キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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新年、あけましておめでとうございます。今回は2026年最初の投稿となりますね。今回からアニメ30話の中身になるわけですが、やはり話の流れ的にシリアススタートです。

今年はこの作品を完結できたらなと思いつつ頑張っていこうと思いますね。それでは今年もよろしくお願いします。


落ち込んでしまう心 ななの気遣い

ハートキラリロックがいきなり出てきたかと思えばその力によって封印されてしまった影人とメロロン。その光景を見てこころやプリルンは二人が封印されたカプセルに必死に話しかけていた。

 

「メロロン!メロロン!メロロン!メロロン!」

 

「カゲ君、カゲ君!聞こえるなら返事をしてくださいよ……カゲ君!」

 

こころもプリルンもいきなり大切な人が閉じ込められる形で封印されてしまったために気持ちの整理が付かない。そして、いきなり起きてしまった非常事態にうたやななも放心状態で呟く。

 

「何、今の……」

 

「影人君とメロロンが……カプセルの中に」

 

「何でこんな事になるんですか……カゲ君はやっと自分のキラキラを取り戻せたのに。やっとカゲ君が救われたのに……こんなの無いですよ」

 

こころは信じられないと言わんばかりに呟くとこの辛い現実から逃れたいとような雰囲気だった。

 

するとそこに空が晴れた事で戦いが終わった事を察したレイが到着。ただ、そこに広がっている光景に思わず息を呑んでしまう。

 

「ッ……何だこの二つのカプセル。それに影人とメロロンがいないって事は……」

 

「あっ、レイ君!」

 

「実は……」

 

レイはうたやななから事情を聞くとまた驚きを隠せない様子だったが、カプセルの元で嗚咽を漏らしながら啜り泣くこころやメロロンを心配して未だに呼びかけているプリルンの姿に事実だと認めざるを得なかった。

 

「これは、非常事態どころじゃ済まないな」

 

それからふとレイはメロロンが閉じ込められているカプセルの方を見るとそこに何かの紋章が浮かんでいる事に気がつく。

 

「プリルン、少し見せてくれ」

 

「プリ……。わかったプリ」

 

「……ッ、これ。確か伝説のハートキラリロックじゃないか?」

 

レイがプリルンから受け取る形でメロロンの方のカプセルを手に取るとその紋章がハートキラリロックその物であると指摘。

 

「あっ、確かそれって……プリルンの時もあったどんな願いも叶える代わりにその人の一番大切な物を封印しなければならないっていう」

 

「……プリルン達はこれを使ってプリキュアになったプリ……」

 

「だからプリルンは私との想い出を封印して、私達の事を忘れちゃったんだよね」

 

以前プリルンはプリキュアになりたての頃。ハートキラリロックにうたとの記憶を封印した影響でキュアアイドルの事のみを除き、はなみちタウンに来てからのうたとの想い出を全て記憶から無くしてしまった。

 

「プリ……」

 

「……そういえば、私達は誰も知らないよね?メロロンが封印した物が何なのか」

 

その言葉を聞いて一同は目を見開く。このタイミングでようやくこころも一通り泣き終わったのか、話を聞く事はしていた。

 

「確かにな。言われてみると、メロロンはその一番必要な事を俺達に共有してくれてなかった。……何か言えない事情があったのか……」

 

「あのさ、もしかするとだけど」

 

レイが考えているとうたは先程のメロロンの反応を見てある違和感を感じていた。そして、彼女はその違和感について話してみる事に。

 

「メロロンの封印した物……メロロン本人もわからないんじゃないのかな?」

 

「え?でも流石に封印した物は封印の際に頭の中に浮かべるだろ?」

 

「プリ。プリルンもちゃんとうたとの想い出を封印するつもりでハートキラリロックを使ったプリ」

 

プリルンはそうだろう。実際、プリルンの場合はちゃんとうたとの想い出が封印されていたために彼女は記憶喪失状態に陥ってしまった。

 

「あっ、言われてみたら確かにそうかも」

 

