キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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レイの実家とキラキランド

影人達三人の前にいきなり現れた眼鏡をかけた謎の男。そして、影人達三人のクラスメイトである音崎レイの二人が現れた。

 

「レイ……どういう事だ?」

 

「いや、だからそのままの意味だよ。……街を守るキラキランドの救世主、プリキュアさん。それにその協力者の影人君」

 

影人はレイを相手に身構える中、うたは慌ててプリルンを捕まえて背中に隠す。

 

「ひ、人違いですよ。二人共行こう」

 

うたが二人と共に行こうとする中、影人は一人残るためにその場から動かずに二人に声をかけた。

 

「二人は先に行ってて。多分生身で現場にいる俺は二人にバレてるし、プリキュアの関係者で正体を知ってる俺が二人は人違いって事を伝えれば納得してくれるから」

 

「でも……」

 

「良いから行けよ」

 

うたやななが心配する中、自分達まで自白して面倒な事になると事態が深刻になりかねないために二人はプリルンと共に去っていく。

 

「……私が用があるのはプリキュアのお二人なんですけどね」

 

「まぁまぁ、田中さん。影人はちゃんと全部知ってるからさ」

 

「しかし……」

 

田中と呼ばれた男は眉を細めて影人への警戒心が高くなっていた。田中の目的はプリキュアのみにあるようで影人にはあまり関心が高いとは言えなかったのだ。

 

「で、影人君。単刀直入に聞くけど、君達がアイドルプリキュアとその仲間だよね」

 

「……何言ってるんだ。俺は確かにプリキュアと戦ってる現場にはいるけど、プリキュアはあの二人じゃない。大体、俺とあの二人がよく一緒にいるという理由だけでプリキュアを疑うのはちょっと早計じゃないか?」

 

影人はどうにか二人を相手に誤魔化してうたとななだけでも守ろうとした。最悪自分は晒されて何を言われても良い。ただ、一緒にいる二人をこんな所で世間の前で大っぴらにして危険に晒すわけにはいかないのである。

 

「そんなに警戒しなくても私はプリキュアの正体を聞いたからと言ってそれを世に放つようなそこまで危険な人間では無いですよ」

 

「どうでしょうか……。世の中には平気で人から情報を吐き出してはそれを世間に吊るし上げるような奴もいますからね。そんな簡単に信用はできませんよ」

 

「……じゃあ、お前は取り敢えず自分がプリキュアの関係者であるというのは事実で良いか?」

 

「ああ。というか、どうせその感じだと俺がプリキュアと一緒に怪物騒ぎの現場にいてサポートしてる所を見てるんだろ?」

 

影人はひとまず自分はバレてる可能性が高く、尚且つ嘘を吐いてしらばっくれても嘘がバレた時のリスクが高いと判断して自分の事は認める事に。

 

「なるほどね。流石は影人君。その辺の潔さもわかってるみたいだね」

 

「……褒めは良い。俺が言いたいのはあの二人はプリキュアとは関係の無いただの一般人って事だ。だから、あの二人をプリキュアとして勝手に認定して付け回すのは止めてほしい」

 

そう言って影人は頭を下げる。そんな影人を見て影人にそこまでの事をさせるつもりは無かったのか田中と呼ばれた男は動揺する。

 

「む……何故そこまでして君はあの二人を守ろうとするのでしょうか」

 

「既にバレてる俺はともかく、関係の無いただの一般人が姿や声が似ているとか現場に一緒に行くのを見たとかそういうくだらない理由で疑われるのが好きじゃないだけです」

 

影人の返しに田中は考え込む。その目はこの事への言及を諦めるというよりはどう説明すれば良いかと言った所だった。

 

「(……思ってたよりしつこいな、この人。できればさっさと諦めてもらいたいんだが)」

 

「影人君の主張はよくわかった。……じゃあ、影人君。最後に一つだけ。君は少し前の放課後。元気を無くした蒼風さんを咲良さんと一緒にご飯を食べながら励ましたよね?」

 

「……ああ。ピアノコンクールの事で不調に陥った時の事か?」

 

「そうそう。その時にさ。こんな宙に浮く不思議な生物を見てね」

 

するとレイはその手に取り出したスマホに保存されている写真を出すと影人に見せる。そこにはプリルンがフワフワと浮かんでうたやななと楽しそうに話す所が撮られていた。

 

「………」

 

「でさ。このふわふわした可愛い子が怪物の現れた地点の付近に何度も出ているという目撃証言もあってね。ただ、その時はぬいぐるみとして認知されてる場合が多いけど、中には本当に浮いている所を見た人もいてね。これって偶然にしては出来過ぎだよね?」

 

影人は内心頭を抱えてしまう。プリルンが浮いている場面を何度もガッツリ他人に見られているという事実に困惑したのだ。

 

