キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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助けたい想い 闇の力で生まれた怪物

それから少しして。はなみちタウンの高台にあるハートの木の辺りでの事。影人とメロロンが封印されてしまった経緯を聞いたうたとプリルンはハートの木の正面にあるベンチで座りつつカプセルに閉じ込められてしまったメロロンを心配していた。

 

「メロロン!聞こえるプリー?プリルンが絶対助けるプリ!待っててプリ!」

 

「プリルンだけじゃ無いよ!私達も一緒だよ!」

 

うたやプリルンはメロロンに少しでも自分達が助けに行くという気持ちを伝えるためにカプセルの外側から声をかける。

 

「うた……!」

 

「ふふっ!」

 

「……メロロンは寂しがりやさんだから、きっと一人で寂しがってるプリ!だから早く助けてあげたいプリ!」

 

プリルンはメロロンを助けたいという気持ちでいっぱいであり、そしてそれはうただって同じだ。彼女はプリルンの言葉に頷くと自分が今抱いているカプセルをそっと優しく抱き締めるとその中にいるメロロンへと語りかけた。

 

「うん。今まではメロロンにとって自分の事をわかってくれてて、信頼できる存在はプリルンと影人君だけだった所があったから。今度は私達も一緒に側へと寄り添えるような存在でありたい」

 

うたは今までメロロンに寄り添えてなかった分、今度はちゃんと彼女に向き合いたいと思っていた。勿論うたは影人みたいに相手の気持ちを汲み取って適切な距離感を保つみたいな器用な事は難しいだろう。だが、それはあくまで影人のやり方でしか無い。当然うたにはうたのやり方がある。

 

「私は私のやり方で、メロロンをキラッキランランにしたい。だから……メロロンは一人じゃ無いよっていう私達の気持ち。……ちゃんと届いていると良いね」

 

「……プリ!」

 

うたからの言葉にプリルンも同意すると彼女もそっとメロロンが閉じ込められているカプセルを抱きしめる。

 

「……昨日の影人もキラキラしてて、とっても眩しかったプリ。プリルン、キラキラしてる影人の事も助けたいプリ」

 

「うん、勿論だよ。メロロンだけじゃなくて影人君の事も助けたい。……影人君、初めて会った時はあんなに暗かったのに。ここ最近少しずつキラキラしてきて。折角キラッキランランになれたんだからそんな影人になってほしい。あの瞬間だけのキラキラにしたらきっとダメだと思うから」

 

うた達はメロロンの事に続けて影人の事も救いたいと考え、囚われてしまった二人の事を気遣う事になる。

 

その頃出張所に残っていたななとこころは自分達の近くに影人が閉じ込められてしまっているカプセルを置いた状態でとある本を読んでいた。

 

「なな先輩、どうしてこの本を読む事にしたんですか?」

 

二人が読んでいるのは先程メロロンがハートキラリロックの封印の力でカプセルの中に囚われてしまう前まで彼女が持っていた本である“キズナのリボン”である。

 

「……実は、メロロンがハートキラリロックの中に閉じ込められちゃう直前までこの本を持ってて。もしかしたらこの本を読めば、何か手がかりがあるかもしれないって……そう思ったんだ」

 

「そうなんですね……」

 

ただ、あくまでこの本はメロロンがハートキラリロックに封印される前まで偶々彼女が持っていただけに過ぎない。しかも、その時はまだメロロン自身が封印のために捧げた物を勘違いしていた。

 

だから二人を助けるヒントとしてはどうしても弱くなってしまうだろう。それでも、ななは二人を助けたい一心でこの本を読む事に決めた。

 

「……カゲ先輩は、メロロンの気持ちには気がついていたんですかね」

 

「ん?」

 

こころは落ち込んだような顔つきで影人の事を話す。それは、彼がメロロンの気持ちをわかっていたのかという事についてだ。

 

「カゲ先輩の事だからメロロンが友達という単語を恐れているというのは多分わかってたと思うんですけど、メロロンの葛藤とかもちゃんとわかっててそういう距離感を保ってたのかなって」

 

思えば、影人はメロロン相手には割と距離感を慎重に見極めていた所があった。うたやプリルンなら無条件にズカズカと近づこうとしたメロロンの心情に対し、彼はすぐには近づかず。ちゃんと距離を取るとあくまでメロロンのペースで距離を近づけてく事が多かった。

 

「……私はメロロンがキュアキッスになりたての頃。彼女の立場になってたのにメロロン相手に嫉妬ばかりしてて。メロロンだって苦しかったのに、ちゃんとその気持ちを考えて無かったって思っちゃうんです」

 

