キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
影人とブレイクが戦闘開始するほんの少し前。うたの歌う歌によってメロロンの元にキラキライトが出てくるとメロロンは手を伸ばしていた。
「どんなときでもYou and I 〜♪」
「メロ……うた……助けに来てくれたのメロ?」
「私とキミを結ぶキズナ……」
メロロンの手があと少しでキラキライトに触れるという瞬間。いきなり指が鳴らされる音が外の世界で聞こえると空がいきなり暗くなる。
「ブルッと来たプリ!?」
そしてプリルンはこのタイミングでダークランダーを感知。直後にうたの後ろにダークランダーが降り立つ。
「ダー!」
「何!?」
更にうたはいきなり現れたダークランダーに歌を途中で中断してしまうと虹の光に包まれていた二つのカプセルから光が消えてしまう。そして同時に歌の力で浮いていたメロロンの方のカプセルはその力を失って落下し始めた。
「ッ!メロロン!」
ななが声をかけるものの、メロロンのカプセルはそのまま落下。地面を転がってしまう。プリルンはそれを見て慌ててカプセルを追いかけようとした。
「メロロ……」
「おっと、そうはさせないわよ?」
そこにいきなり脚が出てくるとプリルンの行く手を阻んでしまう。そのため彼女は慌てて急停止。上を見上げるとそこには既に戦闘態勢スラッシューが降り立ち、うた達へと笑みを浮かべていた。
「スラッシュー!?こんな時に……」
「プリルン、離れて!」
あと少しで影人とメロロンを助けられるというタイミングでスラッシューとダークランダーに襲撃されたうた達。するとプリルンが目をパチパチさせるとダークランダーに囚われた夢乃が映し出される。
「ッ!夢乃が捕まってるプリ!」
「そんな、夢乃ちゃんが……」
また前のように夢乃がターゲットにされて怪物化してしまった事に動揺するうた達。だが、だからこそ彼女達は闇に囚われてしまった三人を救い出すために戦う決意を固めた。
「影人君もメロロンも……夢乃ちゃんだって……絶対に、助ける!」
「プリ!」
うた、なな、こころはそう言ってブローチを構えると同時にプリルンの姿も人間態へと変化。四人は同時に変身を開始する。
「「「「プリキュア!ライトアップ!」」」」
「「「キラキラドレスチェンジ!」」」
「キラキラショータイム!」
「「「「YEAH♪」」」」
四人の姿が次々と変化していくとプリキュアとしての名前を名乗っていく。
「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」
「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」
「キミと踊る、ハートのリズム!心キュンキュン、キュアキュンキュン!」
「ハートをプリッとロックオン!キミとズッキュン、キュアズキューン!」
ただ、今回はチームとしての名乗りは無しで夢乃の変化したダークランダーとスラッシューに挟まれる形となる。
「ふふっ。すぐにプリキュアになってくれて。歓迎してくれて嬉しいわ」
「歓迎は少しもしてないんですけど……」
「うん、一番来てほしく無い時に来たし!」
「それに、今はあなたの相手をしている場合じゃ……」
プリキュア達が口々にそう言う中でスラッシューは何かを思い出したのかある事を言い出す。
「ああ、そういえば今日はあなた達に紹介したい子がいたわね」
「それってどういう……」
「初めましてだね。プリキュア」
キュンキュンがスラッシューからの言葉に困惑しているとそこにダークランダーを呼び出した元凶であるジョギが姿を見せる。
「ッ!?誰!?」
「僕はジョギ、よろしくね」
「彼は私の新しい部下。可愛がってあげてね」
「えー?僕はあまりそういうのは好きじゃないんですけど?」
スラッシューからの言葉にジョギが僅かに嫌そうな顔を見せる。ただ、本気で嫌がっては無い所を見ると二人の関係はそれなりなのだろうとアイドル達は感じた。
「ああ、それはそうと残念だったね。色々と良い所を邪魔しちゃってさ」
ジョギの言葉に四人は背中合わせの円陣で構えを取る。これは自分達を囲む誰が攻撃してきても大丈夫にするためだ。ただ、キュンキュンだけは影人の閉じ込められたカプセルを両手に抱えているので回避はできても防御や反撃は難しい状態である。
