キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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ちゃんと伝えるプリルンの気持ち それに答えるメロロンの本音

ソウルがスラッシューを吹き飛ばしてから図書館へと戻り始めた頃。そのタイミングでキッスがクラヤミンダーを蹴り飛ばしてから着地。ただ、見落としていた本のミサイルが自分の方へと迫ってきていた。

 

キッスはもう今からでは回避できないと考えて痛みに備えているとそこに人影が割って入ってくる。

 

「ウインクバリア!」

 

その言葉と共にキッスと飛んでくる本のミサイルの間に入ったウインクはキラキラマークのバリアを展開。クラヤミンダーからの本のミサイルを見事に止めた。

 

「ッ……どうして」

 

「さっきも言ったでしょ?キッスは……一人じゃ無いって!」

 

ウインクはキッスがピンチの時、彼女の事をしっかりとサポートするつもりだった。だからこそ今のようにキッスの窮地に対して、彼女を攻撃から守ったのである。

 

「足掻いた所で無駄だよ!お前達二人だけではこのクラヤミンダーは倒せない!」

 

「クラヤミンダー!」

 

すると倒れていたクラヤミンダーが起き上がり、早速体の中に蓄えられている本棚から本が何冊も飛び出すとそれがバリアを展開するウインクへと殺到する。

 

「ッ!くうっ……」

 

ウインクはどうにかバリアを保たせるために踏ん張るが、少しずつバリアにはヒビが入ってしまうと押し込まれてしまう。だが、ウインクの目はまだ諦めていなかった。

 

「確かに私達だけじゃクラヤミンダーを倒せないかもしれない。けど、だからって……ここで諦めるなんて事、やりたく無い!」

 

そんなウインクの目を見たキッスは彼女の気持ちが本気なのだと悟る。そして、それならばそんな彼女のために自分が今やるべき事を考えた。

 

「なるほど、いつもの諦めの悪さが出ているって所だね。だけど、幾ら諦めが悪いからって最終的にどうにかできるかは別問題だよ!」

 

「クラ!」

 

チョッキリーヌの言葉にクラヤミンダーは本のミサイルとして使った分の本を棚の中に補充。これにより、本のミサイルは後から幾らでも放つ事が可能だと察せられた。

 

「そんな……。このままじゃ……」

 

ウインクは流石に補充可能な攻撃をいつまでも凌ぐのは厳しいと考えると弱気になってしまう。ただ、その後ろからキッスが飛び出すと技を発動させた。

 

「チュッ!キッスショック!」

 

キッスが放ったハート型のエネルギー弾がクラヤミンダーに命中すると凄まじい電撃がクラヤミンダーを襲う。

 

「ンダアアアッ!?」

 

「キッス!」

 

「あなたが私の事を守ってくれるのなら、今度は私が守る。一人じゃなくて一緒にやる。……あなたがそう教えてくれたから」

 

キッスの顔つきは優しくなっており、少なくともトークショーの時のような冷たい目線では無い事が察せられた。

 

「うん、ありがとう」

 

「くっ、アイツらいつの間にあんなに仲良くなってるんだい!クラヤミンダー、お前も長々と寝ているんじゃ無いよ!」

 

チョッキリーヌが倒れているクラヤミンダーへと早く復帰するように声を上げる。それを受けて立ち上がったクラヤミンダー。

 

「クラヤミンダー!」

 

「やっぱりこの程度じゃやられないわね」

 

「うん」

 

「ソウルがまだ戻って来ないし、最悪クラヤミンダーを抵抗できないくらい弱らせてからウインクに浄化してもらった方が良いのかしら」

 

キッスはこのままではクラヤミンダーと消耗戦になり、ダメージを与えられても安定して浄化にまで持っていけないのは危険だと感じていた。そのためか、無理矢理にでもウインクが浄化できる圏内にクラヤミンダーを弱らせる手を考える。そんな時だった。……どこかから走ってくる音が聞こえてきたのは。

