キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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メロロンの勇気 友達と踏み出す新たな一歩

影人がスラッシューによって誘い出された事を伝えられた。彼はその事実を受け止めるとその手にアイドルキラキラマイクを構える。

 

「それで、あなたはどうするの?私としても何も抵抗しないのならこれ以上に楽な事は無いのだけれど」

 

スラッシューは先程の意趣返しと言わんばかりの言葉を口にする。ただ、だからと言って影人に無抵抗で大人しくするなんて選択肢は最初から存在しない。

 

「お前も薄々わかってるとは思うけど……そんなつもりは無い」

 

「……そ。だったら変身前に潰してあげる」

 

「ッ!?」

 

するとスラッシューは手を翳すと炎弾を放つ。影人はそれに慌てて後ろに跳ぶと直後に影人がいた所に炎弾がぶつかって爆発。その光景に彼は寒気を覚えた。

 

「お前……生身相手に攻撃するか?普通」

 

「ふふっ、確かに前の私ならやらなかったかもね?でも今の私はちょっとばかり厳しくなったみたいだから」

 

「ちょっとどころじゃ済まないんだけどな?お前がやってる事は……」

 

影人はそう呟きつつ次の攻撃が来る前に変身する事に。スラッシューはさせないと言わんばかりに今度は炎の斬撃波を放つ。

 

「キラキラ!ショータイム!」

 

影人は一瞬で変身すると炎の斬撃波を掻き分ける形で姿を現し、プリキュアとしての名前を名乗る。

 

「ハートをメラッと熱くする!キミと高まれ、キュアソウル!」

 

ソウルが変身完了して降り立つとスラッシューは至極当然の流れと言わんばかりに笑みを浮かべた。

 

「ま、流石にあなたは変身できるわよね?」

 

「お前さ、わかってたのなら変身前攻撃とかいうタブーを犯すなよ」

 

「ごめんなさいね。まぁ、今度から気をつけるわ」

 

ソウルはスラッシューがタブー違反を犯してくるとは思ってなかったのでそれを指摘。

 

スラッシューはそう言って反省の言葉を口にするが、今の残忍な心を持った彼女の言葉を完全に信じ切ることは難しいと感じた。そして、ソウルはそのまま目の前に立ち塞がる彼女と対峙。一刻も早く一人だけでクラヤミンダーと戦っていると思われるウインクの所に加勢するために動くのだった。

 

時間を少し遡り、ななとメロロンが読書を楽しんでいる頃。図書館の貸し出しブースの近くでは何故かチョッキリーヌが図書館の司書と向き合っており、その手にはとある本があった。

 

「お探しの本はこちらですね」

 

「ああ、これこれ」

 

チョッキリーヌは嬉しそうにそう返す。彼女が探していた本というのが、“部下をやめさせないための本”というタイトルである。……この事からやはりチョッキリーヌは部下であるカッティーやザックリーが居なくなってしまった事をかなり気にしている様子であり、もし当の二人ことカッティンやザックリンが見たら色々と言いそうな物だがそれはさておこう。

 

「これさえあれば今度こそは……」

 

「ふふっ、お役に立てて良かったです!」

 

「………」

 

チョッキリーヌは目の前にいる司書の女性を見てギョッとした。何しろ、チョッキリーヌが思わず目を背けたくなるくらいキラキラに満ち溢れているのである。

 

「他にもお手伝いできる事があったら、何でも仰ってくださいね」

 

司書はニッコリと微笑むと本の乗った台車を運んでおり、チョッキリーヌは苛立ちを露わにする。一応自分の影響で司書の女性はキラキラとしているのだが、チョッキリーヌはそれが気に食わない様子だったのだ。

 

「ふん!何だい、キラキラしちゃって……。そう言えばスラッシューの奴が言ってたね……」

 

チョッキリーヌはこの時スラッシューから聞いていた。今ならプリキュアを各個撃破してしまうチャンスであると。そして目の前には丁度良くキラキラしている人間がいる。……そうなれば、彼女のやる事は一つしか無い。

 

「お前のキラキラ……オーエス!」

 

「きゃああっ!?」

 

チョッキリーヌは司書の女性をターゲットにするとキラキラを引き抜いてしまう。それと同時に彼女叫び声を上げると胸にリボンが生成。すかさずチョッキリーヌが真っ二つに切り裂いてしまった。

 

「チョキッとね!」

 

これにより、女性司書は暗闇の中に閉じ込められてしまうとチョッキリーヌがすかさずクラヤミンダー召喚のための水晶を持つ。

 

「さぁ、来な!クラヤミンダー!世界中をクラクラの真っ暗闇にするんだよ!」

 

チョッキリーヌが地面にそれを叩きつけると同時にクラヤミンダーが生成。

 

「クラヤミンダー!」

 

その姿は司書が素体になっただけあって本が並べられた本棚をモチーフにしており、場所の都合か図書館の外に降り立った。

 