しかも大体の場合、怪物であるマックランダーが出たという話題が優先されるためにプリルンの目撃情報に関してはそこまで言及されていなかった。それでもバッチリ見られている人には見られていたという事だろうが。

 

「だから言ったでしょ。人は見てないようで割と他人の事を見ている物だってさ」

 

「ッ……しつこいですよ。あまりこれ以上憶測で詰め寄ってくるなら……」

 

影人はスマホを出すと警察にかけようとする。半ば脅しのようにも見えるが、実際そうしないと延々とイタチごっこをさせられてしまう。その展開は影人も好きじゃ無い。だから警察を呼ぶそぶりを見せて二人を退散させようと考えた。

 

『女王です!女王です!』

 

影人が110番しようとしたその瞬間、スマホの画面がいきなり切り替わるとキラキランドの女王ことピカリーネからの着信が入った。

 

「へ!?」

 

「……どうした?」

 

影人は今電話に出てしまったらピカリーネの事まで無関係の二人にバレてしまうので出るという選択肢は無かった。だからこそ着信拒否をかけようとするが、勝手に電話に出るためのボタンが起動するとピカリーネが話し始める。

 

『影人君。お二人は影人君が思っているような危険な人物ではありませんよ』

 

「うわあっ!?」

 

影人はいきなり電話に出る設定にされてホラー映画のような恐怖を感じると共にスマホを砂浜に落としてしまう。幸いにもその場所は普通にサラサラした砂だったのでスマホが壊れる事は無かった。するといきなりスマホが空中に浮くとそこから前のようにピカリーネの幻影が現れるとスマホの画面部分が上を向く。

 

「ピカリーネ様、ご無沙汰しております」

 

「俺は初めましてですね。音崎レイです」

 

『タナカーン。こちらでの役目、ご苦労様です。それと初めまして、レイ君。私はキラキランドの女王。ピカリーネ!です』

 

その瞬間、スマホの画面から出てきたピカリーネがまた前のように発光する事に。

 

「眩しっ!?というか、そのフラッシュ、名乗りの度に毎回やるのか?」

 

ひとまず、そのフラッシュが終わるとピカリーネは目の前にいる二人に対して警戒心強めな状態の影人へと話しかける。

 

『影人、目の前にいる二人は危険な人物ではありませんよ。お二人共プリキュアの協力者になる存在です』

 

「……え?」

 

『詳しい説明はまたうたやなな、プリルンも揃っている時にしますが目の前にいる眼鏡の男、田中はキラキランドの住人です。また、隣にいる影人の同級生、レイは田中と知り合いですし彼の実家である音崎家はキラキランドとの繋がりが深いんです』

 

「えぇ……何そのファンタジー世界にあるような設定……」

 

『ひとまず、そこまで警戒しなくてもお二人は秘密を外に漏らすような人ではありません。なので安心してください』

 

「わかりました……ピカリーネ様がそう仰られるのでしたら……俺からは何もありません」

 

影人が説明に納得したという事でピカリーネはまた後日うたやなな、プリルンと共に揃ったタイミングで話をすると画面から消えた。

 

「……レイ、どういう事だよ。知ってて俺に絡んできたのか?」

 

「それは違うかな。プリキュア関連の事と関係なく影人に興味を持ったのは事実だし、そもそもまだ初めて会ったあの時はプリキュアの正体とか何も知らなかったからね。……数日後に田中さんから連絡を受けてやっと知ったって感じ」

 

「そっか……。それと田中さんも先程はあんな態度を取ってしまい申し訳ありませんでした」

 

「いえ、あなた方に私達がキラキランドの関係者だと知られる前に無理に接触しようとしたこちらにも非はあります。お互い様という事でここは済ませましょう」

 

影人と田中も丁寧な言葉で和解。それから田中はこれからやる事があると一旦この街にある出張所に戻るとの事だった。

 

「そういや、田中さんはキラキランドの住人だったっけ?もしかして今は人間の姿をしてるのか?」

 

「そういう事。元々田中さんは妖精の姿だけどこっちではちゃんと人間としての姿で動いているわけさ」

 

影人はその言葉に納得する。プリルンのように妖精の姿のままチョロチョロ動かれるより人間態としていてもらった方が世間の目は引きにくくなる。それは妥当な選択と言えるだろう。

 

「それで、レイ。お前の家はキラキランドと繋がりがあるとか言ったな。どういう事だよ」

 

「別に。キラキランドから初めてこの街に来た向こうの妖精さん達の活動をサポートしているお得意先ってだけさ。俺の家はとある事務所を経営しててね。そういう経営関連の事に詳しいからさ。初めてここに来て右も左もわからなかったキラキランドの妖精さんに経営の事を手取り足取り教えているだけ」