 

「うん?何だい?この音は……」

 

「もしかして……」

 

一同がその音がする方向を向くとそこにはスラッシューを振り切ってこの場に駆けつけてきた男……キュアソウルが現れており、彼は踏み込むと跳び上がる。

 

「だああっ!」

 

ソウルは完全に棒立ち状態だったクラヤミンダーへと拳を叩き込み、その体を吹き飛ばしてしまう。

 

「クラァアア!?」

 

クラヤミンダーがそのあまりのパワーに吹き飛ばされるとまた倒れ込んでしまう。それ程までにソウルにはパワーがあった。

 

「なっ!?何でお前がここに……まさか、スラッシューを……」

 

「ああ、振り切ってきた」

 

その言葉にチョッキリーヌは悔しそうにする。折角クラヤミンダー相手に有効打が無い二人を相手にしていたのにこのままでは一気に状況は不利に傾いてしまうと感じたのだ。

 

「お兄様……」

 

「キッス……。そっか、ウインクが上手く対処してくれたんだな」

 

ソウルは改めて状況を見るとウインクとキッスが並び立っていて、キッスが敵対心を全く振り撒いてない所からウインクが上手くキッスを説得してくれたのだと察する。

 

「うん。それに、キッスが一人で変身できるようになったんだ」

 

「ああ、そうみたいだね。……キッス、頑張ったな」

 

ソウルが優しくキッスに話すとキッスは小さく頷く。するとチョッキリーヌが声を上げる。

 

「ふん、スラッシューを倒したからって調子に乗らない事だね!クラヤミンダー、この際だ。キュアソウルも纏めて片付けてしまうんだよ!」

 

「クゥウラ!」

 

クラヤミンダーは立ち上がると先程ソウルに半ば不意打ちされてしまった分と言わんばかりに本のミサイルを放つ。

 

「効かないぜ。キッスの力、ソウルディフェンダー!」

 

ただ、ソウルの鉄壁の防御力を相手に半端な攻撃は意味を成さない。ソウルを追尾するように放たれた本はソウルディフェンダーで全て防がれてしまう。

 

「キーッ!だったらフルパワーだよ!クラヤミンダー!ありったけの手数でキュアソウルを……」

 

「させないよ!」

 

「……へ?」

 

チョッキリーヌはクラヤミンダーへとソウルへのフルパワー攻撃を指示するが、その言葉を遮ると言わんばかりに声が響くとそこに二つの影が一直線に向かってくる。

 

「「はぁああっ!」」

 

その影の正体はグリッターの方から駆けつけたアイドルとキュンキュンであった。二人は既に変身しており、ソウルのカバーに入ったのである。

 

「アイドル!キュンキュン!」

 

ウインクは頼もしい味方の参戦に嬉しそうな声を上げるとアイドルとキュンキュンが三人に向き合うと声をかけた。

 

「ウインク、キッス、ソウル。お待たせ!」

 

「あ、でもクラヤミンダーだけでしたら割と余裕な感じでした?」

 

「いや、それでも来てくれた方が嬉しいから助かるよ」

 

キュンキュンからの問いにソウルは優しく返しているとそこに何故か変身前の状態のプリルンもやってきた。

 

「プリルンも一緒プリ!って、プリ〜!メロロンが変身してるプリ!」

 

プリルンはメロロンが先にキッスが変身していた事実に驚く。ただ、それ自体はそこまで悪い事象では無いために嬉しそうな声色である。するとウインクはプリルンが変身していない事に疑問符を浮かべた。

 

「あれ?そういえば、プリルンは何で変身してないの?」

 

「レイ君がもしかしたら、メロロンが影人君と一緒に変身できてないかもって予想してて。そうなったらプリルンは現地でメロロンと一緒に変身するのが良いのかなって」

 

