キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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キッスの誤解 孤立してしまう心

アイドルが参戦し、プリキュア達の心に安心感が生まれる。そんな中でズキューンはある事を思い出すとアイドルへと伝えた。

 

「そうだ、アイドル。今クラヤミンダーの中にきゅーちゃんがいるの!」

 

「えっ!?きゅーちゃんが!?」

 

アイドルはクラヤミンダーの素体にきゅーたろうが使われてしまっている事に驚きの声を上げる。そんな中でもチョッキリーヌは容赦するつもりは無い。

 

「クラヤミンダー、全員纏めてやっちゃうんだよ!」

 

「クラヤミンダー!」

 

「私も忘れないでよ!」

 

クラヤミンダーが声を上げるとそれに合わせる形でスラッシューも突撃。それに対してソウル達が身構えるとスラッシューが炎の斬撃波を飛ばす。

 

それに対してプリキュア達がジャンプして跳び上がるとすかさずクラヤミンダーが合わせる形で回転しながら突進してくる。

 

「嘘、その状態でもでき……」

 

「「「「「「うわぁああっ!?」」」」」」

 

クラヤミンダーからの突進にソウル達は対応する事ができず。纏めて吹き飛ばされると地面に激突。そこにスラッシューからの追撃が繰り出される。

 

「はあっ!」

 

スラッシューが手にした剣を投げるとそれが巨大な炎の剣として六人の上から落下。更にそれを後ろから蹴り込む形で更に加速させる。

 

「ッ!?」

 

「キッスの力、ソウルディフェンダー!」

 

それに対してソウルはすかさず対応。手にした盾を使って一撃を受け止める事に。

 

「ぐぅ……」

 

「一人増えた所で、私達にとっては何も変わらないのよ!」

 

「だからって……負けるかぁあっ!」

 

ソウルがソウルディフェンダーでどうにか受け止めている間にズキューンはアイカラーを塗ると同時に技を発動させた。

 

「ズキューンバズーカー!」

 

ズキューンから放たれたエネルギー弾はスラッシューの剣へとぶつかって爆発。それを消失させた。しかし、スラッシューは次の手と言わんばかりに手を翳すと今度は空から大量の剣を降り注がせる。

 

「ッ!?」

 

「クラヤミンダー!」

 

プリキュア達はその攻撃をどうにか回避するのに手一杯になるとクラヤミンダーはまた二体に分離するとそれぞれがまた猟犬のように四足歩行による高い機動力で撹乱してきた。

 

「「クラヤミンダー!」」

 

「ッ……きゃあっ!?」

 

「きゃっ!?」

 

クラヤミンダーからの攻撃でウインクやキッスがダメージを受けるとそこにスラッシューが降り立つと手にした炎の鞭を振り回すとそれにキュンキュンとズキューンが被弾してしまう。

 

「「うわぁああっ!?」」

 

そのまま四人は倒れてしまう。それにアイドルは慌てたように声を上げ、ソウルは苦しい状況に戻された事に顔を歪めた。

 

「皆!?そんな……」

 

「くっ……。やっぱりスラッシューを自由にさせたら……」

 

ソウルが先程どうにかスラッシューを引き剥がそうとしたのはこれが原因だ。スラッシューの能力は広範囲を制圧するのに長けている。どちらかと言えば一対多に向いているのだ。だからこそ集団戦になればスラッシューが少し暴れるだけでも厄介な事態になってしまう。

 

「あははっ!アイドルプリキュアもズキューンキッスソウルも私達二人を前には手も足も出ないみたいだね」

 

「強い……」

 

「ソウルがスラッシューを一人で相手にするって言った理由。何となくわかりました」

 

ウインク達四人が立ち上がるものの、体は傷ついている状態である。そんな中でソウルが声をかけた。

 

「……ひとまず、スラッシューはもう一度俺が引き剥がす……。そうしないとクラヤミンダーの浄化どころじゃ無くなるぞ」

 

「悔しいけど、今の私達じゃスラッシューは止められなさそうだし……それが良いかも」

 

ソウルはスラッシューがこれ以上暴れるのは危険だと判断し、再度自分がスラッシューの相手をする事で彼女の参戦を阻止。少しでも戦いを有利にしようと提案する。

 

ソウルの言葉にズキューンを始め、その場の殆どの人が了承。ただ、そんな中でもキッスは慌てて反論した。

 

