キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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落ち込んだうたを助けるための話し合い

平治からの話を聞いて逃げ出してしまったうた。そんな彼女を見て夢乃は思わず追いかけようとするが、影人がそれを止める。

 

「夢乃、止めろ」

 

「何で……うた先輩、あんなに辛そうにしてるんだよ!?何で……」

 

「……俺達だって辛そうにする咲良さんは見たく無い。だけど、これは俺達の口出しして良い問題じゃないんだ」

 

影人に言われて夢乃は息を呑む。しかし、彼女もまだ納得はできてない様子なのか悔しそうに俯いていた。

 

「でも……うた先輩は」

 

「夢乃ちゃん、心配なのは私達皆一緒だよ。だから、今はそっとしておこう」

 

ななからも夢乃へと止める言葉が入った事で夢乃はその方を向くとそこにはこころもその意見に同意とばかりの顔つきを向けている。これにより、夢乃は自分ではどうしようもできないのだと悟ると今すぐに助けに向かえない悔しさを噛み締めつつ諦める事にした。

 

「……うん、わかったよ……。ごめんなさい」

 

「夢乃ちゃん……不安でしたら私の隣に座ってください」

 

こころに促されて夢乃は彼女の隣に座るとこころがそっと夢乃の頭を撫でる。

 

「(……咲良さん)」

 

同時刻、うたはとある部屋で蹲ると悲しい気持ちをどうにか堪えていた。その部屋と言うのが、彼女の大好きな祖母。……咲良温子が住んでいた部屋だった。

 

そこにうたを追いかけてきたきゅーたろうが入ってくると彼女を心配したかのようにうたの頬を優しく舐める。それを受けたうたはきゅーたろうに心配されていると感じると微笑んでその気持ちを受け取った。

 

「えへへ、ちょっと寂しくなっちゃったの……。きゅーちゃんにはバレちゃったね」

 

それからうたはその部屋を見ているとふときゅーたろうへと思い出話をするかのように話をする。

 

「……お婆ちゃんの部屋にいると色々思い出しちゃうよね」

 

どうやら、この部屋に来るだけでうたは過去の事を容易に思い出すことができるようで。

 

〜回想〜

 

うたが幼い頃、同じく子犬だったきゅーたろうと共にこの部屋来ていた。その日、きゅーたろうは初めて温子のスリッパの噛み心地の良さを知ると嬉しそうに咥えている。

 

「ひひっ、きゅーちゃん秘密だよ」

 

「ワン!」

 

二人はイタズラに成功したような顔つきで温子のスリッパを咥えた話を当初、温子本人には秘密にしようとしていた。そのタイミングで温子が部屋に来るとスリッパの事を問いかける。

 

「うた、私のスリッパを知らないかしら?」

 

「知らなーい!」

 

勿論この事を秘密にしたい二人は揃って同じ方向を向くとしらばっくれた。ただ、温子にはスリッパを二人に取られた事はその様子から速攻でバレてしまっていたようで。彼女もイタズラするような顔つきになるとあっという間に二人は温子に捕まると同時にくすぐりの刑を受けてしまった。

 

「ほほーう?ほら、白状しなさい!」

 

結局スリッパの件はその場でバレてしまったものの、うたにとっては祖母との楽しい思い出の一つとして記憶に残る事に。

 

また、他の思い出としてはこんな物も挙げられる。場面は夕焼けの太陽が照らす夕方、うたが落ち込んでいた時の事。

 

「うた、どうしたの?」

 

「……友達と喧嘩しちゃった。どうしよう」

 

どうやらこの日、うたは友達と些細な事で喧嘩してしまったようで、その事を後悔した様子だった。そんなうたに対し、温子は優しく頭を撫でながら声をかける。

 

「……大丈夫。ちゃんとごめんなさいすれば、心は通じるものよ」

 

うたは温子からの言葉に不安そうな目線を向けるが、そんな彼女相手でも温子はその心を優しく包み込む。

 

「本当に?」

 

「本当よ。だからそんな顔しないで。そんなショボッボボンボンな顔」

 

温子からの言葉を思い出していたうた。そんな彼女の記憶はいきなりそこで止まるとある事に気がつく。

 

〜現在〜

 

「……あれ?確かその後、何かあったんだけど……忘れちゃった」

 

どうやらうたは忘れてしまったこの先の記憶の中にとても大切な何かを感じたのだが……どうしてもそれが思い出せない様子である。

 

「……この部屋を片付けたら、他の事ももっと忘れちゃうのかな」

 

うたはかなり不安そうな様子であり、それは片付けてない今の時点で忘れてしまった思い出があるのにここから更に片付けたら今よりももっと思い出せない温子との記憶が増えてしまうと考えた故の気持ちだ。

 

『うた……。僕がうたのショボッボボンボンを消してあげたい。だけどどうしたら……ッ、そうだ!』

 