「なな?」

 

「えっと、さっきメロロンが封印された時。自分で大切な物をわかっている割にはかなり動揺していたと言えば良いのかな。まるで封印されていたのは自分の思っていた物とは違うみたいな反応をしてて」

 

メロロンは先程、ハートキラリロックの中に封印されてしまう寸前に何故このタイミングで封印が発動するのか。……まるで訳がわからないと言わんばかりの反応を見せていた。つまり、メロロン本人も自分が封印されてしまったトリガーがわかってなかった可能性が高い。

 

「メロロン本人も要因がわかってない……か」

 

レイは流石に封印のための契約をした本人さえもその条件が分かってないのだとしたら彼女が何故封印されてしまったのかを知る事はできないと考えるが、そのタイミングで彼の脳裏にある事が浮かぶ。

 

「だとしたら、あとは知ってそうな人は一人だけだな」

 

「えっ……そんな人いたっけ」

 

「プリ!そうプリ、女王様プリ!」

 

プリルンは女王様ことピカリーネならメロロンが封印した何かをちゃんと認識しているだろうと声を上げる。

 

「その手があったね!じゃあさっそ……」

 

「いや……。その話は一旦明日にしよう」

 

レイはそう一同へと提案した。うた達はその言葉に疑問符を浮かべるとそのタイミングではなみちタウン全体に響き渡るようにチャイムが鳴り響く。それは、午後五時を示す合図でもあった。加えて太陽も西へと傾いている状態であり、今からでは長々と話ができるような時間帯では無かったのだ。

 

「もうこんな時間……」

 

「ひとまず、影人とメロロンが閉じ込められたカプセルは出張所で預かる事にする。田中さん経由でカッティンとザックリンに話を通して持って行ってもらう」

 

「ッ……そんな、私……カゲ君と……」

 

「こころ、心配なのはわかるけど……お前は家に帰らないといけない。親御さんを心配させるわけにはいかないからな」

 

レイからの言葉にこころは俯くと小さく頷く形で了承。彼女は恋人で彼氏の影人が暗闇に閉じ込められてしまったとちゃんと認識しており、それなら尚更彼の側にいたかった。しかし、家にあのカプセルを持ち帰るわけにはいかない。下手にあのカプセルを弄ったりすると中にいるであろう二人にどんな危険が迫るかわからないからだ。

 

「わかり……ました」

 

「こころちゃん……大丈夫、影人君を信じよ」

 

「はい……でも、でも心細いですよ……。カゲ君がこんな風になってしまって……」

 

そして、レイはこころの方をどうにかすると今度はプリルンの方をどうにかするべきと考えてうたへと話しかける。

 

「咲良さん」

 

「何?」

 

「今日はひとまずプリルンを任せても良いか?プリルンもメロロンがいなくなって心細いはずだ。だから、プリルンの心の支えになってあげてほしい」

 

「ッ……うん。任せて!」

 

「プリルンもそれで構わないな?」

 

「プリ……。わかったプリ」

 

プリルンもこころ同様にメロロンの側に居たそうな顔をしていたが、今は彼女にも精神的な支えが必要な時間帯だ。まだプリルンは精神的に幼いし、そういう時に隣にいる大切な人がいなくなってしまえばそれが心に大きな傷として残りかねない。

 

それに、メロロンの側に置いておくとプリルンは彼女を助ける事を理由に何をしでかすかわからないために今はプリルンをメロロンから物理的に離すのが効果的だと判断したのだ。

 

「レイ君はどうするの?」

 

「俺は田中さんや姫野さんと一緒にどうにか助け出す手が無いかこのカプセルを調べてみる。ただ、プリルンの時と同じでハートキラリロックの封印による事象だから助けられる可能性はほぼ0だと思っててくれ」

 

それを聞いてうた、ななは頷くとこころもかなりやつれたような顔つきだったが頷く。

 

「……ねえ、レイ君」

 

「なな、どうしたんだ?」

 

