キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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一緒にやる事の意味 スラッシューの罠

影人とメロロンは話を終えると手分けをして本を探していく。その本のタイトルというのが……。

 

「“キズナのリボン”……“キズナのリボン”……どこにあるのメロ?“キズナのリボン”」

 

メロロンが探しているのは“キズナのリボン”という本だった。影人とメロロンは二手に分かれてそれを捜索。メロロンは今自分のいる周りを中心に。影人の方は別の本棚に間違えて置かれてないか、ある程度遠い場所から探していた。

 

「……その本を探しているんだね?」

 

「メロ……」

 

するとメロロンの隣から優しく声が聞こえるとそこには図書館に話をしに来たなながおり、彼女は優しくメロロンへと話しかける。

 

「一緒に探そ!」

 

ななにそう言われたメロロンは彼女の言葉に頷くと二人でメロロンの目的の本……“キズナのリボン”を探す事にした。

 

「探してる本、“キズナのリボン”……だよね?」

 

「……一緒に探してなんて頼んで無いメロ」

 

「えー?でもさっき影人君とこの中で会って少し話をしたけど、影人君には一緒に探して欲しいって頼んだんじゃないの?」

 

「メロ……それは……」

 

実はなながここに到着した直後。図書館の中に入ると同じくらいのタイミングで影人とすれ違い、彼もメロロンのために本を探していると本人から聞いていた。そのため、メロロンは誤魔化す事ができずに探す事を容認する事になる。

 

「仕方ないメロ。……お願いするのメロ」

 

「うん」

 

それから二人で本棚を探す。ななは影人とは違ってメロロンに比較的近い本を探しており、それはあくまでななはメロロンとの距離感を縮めるために話をしやすい場所にいる事にした結果である。

 

「うーん、無いなぁ……」

 

「どこメロ……」

 

ただ、二人で探しても中々見つからない。それから二人の探す場所が棚の中央部に寄っていくとその視線が一致した瞬間。

 

「あったメロ!」

 

「やったね!」

 

ようやく探していた本……“キズナのリボン”は見つかった。ただ、メロロンは何かが気になったのか首を傾げる。

 

「メロ?ここさっき探したのにメロ……」

 

「ふふっ、それなら私もあるよ。一人じゃ見つけられない事」

 

本以外の探し物をしている時もそうだ。一人だとどれだけ探しても見つからない時、他の人が一緒に探す事ですんなり見つかる事がある。それは、一人だけでは見る事ができる視点に限界があるからだ。

 

つまり、一人で見るよりも沢山の人が見た方が沢山の視点で物を見る事ができる。だからこそ、自分では見ているようで、見えてないような場所も探せるのだ。

 

「メロ……。そうメロ!本が見つかった事、にいたまにも知らせに……」

 

「あっ、その影人君だけど。少しの間メロロンの本を探すついでで自分も探したい本があるって言ってたから、多分時間が経ったら来ると思う。だから先に向こうで座って本を読もうよ」

 

「にいたまがそう言ったのなら……わかったメロ」

 

メロロンはその言葉に頷くと二人は本を読むためのスペースへと移動。これはななが先程影人と会った際にお願いした事だった。ななは先程うた達の前で言った通り、まずは影人の仲介を抜きにしてメロロンと話す必要があると考えたからである。

 

それから二人は本を読んでいるとメロロンの脳裏に先程プリルンへと言い放った言葉やうた、影人が自分へと言った言葉が浮かぶ。

 

“ねえたまのわからずやメロ!”

 

“お手々をつないで♪友達になろう♪”

 

“本当はメロロンも変わりたいんだろ。俺達と、仲良くしたいんだろ”

 

「(ねえたま……言い過ぎたのメロ。それに、咲良うたやにいたまが言うように……できる事ならメロロンも友達になりたいメロ。にいたまの事、また影人って呼びたい……)」

 

メロロンはその直後に一瞬だけ脳裏に浮かんだ考えに首を振ると再度本を読もうとする。しかし、またその時に影人の顔が浮かんだ。

 

“……メロロンはこれからどうしたいんだ”

 

「(これから……。にいたまはそう言ってくれるけど、メロロンにこれからなんて……無いのメロ)」

 

メロロンがそう思うと溜め息を吐き、彼女は顔に今開いているページを被る形となった。

 