「ッ、お姉様まで……どうしてそんなにお兄様を一人にさせるんですか!」

 

キッスはその場の誰もソウルの自己犠牲を否定しない他のプリキュア達を見て困惑する。キッスはそうなってしまえばまるでソウル一人に厄介事を押し付けているようだと感じてしまったのだ。

 

「キッス、違うの!これはそういう意味じゃ無くて……」

 

キッスの勘違いにアイドルは慌てた顔つきを見せる。アイドルがキッスを説得しようとするが、彼女は更にソウルへと詰め寄った。

 

「お兄様も、何でそうやって一人で行こうとするの……。この前皆を信じるって、頼ってくれるってあなたが言ってくれたのに……そんなに私達が信用できないの?」

 

キッスが強い口調でソウルへと問い詰める中、それを近くで聞いていたアイドルやウインク、キュンキュン。更にはズキューンさえもキッスの言葉に困ったような顔になってしまう。この様子を見るに、アイドル達はソウルの意図をちゃんと理解しているらしい。

 

しかし、キッスにだけには上手く伝わっておらず。そのせいでキッスはソウルがまた一人で無茶をした上で周りがそれを誰も止めようとしないという状況に見えたのである。

 

「お兄様……お願いですから私達をもっと頼ってくださいよ……」

 

「あ、あのねキッス。ソウルは私達を頼ってないわけじゃ無いの」

 

このままキッスが誤解したまま戦いを続ければどこかで必ずそのツケが来てしまう。ズキューンがどうにかキッスを宥めようとするが、彼女でも今のキッスは止められない。

 

「お姉様。じゃあ何で……、何であなた達はお兄様が一人で行こうとするのを止めないの!」

 

キッスは悲痛な叫びと言わんばかりに声を荒げる。彼女はソウルが一人でスラッシューを止めるという自己犠牲行為に走っているのにどうして周りは誰もそれを止めようとしないのか疑問でしか無かった。

 

「キュンキュン、あなたソウルの彼女でしょ!彼氏がこんな事言い出してて……何か思わないの!?」

 

キッスがそう問い詰めているとそのタイミングでスラッシューがいつまで自分達を放置するのかと言わんばかりに攻撃を繰り出してくる。

 

「ほら、私の事を放っておいて良いのかしら!」

 

「ッ、スラッシューは私が一時的に対応するよ!アイドル、ウインクはクラヤミンダーをお願い!」

 

「「うん!」」

 

このままでは仲間割れしている間にやられるという事でズキューンは咄嗟にスラッシューを相手し、アイドルとウインクがすかさずクラヤミンダーの対応へと走った。

 

「あなたの相手は私!」

 

「キュアズキューン……まぁ良いわ。あなたに私の相手が務まるのならね!」

 

「クラヤミンダー!」

 

するとクラヤミンダーは再度一体に合体。対応に来たアイドルとウインク迎え撃つ事になる。

 

そんな中で残されたソウル、キュンキュン、キッスの中で質問されたキュンキュンが話を引き継いだ。

 

「キッス、私の意見を言いますね……。ソウルが一人でスラッシューを相手にする……そんなの、私だって心配に決まってるじゃないですか……」

 

キュンキュンは改まると不安そうな声色で自分の本音の気持ちを話した。その答えにキッスは思わず息を呑む。それから震えるような声で再度問いかけた。

 

「じゃ、じゃあどうして……」

 

「それは私がソウルの事を信じてるからです。ソウルならきっと大丈夫、スラッシュー相手でもどうにかしてくれる。……ソウルを黙って送り出す理由なんて私にはそれだけで十分ですよ」

 

キッスはキュンキュンからの言葉を聞いて衝撃が走ると同時に凄まじい程の敗北感を覚えてしまう。そして、周りにいるアイドル達もキュンキュンと同じ態度である事からキュンキュンと気持ちは大体同じ。

 

そうなればキッスはソウルの事を過剰に心配していたのは自分だけだと感じて胸が痛くなった。

 

「……間違えてるのは私……なの?私だけ……考え方が違う……」

 

キッスはその状況が怖かった。周りと違って覚える孤独感は昔からずっとそうだったが、今回はいつも以上にその恐怖を感じてしまう。

 

「キッス、俺だって皆に心配をかけさせてるって自覚はある。それでも、俺は少しでも全員が笑顔でクラヤミンダーを浄化して戻ってくる確率を上げたいんだ。……もし一人でもこの中で欠ける人が出てしまったら……それはとても辛い事だから。……欲張りかもしれないけど、俺は全員が笑顔で戻れるようにしたいんだ」

