キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
アイドルプリキュアがスラッシューやダークランダーとの戦闘を本格的に始めた頃。メロロンの閉じ込められたカプセルの中の光は無くなってしまっていたためにメロロンが不安そうな顔を見せる。
「歌が聞こえなくなっちゃったメロ。……皆に何かあったのメロ?」
メロロンは光を失ってしまったキラキライトを手に取る事はできたが、それでもタイミングが一歩遅かったためか特別な事は何も起きない。
「折角、皆が助けに来てくれたのに……」
『奴等の事など忘れろ』
「メロ!?」
すると、突如としてメロロンの周囲に女性の声が響く。メロロンがいきなり届いたその声に驚く中で彼女の影が一気に伸びるとそれが巨大な影……ダークイーネとして降臨する。
『我が名は……ダークイーネ!』
「メロ……」
ダークイーネの登場にメロロンは思わず恐怖を感じてしまう。そして同時に外の世界ではメロロンの閉じ込められたカプセルから禍々しいオーラのような物が吹き出すとカプセルがまた勝手に浮かび上がる。
そして、それを見た外側の世界にいるプリキュア達は動揺の顔つきを浮かべた。
「ッ!?メロロンの閉じ込められたカプセルが勝手に………」
「余所見してる場合?ダークランダーは手強いよ」
ウインクが思わず声を上げつつ余所見をしてしまうと夢乃の閉じ込められたダークランダーは手にしている鍵に自らのエネルギーを注ぎ込むとその大きさが一回り巨大化。
「ダーク……ランダー!」
そのまま巨大化した鍵を振り下ろすとウインクと近くにいたキュンキュンを巻き込んで攻撃。
「「ッ!?」」
二人はどうにか直撃は免れたものの、その凄まじい衝撃波をまともに受けてしまう。
「「うわあっ!?」」
そして、その影響でキュンキュンが抱えていた影人が閉じ込められている方のカプセルも吹き飛ばされて地面に落下。
「しまった!!カゲせんぱ……」
「だから、余所見したらダメだって言ったでしょ?」
ジョギが指を鳴らすとウインクとキュンキュンが着地したタイミングと同時にダークランダーは地面に鍵を突き刺す。すると、いきなり二人の足元から漆黒の色合いをした闇の鎖が飛び出してくる。
「ッ、何!?」
「これは……」
「「うっ!?」」
そのまま闇の鎖は二人の体に巻き付いてしまうとそのまま黒い南京錠によってロックされてしまう。
「ッ……しまった……」
「ダーク!」
これにより、ウインクとキュンキュンは体を鎖で縛られた上に南京錠でロックされたために実質的に行動不能に陥ってしまうとダークランダーはその光景に勝ち誇ったような声を上げる。
「ウインク、キュンキュン!?そんな……」
「へぇ。私を相手にそんな余裕あるのかしら?」
仲間の窮地にアイドルが思わずその方を見てしまうと更にスラッシューがその隙を見てダメ押しとばかりに手を上に翳す。
「アイドル、上!」
スラッシューのその動きを見ていたズキューンはウインク達に気を取られてしまったアイドルへと慌てて伝える。だが、もう遅いと言わんばかりにスラッシューからの炎の剣の雨がアイドルへと降り注いだ。
「ッ……きゃあああっ!」
アイドルはこの攻撃をまともに受けると傷だらけで地面を転がり、何回かバウンドするとグッタリとしてしまう。
「ううっ……」
「アイドル……」
「さ、ダークランダー。ダークイーネ様に逆らうあの二人にも痛みを与えてあげて」
「ダークランダー!」
するとダークランダーは地面に突き刺した鍵に力を込めると電撃が地面を伝って鎖に囚われてしまっていたウインクとキュンキュンを襲う。
「「うわぁああああっ!?」」
いきなり地面から飛んできた電撃に二人は無抵抗のままダメージだけを蓄積させていく。暫くして電撃は止んだが、それでも二人はダメージに苦しそうな顔を見せる。
「はぁ……はぁ……」
「なんの……これしき……」
それでも影人とメロロンを助ける気持ちで持ち堪えた二人。それを見たジョギはプリキュアのタフさに笑みを浮かべた。
「へぇ。意外と頑丈だね。だったら、これでどうかな?」
ジョギがダークランダーへと再度の攻撃を促すと追撃の電撃が二人へと流される。
「「あああっ!?」」
「ウインク……キュンキュン……」
アイドルがどうにか立とうとして痛む体を動かしながらダメージに悶える二人を心配する。そして、その様子を見たズキューンはこの状況を打開するためにスラッシューを無視してダークランダーの方を向く。
「二人を離して!ズキューンバズーカー!」