「メロ……」

 

「どうしたの?」

 

「読んでても頭に入ってこないメロ」

 

メロロンは先程からまるで本の中身に集中できていない様子だった。そのため、ななが気分転換とばかりにある提案をする。

 

「そっか。……それじゃあ、少しお話ししようか。……小さな女の子の話」

 

「……その本のお話しメロ?」

 

メロロンはその提案に興味を持ったのか、そう言いながら被っていた本を取ってななの方を見た。

 

「ううん……。その子はね、小さい頃にピアノを始めたの」

 

ななが言い出したのはある少女の話。……少女は幼い頃にピアノを習うとその教室に通っていた。

 

「ピアノを弾いていると夢中になれて、その子はピアノが好きになれたんだ。それだピアノ教室にも通い始めたんだけど、一緒に通っていた子達に話しかける勇気が出なくて。自分から友達を作る事ができなかったんだ」

 

なながそこまで話すとメロロンは話の流れからある予感がすると早速指摘する。

 

「……それってもしかしてあなたの事メロ?」

 

「うん。そんなある日、うたちゃんに出会ったの」

 

それからななはうたとの出会いを経て彼女から大丈夫のおまじない……ウインクを教えてもらった。

 

「うたちゃんは私に勇気をくれて。それから私の毎日は変わっていった。知らない子にも話しかけてみようって思えたんだ」

 

うたとの出会い以降、ななの視界はモノクロだった景色にまるで鮮やかな色が入るかのように彩られていく。ウインクによって勇気を得られたななは自分から同じ教室の子に話しかけるようになったのだ。

 

「……私一人じゃ一歩を踏み出せなかった。本当は、ずっと皆と友達になりたかったのに」

 

「メロ……」

 

ななも昔はメロロンと同じ葛藤を抱いていた。しかし、自分から勇気を出して踏み出した事が鍵となって友達を得る事ができたのだ。

 

「一緒に本を探すのと、同じだと思うの」

 

「同じ……メロ?」

 

メロロンはそれを聞いて疑問符を浮かばせる。そんな彼女に説明するためにななが話す。

 

「うん。一人じゃ見つけられない物も、一緒なら見つけられる」

 

「メロ……。影人の輝きも……同じだったメロ」

 

ななからの説明にメロロンは影人を助けるための鍵と共通している事だと言う事で理解するのも早かった。そして、メロロンからの反応が良かった事にななは更に続ける。

 

「そっか。影人君を助ける方法もそこにあったんだね。……影人君を助ける事を教えてくれたみたいに……一歩踏み出す、Win-Winウインク!」

 

ななはそう言ってメロロンへとウインクをしてみせるとメロロンは嬉しそうな顔つきをし、ななは最後のひと押しとしてメロロンが置いた本を手に取ると語りかけた。

 

「だから、一緒に進もう。メロロン!プリルンや影人君だけとじゃ無くて……私達皆と!もしも探している物が見つからない時はいつても私達を呼んで。どこにだって飛んでいって、何でも話を聞いて……見つかるまで一緒に探すから!」

 

そう言ってメロロンへと本を手渡す形で返す。するとメロロンは本を受け取ると閉ざされていたその心の扉が少しずつ、扉の反対側から音を立てて開く気がした。その入り口にいた影人が連れてきてくれたななの手によって。

 

「あっ……図書館は静かにしなきゃ……」

 

「ほんとメロ……」

 

「ごめんなさい……」

 

そこまで話した所でななは説得のために自分の声がどんどん大きくなってしまった事に気がつくと慌てて口を手で押さえた、それにメロロンは呆れたような顔を見せる。

 

しかし、メロロンがうた達と仲良くなるために必要だった鍵は見つかった。メロロンは改めて自身の持つ本……“キズナのリボン”を見て思わず口元に笑顔が浮かぶ事になる。

 

「……あれ?そういえば、にいたまは何で来ないメロ?」

 

「あれ、確かにそうだよね」

 

ふとメロロンが全くもってここに来ない影人に違和感を感じた。そしてそれはななも同じなのか、呟く。彼女も影人はもう少し早い段階で介入してくると思っていた。もし仮に話が終わるまで待っててくれたとしても、それからすぐに来ないのは不自然過ぎる。

 