レイは最悪の事態を想定し、メロロンがもし変身できていなかった時のパターンも考えてプリルンの変身をお預けにしておいたのだ。ただ、今回はウインクことななのおかげでキッスことメロロンが無事に単独で変身していたために結果論としてこの備えは無意味ではあったが。

 

「ッ……お姉様」

 

するとキッスは気不味いのか俯いてしまう。何しろ、先程は苛立っていたとはいえついプリルン相手に言い過ぎてしまったのだ。まだそれが解決できてないために中々プリルンと顔を合わせづらいのである。

 

「とにかく、プリルンも行くプリ!」

 

そんなキッスの気持ちはさておき、キッスが既に変身済みならプリルンはこれ以上、この戦いの場で妖精態でいる理由が無くなったために変身する事に。

 

その直後、プリルンの姿が人間態へ。それと同時にキラキラショータイムマイクが生成されるとプリキュアリボンを装填する。

 

「プリキュア!ライトアップ!」

 

プリルンがカバーを回転させると髪が変化。メロロンと二人同時変身の時と同じような形でポーズを取り変身。ここから先はメロロンの一人変身と同様に、あくまで二人同時の時と変わらない。

 

「キラキラ!ショータイム!YEAH♪」

 

すると、プリルンの体にワンピースが一気に出てくる形で展開。それからプリルンがクルクルとゆっくり回転しながらスカート周りに一際目立つ腰のローブの光が出てくる。そして、プリルンがえび反りを披露しつつローブが完全に具現化。ただ、やはり一人での変身だと二人の時と比べて正面から見て右側の空間が空いてしまう。これは勿論メロロンがいない分の隙間だ。

 

「キミと〜!YEAH♪」

 

それからプリルンの二回目のタップと共に両腕のグローブ、両脚のブーツが順番に出てくる。

 

「一緒に〜!YEAH♪」

 

更にプリルンが最後の掛け声と共に三回目のタップをする。ただ、ここはメロロン一人の時と同様で本来は二人で手を繋ぐ場面。そのため、その名残としてプリルンが右手を横に突き出してから一度腕を戻しつつ右斜め上に上げる動きはそのまま行っている。

 

その動作の後はプリルンへとリップ、イヤリング、そしてプリルンの耳を模したリボン。更に髪をなぞるようにしてピンクのメッシュが入る。そのまま右の腰辺りに鍵の化粧用コンパクトを装着。

 

最後に展開していたカバー部分を元に戻す形で変身を完了すると名乗ることになった。

 

「ハートをプリッとロックオン!キミとズッキュン、キュアズキューン!」

 

こうして、プリルンはキュアズキューンへと単独で変身。やはりプリルンの方は無条件で最初から単独変身可能なのでこういう時に融通が効くのだろう。

 

「……ンダ」

 

クラヤミンダーの方はプリルンが変身している間にもう既に立っていた。それはさておき、プリルン改めキュアズキューンはキッスの方を向くと話しかける。

 

「キッス」

 

「……お姉様」

 

キッスは彼女からの視線にやはり顔を合わせづらそうにしていた。それでもズキューンはお構い無く話をする。

 

「キッス、私はどこにも行かない。どんな時だって、キッスが絶対……大好き!」

 

「ッ……」

 

ズキューンからの言葉を聞いてキッスは目を見開くと思わずズキューンの方を向く。

 

そして、そんなやり取りを邪魔しないように四人は遠目で見ながら二人の仲直りが上手くいきそうな事にホッとした顔つきになる。

 

「キッス……」

 

「やれやれ、やっと仲直りしてくれたか」

 

「……やっぱり、ソウルにはいつも頼りっぱなしですね」

 

そんな中でキュンキュンはソウルへと呟くとソウルはそんな彼女にそこまで気にして無いと言わんばかりに彼女の手を優しく取って安心させる。

 

その直後、チョッキリーヌは自分が放置されてしまった事に流石に苛立つと声を荒げた。

 

