと、これから二人が沢山運営に貢献してくれる事を考えたらここで罪をこれ以上問い詰めるのは決して良い事では無いのだ。

 

「「ありが(ッティン)(とリン)!!」」

 

「元気になって良かった」

 

カッティンとザックリンがお互いに抱き合って嬉し涙を流すとななが安心感を覚えた。

 

「あ、あとそれと俺とななは……」

 

「そんなの見たらわかるリン。レイ、キュアウインクをこれからも頼むリン!泣かせたら承知しないリン!」

 

「ああ、任せとけ」

 

ザックリンは自分の推しが他の男と付き合うのが複雑な心境ではあったが、その場合は一人のファンとして推しの幸せを願うのが当然と言わんばかりに今のななとレイの関係をあっさりと認める事になる。

 

「こんな自分達に今、出来る事と言えば……推し活ッティン!それで、お願いがあッティン!」

 

「「「「ん?」」」」

 

するとカッティンが改まった様子を見せると一同へと自分のスマホを出しつつある事を提案した。

 

「何々?」

 

「これッティン!」

 

そこにあったのは“「アイドルプリキュア」と「ズキューンキッス」チャンネル”である。

 

「確かこれ、プリルンとメロロンが前までしょっちゅうライブ映像を無断アップロードしまくってた時に使ってたチャンネルだな」

 

それはプリルンが初めてはなみちタウンにやってきてうたがアイドルプリキュアに覚醒して以降、新しいライブ技を使う度にプリルンが皆に観てもらいたいからという理由で度々無断でのアップロードをしまくっていたチャンネルである。

 

「キュアチューブに、もっとアイドルプリキュアの動画をアップしてほティン!」

 

「「「おお!」」」

 

「リン!」

 

「プリ!」

 

「メロ!」

 

「なるほど!」

 

確かに今までそのチャンネルはあくまでプリルンやメロロンが無断アップロードをするためだけに使われていた側面が大きかった。だからこそ少し前までは二人の髪がモッサモサになる事が多かったのだが。

 

しかし、公式として使えば無断アップロードの回数自体は大きく減るだろう。ただし、だからって無断アップロードしたらまたモッサモサにはされるだろうが。

 

「自分、チョッキリ団にいた時、動画を観て少しずつキラキラを取り戻した気がしティン!」

 

「えっ!?そうなの?」

 

「そう言えば、アイドルプリキュアと出会ったあの日からずっとカッティンはその動画に夢中だったリン。自分がずっと見てきたから間違いないリン」

 

アイドルプリキュアの影響力は直接ライブを見せる事だけのみに留まらない。幹部達相手にも中〜長期的に動画という形でライブを見る状況ができればそれだけでもその心にキラキラパワーを送り込めるのだ。

 

「これからもキラキラをいっぱい見たいティン!」

 

「その気持ちわかります!」

 

カッティンの意見に同じ推し活が大好きなこころが反応。うた達もカッティンの意見には好感触だ。

 

「なるほど、見た人がキラッキランランなってくれたら嬉しいよね!」

 

「うん!」

 

「心キュンキュンします!」

 

「影人はどうする?」

 

「俺も、観ている人が良い気持ちになってくれるのならやりたいかな」

 

そんな中、メロロンは僅かに嫌そうな顔をする。彼女の中ではキュアチューブをやるのは良いが、自分がメインで動画を撮るのはあまり気分が乗らないらしい。

 

「メロ。メロロンは一人での動画はお断りメロ」

 

「プリ?プリルンはメロロン一人での動画も観てみたいプリ!」

 

「メロ!?」

 

「俺も折角やるならメロロンの動画も観たいかな……」

 

そこに影人やプリルンがメロロン個人の動画も観たいと言い出してしまった。そのため、メロロンは二人に期待されたとなるとやらないわけにはいかなくなるわけで。

 

「ねえたまやにいたまからの頼み……し、仕方無いメロ!その代わり、変な動画とかはお断りなのメロ!」

 

結局メロロンもそれなりのやる気は見せてくれた。これによりメンバー全員がオッケーを出したという事で、全会一致でキュアチューブ案は可決される事になる。

 

「よ〜し、じゃあ皆やりたいって事で決まりだね!皆で楽しい動画を沢山撮っちゃおう!キラッキランラン〜!」

 

こうして、アイドルプリキュア・ズキューンキッスソウルはオフィシャルファンクラブの設立から続くリアル関連の仕事。キュアチューブへの本格デビューを決定する事になるのだった。




また次回もお楽しみに。
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