「探しに行った方が良いメロ?」

 

「うーん……影人君の事はあと少しだけ待とう。もしかすると影人君が来るのは初めてで、図書館の構造に迷ってるのかも」

 

この図書館は二階まであるという事でそれなりの広さを持っている。だから影人が本を見つけられてないのかもしれないと二人は感じたのだ。

 

そんなわけで二人は影人を一度気にしない事に。……ただ、実はこの時点で影人は図書館の外に出てしまっている状態であった。

 

「……なぁ、何でこんな所にわざわざ連れ出した?スラッシュー」

 

「別に。あなたとしてもあそこで私が暴れるよりはマシでしょう?」

 

今現在、影人は何故か天城の姿をしたスラッシューに連れられて二人で図書館から少し離れた公園にいる。先程まで遊んでいた子供達は丁度おらず。公園内は影人とスラッシューの二人きりだった。

 

「……そういや、俺がプリキュアになる前。お前に洗脳された時もこうやって俺だけを足止めして引き剥がしたな?まさかと思うけど」

 

「流石にあの時みたいな事はしないわ。あなたも私と話をしたそうだし」

 

スラッシューに話をするつもりがあると判断した影人は警戒心はそのままに話をする事に。ただ、その前にこうなるまでの経緯を入れるとしよう。

 

〜回想〜

 

ななをメロロンの元に送り出した直後。影人が彼女を見送ったすぐ後にスラッシューは声をかけた。

 

「ふふっ、メロロンというのはあのピンクの妖精の事ね。彼女のために頑張るなんて……キュアキュンキュンに妬かれても知らないわよ?」

 

「ッ……天城さ……いや、スラッシューか」

 

影人はいきなり声をかけられて慌てて振り向くとそこには図書館の棚の影から姿を現した天城としての姿をしたスラッシューがいる。

 

「お前、普段の戦闘服じゃ無いんだな」

 

「当たり前でしょう?アレをこの世界でずっと着てたら目立つから」

 

「……なるほど、それもその通りだな」

 

影人はスラッシューからの返しに納得。スラッシューのドレスはそれなりに派手であるし、そんな物を着ていたら図書館では目立つのはごく当たり前の事だ。

 

「折角会ったんですし、少し話をしましょうか」

 

「それは良いけど、ここは……」

 

「ええ、図書館よ。だから大きな声で雑談はできない。……だから来てもらいましょうか」

 

影人はうた達他のプリキュアメンバーにこの事を連絡しようと考えるが、そんな事をすれば折角のメロロンへの説得のチャンスを逃してしまう。それに、ここに他の誰かを呼べばスラッシューを刺激して暴れる危険もある。

 

「(……仕方ない。他の人には話さないでおくか)」

 

そのため、影人はスラッシューの提案を了承。黙って彼女に着いていく事にした。

 

〜現在〜

 

「それで、話というのは?」

 

「大した事じゃ無いわ。あなた……もう一度私達側に付く気は無い?」

 

スラッシューからのこの提案、影人は受けるつもりなんて少しも無い。そのため速攻で拒否する。

 

「は?そんなのお断……」

 

「ふーん。良いの?今のままじゃあなたは闇に堕ちるのに」

 

「……俺は闇に堕ちない。アイツらと一緒なら……」

 

それを聞いてスラッシューは邪悪な笑みを浮かべる。そして、スラッシューは影人へと更に告げた。

 

「ふーん?つまり、お仲間と一緒なら大丈夫って言いたいわけ。ぷっ……。大事な事が見えてないくせにそんなに仲間を過信して良いの?」

 

スラッシューは思わせぶりな事を言うと影人の心を掻き乱そうとする。だが、影人は最初からその手に乗るつもりは無い。

 

「お前がどれだけ俺の心を乱そうとしても無駄だ。俺はアイツらのお陰でまた輝くだけの力が得られた。……俺の側に仲間がいる限り、闇に堕ちるなんて事は無い」

 

「あらそう?……ふーん。じゃあ一つだけ注告しておきましょうか」

 

「……何だよ」

 

スラッシューは今影人へと揺さぶりをかけても闇堕ちする事は無いと判断。そのため、彼への攻め方の趣向を変える事にした。

 

