キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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酸を使うマックランダー 影人・絶体絶命

影人達がグリッターにいる頃。チョッキリ団のアジトではザックリーがダーツを構えていた。

 

「……ザックリ言ってここだ!」

 

するとザックリーの投げたダーツは的のど真ん中に命中。ダーツが上手く行った事にザックリーは嬉しそうに喜ぶ。

 

「よっしゃあ!決まったぜ!」

 

「……そんな事で喜んでいる場合かい?」

 

「ギクッ……チョッキリーヌ様……」

 

ザックリーは喜んでいる最中でいきなりリーダーのチョッキリーヌから横槍を入れられた事にビビリ散らかす。

 

「アンタもプリキュアにやられたようだね」

 

「それは、新しいプリキュアが出てくるなんて予想外でしたし?ザックリ言ってアイツさえいなけりゃ今頃あの街も真っ暗闇だったわけだし……」

 

そんな風に見苦しく言い訳をするザックリー。そんな彼に対して済ました顔つきでカッティーが声をかけた。

 

「言い訳は見苦しいですぞ。ケリを付けますぞ。自分、カッティーが」

 

カッティーが立ち上がると出撃のために服を整える。するとザックリーはそんなカッティーを見て睨みつけた。

 

「……とか言って、キュアウインクを見たいだけじゃねーのか?」

 

「ばっ!?ちょっ!」

 

どうやらカッティーにとって図星だったのか、彼は思い切り動揺。そして、そんな彼を見てザックリーは笑みを浮かべるとカッティーへと指摘を始めた。

 

「へへーっ!お前やっぱりプリキュアにハマってるんじゃねーか!」

 

「そ、そんな訳無いのですぞ!ただ運動不足を解消したいだけですぞ!」

 

「怪〜しい!」

 

そんな風に部下二人がやり取りする中、チョッキリーヌは溜め息を吐く。ここの所二人の部下は負けが込んでいる状態だ。このままではダークイーネが何て言うかわかったものでは無い。

 

「やれやれ。どうしてアイドルプリキュアなんかに手こずっているんだい。ダークイーネ様にいつになったらまともな報告ができるのかしら」

 

チョッキリーヌがダメな二人の部下が言い合う姿を見て一人呆れたような顔をする中、そんな彼女の隣に黒いフード付きのマントをつけて顔をフードで隠した人間が姿を現す。

 

「……苦戦しているようですね。チョッキリーヌ」

 

「ふん。普段余程な事が無い限り私達チョッキリ団の前に姿を現さない一匹狼のあなたがわざわざ出てきて何の用かしら?」

 

「あなた達が苦戦しているアイドルプリキュアがどんな物なのか。そしてプリキュア達に力を貸す少年の力について興味があってね」

 

「……初耳だね。その少年はプリキュアじゃ無いんだろう?」

 

「ええ。ですが、プリキュア達にとっては無くてはならない存在に彼はなりつつある。……今のうちにその芽を摘んでおくことをお勧めしますよ」

 

そのままフード付きマントを着た人間はバーの奥の方にある暗がりへと溶け込むように消えて行く。そんな彼を見たチョッキリーヌは僅かに苛立ったように舌打ちをするのだった。

 

それとほぼ同時のタイミングでカッティーがザックリーを言い負かしている間にはなみちタウンへと姿を現す。カッティーは空中に静止しつつキラキラした人間を探していた。

 

「ふむ。今日は誰にするべきですかな」

 

ふとカッティーの目に僅かにキラキラと輝く光が移るとそこには一際輝く光を放つ女性がおり、カッティーはその女性の話に耳を傾ける。

 

「喫茶グリッター、素敵だったなぁ……。今週は私、ちょっと風邪ひいたり、鍵無くしたり、仕事を引き受け過ぎてパンクしたり、ミスしたり……」

 

その女性は先程喫茶グリッターにいた客の一人だった。そんな彼女がキラキラしていた理由は彼女が店を訪れたタイミングで手伝いをしていたカイトに接客されたからである。

 

「色々あったけど……でも、あのお店のお陰でキラキラ〜!ワンちゃんも可愛かったし、ラテも素敵だったし!ウェイターさんも最高にカッコ良かったし……あ、眼鏡をしていたからあんまり気にしなかったけどもしかして響カイトさんのそっくりさんかな……。本物そっくりのカッコ良さだったなぁ……」

 

彼女はそう言うものの、先程接客してくれたのは響カイト本人である。とはいえ、カイトは海外に留学しているという話なのでアレが本物だとは思わなかったらしい。彼女の飲んだラテはカイトがやったラテだったので見栄えも完璧だった。