こころはメロロン相手に嫉妬の感情を抱いてしまった自分を責めている様子だった。自分はメロロンがキュアキッスになった時どころか、初めてはなみちタウンで会ったあの瞬間からずっと影人の彼女として側にいて。

 

メロロンが影人と仲良くしている姿を嫉妬するのでは無く、もっと広い心で受け入れてあげられればと後悔に駆られたのである。勿論、キッス覚醒時にメロロンが影人相手に最初にやった行為。投げキッスによる洗脳に近いものが無ければもう少しマシだったかもしれないが……その後を考えれば結果的にこころはメロロンへと嫉妬をするのは時間の問題だっただろう。

 

「こころちゃんの気持ち……私にもわかるよ」

 

「えっ!?」

 

するとなながそんなこころへと優しく話しかける。いきなりそんな事を言われて困惑するこころだったが、そんな中でななはある事を言い出した。

 

「実は、私も少しだけそういう気持ちになっちゃってるんだ。レイ君と他の子が話してると」

 

「あっ……」

 

「勿論そんなに言うほど気になるものじゃないんだよ?だけど、ちょっと前までこころちゃんやメロロンがどうして他人に嫉妬の感情をを向けちゃうんだろうって思う時が今まで沢山あってさ」

 

ななはそう言いつつ、自身の彼氏のレイの事を考える。レイは影人とは違い、他人との交流には積極的な方だ。影人は他人から近寄られた事で友達が増えるパターンが多いのに対し、レイは自分から近づいて友達を増やすパターンも多い。

 

「ほら、レイ君って将来実家の会社で働くでしょ?だから沢山の人と交流する練習って言って関係を作る事が多いから」

 

「あっ、だから必然的に沢山の人と関わっちゃうんですよね」

 

レイの場合は他人と接する時の会話術を磨くという目的があるため、将来の事も見据えた予行演習という開く浅い交友関係になりがちだから影人のそれとは大きく意味も異なる。……とはいえ、彼女のななからしてみれば自分以外の人と接する時間も多いレイの事を見ているとメロロン程では無いが嫉妬の気持ちも湧いてしまうのだろう。

 

「少しくらい私にも構ってほしいな……って思う時も出てきてやっとわかったんだ。他人に嫉妬しちゃうってこういう事だって」

 

そんな風に話すななは嫉妬の感情を学べた事が少し嬉しそうな顔をしていた。半年前まで狭い世界でしか周りが見えてなかった分、また自分の世界が広がった事が嬉しいのだろう。

 

「だからなんて言えば良いのかな……。嫉妬自体は別に悪い感情じゃないって事を言いたいの。行き過ぎた嫉妬はダメかもしれないけど、ちょっと思っちゃうくらいなら何も悪い事じゃ無い。逆に、それがわかったのならメロロンの気持ちも理解できるようになったって事だから」

 

ななはあくまで今回の失敗も前向きに捉えるべき。そんな話し方をする事でこころの事を励ました。こころにだって嫉妬の感情が湧くのは当たり前。だからそれを悔やむのでは無く活かしてほしい。それがななからの結論だった。

 

「なな先輩……励ましてもらってありがとうございます」

 

「うん。それじゃあこころちゃん。影人君とメロロンを助けるためにもこの本を読も!」

 

「はい!」

 

二人はやり取りを終えるとメロロンが残してくれた本である“キズナのリボン”を読み進める事になる。

 

それから少しして。はなみちタウンに伝わるハートキラリロックの伝説を元にしたハート型のモニュメントのある場所が近くにある上空。そこにはジョギがおり、彼が街の様子を見ていた。

 

「眩しい街だね。……相変わらず」

 

そんな時、ジョギはどこからともなく飛んできたハートの木の花びらと思われる桜の花びらが手に収まった。

 

「……でも、光の中にも闇がある」

 

ジョギは小さく呟きつつ手のひらに乗った桜の花びらを握りつぶす。するとそんな彼にスラッシューが声をかけた。

 

「ジョギ」

 

「スラッシュー様っすか。何です?」

 

「折角のお前の初舞台を見届けようと思ってね」

 

「別にそういう気遣いとかは良いんですけど?」

 

どうやらスラッシューは自分の部下が初めて出撃するという事でそれを助けに来たらしい。

 

「いいえ、気遣いで来てるわけじゃ無いわ。ただ私が勝手に出てるだけよ」

 

「ふーん。まぁ、別に構わないっすけど」

 

ジョギはスラッシューが来るのはもう止められないと考えたのか一応その動きを容認する事にした。

 

「それで、あなたはキラキラをどうやって探すのかしら?」

 

「あー、それなんすけど。俺の場合は違うっつーか。キラキラじゃないんです」

 