「悪いけど、このまま僕の作ったダークランダーとも遊んでてくれないかな?」
「ダークランダー!?」
アイドルが問い返すとジョギは笑みを浮かべ、その直後に指を鳴らす。これによってずっと合図を待っていたと言わんばかりにダークランダーが四人へと攻撃を開始。手にしていた巨大な鍵を使って四人へと薙ぎ払いを仕掛ける。
「ダークランダー!」
「「「「ッ!?」」」」
四人はどうにか攻撃をジャンプで回避するが、その反応を見てすかさずウインクとキュンキュンの方へとダークランダーの視線が移った。そして、そのまま追撃として再度手にした鍵を振り回す。
「ッ、しまっ……」
「ウインクバリア!」
先程も言及したが、キュンキュンは影人が閉じ込められたカプセルを持ちながらなのでダークランダー相手に防御や反撃ができない。そのためウインクが咄嗟にバリアを展開する事でダークランダーからの攻撃を受け止める。
「ありがとうございます、ウインク」
「うん。でも……」
キュンキュンがお礼を言うものの、ウインクの顔は優れない。何しろ、ウインクがバリアを使えば攻撃自体を凌ぐ事はできるが、今の攻撃で完全にアイドル、ズキューンと分断されてしまったのだ。そんな中でアイドルはズキューンに無防備になってしまったメロロンの閉じ込められたカプセルをカバーしてもらおうとする。
「ズキューン、メロロンを……」
「ふふっ、そうはさせないわよ?」
だが、スラッシューがすかさず出てくると手に生成した炎の鞭を放つ。その鞭はズキューンの腕に巻き付くとそのまま彼女はズキューンを自分の元に引き寄せる。ズキューンはどうにか立て直すものの、スラッシューの手によってメロロンの方に行くのを止められてしまった。
「ッ……邪魔しないで!」
このままではメロロンのカバーをするのは難しいと考えたズキューンは発想の転換としてスラッシューの気を自分に釘付けにした方が良いと判断。そのためズキューンはスラッシューへと踏み込むと二人は攻防を開始する。
これにより、アイドルが一人だけ取り残されるとそこにジョギが空中から降り立って話しかけた。
「改めてになるけど、初めまして。……キュアアイドル」
アイドルは丁寧に挨拶をしてきたジョギへの警戒を維持したままにしていると彼は普通に話を続ける。
「……悪いけど頑張っても無駄だよ」
「それって……どういう意味?」
「今日はあの方もいらっしゃるんだ。あっちの方に捕まってるキュアソウルは闇の彼が倒しちゃうし……。そこの妖精さんが完全に闇に染まるのも時間の問題だよ」
ジョギの言葉にアイドルは疑問符を浮かべるが、だからってメロロンを助けない理由になんかならない。そのまま彼女はジョギ相手に警戒心を高めるといつ襲ってきても戦えるようにする。
「……あれ?」
「ん?どうしたのかな?」
しかし、アイドルがどれだけ待ってもジョギから仕掛けてくる様子は無い。そのため彼女は拍子抜けしたような声を上げた。
「攻めてこない……」
「何を期待してるのかは知らないけど、俺はスラッシュー様みたいに君達とまともに殴り合うなんて事はしないよ?」
ジョギの言葉にアイドルは唖然とする。彼の方から仕掛けてくると思っていたアイドルは肩透かしを受けてしまう。
だが、よくよく考えてみれば自分達相手に正面からまともに戦闘を仕掛けてくるのはスラッシューくらい。他のチョッキリ団メンバーも怪物化しない限りは自分達へと積極的に攻撃してくる事は無いのでその点で言えば彼女の方が異常なのである。
「……だったら私がメロロンを……」
「ああ。それなんだけど、僕にその気が無くてもスラッシュー様はそうは行かないからさ」
「えっ!?」
その瞬間、アイドルの腕に炎の鞭が巻き付くと彼女が驚く時間も無くいきなり引っ張られた。
「ッ、きゃあっ!?」
アイドルが引っ張られた先にはズキューンもおり、ズキューンが引き寄せられたアイドルを受け止める。
「うわああっ!?」
「アイドル!」
「ありがと、ズキューン」
「うん。でも……」
二人がスラッシューの方を向くと彼女はやる気十分と言わんばかりの視線を向けていた。
「そう簡単に助けには行かせないわよ?」
「アイドル、私が隙を作るから……」
「ううん。二人で相手しよう。スラッシューを一人でなんて危険過ぎるから」
ズキューンはアイドルだけでも無防備なメロロンのカプセルを回収してもらおうとするが、その間だけだとしてもスラッシューの相手を一人に任せきりにするのは不味いという事でアイドルはその案を実質的に拒絶。