「メロロンとか言う妖精……彼女は自ら暗闇へと突き進む道を進んだ。そして、同時にあなたは闇に堕ちる……。自分の輝きに後悔しながらね」

 

「……それがどういう意味かよくわからないけど、お前からの話は終わりで良いか?」

 

「ええ、私に付き合ってもらったお礼として……あなたからの話も聞こうかしら」

 

影人はスラッシューの言っている意味がまるでわからない。しかし、彼女はこれ以上今回の事を言及して来なさそうだった。そのため、影人は自分からスラッシューへと話を振る事になる。

 

「スラッシューは、何でチョッキリ団に入ってるんだ?」

 

「……うん?てっきりあなたの事だからまた前みたいに歌の話題をすると思ったけど」

 

スラッシューは影人からされた話が前まで振られていた歌を忘れたに関する話じゃ無い事に驚いたような視線を向けた。ただ、影人は至って真剣な眼差しを向けている。

 

「でもそれだと同じ答えの繰り返しだろ?……だから別の所から話をしたい」

 

「私がチョッキリ団にいる理由……そんなの世界をクラクラの真っ暗闇に染めるため。それ以外に理由はいるかしら?」

 

「……俺が知りたいのはその前だ。カッティンとザックリンは元々キラキランドの妖精で、ある日いきなりダークイーネに心の闇を増幅されたからチョッキリ団に流れたって言ってた。お前はどうなんだって聞いてるんだよ」

 

要するに影人はスラッシューがチョッキリ団に所属するまでの経緯が知りたいのだ。その言葉にスラッシューは鼻で笑う。

 

「ふふっ、そんな物を知ってどうするのかしら?もしかしてまた私を助けるとかふざけた事を言い出すつもり?」

 

「……最終的にはその話になると思う。ただ、俺達はお前の事を何も知らないんだよ。だから……教えて欲しいんだ。……頼む」

 

影人はそう言ってスラッシューへと頭を下げる。その光景にスラッシューは少し動揺。ただ、だからと言って影人相手に隙を見せるような者では無い。

 

「……残念だけど、私もよくわからないのよ」

 

「は?」

 

「気がついたら私はチョッキリ団としてキラキラを奪い、世界をクラクラの真っ暗闇に落とす事を使命として動くようになっていた。……私は生まれながらのチョッキリ団幹部って事なんじゃない?」

 

スラッシューの言葉に影人は違和感を感じる。何しろ、それでは矛盾が生じてしまうのだ。少なくとも、スラッシューが記憶喪失する前と後で言っている事が違う。……つまり、影人はこのタイミングである結論に辿り着く。

 

「(なるほど……。つまり、チョッキリ団に堕ちてしまった原因も忘れてしまった歌関連の事か……)」

 

「話は終わったかしら?」

 

「ああ。確認したい事はわかった。……できれば、このまま何もせずに帰ってくれるとありがたいんだけどそのつもりは?」

 

影人はスラッシューへと問いかける。影人は可能なら彼女との争いを回避したかった。スラッシューが人々のキラキラを奪わなければ戦いに発展する事は無い。だからこそこの場で退くか否かを問いかけている。

 

「……そうね、残念だけどこの近くにキラキラを持った人間はいない。怪物を出すのは無理ね……あくまで私は(・・)だけど」

 

「ッ!?」

 

影人はそれを聞いて空を見上げると図書館の方で空が暗くなっているのが見えた。それに影人はしてやられたと感じ取る。

 

「お前まさか……」

 

「そう、これが狙いよ。そして今、図書館で戦えるプリキュアはウインク一人だけ」

 

そう、今図書館にいるプリキュアはななとメロロンのみ。その内、メロロンが単独で変身できない事はスラッシューにバレてしまっている。このままではクラヤミンダーの素体次第ではメロロンはキッスになる前に捕まってしまうし、ウインク一人ではクラヤミンダーを浄化できない。

 

「くっ……お前らの狙い通りってわけか。そしてお前は……」

 

「あら、流石に察しが良いわね。その予想通り私の役目はあなたを引き剥がした上での足止めよ。クラクラ……ドレスチェンジ」

 

そのままの流れでスラッシューは戦闘用のドレス姿へ。こうして、完全に孤立した所を狙われたなな達と影人はそれぞれ窮地に陥ってしまうのだった。




また次回もお楽しみに。
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