ズキューンは電流の元である鍵や攻撃を流しているダークランダーを倒す為に白い光で生み出されたエネルギー砲を放つ。
「甘いわね」
だが、スラッシューはズキューンのその動きに即反応。ダークランダーの前にカバーに入るとズキューンバズーカーを片手で受け止めてしまう。
「ッ!?そんな……」
「あなた達の全力はこんな物なのかしら?」
スラッシューは余裕そうな顔つきでエネルギー砲を粉砕してしまう。これにズキューンが動揺するとスラッシューはすかさずお返しの火炎弾を生成。ズキューンへと投げ返す。
「ッ、うわぁああっ!?」
ズキューンはいきなり返された火炎弾に反応が間に合わず。これに直撃してしまうと悲鳴を上げた。
スラッシューとダークランダーは手強い。その影響でアイドルプリキュア達が圧倒されていく。その様にジョギが改めてアイドルへと話しかけた。
「そろそろ諦めて降参しない?闇に呑まれた人間に光は届かない」
「そんな事……」
「もし仮に光が届けられるとしても……君達にはもう無理だよ。このまま僕達の手でやられるからね」
「くっ……」
ウインクとキュンキュンはダークランダーに拘束されたせいで一方的に攻撃を受け続け、アイドルとズキューンはスラッシューによってねじ伏せられてしまう。戦況はアイドルプリキュアに圧倒的不利だった。
「メロロン……影人……」
ズキューンがそう呟いていると場面は再度変わってカプセルの中へ。メロロンの前に姿を現したダークイーネがメロロンの心を折る為に声をかける。
「ダークイーネ……」
『闇を知る者よ。お前を迎えに来た』
「メロ!?」
するとダークイーネはメロロンへと攻撃……するどころか、彼女を迎えに来たというその言葉にメロロンは困惑した。
「それはどういう……」
『お前を妾の仲間にしてやろう』
「メロ!!な、何言ってるのメロ!?」
どうやらダークイーネの狙いは闇を持った妖精であるメロロンを自分達の元に引き込む事である。そして、ダークイーネの特性として闇の中ならどこにだって自らの言葉を伝えられるらしい。
彼女がこの場にいる事からその効果は本来なら誰もいけないはずの闇のカプセルの内部さえも範囲内という事だろう。
「メロロン、あなたの仲間になんて……」
『……“世界に闇の兆し現れし時、闇を知る者が生まれる”我々は共に生まれ、共にある
ダークイーネは高圧的な声色でメロロンへと逃げ道を無くすように話しかけていく。メロロンはそんなダークイーネからの圧力に恐怖心が勝ると手にしたキラキライトに縋り付くように体を縮こませる。
「そ、そんなの知らないメロ!メロロンは……」
『お前は闇の子だ!』
「メロ!?メロロンは……皆と一緒にいたいメロ」
ダークイーネはメロロンに選択肢など無いと言わんばかりにメロロンへと詰めていくとメロロンは必死に自分の望みを口にする。
『戯言を……。奴等の元にお前の居場所など無い』
「メロ……そんな事無い、影人ならきっと……」
『彼はじきに闇に屈する。闇の彼自身……ブレイクが完全に体を支配すればな』
ダークイーネからの言葉を聞くとメロロンの心に絶望感が広がる。彼女にとって自分の闇の面を知っている……という観点から見れば影人が一番な心の支えだった。しかし、その影人が自分の元から離れてしまうと言われればメロロンの心の支えが無くなってしまう事を意味する。
「そんな……メロロンのせいで……」
『別にお前が己を責める必要は無い。彼を闇に落としたおかげでお前は彼と闇の中で一緒になれるんだ。悪い話では無いだろう?』
ダークイーネはメロロンとのやり取りで彼女が影人を心の支えとしているのを見抜くとその影人を餌にしてメロロンの心を射止めようとした。
『それに、奴等と仲良くできない理由はお前も言っていた事だろう?……“光と闇は溶け合わない”」
するとダークイーネが話している影がいきなり変化。メロロンの視線が下に下がるとそこにはダークイーネのいた場所にメロロンにそっくりな姿をした妖精が現れる。
それはピンクのカラーリングの部分が紫色に変化していたメロロン……所謂、ダークメロロンである。そして、当然メロロン本人はそんな彼女の登場に困惑した顔を見せた。
「誰メロ!?」
「メロロンの闇……メロ!」
そのタイミングでカプセルの外の世界ではダークメロロンが登場した影響か、凄まじい闇の波動が浮かび上がったカプセルから放出。ズキューンは思わず声を上げる。
「メロロン!」
「だから、私の前でそんな事言ってる場合?」
そこにスラッシューが踏み込むとズキューンへと炎を纏わせた上段蹴りを放つ。
「ッ、危ない!」
