キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
ウインク、ズキューン、キッスの三人の撮影が終わり、プリキュア達の撮影が進む中。今度はアイドルの個人動画となるのだが……。
「はーい!今日は私、キュアアイドルだよ!今回私がやるのは……こちら!」
キュアアイドルがやるのはカラオケの激ムズ曲で高得点出す事ができるのか?である。
「おお、咲良さんにしては無難なの選んだって所か」
「それはちょっと失礼だけど……これなら色々心配は要らなさそうだな」
アイドルことうたが大の得意である歌を歌うチャレンジであればこれまでと違って影人達は余計な心配をしなくても大丈夫と考えていた。
「それじゃあ早速歌って行くね!最初に歌うのは……Edoさんの唱です!」
「……へ?」
アイドルが最初から歌う際にメチャクチャ喉を酷使する系の曲を選んだ事に影人達は唖然とする。
「ちょ!?ちょっと待って、それって……」
「アイドル、最初から飛ばし過ぎじゃ……」
「でももう止められないからやるしか無い!」
影人達が最初から飛ばしまくるアイドルを見て慌てるが、もう選曲してしまった以上はどうしようもできない。そのまま黙って歌うのを見る事になった。
「Da rat a tat…WARNING!♪Nah-Nah-Nah-Nah-Nah, Ready for my show!♪バンザイ!遊ぶ気に寿〜Shout it out, Shout it out♪」
そんな影人達の心配を他所にアイドルは普通に歌が上手く、しかもかなり難しい部類の曲に入るこの歌を難なく歌ってしまう。
「……凄い」
「アイドルが歌上手いって事はわかってるはずなのに……」
「ああ、まさかここまでだなんて」
影人達は完全に圧倒されていた。この辺りは流石キュアアイドルの歌唱力と言うべきなのかもしれない。
「ふぅ。じゃあ、次の曲だね!いっくよ〜!」
アイドルは終始ノリノリで歌を歌い続けるとどの曲でも95点超えの高得点を叩き出しながら無双していく。ちなみに今回のカラオケの採点をするために全国区で使われているカラオケボックスの機械を実際に借りてきて使っている。
「ふわぁ……。歌った〜!どの曲もキラッキランランしてて最高の曲だったよ!それじゃあ、今日の動画はここまで!皆、この動画が面白かったら、チャンネル登録と高評価をよろしくね!次回もお楽しみに〜!」
結果的に蓋を開けてみると一番何かをやらかしそうなアイドルの撮影が一番平凡な流れで終わってしまった事に影人は唖然としていた。
「これで大丈夫かな?」
「ええ、オッケーです」
文句無しの動画に田中も割と今回は気持ちが楽そうな様子である。それはさておき、影人はそんなアイドルが楽しそうにする様子を見て少し考え込む。
「……うーん」
「カゲ先輩、どうかしました?」
「……いや、ちょっと考え込んでただけだよ。そんなに気にしなくて大丈夫」
影人はアイドルが楽しそうに動画撮影を終えたのを見て色々と思う所があるらしい。
「折角なら楽しい事をした方が良いのかな……それとも動画映えも考えた上で……」
「影人、あまり考え過ぎるなよ?」
「ああ、わかってるよ」
そんな影人の悩んでいる様子が見られたのか、レイはそうやって影人へとフォローの言葉を入れる事になるのだった。
「それと、明日は皆知っての通り登校日だから撮影は一旦お休みだな」
「そうだね」
「はい!」
それから日を跨いで翌日。影人達の通う中学校では登校日の日が来ていた。夏休みの中でその日だけ学校に行く必要があるという事で、影人は学校に移動しているとこころと出会う。
「あ、おはようございます!カゲ君!」
「おはよう、こころ」
こころは影人と会えたのが嬉しいのか、早速彼の腕に抱きつくとスキンシップをする。影人はそんな彼女に悪い気持ちはしないのか普通に受け入れると話を継続した。
「これで、アイドル、ウインク、ズキューン、キッスの個人動画を撮り終わって……後はキュンキュンと俺だけか」
「私はもうやりたい事は決まってますね!カゲ君はどうですか?」
「そうだな。やりたい事を考えてはいるんだけど、どうも決め手に欠けていてな」
影人も影人で個人のピックアップ動画において何がやりたいのか。まだ頭の中に浮かんでない様子だった。
「うーん。でしたらキッスの時みたいに私が何か用意しましょうか?」