「ズキューンキッス!こうなったら、纏めてやっておしまい!」

 

「クラヤミ!」

 

するとクラヤミンダーはズキューンとキッスの二人をターゲットにすると本のミサイルを射出。ズキューンはそれを見てすかさずコンパクトを手に取ってアイカラーを塗る。

 

「ズキューンバズーカー!」

 

ズキューンが放った強力なエネルギー砲はその一撃で飛んできた本を全滅させるとキッスの手を取って走り出す。

 

「キッス!」

 

「えっ、お姉様!?」

 

いきなり連れられた事にキッスは困惑するが、そんな彼女へとズキューンが改めて声をかける。それは、ズキューンがキッス相手にずっと言ってこなかった事だった。

 

「今までちゃんと言ってなくてごめん!ずっと私の側にいて!キッス!」

 

「お姉様……」

 

今回の件でズキューンことプリルンは幼い心ながらもちゃんと考え、結論を出した。キッスことメロロンが今回怒ってしまったのは、自分がうたとばかり関わっている所を見せつけたためにメロロンに不安を抱かせてしまったからだと。

 

自分はずっとメロロンと友達でいるつもりだとしても、それをメロロン相手に言ったことは一度も無かった。だから今回誤解されてしまったと、プリルンは考えたのだ。

 

「私はアイドルと、うた達と友達でいたい。でもそれと同じくらい、キッスと、メロロンとも友達でいたいの!私が話さなかったせいで、キッスには一人なってしまうかもって思わせちゃった。だから今度はちゃんと伝える。いつもありがとうって!」

 

ズキューンはキッスへと自分の気持ちを伝えた。その言葉を聞いたキッスは自分が一人では無いのだと改めて実感。そして、ズキューンからの気持ちに答えを返す。

 

「お姉様、私も……私も同じ気持ち。私はお姉様と……皆と友達でいたい!」

 

「本当!?……じゃあ、私達、同じ気持ちだね!」

 

ズキューンが微笑むとキッスも微笑み返す。するとクラヤミンダーが向かってきた。

 

「クラヤミンダー!」

 

「行くよキッス!」

 

「はい!」

 

二人は跳び上がるとダブルパンチという形で一緒にクラヤミンダーへと拳を突き出す。

 

「「プリキュア、ダブルパンチ!」」

 

「ンダァ!?」

 

「一気に行きましょう!お姉様!」

 

「うん!」

 

二人は着地するとクラヤミンダーへとトドメを決めようとする。このまま行けば、クラヤミンダー相手に勝利できる……そんな時だった。ソウルの胸の中に“ドクン”という高鳴りが響く。

 

「うっ……何だ……。この感覚……」

 

そして、同時にソウルの視界が一瞬だけ暗転すると闇の気配を察知。気がついた時には彼はソウルディフェンダーを持ったまま飛び出していた。

 

「ズキューン、キッス!後ろだ!」

 

「「えっ!?」」

 

次の瞬間、ズキューンとキッスの背後から強力な炎のエネルギーボールが飛んでくる。

 

「はあっ!」

 

そして、ソウルは咄嗟にソウルディフェンダーで受け止めた。ただ、彼は少しずつそのパワーに押し込まれると再度胸の高鳴りが鳴り出していく。しかも今度はその高鳴りに痛みが伴ってしまう。

 

「うっ!?くうっ……何で……こんな……時に……うぐ……うあああっ!」

 

ソウルが声を上げた瞬間、そのエネルギーボールは爆発。その直後、ソウルの体からバイオレットのオーラが出ると同時にそのオーラは闇を表すかのように禍々しく染まってしまう。

 

「ソウル!?そんな、どうして!」

 

「お兄様!?お兄様、しっかりしてください!」

 

ソウルは火炎弾のダメージと胸の痛みでその場に崩れ落ちると手を地面に着けて痛みに悶えてしまうのだった。




また次回もお楽しみに。
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