同時刻。グリッターの方では二階から出て行ったメロロンが開けっぱなしにしていた窓からプリルンが外を覗いており、彼女はメロロンを心配した様子だった。幾ら待つとは言っても、プリルンの幼い心では我慢の限界も早い。

 

「プリルン、大丈夫だ。影人とななを信じよう」

 

「レイ……でも、プリルンはしんぱ……ブルっと来たプリ!?」

 

メロロンへと心配を強めたプリルンがレイに撫でられた後。言葉を返そうとしたプリルンはその言葉を言い切るよりも早くクラヤミンダー召喚の影響で寒気を感じてしまう。

 

「ッ!こんな時にか……。咲良さん、こころ!」

 

「えっ!?クラヤミンダーが出たの!?」

 

「場所はどこなんですか!?」

 

レイが空を見るとこの辺りには暗い空が到達しておらず。距離が離れているのだと考えた直後、暗い空が広がっている方向からある事実を察知する。

 

「まさか……図書館の方か!」

 

「ッ、それって……」

 

「とにかく急ぎましょう!」

 

「メロロン……今助けに行くプリ!」

 

うた、こころ、プリルンのグリッターに残っていた三人は急いで現場に急行。そんな中で残らないといけないレイは心配そうに暗くなった空を見つめていた。

 

「(影人がいるならメロロンも変身できるとは思うけど……咲良さんの祖父の家に行った時みたいにスラッシューがいたらキツイか……何とか耐えてくれ……)」

 

そして、図書館の中で本を読んでいたななとメロロンは影人がいつまでも来ないやり取りをしてから少し経っても彼が姿を現さないという事で、流石にこれ以上は待てないとなると一度影人を探そうとする。

 

「……やっぱりにいたま、来ないメロ」

 

「うん……。流石に心配になってきたし、探そう」

 

ななが立ち上がるとそのタイミングでメロロンは勇気を出してななへと話しかけた。

 

「……なな!」

 

「うん?メロロン、どうしたの?」

 

「えと……その、なな。メロロン、皆とお友達に……」

 

「ッ!」

 

メロロンはとうとう閉ざしていた心の扉を完全に開こうとしており、なながそれに反応しようとした瞬間。

 

「クラヤミンダー!」

 

「「えっ(メロ)!?」」

 

いきなり二人のいる場所の近くの窓からクラヤミンダーの目が映ると外からクラヤミンダーが声を上げる。慌てて二人が図書館の外に出ると人々が逃げ惑っており、改めてクラヤミンダーの登場を認識。

 

「大変!止めなくちゃ!」

 

「でも、メロロン一人じゃ変身できないメロ……」

 

しかし、メロロンは一人での変身ができない。近くにプリルンか影人がいて、同時変身ならできるが……生憎プリルンはまだ到着前。影人はスラッシューが分断してしまっている。

 

「ふふっ、やっぱりスラッシューから聞いていた通りだね!」

 

「あれは、チョッキリーヌ!」

 

「随分と珍しい組み合わせだが、実質戦えるのはお前一人。クラヤミンダーはどうにもできないよ!」

 

するとそこにチョッキリーヌがクラヤミンダーの隣に来る形で二人の前に現れた。どうやら彼女もその弱点を認識しているらしい。

 

「どうしてあなたがそれを知ってるのメロ!」

 

「だから、スラッシューから聞いたって言ったでしょ!」

 

「メロ……そうだったのメロ……」

 

何しろ、以前プリルンがクラヤミンダー化した際に出てきた担当幹部は他ならないスラッシュー。チョッキリーヌが彼女へと情報共有をしたという事はまた逆も然りとなる。……そのため、メロロンが単体での変身が不可能だという事実もスラッシュー経由でチョッキリーヌへと知られてしまったのだ。

 

「なな、どうするメロ……」

 

「大丈夫!」

 

「メロ?」

 

メロロンが不安になっているとなながメロロンへと声をかける。それから彼女は優しい視線をメロロンへと向けると微笑んだ。

 

「メロロンは一人じゃ無い。……思い出して、プリルンがいなくて変身できなかったあの時……影人君が側にいるって信じたからメロロンは変身できた。だったら、私にもその代わりはできるはず。うたちゃんも、こころちゃんも……レイ君だって。メロロンのお友達は、沢山いるから!」

 

ななは影人からメロロンが一人で変身できないのは聞いていた。そして、同時に影人はある可能性を信じ、うた達にも含めて話していたのだ。それは、メロロンが真に心を許す事ができる人達が目の前にいなくても彼女の隣にいると信じられれば……メロロン一人でも変身できる事に繋がると。

 

“一緒なら見つけられる”

 

“Win-Winウインク”

 

メロロンはななに言われてその心に勇気が湧き上がってきた。そして、それは同時に彼女の側に皆がいると……絆は繋がっているのだと考える。

 