「ん?」

 

ジョギからの言葉にスラッシューは首を傾げる。クラヤミンダーの素体にするためには人々のキラキラが必要になるため、スラッシューはジョギへと聞いた。ただ、ジョギの場合必要になるのはキラキラでは無い。

 

「まぁ見ててくださいよ」

 

ジョギは上空を移動しつつ彼が視線を眼下に映すと街中にある一際目立つ闇の気配を感じた。

 

「……む?何やら相当強い闇の気配を感じるね」

 

「闇の……気配?」

 

それからジョギがその場所に行くとそこには街中にあるベンチに座って溜め息を吐く少女がいる。彼女は両手を頭に置くような仕草をしつつ頭を悩ませていた。

 

「はぁ……。お兄ちゃん……メロちゃん……。無事だと良いんだけど」

 

そこにいた少女というのはまさかの影人の妹こと夢乃であった。街中にいる彼女の目は不安に満ちており、俯いていてしまっている。

 

「お父さんやお母さんにこの事を言うわけにはいかないし、こういう時に私……本当に役立たずだな」

 

夢乃は自分だってプリキュアの関係者なのに何もできない自分に嫌気が差しており、それが彼女自身の心に翳りを出してしまっていた。そして、それを見たジョギは笑みを浮かべる。

 

「ふふっ。これは良い真っ暗闇持ってるね。……しかもかなり大きい。これは上質な奴が作れそうだ」

 

ジョギがそう言いつつ夢乃をターゲットにした様子だった。そのためスラッシューは納得の顔になる。

 

「へぇ。確かに彼女は良い闇持ってるって感じ」

 

「そうでしょう?それじゃあ早速始めましょうか」

 

ジョギがスラッシューとのやり取りを終えると早速ターゲットにした夢乃を素体にするべく召喚の掛け声を言う。

 

「光の中にも闇がある。君の闇を……見せてごらん」

 

ジョギが指を鳴らすと同時に夢乃の胸から心の闇を表すかのように漆黒のリボンが飛び出す。

 

「きゃああああっ!」

 

「綺麗だね……呑まれると良い」

 

ジョギがそう告げると結ばれていたリボンは解かれていき、彼女の体がリボンから発生した闇のエネルギーで包まれていく。そしてジョギがそれを左手に、もう片手にはザックリーを闇に落とした時と同じで赤い色の水晶を手にしていた。

 

「さぁ、おいで!ダークランダー!」

 

ジョギはそこから両手を合わせると夢乃と赤い水晶を融合させてそのまま地面へと叩きつける。

 

「ダークランダー!」

 

その瞬間、ダークランダーという声を上げる怪物が誕生。この怪物の名はダークランダー。

 

特徴としてクラヤミンダーに似てはいたものの、顔になっているサングラスのような鋏の形状と色が赤く刺々しい物に変化。加えてリーゼントの色が紫色を帯びた物へと変わっており、クラヤミンダーと比べて力の質その物が変わったことが分かりやすくなっている。

 

その上で今回のダークランダーは錠前をモチーフにしつつ手には巨大な鍵のような武器を持っていた。恐らく、影人やメロロンの事を心配するあまり二人を閉じ込めてしまった元凶であるハートキラリロックを連想するような姿になってしまったのだろう。

 

「ふうーん。なるほどね」

 

「どうです?これが僕の召喚する怪物、ダークランダーですよ」

 

ジョギはそう言ってダークランダーの姿を見せる。対してスラッシューは召喚の原理についてある程度予想が付いた。

 

「これ、人々の闇を元に召喚してるわね?」

 

「えぇ。そして人々のキラキラを見つけるよりも人々の闇を見つける方が遥かに楽だ。今後はダークランダーを主軸にする方が良いと思いますよ」

 

「でも、私にコイツを呼べるかしら?」

 

スラッシューはジョギからの言葉に疑問符を浮かべる。今までのクラヤミンダーに対してダークランダーは召喚する時に必要とする力が違う。そのため自分では召喚できないのではないのかと思っているのだ。

 

「それなら大丈夫っすよ。スラッシュー様は既にその力を使いこなせてますし」

 

ジョギの口振りを見るにスラッシューは既にダークランダーを呼ぶことが可能になっているらしい。

 

「ふーん。じゃあ、さっさと行きましょうか。プリキュアの姿は確認したし。今回は私達から迎えに行きたいわ」

 

スラッシューはそう言うとジョギやダークランダーと共に移動を開始する。彼女の言い回しから今プリキュアがいる場所がわかっている様子であり、三人はその場所へとさっさと向かっていくのだった。




また次回もお楽しみに。
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