 

「ふふっ。また行こう!ふむ、一週間。終わり良ければ全て良し!だね!」

 

そんな風にキラキラとした光を放つ彼女。そんな彼女を見下ろすカッティーは良い話だとは思ったが、むしろ彼女をターゲットにするべきと考えた。

 

「……ふーむ。まだお主の一週間は終わってないのですぞ。クラクラの真っ暗闇を味わうが良い!キラキラしてない週末に変えてあげるのです!」

 

するとターゲットにされた客の女性は視線を感じてキョロキョロとするが、カッティーは上空のため周りを見ても誰から見られているかはわからない。

 

「お主のキラキラ!オーエス!」

 

「きゃああっ!」

 

「カッティーン!出でよ、マックランダー!世界中をクラクラの真っ暗闇にするのですぞ!」

 

そう言ってカッティーはマックランダーを召喚。今回は喫茶グリッターに出てくるクリームソーダをモチーフにしたマックランダーで体はグラス。中身は青緑の液体や紫のアイス。黒いさくらんぼもあった。

 

「マ、マ、マ、マックランダー!」

 

そして、マックランダーが出たという事でプリルンはそれを感知。体に身震いが走る。

 

「ブルっと来たプリ!」

 

「えっ!?またマックランダーが!?」

 

「……やっと色々落ち着いたこんな時にかよ」

 

「早く行くプリ!」

 

影人達三人はマックランダーの出現に対応するために現場へと向かっていく。そんな三人を無くしていた帽子を見つけたカイトは遠くから見つめる。

 

「マックランダー!」

 

現場ではマックランダーがグラスに刺さったストローからグラス内部に存在するソーダの部分を放水。それが街灯や道にある植え込みに命中するとそれは段々と溶けていく。

 

炭酸は漢字にもある通り弱い酸性を持っている。普通に飲む分には人体への直接的な影響は無い。だが、マックランダーになった影響で酸性の力が普段よりも増幅されたためにこれをまともに喰らえば幾らプリキュアでもひとたまりもないだろう。

 

「マックランダー!」

 

「良いですぞ、マックランダー!その調子で世界をクラクラの真っ暗闇にしてやるのですぞ!」

 

カッティーとマックランダーは未だにプリキュア達が来ないのを良い事に二人揃って高笑い。そこにようやく三人が到着した。

 

「世界を真っ暗闇になんかさせない!」

 

「今回はクリームソーダ……って事は直前に喫茶店とかに行った人なのか?」

 

するとプリルンが目をパチパチさせ、中にいる女性を確認。三人へとその存在を伝える。

 

「さっきお店にいたお客さんプリ!」

 

「……あー、そういう事か。なら納得か」

 

影人が一人納得する中、うたは心に静かだったが闘志を燃やす。自分達のお店に来てくれたお陰でキラキラになってくれた人をマックランダーに利用したのが許せなかった。

 

「影人君は逃げ遅れた人のフォローをお願い!」

 

「わかった」

 

「ななちゃん、行くよ!」

 

「うん!」

 

それから二人はアイドルハートブローチを取り出すと二人で同時にプリキュアへとその姿を変えていく。

 

「「プリキュア!ライトアップ!キラキラ!ドレスチェンジ!」」

 

二人の姿がプリキュアへと徐々に変化。それから二人は変身を完了すると名前を名乗る。

 

「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」

 

「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」

 

二人が降り立つと影人はプリルンを連れて一度離れるとプリキュアをサポートする態勢へ。そしてプリキュアの二人はマックランダーと向かい合う。

 

「マックランダー!」

 

早速マックランダーは右手にスプーンを構えるとストローから炭酸の液を放水。それを二人が回避するものの、外した攻撃の一発が影人の近くにあった建物の壁に命中。それによって外壁が溶けていくのを見て影人は戦慄する。

 

「ッ……嘘だろ?前のピアノのマックランダーの音攻撃以上に殺意高すぎだって!」

 

前のピアノのマックランダーの方は直接ダメージが無いだけマシと思える程に今目の前にいるクリームソーダのマックランダーは難敵だと影人は認識。

 

「ひとまず、周りに人がいないかぐらいは見ておかないと……流れ弾とか当たったら洒落にならないだろ、あれ」

 

影人が周りを見渡すと今の所は安全そうに見える。ただ、影人は一通り見渡した感じで僅かに違和感を感じた。

 

「……何だ?今、何かあった気が……ッ!?」

 

