キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
それから場面は変わり、影人達の方へ。うたを助けるための手がかりがあるだろう場所である三本杉の所にまで到着していた。
「ここが三本杉!」
「立派ですね!」
「ここに咲良さんを助けられる可能性がある物が埋まってるのか」
『良し、お婆ちゃんの宝物を探すぞ〜!』
それからきゅーたろうは三本杉の近くを少しだけウロウロし始める。リードを握っていた影人は勿論それに引っ張られるわけで。
「うわっ!?きゅーたろう、いきなり激しく動くなって!」
どうにか影人はきゅーたろうの動きに着いていくと一緒に移動。それを見てななは首を傾げた。
「影人君、これは何をしてるの?」
「多分だけど、匂いを嗅いだり足元の感覚を使ってるんじゃないのかな?」
「ああ、地面からの反響で物を探してるって感じか」
影人がそう話をするときゅーたろうはクンクンと鼻を地面に近づけており、匂いを嗅ぎつつ足でトントンと地面の感触を感じている。犬が匂いで物を探すのは言うまでも無いが、地面を叩くというのは下に何か物が無いか探す時に有効なのだ。
地面の振動によって地盤の硬さがわかるし、何か物があるならその付近は周りとは違う感じ方をになるからである。
「どう?何かありそう?」
影人がそう聞いた瞬間、きゅーたろうは早速何かを見つけたのか前脚で地面を引っ掻き始めた。
「あっ、きゅーちゃんがここ掘れワンワンしてます!」
「良し、私達も!」
「プリルンも頑張るプリ!」
「一生懸命掘ります!」
「メロ……」
きゅーたろうの穴掘り行動に便乗する形でななやこころ、夢乃にプリルンはスコップを手にするとやる気を見せる。ただ、メロロンは結局やらざるを得ない状況になって溜め息と言わんばかりの声を上げていた。
それからきゅーたろう、ななとこころ、影人と夢乃、プリルンと言った感じで四チームぐらいに別れるとそれぞれが土を掘って探す作業を進めていく。ちなみに掘る場所は敢えてバラバラにしている。同じ所を掘るよりもまずはバラバラになって物を探した方が良いからだ。
「頑張るねえたまとにいたま、素敵メロ!」
「いや、お前も少しは頑張れよ!?」
尚、メロロンは何故か手にしていたはずのスコップを放棄すると代わりと言わんばかりに両手にそれぞれ白とバイオレットのキラキライトを持ってそれを振っていた。
「ワン!」
『ここじゃ無かったみたい!』
「きゅーたろうもハズレか……」
影人はきゅーたろうの探している場所がダメだったと言う事をその場所を見てから通訳。そして、ななとこころの探している場所もダメなのか見つからない。更に言えば影人と夢乃の場所もハズレであり、プリルンに至っては土の中にいたモグラと“こんにちは”してしまった。
「ふぅ……中々見つからないね」
「そもそも埋めたのがだいぶ前だしな……。場所知ってる本人だってもういないから根気良く探すしか……」
『諦めないぞ……僕もうたを笑顔にしたい!あの時のお婆ちゃんみたいに』
影人はそう話しているときゅーたろうがうたの偶に頑張るという彼の想いを聞いて思わずその方を向く。
「カゲ先輩?」
「いや、きゅーたろうが頑張ってる所をつい視線に入れちゃってさ。俺達も頑張らないとだな」
「うん!」
するときゅーたろうの掘っているすぐ目の前。まるできゅーたろうの事を手伝うようにプリルンも泥だらけになりながら一生懸命にその場所を掘っていた。
「プリプリプリプリプリプリプリ!」
「……ねえたま、何が埋まってるのかもわからないのに……どうして泥だらけになってまで頑張るメロ?」
そんなプリルンにメロロンは問いかける。彼女は何故プリルンがそこまでやる気になれるのかがまるでわからなかった。何しろ、埋まってる物を見つけたからと言ってそれがうたを助ける物に繋がるかわからないのだ。そんな不確定要素の強い物のために必死に頑張るプリルンの行動をメロロンは疑問視する。
だが、メロロンにそう言われたとしてもプリルンには頑張るだけの大きな理由があった。
「プリルンはうたのためにできる事があるなら頑張りたいプリ!」
「メロ……?」
メロロンはそんな言葉に目を見開くとそこに影人、なな、こころがやってくる。
「大事な友達のためだもん」
「友達……メロ?」
「良き先輩とも言います!」
「友達……」
メロロンは友達という言葉をもう一度繰り返して噛み締める。影人はまだメロロンがピンと来てない様子だと考えると彼女に例えた話を持ち出す。
「メロロンもプリルンが落ち込んでた時にプリルンを助けられるかもしれない物が入った宝物が隠されてるってなったら必死になって探すだろ?」