すると隣にいたきゅーたろうはうたの悲しい気持ちを感じ取るとある事を思いつき、早速それを実行に移すのだった。

 

場面は変わり、影人達の揃っている居間での事。先程のうたの件を聞いたうたの両親がやってくるとその会話に混ざっていた。尚、先程まで動いていたプリルンやメロロンは大人しくポシェットの中に人形として戻っている状態だ。

 

「父さん、うたに話しちゃったの?」

 

「すまん……。まだ早かったようだな」

 

「あの子、本当にお婆ちゃん子だったから」

 

「皆さんにも心配をかけてしまったね」

 

うたの家族達がうたの話をすると平治は今回の件に巻き込んでしまったと子供組に謝る形を取る。

 

「いえ、大丈夫です。……ただ、私達にも何かできる事は無いかな」

 

「ですね、うた先輩を元気付けたいです」

 

「何だかんだ、咲良さんにはいつも周りを明るくしてもらってるからな。今度は俺達が頑張らないとな」

 

影人達三人はうたを助けるために動く事を決意すると夢乃は影人の方を見て意外そうな視線を向ける。

 

「ふふっ、お兄ちゃん。普段はうた先輩にはかなり苦労してるはずなのに、こういう時は優しいね」

 

「別に、普段苦労してるとか関係無い。友達を助けるのは当たり前だろ」

 

影人はそう言って夢乃からの質問の答えを返す。そんな時、うたの方に行っていたきゅーたろうが戻ってくるとその口には一枚の写真が咥えられていた。

 

「きゅーちゃん、どうしたの?」

 

『皆これを見て!』

 

「……!あの、きゅーたろうが咥えてるこの写真。これに何かヒントがあるのかも」

 

影人はきゅーたろうの言葉を聞くと口に咥えられていた一枚の写真を手に取る。それに合わせる形できゅーたろうはそっと咥えていた写真を離した。

 

「この写真に何か?」

 

「これ、さっき咲良さん達と見てたんですけど……」

 

影人はひとまず写真の詳しい解説は平治にお願いする形を取る。あくまでも自分はきゅーたろうの気持ちをなな達他の人達に繋ぐ中継役に徹したのだ。

 

「これは……裏山の三本杉だな。あっ……そういえばお婆ちゃんが昔、この辺りに宝物を埋めたと言っていた。それはどんな悲しみも吹き飛ばせる程、素晴らしい物だと話していたな」

 

「悲しみを吹き飛ばす……」

 

「それを見つけられれば!」

 

「咲良さんをきっと助けられるという事だな」

 

「じゃあ、私達四人で行ってきます!」

 

温子が埋めたとされる宝物。それを見つけられれば、悲しみに暮れるうたを助けられる。きゅーたろうが持ってきてくれた一枚の写真からうたを助けるための一筋の光が見えてきた。その一筋の光を大きく広げてうたを照らせるようにするのは影人達の役目。

 

そんなわけで影人、なな、こころ、夢乃の四人が宝物を探しに行く事にした。そして、影人達が宝物を見つける上で重要な戦力としてきゅーたろうも連れていく事に。

 

「きゅーちゃん、ここ掘れワンワンをお願いします!」

 

「ワンワン!」

 

きゅーたろうであれば、地面を短時間で素早く掘る事も可能となる。更に妖精組の内、プリルンは今回の件にやる気を見せていた。

 

「プリルンも頑張るプリ」

 

「……面倒な事はお断りメロ」

 

ただ、やはりメロロンはあまりこういう事はやりたがらない性分のために彼女はやる気ゼロの状態である。

 

「……それじゃあ、我々はアレを準備しようか」

 

「そうね!」

 

「えっ?何々?」

 

和の言い出した事に音は賛成し、はもりも興味を示す。これならはもりが宝物の方に来ないためプリルンやメロロンが動いても大丈夫そうだ。

 

「田中さんも手伝ってくれますか?」

 

「え、えぇ……。でも一体何を?」

 

「それは出してからのお楽しみですよ」

 

こうして、落ち込んだうたを助けるためにお宝捜索組と家での準備組に分かれてそれぞれが行動を開始するのだった。

 

その頃、チョッキリ団アジトでの事。そこではチョッキリーヌが一人でダーツをやっていた。

 

「……ここだね!」

 

チョッキリーヌが投げたダーツは的のど真ん中に刺さると彼女は顔を綻ばせて声を上げる。

 

「おぉ!見たかい私の腕前?」

 

しかし、反応は何も返ってこなかった。何しろ、この場には誰もいないのだ。普段ならいるはずのスラッシューもいないこの状況。チョッキリーヌは拍子抜けしてしまう。

 

「む……。誰もいないんだったね」

 

それから彼女は静かな部屋の中、少し考えると自分一人でいる事の良さを語る事にした。

 

