キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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友達になりたいうた 友達になれないメロロン

トークショーの楽屋から抜け出してしまったメロロン。彼女の希望通り、影人はプリルンと共にメロロンをグリッターにまで連れてきた。

 

「……で、結局グリッターにまで来たけど……」

 

「ありがとメロ」

 

それから影人はグリッターの扉を上げると中に入る。すると影人の視界の先には姫野がいた。

 

「姫野さん。こんにちは」

 

「あ、影人さん。こんにちは。……っと、何かあったんですか?」

 

姫野は影人が一人で来たのに加えて、彼がプリルンとメロロンを抱いていたために姫野は何かあったのかと感じる。加えて、今日はトークショーがあるためもう少し帰りは遅いと考えていたのだ。

 

「えぇ、ちょっと……ね」

 

影人は姫野に事情を話そうとすると周囲に自分達以外誰もいないと見たメロロンは姫野へと声をかける。

 

「ヒメーノ、タコさんウインナーを作るのメロ」

 

「えっ……?私が?」

 

「早くするのメロ!」

 

「は、はい!」

 

「えぇ……」

 

メロロンは困惑する姫野を脅すかの如く大声で恫喝。姫野は慌ててグリッターの厨房でタコさんウインナーを作り出した。

 

「そういえば姫野さんはなんでここに?」

 

「えぇ、実は少し前までうたさんのご両親がいたのですが……今日は喫茶店がお休みの日なのではもりさんも含めた三人で買い物してて。私は丁度その直前くらいに来て、うたさんが来るまでここで仕事をしていようかなと」

 

この様子だと姫野は本来ならうたが帰る前までは無人になるはずだったグリッターに来てしまった事で、折角来てくれたのならここでゆっくりしていて良いという咲良家の両親からの計らいという事が一番しっくり来るだろう。

 

「ねえたま、早く上に行くメロ。にいたまも来るのメロ」

 

「え?俺も?」

 

「当たり前メロ」

 

そのままメロロンに言われるままに二階に移動した影人達。メロロンは明らかに不機嫌であり、プリルンは慌てたように声をかける。

 

「メロロン、皆と仲良くするのプリ……そうすれば……」

 

「にいたま、タナカーンがやってるアレをやるのメロ」

 

「アレ……まぁやってみるか」

 

影人はいきなりぶつけ本番だが、メロロンに言われた通りプリルン相手にアレをやることにした。そのアレというのが……。

 

「プリルン」

 

「プリ?」

 

「えっと……こうか」

 

影人は田中が普段プリルンへとやってるのように彼女の顎辺りに自分の手を近づけるとそっと彼女の顎を撫で始めた。

 

「ふぁあ……か、影人……気持ち良いプリィ……。タナカーンのそれと良い勝負プリ……」

 

影人はメロロンにやるように言われたからとはいえ、田中が前にやっていたプリルンの大好きな顎擦りをしてあげるとプリルンの顔つきはふやけてしまう。

 

「はぁ……。結局こうなるのか」

 

「……ありがとメロ」

 

これにより、プリルンは完全に機能停止。メロロンへと問い詰める気持ちも無くなってしまうとメロロンはお礼を言う。そんな中、影人がメロロンに問いかけた。

 

「……なぁ、メロロン」

 

「何メロ?にいたままで色々言うつもりメロ?」

 

「そうじゃねぇよ。……メロロンは、何で友達って言葉を極度に怖がってるんだ?」

 

影人はプリルンの顔をふやけさせるのを維持しつつメロロンへと聞く。それから彼は話を続ける。

 

「俺はさ、メロロンは口では嫌って言ってるけど……本当は友達が欲しいんじゃないのかなって。でも、事情があって友達になるのはできない。そう思ってる」

 

「メロ……。そ、そんなのただの憶測でしか無いのメロ!」

 

影人はメロロンの声色に動揺が見られるのを感じて恐らく答えに近いと判断。ただし、これ以上メロロンに不確定な要素を含んだ上での話はできない。何しろ影人視点ではこの仮説がどこまで合っているかがわからないからだ。

 

加えてメロロンはこの件に触れてほしく無さそうにも見えた。そのため影人は一旦引き下がることになる。

 