「そんなの当たり前メロ!ねえたまが元気になるかもって思ったら……メロロンは何だって……」
「……それと同じ気持ちだよ。だから、メロロンにもあの頑張るプリルンの気持ちはきっとわかるはずだ」
「……メロ」
影人がメロロンへの気持ちの補足説明をしている間にもきゅーたろうの掘る作業は更に進んでいく。
『僕も諦めない……』
きゅーたろうはその間も黙々と掘る作業を進めていく。すると、そんなきゅーたろうの頑張りを見てプリルンは目をパチパチとさせると彼の体にキラキラとした輝きが出ているのを確認する。
「きゅーちゃん、キラキラプリ……」
「メロ……」
メロロンは友達のために一生懸命頑張る姿を見て心の中で大きな感情の変化が出始める。そんな彼女の変化の最中でもプリルンときゅーたろうは更に作業の手を進めていく。
「プリプリプリプリ!」
『それそれそれそれ!』
そして、二人の諦めない心が通じたのか……とうとう探していた物が……。お婆ちゃんが地面に埋めておいた宝物の箱が姿を現すのだった。
「あれってまさか!?」
「はい、お宝発見です!」
「二人の諦めない気持ちが届いたんだ」
これならうたを助ける事ができる。そう思った一同は歓喜の渦に包まれる事になった。
「きゅーたろう、プリルン。お手柄だ、ありがとう」
「プリ!プリルンだってやる時はやるプリ!」
『影人……。影人も僕の気持ちを皆に上手く伝えてくれてありがとう』
そんな時だった。メロロンは一瞬だったが、影人の体から銀色のオーラが出ている所が見える。
「メロ……あれって、最近時々見る銀の輝き……メロ?」
「メロちゃん?どうしたの?」
夢乃がメロロンが何か気になる事を言ったと感じるとそう問いかける。ただ、メロロンの視界に映っていたその銀色のオーラは一瞬で見えなくなっていた。
そんな時、三本杉のすぐ近くの上空に二つの影が姿を現す。それは勿論、チョッキリ団から出てきたスラッシューとチョッキリーヌである。
「すーっ、はぁ……。やっぱり新鮮な空気は沁みるねぇ」
「それで、ここに来たのは良いけど誰を狙うつもり?田舎には人が少ないからキラキラがある保証は……」
二人がそう話をしているとその内のチョッキリーヌはキョロキョロと周りを見渡す。
「……ん?あれは……」
チョッキリーヌはふと下の方を向くとそこにはお婆ちゃんのお宝を手に入れて嬉しそうな様子を見せる影人達……その近くにキラキラを放つきゅーたろうがいた。
「お、こんな所にキラキラがあるねぇ」
「あら、意外と早く見つかったわね」
「……そう言えば、お前は良いのかい?クラヤミンダーを呼ばなくて。戦力は多い方が良いだろう」
チョッキリーヌはクラヤミンダーを呼ばないスラッシューに対して疑問を抱くと彼女に問いかける。
「……残念なのだけど、新しい力を使うようになってからクラヤミンダーは呼べなくなったのよね」
「ん?そうなのかい?」
すると、そんな時だった。突如として二人は下の方から視線を感じると犬が吠える声が聞こえてくる。
「ワンワンワン!」
「「……ん?」」
そして、その吠えと同時にきゅーたろうは影人へとメッセージを送っていた。
『お前達、皆に近づくな!』
「……ッ!お前ら!」
影人はきゅーたろうのメッセージに上にスラッシューとチョッキリーヌがいる事を知ると声を上げる。そのため、なな達もチョッキリ団の襲来を察知した。
「あなた達は……チョッキリ団!?」
「ッ、もしかしてスラッシューですか!?随分と纏う空気が……」
「そうよ。これが新しい私の姿……今までのような甘い心なんて物は無いわ」
その言葉に影人達は目を見開く。前回、スラッシューと別れた時はあんなにも助けを求めて弱々しかったはずの彼女。それなのに雰囲気がガラリと変わった上に口調もどこか冷たくなっている事を夢乃を除くその場の一度は感じ取っていた。
『……ポニテのおばさんは誰かわからないけど……。もしかしてそっちのドレスの人……天城さん?』
「きゅーたろう……スラッシューが天城さんってわかるのか?」
『初めて会った時と同じ、……ううん。それ以上に邪悪な気配だけど、あんなに優しくなった彼女の事を覚えてるから。もう匂いを忘れる事は無いよ』
影人からの小声の問いにきゅーたろうは頷きつつ返す。やはり彼も元々親しかった人の事はちゃんと覚えているらしい。同時に影人は何故きゅーたろうが最初から天城相手に懐かなかった……つまり、あんなにも吠える姿勢を取っていたのか。ようやく理解する事になる。
「マジか……きゅーたろう、最初から天城さんが俺達を騙してるって……何となくわかってたのか」
「えっ?カゲ先輩、それって……」