そんな彼女からの上段蹴りに対してアイドルが咄嗟に間に入ると防御姿勢で受け止める……が、そのパワーまでは抑えきれずにアイドルは後ろにいたズキューンごと吹き飛ばされてしまった。
「「きゃあああっ!?」」
「アイドル!?そんな……」
「ダークランダー、こっちもそろそろ仕上げにしな」
キュンキュンが声を上げるとそれを見たジョギがすかさずダークランダーへと指示を出してウインク、キュンキュンへの鎖の締め付けを強くする。
「「うっ……ああ……」」
二人は体を縛る鎖が強く締め付けた影響で苦しそうな顔を浮かべると悶えてしまう。このままではプリキュア達はいずれ保たなくなってしまう。
そして、それはカプセル内でブレイクと一対一で戦うソウルもそうである。
「ふはははっ!どうした?動きが鈍ってるんじゃないのか?」
「ッ……」
ソウルの方もソウルの方で少しずつだが動きが鈍り始めてしまっていた。そのためブレイクはソウルからの攻撃への対応力が上がりつつあるのに対し、ソウルの方は被弾率が上がっている。
「オラァッ!」
その時、ブレイクからの拳がソウルの固めたガードの上から炸裂するとそのままガードを押し除ける形で彼の体に命中してしまう。
「ぐうっ……」
「やっぱり力が弱まってるなぁ!」
ソウルはこの状況に苦い顔つきを見せる。キュアソウルに変身できたとは言っても先程受け取れた力はごく僅か。それにソウルメガホンの起動すらできない程度である。そのため、あっという間に制限時間が近づいてきてしまっているのだ。
「(時限式じゃやっぱり同格の相手を倒すのはキツい……。だからと言って焦ったら終わるな……どうするか)」
ソウルはブレイクに気づかれないようにある程度相手をしつつ変身が維持できなくなった後の事を考える。このままでは制限時間内にブレイクを倒し切れないのと、もしそうなった際に無策では到底太刀打ちできないからだ。
「はあっ!」
ソウルは回し蹴りを放つ事でブレイクを一瞬だけ後ろに下がらせると自身も後退して距離を取る。ブレイクはそれを見ても追撃しない。ソウルからのカウンターを警戒して留まった。
「そう簡単に俺が焦ると思うなよ?俺はお前だからな」
ブレイクは同じ黒霧影人の片割れが変身した戦士であるソウルの思考を読んでおり、下手に追撃をかければ痛い目に遭うとわかっている。そのため、敢えて追撃は行わない。むしろ、時間を稼ぐという意味ではこの方が安全ですらある。
「……」
それから二人は睨み合ったまま静かな時間が過ぎる。するとブレイクが改めて声をかけた。
「おいおい、もう仕掛けてこないのか?結局、この空間の中じゃ俺が圧倒的有利。お前はもうじき変身が解ける。勝ち目の無い戦いだとわかってるのにまだやるって言うのか?」
「……ああ、やるよ。ブレイクこそわかってるんだろ?俺が降伏勧告したって諦めないって。お前こそ無駄なやり取りするのはやめてくれないかな」
「ほーう?じゃあ、さっさと終わってもらおうか!」
ブレイクは両手に闇のエネルギーを集約するとエネルギー弾として遠距離からソウルへと攻撃を仕掛けていく。
「ッ!」
ソウルはその攻撃を回避しつつブレイクを見ると相変わらず気弾を連射してきた。
「(これは俺の残り時間が少ない事を見越した遠距離主体の攻めか)」
ブレイクはソウルの時間制限がもうすぐとわかっているので遠距離から彼を牽制して時間を消耗させていく。もしそれを嫌がってソウルが肉弾戦のために近づいたらカウンター。遠距離戦を継続してきたらそれはそれで時間を潰せるから良いと言った考えだろう。
「どうする、キュアソウル?来ないならこのまま時間切れだぞ」
しかし、ソウルは挑発には乗らずにある事を考えていた。そして、意を決したようにそれを実行する。
「……アイドル、ウインク、キュンキュン、この声が聞こえたら誰でも良い。返事をくれ」
「……?」
突如としてソウルはそう言いつつ自身の耳にインカムを展開。このタイミングで外にいる三人へと呼びかけたのだ。
「ふん、何かと思ったら一人で解決できないからって来るはずも無い仲間に頼ったか」
ブレイクはソウルの行動にこれは無意味な抵抗終わると判断すると相変わらずそのまま攻撃を続ける。対してソウルは呼びかけを継続していた。
「(……きっとあの三人なら応えてくれる……。この状況を打開するには外と中で協力しないといけない……)」
ソウルはそう考えるとブレイクが自分の行為を止めに来ないため、引き続き三人へと呼びかける。ある逆転の奇策を胸に思い浮かべながら。
また次回も楽しみにしてください。