「……わかった。確かに今のは憶測が過ぎたな。また俺の方で整理する」

 

「メロ……。何でそんなにメロロンの事を気にするのメロ。こころっていう彼女がいて。影人はそっちの方だけ向いてれば良いのに、こんなの……」

 

メロロンは思わずそんな言葉が出てしまう。そして、その直後に今の言葉が失言だと気がつくと慌てて目を見開いた。

 

「ッ……」

 

「メロ!?ち、違うメロ。今のは……」

 

「そっか。俺も咲良さんや他の皆と気持ちは同じだから、その認識をちゃんと持っていてくれれば良いよ」

 

その言葉を最後にメロロンとの会話は途切れると影人はプリルンを相手するのに集中し、姫野がタコさんウインナーを持ってきてくれるまでの時間稼ぎをする事になった。それから少しすると姫野がタコさんウインナーを完成させると同時にうた達もグリッターに戻ってくる。

 

「ただいま……」

 

「あ、咲良さん……」

 

「あの、メロロン達来ませんでしたか?」

 

「あ……それなんですけど……」

 

ななからの質問にメロロンや影人達が上にいる事を伝える姫野。それを聞いてこころは早速話をしようと提案する。

 

「ここにいるのでしたらもう一度メロロンと話をするのはできないんですか?」

 

「いや、今は少しだけ時間を置こう。もしかすると影人が対応してくれている可能性もある」

 

そんなこころからの言葉にレイが反応。今すぐメロロンの所に行ったとしてもメロロンは反発してしまう危険が高い。そのため、影人が上手い事間を取り持ってくれる事を信じて一度時間を置くことにした。

 

「……でしたら、私はお店の方に入りますね」

 

そう言って田中は店の厨房にいた姫野と合流する形でお店の方の仕事に参加する事に。ただしその前に、上にいる影人に自分達が帰ってきたのを伝えるのを兼ねて姫野が作ったタコさんウインナーを届ける事にした。

 

そして、うた、なな、こころ、レイの四人はグリッターの四人テーブル席に座るとうたが最初に話し始める。

 

「ショボッボボンボン……」

 

「ショボッボボ……ん?何だそれ……」

 

「簡単に言ったら悲しい気持ちって事だよ」

 

「そういえばレイ先輩は泊まりに行ってませんし、知らなくても仕方ありませんよね」

 

レイはお盆の時のお泊まりに参加していないため、彼のみうたの話は後から共有する事になっていた。

 

「それにしても、メロロン……。私達の事を友達じゃ無いって」

 

「はい……。多分、メロロンにとってそれに該当しそうなのはカゲ先輩とプリルン……あと夢乃ちゃんぐらいですからね」

 

下でうた達が話しているのと時を同じくして。二階ではプリルンがどうにかメロロンを説得しようとしていたが、メロロンはそれを聞くつもりは無い。加えて、彼女は自分の苛立ちをぶつけるかのようにハートの持ち手があるピンク色のプラスチック爪楊枝でタコさんウインナーを突き刺していた。

 

「メロロン、どうしてあんなこ……」

 

「メロ!」

 

「プリィ〜!」

 

メロロンはプリルンが意見を言おうとする度に口の中にタコさんウインナーをぶち込む形で物理的に口封じ。プリルンはタコさんウインナーを食べて幸せ顔になった直後にまたメロロンへと言い出そうとするが、メロロンは同じようにタコさんウインナーをぶち込む。

 

「どうして……」

 

「メロ!」

 

「プリィ〜!」

 

「ともだ……」

 

「メロ!」

 

「プリィ〜!」

 

プリルンはどうにかして意見を言おうとするものの、その度にメロロンが次のタコさんウインナーをプリルンの口の中にぶち込んでしまう。そのためプリルンは喋ることすらまともにさせてもらえない。それどころか完全にタコさんウインナーの味に幸せな声まで上げる始末である。

 

「なぁ、メロロン。プリルンの意見も少しは……」

 

「今のねえたまは無理矢理説得しようとしてくるメロ!」

 

「えぇ……」

 