 

ソウルはキッスへと優しく語りかける。しかし、当のキッスは話半分にしかソウルの声が聞こえてなかった。ソウルの事を大好きなのに信頼できなかった自分を責める気持ちのせいで周りの声が耳に入らなかったのである。

 

「キッス?」

 

「ッ、えぇ。ソウルの気持ちはわかった……だから、私は……ソウルを信じる……」

 

キッスはそんな風に言葉を返したものの、やはりどこか歯切れは悪そうだった。その対応に彼女も色々複雑な気持ちなのだとソウルが察すると話し合いを終わりにする。

 

「良し。じゃあキュンキュン、キッス。そっちは任せたよ」

 

「ソウルも負けないでください!」

 

「え、えぇ……」

 

場面は変わり、ズキューンが交戦するスラッシューとの戦いではズキューンが一度スラッシューから距離を取ると再び前に出る形で拳を繰り出す。

 

「はぁあっ!」

 

「ふふっ、甘いわ!」

 

スラッシューはズキューンからの拳にクロスカウンターする形で右の拳を繰り出し、ズキューンの攻撃が当たる直前に彼女へと命中させた。

 

「きゃあっ!?」

 

すかさずスラッシューはズキューンへと炎の鞭を打ち付けようとする。ズキューンはそれをすぐに体を捻ることで回避。スラッシューと向き合うが、既に息切れが目立ち始めていた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「良い戦いはしてくれるじゃない。でも、自力はこっちが上よ」

 

ズキューンは善戦こそできてもスラッシューの強さに押されている現状であり、このままでは先にスタミナが切れて負けてしまう。

 

「はあっ!」

 

その瞬間、スラッシューへと影が迫るとその何かは彼女へと蹴りを叩き込む。スラッシューはそれを防御するが、キックのパワーで押し込まれた。

 

「ッ、やっと戻ってきたわね。キュアソウル」

 

「お待たせ、ズキューン。大丈夫か?」

 

「うん、来てくれるって信じてたよ!」

 

「ズキューン、ここからは俺がやる」

 

「オッケー。あっちは任せて!」

 

ソウルとズキューンは交代するとソウルがスラッシュー相手に向き合い、ズキューンはクラヤミンダーの方へ。再びソウルを相手できる事にスラッシューは笑みを浮かべた。

 

「あなたが戻ってきてくれて嬉しいわ。あの子も善戦してくれたけど結局物足りなかったし」

 

「じゃあ、ズキューンがやられた分も含めて……纏めて返してやる!」

 

二人は早速突っ込むと拳を合わせる。スラッシューは最初から速いテンポでの拳の連打で攻め込み、ソウルはそれを防御や受け流しで捌く。

 

「ならこれはどうかしら?」

 

スラッシューは拳を繰り出すと同時に手に炎の剣を召喚。拳と見せかけた剣による突きをしてきたのだ。完全に不意打ちであり、尚且つ剣というリーチの長い攻撃である。

 

「ッ!」

 

ソウルはそれを咄嗟に体を屈ませて回避すると下に上半身が下がったことを利用したアッパーカットを放つ。

 

「だあっ!」

 

スラッシューはそれを一方下がって避けると再度スラッシューが攻撃、ソウルがそれを極力防ぎ、捌くという戦い方に戻る。

 

「ソウル、何のつもり?」

 

「俺は俺のやるべき事をやってるだけだ」

 

スラッシューはまるで反撃する気が無いと言わんばかりのソウルの対応に問いかけ、ソウルはそれをあくまで平然と返す。

 

「なるほど、時間稼ぎ目的ね?」

 

「正直、今のスラッシューの相手はやりづらいからな」

 

ソウルの脳裏には以前、スラッシューが自分達へと助けを求めた姿がまだ鮮明に残っていた。あの時の彼女の言葉が嘘だとは考えにくい。加えて今回のスラッシューは雰囲気や性格こそ違ったものの、他人がスラッシューに成りすましたというには明らかに彼女に似た挙動を行なっている。

 

戦闘面でもソウルがここまで強化されたスラッシューに対応できているのは以前までのスラッシューの癖がそのまま反映されていたのも大きい。

 

「なぁ、本当にお前は何も覚えてないのか?」

 