「ッ、あははっ!一人ってのも良いものさ。使えない奴等にイライラする事も無い。自由気ままだ」

 

だがやはり返ってくるのは静寂だ。当然だろう。本当にその場にいるのはチョッキリーヌただ一人。会話なんて成立せず、ただ独り言がその場に響くのみだった。

 

「……はぁ、今日は少し……遠くに行って……」

 

「ふふっ、どう?誰も返事を返さない部屋で独り言を言うのは」

 

「ッ!?スラッシュー……アンタ……」

 

チョッキリーヌが流石に一人でこの場にいるのもつまらないと考えたのか出撃しようとするとそこにスラッシューが現れて声をかけた。どうやら彼女は最初からこのバーにいたらしい。ただ、チョッキリーヌが一人で虚しく喋っているのを見た彼女はどのくらい彼女だけで場待ちするか試していたようだった。

 

「……これも全部あなたのやった行いの結果。どう?」

 

「スラッシュー、アンタ……いつまで出撃しないんだい!?前だったら何度も何度も……。好き放題出ていたじゃないか!今更こんなにも仕事をサボって……」

 

「サボって?それは少し前まで部下任せにしていたあなたには言われたく無い言葉なんだけど?」

 

スラッシューは幾らチョッキリーヌから言われても感情的になる事は無く。逆に冷静に彼女からの言葉を捌いていく。

 

「ッ……」

 

「それに、私が出たらいつもいつも手柄を横取りされるとか言ってたくせに。あなた、自分都合が過ぎるわよ?」

 

チョッキリーヌはそこまで言われてしまうと何も言い返せない。それから彼女は悔しそうに唇を噛み締めた。

 

「……それで、どうするの?今日もあなたが行くのかしら?チョッキリーヌ。それとも、もうギブアップする?」

 

スラッシューはあくまでチョッキリーヌのプライドの高さを使って彼女に連勤を強いる形を取っており、今回もそのつもりで挑発的な言葉遣いをしてチョッキリーヌを焚き付けていく。

 

「……ぐ……します……」

 

「何?」

 

チョッキリーヌは何かを言おうとしたようだったが、その声が小さかったためにスラッシューの耳には入らない。

 

「チョッキリーヌ、言いたい事があるならハッキリと……」

 

「……お願いします……一緒に来てください」

 

その直後、チョッキリーヌはプライドを捨てると言わんばかりにスラッシューへと一緒に出る事を頼み込んだ。その態度の変化にスラッシューは目を細める。

 

「ふーん、どういう風の吹き回し?あなたが私と一緒にやるって言い出すなんて」

 

「……ここ最近ずっとプリキュアと戦ってわかった。一人でずっと連続勤務し続ける事は辛い事なんだって……」

 

それはチョッキリーヌがずっと一人で出撃を続けたザックリーの気持ちを理解したという事だ。

 

「……そうね。でもあなたはそんなザックリーへと連勤を強いた。忘れたなんて言わせないよ?」

 

「そう……だから最悪今回だけでも良い。一回だけだとしても二人で一緒に出れば一人辺りの負担は小さくなる。いや、プリキュアに勝利して世界を真っ暗闇に染めればそれだけでこの連勤は終わるんだ」

 

チョッキリーヌも必死だった。このままスラッシューが共闘を受けてくれないと彼女は一人で出ないといけなくなってしまう。

 

そしてそうなればプリキュアにまた敗北するのは明白であった。だからこそプライドを捨ててでもスラッシューを誘い、一緒にプリキュアに挑みたかったのである。

 

これならまだプリキュア相手に勝てる可能性が十分残るだろうと考えたのだ。

 

「……でも、それは私に手柄を取られる事になるわよ?良いの?」

 

「……この際そんな事言ってる余裕は無いんだよ!……何度も現場に足を運んでやっと理解できた……。今の私が単独でプリキュア相手に勝てる可能性は……」

 

そこまで言ったところでスラッシューは溜め息を吐くとチョッキリーヌの前に立つ。

 

「……そこまであなたがちゃんとわかってるのなら……良いわ」

 

スラッシューはこれによりチョッキリーヌからの要請に了承した事になる。そのためチョッキリーヌは目を見開いた。

 

「良いのかい……?」

 

「あなたがお願いしたのでしょう?……久しぶりに一緒に行くわよ」

 

こうして、チョッキリーヌとスラッシュー。水と油のような相容れない二人はプリキュア相手に勝利するために二人がかりで出撃する事になるのだった。

 

「……チョッキリーヌ、今のプリキュアの力を擦り合わせるわ。ここ最近の出撃で得た情報を全部話して」

 

「え、えぇ。なら早速話すわよ」

 

また、二人はプリキュアに勝つためにお互いの情報を共有。確実に勝てる体勢を築く事になる。




また次回もお楽しみに?
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