 

そんな風にレイが答えると影人は疑問が浮かび上がる。家が事務所経営をしてる所……という事は何かしら重いリターンをキラキランド側に求めているのでは無いのか。そう思ってしまったのだ。

 

「なぁ、それってレイの家にとっての得はあるのか?むしろ、今の話だけを聞いているとキラキランド側にしか旨みが無いように見えるけど」

 

「ん?ああ。それなら大丈夫。キラキランドが真っ暗闇に染まるまでの間、俺達の事務所のサポート人材として妖精さん達を何人かを雇ってたから。しかも妖精さんの中には優秀な人も沢山いたし潤ってるよ。ま、簡単に言い直すとキラキランドの妖精を何人かうちの事務所で働かせてこっちの事務所に貢献してもらえるようにしたわけ」

 

要するにギブアンドテイク。音崎家の事務所からキラキランドの妖精達が人間界にいる上で必要な物を提供し、キラキランド側はレイの実家である音崎家の経営する事務所へと経営に必要となる人材を何人か出す事で両者が得をする関係になっているのだ。

 

「……待て、そういやキラキランドが真っ暗闇に染まるまでの間って言ったな。まさかと思うけど……」

 

「……そ。うちの事務所に貸してもらってるキラキランドの妖精さんの何人かはシフト交代でキラキランドに帰ってる間に向こうの世界が真っ暗闇に染まってね。だから今はフルメンバーが揃わない。加えて、妖精さん達にも無茶をさせ過ぎるわけにはいかないから毎日毎日妖精さんが働きっぱなしというわけじゃない」

 

先程から説明の中では割愛しているが、レイの言ってる妖精の人材というのは田中のように人間に変身した上でこちらで働いている妖精の事を指す。

 

話を戻すと妖精達もこちらでは会社で働く一人の人間なのでちゃんと休みは取らせるし給料も払っている。決して雑な扱いはしないし、してはいけないと判断されているので立場はこちらの世界の人間と同じような感じになるだろう。

 

「お前らもキラキランドのゴタゴタに巻き込まれた被害者の一人ってわけか」

 

「ま、うちの事務所は結構大きくなってきてるしキラキランドの妖精さんが最悪無しになっても大丈夫な規模にはなってるから何とか回せてはいるかな」

 

「……要するにお前らは経営に成功している側って事か」

 

影人はちゃんと事情を話したレイへの警戒心をいつも通りの水準に戻すと詳しい話とかはまた後日という事で今日は別れる事になった。

 

「さて、取り敢えず咲良さんと蒼風さんにメッセージだけ送っておくか」

 

影人は二人に先程の田中とレイがキラキランドと繋がりがある人物だと伝え、詳しい説明はまた後日あるという事を連絡。二人共不安はあるものの一応それで納得はしてくれた。

 

それから影人が家に帰ると夢乃が僅かに申し訳無さそうな顔つきで影人の前に出てくる。

 

「お兄ちゃんお帰り」

 

「夢乃、帰ってたのか。……どうした?そんな顔して」

 

「えっと……ごめん。お兄ちゃんの同級生に、私の正体バレちゃった……」

 

「……マジか。で、誰?場合によっては口止めさせる」

 

「この前歓迎会でピアノを弾いてたななさんって言えばわかる?」

 

「蒼風さんか……なら多分大丈夫かな」

 

影人がななの名前を聞いて口止めの必要無しの判断を下した事に夢乃は目を見開く。

 

「意外……お兄ちゃんの事だから割と強い口調で口止めすると思ったけど」

 

「蒼風さんはその辺りわかってる人だから大丈夫って事。その感じだと本人から秘密は言いふらさないみたいな事言われたんだろ?夢乃、そこまで言う程深刻そうにしてないし」

 

「うっ……。やっぱりお兄ちゃんにはバレバレかぁ……」

 

夢乃は兄である影人を相手に隠し事なんて無理なのだと察するとそれだけ兄が自分の事を見てくれているのが嬉しかった。

 

「お兄ちゃん、なんだかんだ言っても私の事を心配してくれるの、嬉しいな」

 

夢乃はニコニコと笑うと兄へと後ろから抱きつこうとする。それを影人は回避。

 

「あっ!避けないでよお兄ちゃん!」

 

「兄に抱きつくとか恥ずかしさが無いのかよ」

 

「むーっ。お兄ちゃんに甘えるのは妹の特権だと思うんだけど……」

 

「はぁ……。別に嫌な気持ちはしないんだけどな……」

 

影人は溜め息を吐いた後、夢乃に聞こえないように小声で話す。夢乃はそんな影人を見て嫌な反応では無いと感じ取り、そんな兄へと嬉しそうに影人にだけ向けるような笑顔を見せるのだった。




また次回もお楽しみに。
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