「いや、こころにそこまでしてもらうのも申し訳ないし……もう少し考えてみる」
二人で会話していると学校に到着。早速下駄箱で靴を履き替えるとこころと別れて教室へと移動して行った。すると教室の方がいつもより妙に騒がしい事に気がつく。
「……ん?何でこんなに教室の方が騒がしくなってるんだ?」
それから影人が気になって扉を開けると慌てた様子のななとあくまで落ち着いているレイがやってきた。
「影人君、大変な事になっちゃった……」
「大変な事?あ、もしかしてこの騒ぎと関係ある?」
「ああ。残念ながら大有りだ。まずはこれを観てくれ」
するとレイが見せたのはキュアチューブのとある動画である。そこにはキュアズキューン、キュアウインク、キュアキッスの動画にそれぞれ映ってしまっていたうたの姿があった。尚、アイドルの動画はまだ編集中なのでアップロードはされていない。仮にアップロードされていてもうたが映る事は無いのだが。
「……は?」
そんな中で影人はまさかの展開に困惑が止まらない。確かにうたが動画の時にその辺をウロチョロしているのは見えていたが、まさか彼女が動画に映ったシーンを採用してしまっていたとは思っていなかったのだ。
「いや、待て待て何で?まさか、編集の時に気が付かなかったのか!?」
「そうらしい。田中さんも割と急ピッチで仕上げてたし、それに他の仕事が立て込んだのもあって見落としてしまったんだと」
「どうしよ……まだ来てないんだけど、この状況でうたちゃんが来たら……」
ななは今の状況でうたが登校してきたら間違いなく大騒ぎになってしまう。だが、現実は非情であった。
「おっはよーっ!今日は登校日!」
「「……あ」」
このタイミングで来てしまったうたを見て影人とななが唖然とした顔になる中、そんなうたへと東中が話しかけに行ってしまう。
「うた!うたってアイドルプリキュアやズキューンキッスソウルと知り合いなの?」
「へ、何で?」
「ほら、キュアチューブに映ってたから!」
そして、東中からスマホの画面を見せられてうたは唖然としてしまう。そこにはタコさんウインナーの入った皿を手にして満面の笑みのズキューンの画像があった。しかし、その後ろではタコさんウインナーを食べようとするうたが入ってしまう。ウインクの時は照明ハプニングで目がやられてしまった際にウインクに謝られているうたがいた。更にキッスでの動画でも主役のキッスが満足げな様子でポエムを語る最中で、眠たそうに欠伸をするうたが映ってしまう。
「ほら、見て見て。バッチリ映り込んでるよ」
「え、えーっと……これはぐうぜ……」
「待て待て。東中さん。咲良さんは確かにアイドルプリキュアとは知り合いだよ」
すると突然レイはその会話に落ち着いて介入。しかし、思いっきりうたとアイドルプリキュア達が知り合いだとバラしてしまう。それにうたが混乱。ななも慌てた顔つきになる。
「うえっ!?」
「レイ君!?」
「本当に!?」
「うた、私もキュアチューブ見たよ!」
その会話に坂上も参加すると更にクラスメイト達が興味津々とばかりにうた達を囲んだ。
「レイ君、どうしていきなりうたちゃんが知り合いってバラしたんだろ……」
「……多分レイなりに考えはあると思う。様子を見よ」
影人はレイを信じる事にした。するとレイがうたへと質問を投げかけまくるクラスメイトを制するように手を叩く。
「はいはい、ストップストップ。咲良さんはアイドルプリキュア達と知り合いとは言ったけど、彼女はアイドルプリキュア、ズキューンキッスソウルのマネージャー見習いだから」
「「「「「「マネージャー見習い!?」」」」」」
レイの考えはこうだ。うたがアイドルプリキュア達の動画に映ってしまったのはもうどうしようもない事実。だからこそ敢えてそれを周囲に知らせて認知させた上で彼女はアイドルプリキュア達のマネージャー見習いという事を付け加える。
マネージャー見習いの件はPretty_Holicのうたも知っている事である上に、Pretty_Holicのアイドルプリキュアとの窓口担当である森にも伝えている事。つまり、あくまで表面上は事実を述べているだけとなる。
だからこそレイの言葉には説得力も出てくるし、うたも理解して口裏を合わせやすい利点があった。
「そうなの?うた」
「えっ、ああ。うん!アイドルプリキュアとズキューンキッスソウルのマネージャー見習いというのは本当だよ」