割と今更ながらも、きゅーたろうの不可解な行動に合点が行った所でチョッキリーヌは痺れを切らしたのか声を上げた。
「雑談は終わりだよ。……今日は二人がかりだ。絶対にお前達を倒す!」
「ッ!?二人がかり……」
「そうよ?今回はこの私も助太刀させてもらうわ」
スラッシューも参加するという宣言にその場には緊張感が漂う。すると早速チョッキリーヌはクラヤミンダーを呼び出す事に。
「お前のキラキラ……オーエス!」
「ワァオオン!?」
チョッキリーヌがキラキラを引き抜いたその瞬間、きゅーたろうは犬の鳴き声で叫び声を上げると同時に彼のリボンが生成。
「「「きゅーちゃん!?」」」
「プリ!?」
「嘘だろ……」
影人達はきゅーたろうを素体にされた事に動揺を隠せない中でチョッキリーヌは容赦無く彼のリボンを真っ二つに切り裂く。
「チョキッとね!」
これにより、きゅーたろうは暗闇の中に閉じ込められてしまうとチョッキリーヌがすかさずクラヤミンダー召喚のための水晶を出す。
「さぁ、来な!クラヤミンダー!世界中をクラクラの真っ暗闇にするんだよ!」
「クラヤミンダー!」
そこに召喚されたのはきゅーたろうの大好きなお婆ちゃんのスリッパにちなんで二つのスリッパの裏面をピッタリと合わせた左右対称の胴体を持つクラヤミンダーが召喚される。
「きゅーたろうをクラヤミンダーに……」
「クラァ!」
「さて……時間も惜しいわ。……やりましょう」
スラッシューはそう告げると早速戦闘態勢に入ってしまう。最早戦いを回避する事はできない。
「皆、スラッシューはきっと待ってくれない。変身しよう」
「ッ、でもうた先輩が……」
「うたちゃんもきっと気がついてくれる。だからここで持ち堪えていよう」
こころはうたがいない事を気にかけるが、ななはそんなうたを信じているからこその言葉をかける。今はうたがいなくても自分達がやれる事をやるべきだからだ。
「……夢乃、お前は一人で先にお爺さんの家に戻っててくれ。もし、咲良さんと出会えたら……」
「うん、クラヤミンダーの事を伝える」
影人はそれから夢乃へと離脱を指示し、もし仮にうたとすれ違う事ができれば彼女に事情を説明するように頼んだ。
「話し合いの時間は終わりよ?早く変身しなさい」
「言われなくてもやってやる!」
それから影人達五人は変身を開始。ただ、ななとこころに関してはうた抜きでの変身となる。
「「プリキュア!ライトアップ!キラキラ!ドレスチェンジ!YEAH♪」」
「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」
「キミと踊る、ハートのリズム!心キュンキュン、キュアキュンキュン!」
うた抜きで変身しているからか、いつも最後にやっているチーム名名乗りは無しである。
「「「プリキュア!ライトアップ!キラキラ!ショータイム!YEAH♪」」」
「ハートをプリッとロックオン!キミとズッキュン、キュアズキューン!」
「ハートをメロっとひとりじめ!キミと口づけ、キュアキッス!」
「ハートをメラッと熱くする!キミと高まれ、キュアソウル!」
「ズキュッと!」
「夢中で!」
「熱くなる!」
「「「We are!ズキューンキッスソウル!」」」
影人達の方は三人が揃っているために一応チーム名の名乗りを行うと目の前のスラッシュー達と対峙する。
「これで良いだろ?スラッシュー」
「えぇ、そうね。これで心置きなくやれるわ」
「クラヤミンダー、お前も暴れな!」
「クラヤミンダー!」
こうして、スラッシュー、チョッキリーヌの連合軍と五人のプリキュア達は戦闘を開始するのだった。
その頃、うたのお爺さんの家。温子が住んでいた部屋にいたうたはいつの間にかそこで寝てしまっていた。
「……ん、あれ?寝ちゃってた?」
うたは自分が寝ていた事を自覚すると起きると同時に外の方へと出てくる。すると妙な程に静かだと感じた。
「……あれ?皆がいない。どこ行ったんだろ?」
そこで彼女はようやく影人達が揃っていない事に気がつく。それから影人達をキョロキョロと探すものの、やはりいない。
「うーん、私を呼ばずにどこかに行ったのってやっぱり何かあったのかな……」
うたが首を傾げているとふと空を見上げる。……そこには、クラヤミンダーの出現の影響で一部が暗くなった空が広がっていた。
「ッ……!?あの空の色、まさか!」
うたはこのタイミングでようやくクラヤミンダーの出現と影人達がその場にいない事の理由に納得がいく。
「早く行かないと!」
こうして、うたも事態の変化に気がつくと暗い空を頼りに急いでその場所へと向かっていくのだった。
また次回もお楽しみに。