メロロンはそう言いつつプリルンへのぶち込みを更に続ける。影人はまさかの話すら聞いてもらえない現状に唖然としてしまう。

 

「はむはむ、美味しいプリ!」

 

「お前も何で説得からタコさんウインナーを食する事に切り替えてんだよ……」

 

加えてプリルンの方もメロロンにタコさんウインナーをぶち込まれ過ぎたせいか、タコさんウインナーを食べる方向に脳がシフトしつつあった。影人はそんなプリルンの思考に気がつくと呆れ果ててしまう。

 

それはさておき、下の階ではうた達四人によるメロロンについてのやり取りが続く。

 

「……メロロンはプリルンやカゲ先輩が大好きで、大好き過ぎて私達にやきもちを妬いているんだとは思ってましたけど……」

 

「うんうん!」

 

「でも、影人の方に関してはこころが彼女として既にいる以上は自分は一歩身を退くべきという節はちゃんとあるけどな」

 

メロロンだってちゃんと考えて行動している。あくまで影人の恋人で彼女はこころだとわかっているので、影人相手には深入りはしてこない。

 

ただし、プリルンの方はそういう枷が無いのでうたがプリルンに近づくと容赦無く攻撃してくる。

 

「前なんて寝ている時にいきなり体当たりされちゃったからなぁ……」

 

特にメロロンがこちらの世界に来てからキラキランドへと一度戻る前まではうたがプリルンとメロロンを引き取っている時間が特に長いため、寝ている時にうたとプリルンが抱き合おうものならメロロンが嫉妬の炎を燃やしながら体当たりしてきたものだ。

 

「どうしたら良いのかな……」

 

「もっと、ちゃんと考えた方が良いかもですね」

 

「メロロン本人の気持ちはさておき、俺達の方も改善できる所はあるだろうし……」

 

「良し、こうしちゃいられない!」

 

すると、レイが話を終える前にうたが立ち上がると声を上げる。そして、彼女はこのまま座ってるだけなのは性に合わないために歩き始めた。

 

「うた先輩!?」

 

「咲良さん、まだ影人が……」

 

レイはメロロンの説得が終わってないと感じてうたに行くのを止めさせようとするが、そんな時にななが声をかける。

 

「レイ君、こうなったうたちゃんは止められないよ。だから一緒に行こ」

 

「なな。……わかった」

 

ななはうたを信じており、彼女なら説得が間に合わなくてもどうにか話はできると思っていた。そして、ななからの言葉にレイも頷くとこころを含めた三人でその後を追う事になる。

 

「メロ!メロ!メロ!」

 

「あーんプリ!あーんプリ!あーんプリ!」

 

尚、この間もメロロンからのタコさんウインナーによる口封じタイムは続いていた。その間、プリルンは一言もメロロンを説得するための言葉を言う事ができず。その代わりと言わんばかりにお腹の中にはち切れそうなくらいのタコさんウインナーをぶち込まれたのでお腹パンパンの状態になると幸せそうな顔を浮かべたが。

 

「何だこの時間は……」

 

「プリィ……」

 

「メロ……タナカーンかヒメーノ、お代わりを……」

 

「(いや、もうお代わり貰っても食べられないだろ……。というか、プリルンも説得どころかタコさんウインナーを食べて幸福顔になっちゃってるし)」

 

メロロンは目の前に置いてある皿の中身がすっからかんになったため、下にいるであろう田中や姫野へとタコさんウインナーのお代わりを催促するために振り返る。そのタイミングでメロロンは下から誰かが来ているという事で動きが止まったため、影人もその方を向く。

 

「メロ?」

 

「ふふっ、ヤッホー。メロロン」

 

そこにいたのは下から上がってきたうたであり、メロロンは彼女を見た瞬間敵対心を燃やす。

 

「メロ……」

 

「メロロンお手々をつないで♪友達になろう♪」

 

「咲良さん、まだメロロンは咲良さん達には……」

 

「うん、そうだと思う。だから私達が直接話をしに来たよ!」

 

うたが歌を歌いつつ満面の笑みを浮かべると、メロロンはそんなうたを突き放すかのように話しかける。

 