「パパが良いって言ったらになるけど、こころちゃんとあと夢乃ちゃんの面倒を見るの……私に任せてもらっても良いかな」

 

それは影人がいなくなって精神的にかなり来ているこころ。そして、後からこの事実を知った夢乃辺りを一人にしないようにするための配慮だった。

 

勿論二人には家族がいるから厳密には一人では無い。しかし、二人の家族はプリキュアの活動を知らないので落ち込んでしまった二人の支えになるのは厳しいだろう。だからこそななは自分にできる事をやりたかった。

 

「……わかった。ななの親御さんが大丈夫って話ならその方向にしよう。二人の両親にはななの家に参加可能な皆でお泊まりすると伝える形で」

 

レイはななの提案を承諾。彼女の言う通り、今二人をバラバラにしておくのは精神的にも危険だという判断である。

 

「それじゃあ、俺は田中さん達の方に行く。咲良さん、なな。三人を頼むぞ」

 

「うん」

 

「任せて」

 

それから一同はあまり喋ると時間がどんどん遅くなるので一度解散する事に。うたはプリルンを連れて家に戻って行き、ななはまずこころを彼女の家に送り届けつつ父親にお泊まりの許可をもらう事にした。

 

同時並行して夢乃の方に影人の現状を伝えて今日は友達の家に泊まるという話を影人の両親に通す事になる。それから暫く時間が経ち、ななの家では彼女の部屋に未だに放心状態に近いこころとお泊まりのための荷物を持ってきた夢乃がいた。

 

「夢乃ちゃん、また苦労をかけてごめんね」

 

「いえ、私自身は大丈夫です。……でも、正直まだ今回の事を受け入れられてません。お兄ちゃんがまたプリキュアの事で帰って来られなくなって」

 

夢乃にとって影人がプリキュア関連の事で夜になっても家に帰って来られない事情があったのはもう二度目だ。今回もまた急な出来事に困惑を隠せないのである。

 

「影人君の事だからきっと大丈夫。だから……」

 

「はい、私は兄を信じてます。きっと、今度もまたすぐに戻ってきてくれるって……。ただ……」

 

それから夢乃が視線を送るとその先には酷く落ち込んだ顔のこころが俯いた顔つきで座っていた。

 

「この感じだとこころ先輩……相当ショックだったんですよね」

 

「うん。こころちゃん、さっきからずっとこんな感じで」

 

二人がこころの事を心配していると当のこころはずっと話さないのは心配ばかりかけてしまうと思ったのか、二人へと自分の気持ちを話す事にした。

 

「……私、カゲ君の彼女として相応しい人になりたいって思ってたんです」

 

「こころ先輩?」

 

「カゲ君は私に沢山優しくしてくれて、私が困ってる時は一番に助けてくれて。私の事を優先的に考えてくれてたんです。……だからカゲ君が困ってたら私が助けたい。それがカゲ君にずっと守られてきた私がカゲ君に返せる事だと思ってたんですよ。でも……」

 

こころは先程の状況を脳裏に浮かべる。影人が足元から飛び出した闇に捕まった挙げ句、その中に取り込まれてしまう瞬間。……影人はこころに助けを求める視線を向けた。そして、こころはすぐに反応できれば闇に呑まれる影人を助けられる距離にいたのだ。

 

「なのに私は……メロロンが捕まった事に気を取られて、カゲ君が呑み込まれてる様子に一瞬唖然として。真っ先に助けるための手を伸ばすべきだったのに反応が遅れてしまったんです……」

 

その一手の遅れが原因で影人はこころの手を取れなかった。つまり、こころは影人を見殺しにしたのも同じだ。責任感の強いこころはその事で相当気に病んでしまったのである。

 

「こころ先輩、お兄ちゃんは先輩の事を恨んでなんか……」

 

「そんなのわかってますよ!そんな事わかってるから辛いんです……。結局私はカゲ君の優しさに甘えてるだけだって!」

 