すると影人の目線の先にあったのは道端の植え込みの裏側に僅かに子供用の小さなスカートの端のような物が見えた。

 

「プリルン、ここにいてくれ。攻撃回避の時以外は絶対に動くなよ!」

 

「プリ!?影人、危ないプリ!」

 

影人はプリキュア達が戦う近くで幼い女の子が逃げ遅れていたのを見つけたのだ。そんな中、プリキュアとマックランダーの戦闘は続く。

 

「折角うちのお店でキラッキランランになったお客さんの気持ち、台無しにしないで!」

 

アイドルが攻撃を回避しつつ跳び上がると真上から蹴りを放つ。それに対してマックランダーは右手のスプーンで攻撃を防いだ。

 

「世界を真っ暗闇にするためなら誰がどうなろうと知った事では無いのですぞ!」

 

「そんなの!自分勝手過ぎ!」

 

アイドルは自分の蹴りを防ぐために使われたスプーンを足場にして再度跳び上がると今度は踵落としをマックランダーへと命中させた。

 

「マックランダー!?」

 

マックランダーがその威力を前に数歩下がる中、マックランダーの背後の死角。そこにウインクが出てくるとマックランダーへと足払いをかけた。

 

「私もいるよ!」

 

それを喰らって完全に体が浮いたマックランダー。ウインクはマックランダーの下敷きにならないようにマックランダーが倒れる前に離脱。そのまま二人で合流する。

 

「行け行けプリキュア〜!プリ!」

 

プリルンが興奮したように二本のペンライトを振る中、影人は植え込みの裏でしゃがんで恐怖に怯えてしゃがんでいる少女を見つけた。

 

「いた!大丈夫?」

 

「うぅ……」

 

少女は影人の存在に気づくものの、恐怖で心が埋め尽くされているのか顔は涙に濡れている状態だ。そのため、影人はまず少女の恐怖を取り除く事を最優先にした。

 

「……今そこでカッコイイお姉ちゃん達が怖い怪物と戦ってくれてる」

 

「で、でもおそらがまっくらで……」

 

「大丈夫。お姉ちゃん達は強いから……絶対にまたキラキラした青空を取り戻してくれるから。だから、お兄ちゃんと一緒にまずはここから離れよう」

 

そう言って影人が手を差し伸べた。すると少女は恐る恐るだが、動こうとする。それと同じタイミングでプリキュアの二人が揃うとアイドルが声をかけた。

 

「ウインク、一緒に!」

 

「うん!」

 

「「はあっ!」」

 

二人同時のキックに対してこれを狙っていたと言わんばかりにカッティーが声を上げる。

 

「今ですぞ!マックランダー!」

 

そのタイミングでマックランダーは起き上がると炭酸液を放出するためにストローの放出口をキックを仕掛けている二人へと向けた。

 

「マックランダー!」

 

「「!!」」

 

二人はこのままでは炭酸液を直撃で喰らうと判断してキックをキャンセル。そのまま二人がそれぞれの足裏を空中で合わせるとお互いの足裏を足場にして両脇に跳んで回避する。

 

その瞬間、マックランダーから炭酸液が放出されると液は二人に回避されて別の場所へ。そこには建物から迫り出したキャノピーのような場所があった。そして、そこに液が着弾するとキャノピーを溶かしていく。しかもその真下には暗くなった空に動揺して真下を通りかかった喫茶グリッターの常連客である老紳士……城蓮司が状況に気づいていなかった。

 

「一体、何が起こってるんだ!?」

 

「ッ!れんじいちゃん!?ダメーッ!」

 

「アイド……ッ!影人君!危ない!」

 

アイドルが蓮司を助けに走る中、ウインクもウインクで着弾した液が壁に激突した衝撃でそれなりのサイズの水弾として弾けるとそれが影人や少女のいる植え込み目掛けて飛んでいくのを見てしまう。

 

「ッ!?」

 

「嘘!?そんな……」

 

アイドルもワンテンポ遅れて影人の方にも液が飛ぶのが見えたが、自分が足を止めれば助けるために駆け出した先にいる蓮司さえも助けられない。

 

アイドルは今の自分の動く先とは別方向にいる影人の方を諦めざるを得なかった。ウインクもアイドルが蓮司の方にしか向かう事ができないと理解したために着地してすぐ影人の方へ走るが、二人共距離がありすぎて間に合わない。生身の一般人である影人、蓮司、そして影人の近くにいる少女。計三人が命の危険に晒されてしまうのだった。




キリが悪いかもですが今回はここまでです。それではまた次回もお楽しみに。
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