「メロ!なな、メロロン……やってみる!」

 

それからメロロンは己の力を信じ、勇気を持ってプリキュアの力を発現させようとする。その直後、メロロンの姿は光に包まれると人間態としての姿へと変わった。

 

そして、それはプリキュアへの変身するための変化であると気がつくとそのままメロロンは手にキラキラショータイムマイクを構える。

 

「プリキュア!ライトアップ!」

 

それからメロロンはプリキュアリボンを装填しつつカバーを回転。髪が変化するとマイクをタッチしつつ掛け声を叫ぶ。ポーズはメロロンが二人で変身している時と同じだ。ここから先も基本的には二人同時変身と動きは変わらない。

 

「キラキラショータイム!YEAH♪」

 

するとメロロンの体にワンピースが一気に出てくる形で展開。それからメロロンがクルクルとゆっくり回転しながらスカート周りに一際目立つ腰のローブの光が出てくる。そして、メロロンはえび反りを披露しつつローブが完全に具現化。ただ、二人の時と比べると正面から見て左側の空間が空くので少し寂しい形だ。

 

「キミと〜!YEAH♪」

 

それからメロロンの二回目のタップと共に両腕のグローブ、両脚のブーツが順番に出てくる。

 

「一緒に〜!YEAH♪」

 

更にメロロンが最後の掛け声と共に三回目のタップをする。ただ、本来は二人で手を繋ぐ場面のためその名残としてメロロンが左手を横に突き出してから一度腕を戻しつつ左斜め上に上げる動きはそのまま行っている。

 

その動作の後はメロロンへとリップ、イヤリング、髪飾りの黒いリボン、更に紫の髪のメッシュと次々と変化し、左の腰辺りにハートの錠前型化粧用コンパクトを装着。

 

最後に展開していたカバー部分を元に戻す形で変身を完了すると名乗ることになった。

 

「ハートをメロっとひとりじめ!キミと口づけ、キュアキッス!」

 

こうして、メロロンはキュアキッスへと単独での変身に成功。そして、それに合わせる形でななも変身した。

 

「プリキュア!ライトアップ!キラキラ!ドレスチェンジ!YEAH♪」

 

ななの掛け声と共に彼女もその姿をプリキュアへと変化。名乗る事になる。

 

「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」

 

それからウインクとキッスが降り立つとキッスの方は目を丸くしつつ、信じられないと言った様子で自身の手を見ていた。

 

「……本当に変身できた……」

 

「ふふっ、やったね」

 

「ッ……スラッシューの話と違う……いや、と言うよりは知らない間に変身できるようになっていた……の方が正しいのか。だが、それでもいつもより数が少ないのは変わらない!やっておしまい!」

 

「クラヤミンダー!」

 

すると、早速クラヤミンダーは自身の体の中に並べられた本を攻撃用のミサイルとして射出。それは勝手に開くとまるで飛行するための翼を展開したと言わんばかりに本が開いた形で突っ込んでくる。

 

「キッス、行こう!」

 

「ええ」

 

二人は左右に展開する形で移動。その直後に二人がいた場所に数冊が着弾して爆発。煙が舞う中で、キッスはクラヤミンダーから見て右手側から走っていく。

 

「避けても無駄だよ!」

 

その瞬間、着弾せずにまだ空中を飛んでいる本のミサイルはキッスと入れ違う形で通過するとそれはまるで意思があるかのように反転。キッスをターゲットにして追尾し始めた。

 

「キッス、後ろ!」

 

それに気がついたウインクは咄嗟に声をかけるとそれに合わせる形でキッスは跳び上がり、まさかの本の上へと着地。それをエアライダーのように少しだけその上に乗ったまま移動してから再度ジャンプ。空中からクラヤミンダーを見据える。

 

「本で……遊ばないで!」

 

キッスは本を取り扱う際のマナー違反だと言わんばかりにクラヤミンダーへと怒りの感情を込めた蹴りを叩き込む。

 

「クラァ!?」

 

クラヤミンダーはキッスのキックを受けると堪らず吹き飛ばされる。チョッキリーヌは吹き飛んでくるクラヤミンダーを見て舌打ちすると自身も上昇して回避した。

 

「チッ!だけど、まだまだ甘いよ!」

 

チョッキリーヌがそう言うとキッスは何かに気がつく。それは未だにどこにも着弾していなかった本のミサイルが一発だけ残っているという事だった。

 

「ッ、もう一冊あったの!?」

 

それは着地したばかりで回避行動が取りにくいキッスへとまっしぐらに向かっていく。

 

「(不味い……このままじゃ……)」

 

キッスは再度の回避行動を取ろうとするが、もう間に合わない。そのため、キッスの付近でそれは爆発すると煙が彼女の姿を覆ってしまうのだった。




また次回もお楽しみに。
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