こころは悔しい気持ちが抑えきれずに思わず声を荒げてしまう。それから彼女はここが他人の家だと思い出すと慌てて謝る。

 

「あっ……すみません」

 

それからすこしの間気不味い空気が流れる中でななはそっとこころの手を繋ぐ。

 

「なな先輩……」

 

「こころちゃん。影人君の事が大好きなんだね」

 

「え、えぇ……」

 

「それだけこころちゃんに想って貰えるなんて、影人君はきっと幸せ者だよ」

 

ななは荒んでしまったこころの心境を少しでも落ち着けるためにそっと寄り添うように話しかける。

 

「ですが……」

 

「……こころ先輩」

 

すると夢乃はこころへと向き合うと彼女は真剣な顔つきで話をする事にした。

 

「夢乃ちゃん……」

 

「……先輩」

 

「こころ先輩、お兄ちゃんは囚われる時なんて言ってたんですか?」

 

「なん……て?」

 

こころは夢乃から問われて少し考える。それは影人が捕まる時になんて言っていたかだ。

 

「“信じてるぞ……絶対助けてくれる……”あっ!」

 

「先輩、その上で一言言わせてください。……お兄ちゃんの信頼を裏切らないで!」

 

こころは夢乃からそう強めの口調で言われて息を呑む。影人の最後の言葉を言う時も自分を信じてくれていた。それなのに今自分がやっているのは自分の弱さから目を逸らし、逃げている行為である。

 

そんなの影人が望んでいる事じゃ無いぐらい、少し考えればすぐにわかる事だ。

 

「私にはお兄ちゃんを助ける事ができません。……その力もありませんし。でも、こころ先輩は違うじゃないですか。助けられるだけの力があるのに……兄に信頼されてるのに……。もし恋人としての責任を先輩が気にしてるのでしたら、困っている兄を助ける事でその責任を果たしてほしいです」

 

こころは夢乃からガツンと言われてようやく目が覚めた。確かに今の自分にできる事は先程の状況を後悔する事でも、その責任から逃れる事でもない。少しの間、後悔で立ち止まるくらいならまだ良いだろう。しかし、その間も影人は希望を捨てずに待ってくれているはずだ。

 

だとしたら、今のこころがやるのはいつまでも囚われてしまった事を後悔する事では無い。夢乃はそう教えてくれた。それを聞いてこころは涙で酷い顔になっていたために、まずは涙を拭く。

 

「夢乃ちゃん……ありがとうございます。私……カゲ君の彼女として、頑張りたいです」

 

「はい……。私の分も……お願いします」

 

夢乃はこころへと頭を下げる中、その声は震えていた。恐らく、夢乃も先程までのこころと同じような気持ちなのだ。それでも彼女は今にも自分の気持ちを吐き出すのを我慢してこころを励ましたのである。するとそんな夢乃の頭にそっとななが手を置いた。

 

「なな先輩……」

 

「夢乃ちゃん。……夢乃ちゃんは、我慢しなくて良いんだよ」

 

「えっ……」

 

「私達から見たら、今の夢乃ちゃんも見てられない。凄い悲しそうな顔をしてる。そういう時は、少しくらい吐き出しても良いんだよ。

 

ななはそう言って優しく話す。夢乃も夢乃で恋人のこころの精神を支える気持ちでいっぱいだったのか、自分だって今にも気持ちを吐露したかったのに我慢していた。

 

「……あ……あぁ」

 

そして、その状態で我慢の枷を解いたら……夢乃の心はあっという間に溢れ出すのは当然だった。

 

「うぁああああっ!」

 

夢乃はななへと抱きつくと今まで溜めていた分を吐き出すかのように感情を爆発させる。幾ら大人っぽいとは言っても彼女はまだ小学生。こういう時の気持ちの爆発は年相応の反応だった。

 

こうして、こころと夢乃はななの家にお泊まりした。その中で影人を助ける話し合いをするためにまずは今の内に自分の中に溜まった気持ちをぶつけて心を落ち着かせる事になる。




また次回もお楽しみに。
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