「だからマネージャー見習いとして色々知ってる情報があるけど、今それを開示するのはダメだから。また時間が経ったらちゃんと皆にも伝えられるようになる。だから今回は我慢してもらえないかな?」
レイからの頼みに東中達クラスメイトはそういう事情であれば教えられないというのも仕方ないという事でひとまず引き下がってくれた。
「ふぅ……。レイ君、ありがと……」
「今度から気をつけなよ?」
「うん」
そして、影人とななもレイが上手い事クラスメイト。抑えた事にホッとしたような顔つきを見せる。今回のはレイがクラスメイト達から信頼を置かれているからこそできた状況のコントロールだろう。
「良かった。最初はいきなりマネージャーの事をバラしちゃったから心配になっちゃったよ」
「ひとまずこれで少しは大丈夫と見ても良いかな……ただ、うたには今後は気をつけるようによく言っておかないとだけど」
レイが上手い事クラスメイト達の気持ちと場面をコントロールし、うたがマネージャー見習いという事がバレた以上の情報漏洩を阻止する事に成功したのだった。
そんな中、クラスメイトの中の一人。眼鏡をかけた少年がうたの方を遠目からジッと見つめていた。
「……わぁ、やっぱり実物も可愛い!」
少年は手にしたスマホに入っていた一枚の画像とうたを見比べる。そのスマホ画像というのがうたの写真であった。つまり、少年は画像のうたと実物のうたを見比べていた事になる。そして、彼はとある行動を起こすのだった。
登校日でのやる事が終わった放課後、影人達は下校するために下駄箱のある玄関付近に移動中である。そこでうたは影人からのお叱りを受けていた。
「あのな?咲良さん。今度から不用意に動画撮影中にカメラの録画の範囲内に入るなよ」
「えへへ、はぁーい。気をつけまーす」
うたは影人から言われて苦笑い。すると今度はななの方が喋り始める事になる。
「それにしてもレイ君よく咄嗟に思いつけたよね。私達二人共唖然としちゃったよ」
「俺も思いつけたのは偶々だよ。……あとそれと、良かったのか?クラスメイトに公にちゃって」
うたがキュアチューブに映っていた騒ぎのせいでそちらの方に気を取られてしまったが、ななとレイは付き合いの事をクラスメイトに最初から公にする方で動いていた。これはななの意思である。
「うん。レイ君と付き合う事ができて、私は嬉しいし。それに、レイ君をその……誰にも渡したく……無いなって」
ななは自分で言っていて相当恥ずかしい事だと気がついたのか、途中から顔を赤くしながら話す。
「そっか……。じゃあ俺も、ななを誰かに取られるのは嫌だ」
「ふええっ!?」
「ふふっ、お熱い二人だね!」
「本当に、見てるこっちも恥ずかしくなる」
レイにそう言われてななは思わず赤くなりつつあった顔が真っ赤になる。そんなやり取りをしているとそこにこころも合流した。
「皆さん、学校お疲れ様です!」
「こころ!」
こころはすぐさま影人の元に行くと彼の腕に抱きつく形で密着。幸せそうな顔になる。
「えへへ、カゲ先輩のと〜なり!」
「あー!ななちゃんだけじゃなくてこころまで!」
うたはそれを見て羨ましそうな顔つきを向ける。自分の知ってる友達が二人共彼氏持ちになって焦りの気持ちも多少芽生えたのだろう。うたは自分が取り残されていると感じ始めていた。
しかし、それを今言っても仕方ないのでうたは切り替えると登校日について話す事になる。
「それにしても、登校日って何だかんだでワクワクするよね!」
「うん!久しぶりに皆と会えて嬉しい」
「私のクラスメイトの皆さんも元気そうで何よりでした」
影人達が喋りながらそれぞれの靴箱を開けているとうたは何かに気がつく。何と、うたの靴箱の中に表に“咲良さんへ”と書かれた一通の手紙が入っていたのだ。
「……ん?何か入ってた」
「あれ?それって……」
うたがその手紙を手に取ると影人は何かに気がつく。同時にうたもその何かに気がついたようで。
「嘘、こ……これって。うええっ!?」
その手紙の裏には赤いハートのシールで封を閉じられており、右下には“宇釣木より”と書いてあった。
「これってまさか!?」
「「ラブレター!?」」
「……嘘だろ、今し方恋愛の話をしてたばっかでこうなるか?」
「宇釣木、咲良さんの事好きだったんだ」
ひとまずこの話をここでするのは良くないため、一度下駄箱から移動してゆっくりできる場所……グリッターへと向かう事になる。
また次回もお楽しみに。