「愚問ね。確かに私は生まれ変わったけど、少なくとも何かを失ったっていう感じはしないわ」

 

「そうか」

 

「それで?だからってあなたは私相手に手を抜くつもりなのかしら?」

 

スラッシューは確認するかのようにソウルへと問い返す。それは自分相手に本気を出さない事にもなりかねないと彼女は感じたからだ。

 

「……手は抜かない」

 

「へぇ?」

 

「スラッシューがこの前の事を、大切な事を忘れてしまったのなら……プリルンの時みたいに俺達が思い出させる!」

 

ソウルはそう言ってスラッシューとの戦いに身を投じる事になる。少し時間を遡り、ソウル達が話しているタイミングでの事。

 

クラヤミンダーとの戦闘中のアイドル、ウインクの二人。するとクラヤミンダーは跳び上がるとそのままドリルのように回転。頭から突っ込んできた。

 

「「ッ!」」

 

二人が同時にそれを跳んで回避すると着地してすかさず二人は両サイドからクラヤミンダーへと走り込む。

 

「クラ!?」

 

「「はぁああっ!」」

 

アイドルとウインクのダブルキックがクラヤミンダーの右頭部と左脚へと命中。そのままクラヤミンダーはその場で回転してしまうとそこに追撃のレーザーが降り注ぐ。

 

「キュンキュンレーザー!」

 

「クラァ!?」

 

「キュンキュン!」

 

「待たせてすみません」

 

レーザーを命中させたのは勿論キュンキュンだ。彼女も降り立つと戦いに参戦する。その直後、倒れていたクラヤミンダーはそのタフさですぐに煙の中から飛び出すと三人へと拳をぶつけようとする。

 

「このままじゃキリがないよ!」

 

「大丈夫、どうにかする手段はきっとあるから!」

 

アイドルが二人を励ますように言うとクラヤミンダーは足払い攻撃を仕掛ける。それに対してアイドル、ウインク、キュンキュンの三人が回避する中、アイドルは移動した先で先程影人達が見つけた温子が埋めた宝物の入った箱を見つける。

 

「あっ、これって……確か」

 

アイドルはこの箱を知っている様子だった。恐らく生前に温子から教えてもらっていたのだろう。そして、クラヤミンダーに指示を出しているチョッキリーヌはアイドルが箱に気を取られているのを見た。

 

「ん?……クラヤミンダー!アイツが狙い時だよ!」

 

チョッキリーヌは完全に背を向けて箱を拾い上げているアイドルを倒すチャンスとばかりにクラヤミンダーへと指示を出す。

 

「クラヤミンダー!」

 

「「アイドル!?」」

 

クラヤミンダーはその言葉を聞いて走り出すとアイドルを狙う。そして、それをウインクやキュンキュンが慌てて知らせる。

 

「アイドル、後ろです!」

 

「ッ!?」

 

アイドルはようやく気がつくものの、もう既にクラヤミンダーからの蹴りがすぐ近くにまで迫っていた。

 

「仕方ない……チュッ、キッスショック!」

 

そこにカバーに入ったキッスからのキッスショックが発動するとクラヤミンダーに命中。クラヤミンダーは凄まじい電撃を受ける事になった。

 

「クラァアアッ!?」

 

「はぁああっ!」

 

キッスショックで脚が止まったクラヤミンダー。そこにソウルが交代した事でフリーになっていたズキューンからの回し蹴りが炸裂するとクラヤミンダーは押し戻される。

 

「クラァ……」

 

クラヤミンダーはすぐに動こうとするが、まだ電撃によるダメージがあるのかすぐには攻撃しに来なかった。そんな中でアイドルは助けられたことのお礼を口にする。

 

「キッス、ありがとう」

 

「別に……私が迷惑かけた分を返しただけよ」

 

キッスは罪悪感に包まれたような声色で話しているとズキューンが声をかけた。

 

「そうだ、アイドル。その箱なんだけど」

 

「うたちゃんのお婆さんがどんな悲しみも吹き飛ばせる物を埋めたって聞いて。探してたの」

 

「ッ……。やっぱりお婆ちゃんの……」

 

アイドルは今は亡き祖母の残した大切な物と聞いて改めてこの宝物と向き合う。

 

「……じゃあ、開けるね」

 

こうして、アイドルは宝物の入った箱の蓋を開ける。そして、彼女は祖母が遺してくれた宝物が何なのか。それを知る事になるのだった。




また次回もお楽しみに。
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