「メロ……急に何なのメロ!何でそんな事言うのメロ!」

 

「だって、友達だから!」

 

「メロ!?」

 

「プリ!」

 

うたの言葉に先程までお腹を膨らませていたプリルンが何故か一瞬の間に爆速で元の体型に戻ると彼女もうたの意見に同意なのか嬉しそうな声を上げる。

 

「言ったはずメロ!メロロンは友達じゃ無いのメロ!」

 

あくまでメロロンはうた達とは友達では無いと言い放つ。ただ、メロロンにそう言われたからといってうたが簡単にメロロンの向き合うのを止めるはずが無い。

 

「それじゃあ、今から!友達になってください!」

 

うたからのお願いにメロロンは目を見開く。まだ友達で無いのならこれからなれば良い。この前プリルンの記憶が無くなった時の対処法と同じ、過去がダメならこれからの未来に希望を見いだすという結論である。

 

「……ごめんね。私、ちゃんと言えてなかった。メロロンと出会って、楽しかった毎日がもっと楽しくなったんだ!メロロンがキュアキッスになってくれて、凄っごく心強かった。一緒に居られて嬉しいんだ!」

 

うたがメロロンと目線を同じにしてしっかりと向き合うと彼女と友達になりたいと言う気持ちをちゃんと伝えた。その様子を近くでななやこころ、レイも見ており、一方でメロロンはうたから言われて嬉しいのか頬を僅かに赤くする。

 

「メロ……」

 

「私もです!メロロン、友達になってください!」

 

「うん、私ともお友達になってほしい」

 

「勿論、俺も同じだよ」

 

うたの説得に便乗するかのように後ろで見ていただけのなな、こころ、レイの三人も口々にメロロンと友達になりたいと言う。それを受けてメロロンは考える。すると、自分の後ろにいたプリルンがメロロンの横を通ると声を上げた。

 

「プリ〜!」

 

「メロ?」

 

「メロロン、皆は仲良しで一緒プリ!皆お友達プリ!」

 

プリルンに言われてうた達は微笑む。ただ、メロロンはプリルンにそうやって言われると余計に胸がザワザワと複雑な感情が湧き上がっている様子で……。影人はメロロンの顔つきがあまりよく無いと感じ取る。

 

「(不味いなこれ……多分メロロンはこのままだと……)」

 

「メロ……そんなの無理メロ」

 

「「「え?」」」

 

「無理……」

 

うた達が疑問符を浮かべる中、レイはその言葉の意味を考える。プリルンはメロロンへと問いかけた。

 

「どうしてプリ?」

 

「……メロロンにはねえたまとにいたま……あといたとしても夢乃だけメロ!」

 

メロロンはそうやって目に涙を浮かべつつ叫ぶ。とうとう彼女の中に溜まっていた色んな感情が限界を迎えてしまったらしい。そのまま彼女はプリルンへとある事を言ってしまう。

 

「ねえたまの……わからずやメロ!」

 

「プリ!?」

 

そのままメロロンは窓を開けて飛び出すとそのまま空中を浮かびつつ飛んでどこかに行ってしまう。

 

「メロロン!?待ってメロロン!」

 

うたが慌ててメロロンを追いかけようとした瞬間。影人は既に動き出しており、声を上げる。

 

「咲良さん、メロロンの事は俺に任せて!プリキュアライトアップ!キラキラショータイム!」

 

影人はノータイムで自分の持っていた専用アイテム、アイドルキラキラブローチをアイドルキラキラマイクへと変化。同時にキュアソウルへと変身すると前にメロロンから教えてもらったすり抜けの裏技を使って窓から飛び出すとメロロンを追いかけていく。

 

「うえっ!?カゲ先輩!?」

 

「そんな裏技があったんだな……」

 

こころやレイはまさかの手段でメロロンを追いかけた影人へと唖然とするとそんな二人の隣でななは一人メロロンを心配するのだった。

 

「メロロン……」

 

こうして、逃げ出してしまったメロロン。影人はそんな彼女をどうにか繋ぎ止めるために動き出し、その場に残ったうた達は改めてメロロンについて考えるのだった。




また次回もお楽しみに。
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