その代わり二人がかりでスラッシューを止める事にした。対してスラッシューの方も笑みを浮かべる。
「それで良いわ。一対一じゃあっさり終わっちゃうもの。私を倒したいのなら二人で来てくれないと」
スラッシューは二人を舐めているように思えるが、実際問題一人では勝てる見込みが薄い。そのため二人はスラッシューをどうにかするために協力する事になるのだった。
そして、外の世界での戦闘が始まるという事はカプセル内部にいるソウルと自身の闇が具現化した存在……ブレイクの二人が激しくぶつかり合う。
「ソウルシャウト!」
「無駄だ!」
ソウルがソウルシャウトを放つ中でブレイクが手を翳すと闇の障壁が展開。ソウルからの衝撃波を吸収してしまう。
「だったら!」
ソウルはブレイクへと踏み込むと果敢に正面からの殴り合いを挑む。その中で彼は珍しく自分から積極的な攻めを行っていた。
「だだだっ!」
「随分と攻撃寄りだな。焦ってるのか?」
「そうかもな!」
ソウルとブレイクの能力はほぼ同じなのか一発拳を当てても直後に同じように当て返される。
「ッ、やっぱりスペックは同程度になるか」
「当然だろう?お前は俺。俺はお前だ。例えお前が変身したって俺を相手に隔絶した実力差にならないのはわかっている」
ソウルはその事実に苦い顔つきを見せた。このままでは長期戦になりかねない。そしてその長期戦で得をするのは明らかに向こうである。
「(この力は時限式。だからさっさと決めたかったけどこのままじゃ……)」
ソウルはうた達から受け取った光がまた消えてしまう前にブレイク相手に速攻で勝つつもりだったのだが、結果的にそれは叶わずに膠着しつつある。
そのタイミングでブレイクが足払いをかけるとソウルはすかさずバク転で回避。すかさずブレイクが踏み込んでソウルの腹を目掛けて拳を放つ。
「ッ!」
ソウルはそれに気づいて防御。押し返してからできた隙にカウンターの回し蹴り放つ。しかし、ブレイクはそれをわかっていると言わんばかりに後ろに跳んでから着地と同時に前に出ると飛び膝蹴りを放った。
「ッ!」
ソウルはそれに合わせる形で拳を繰り出すと二つの攻撃がぶつかって双方共に後ろに下がる。
「ダメだ。中々有利を取れない」
お互いに黒霧影人という一人の人間が変身した存在であるせいか、動きが相手に読まれてことごとく攻撃は有効打にならない。そもそもソウルはカウンター主体のバトルスタイルのためソウルメガホン抜きでは攻撃力が落ちてしまう。
「おいおい、どうした?さっきまでの威勢はどうした?」
「(せめてソウルメガホンが使えたら違うんだけどな……)」
ソウルは先程からソウルメガホンを使っていない……否、使うことができなかった。ソウルシャウトに関してはアイドルキラキラマイク経由で使えたものの、五人の技が全く使えないのである。
「なるほどなぁ。やっぱりさっき受け取った分の力だけじゃいつも通りには戦えないわけか」
ソウルが普段通りの力を発揮したくても発揮できない事に気がついてしまったブレイク。彼は笑みを浮かべると手を翳す。
「お前がいつも通りやれないのだとしたらこの戦いはもう終わりだ。俺相手に勝つ術は無い」
「そんなの、やってみないとわからないだろ」
「いいや、わかるさ。お前はさっきその力が時限式って言っただろ?だったら俺をさっさと倒したいはずだ。それなのに、お前は今攻めあぐねている」
ブレイクはソウルが自分を超えられない事を良い事に調子付き始めた。勿論ブレイクもソウルを倒す事ができるというわけでは無いが、ソウルの方は時間制限がある事を考えると圧倒的に不利である。
「諦めた方がお前のためだと思うけどなぁ」
「それは降伏勧告って事?」
「ああ。今のうちに降参しとけば痛い目に遭わずに済むってやつだな」
「……だったらお断りだ」
ソウルはブレイク相手に降参するつもりは無い。そして、まだ戦う姿勢を見せたソウルにブレイクも溜め息を吐く。
「はぁ……。よっぽど力技で闇に呑まれたいらしいな。だったらお望み通り呑み込んでやるよ!」
「悪いけど、俺としては闇に呑み込まれるのもお断りだ!」
ソウルとブレイクは再度ぶつかり合う。ソウルは戦いながら少しでもブレイク相手に有利を取れる手を探しつつ、彼を倒す糸口を事になるのだった。
また次回もお楽しみに。