キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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降臨するダークメロロン 状況打開への光

ソウルが状況打開のための動きを見せた頃。また場面はメロロンの囚われたカプセル内部。そこではメロロンがダークメロロンと顔を合わせていた。

 

「メロロンの闇……メロ?」

 

「私はあなた……あなたは私」

 

ダークイーネは自分が話をするよりもダークメロロンを呼び出して話を持ちかけた方がメロロンへの勧誘がしやすいと判断したようで。ダークメロロンと入れ替わる形でダークイーネは姿を消す。そんな中で当のメロロンはダークメロロンの姿を見て困惑した顔を見せる。

 

「……メロロンの気持ち、メロロンにはわかるメロ」

 

「メロロンの気持ち……メロ?」

 

ダークメロロンはメロロンの中にある闇を増幅させた存在。所謂影人で言う所のブレイクに似た立ち位置なのだろう。そんな彼女はメロロンへとあくまで優しく話しかける。

 

「あの子達は光……メロロンは闇。交わる事は無い。……だから友達になんてなれない」

 

メロロンはその言葉にある光景を思い出す。それはキラキランドにいた頃に一人、木の下で寂しく本を読んでいた時の事だった。周りには光を沢山持っててキラキラしている妖精ばかり。自分のような闇の性質を持った者なんていない。

 

だから彼女は他の妖精とは違って自分だけ浮いている事を気にしていた。ただ、それは周りに言っても受け入れてなんかもらえない。メロロンは誰とも馴染む事ができずに孤独に一人過ごしていた。その悲しみをメロロンが再度思い出しているとダークメロロンは更に続けてくる。

 

「……ずっと独りぼっち。寂しいメロ、悲しいメロ……。でも、闇の中ならダークイーネ様やブレイクにいたまがいてくれる。一人じゃ無いメロ」

 

「違うメロ……メロロンにとってのにいたまは影人だけで……」

 

「影人はもうすぐ闇に染まって生まれ変わるのメロ。そうなったら影人じゃなくてブレイクにいたまって呼ぶのメロ」

 

ダークメロロンは影人……と言うよりは彼の闇であるブレイクを兄として慕うつもりらしく。親しみを込めてブレイクにいたまという名前を付けていた。そんな時、メロロンの足元から闇の液体のような物が出てくると彼女を少しずつその液体の中に沈めるかのように侵食し始める。

 

外の世界ではプリキュア達は既に全員ボロボロ状態であり、アイドルやズキューンは体中が傷つき、傷を引き摺っているような状況だった。

 

「このままじゃ……」

 

「良い加減諦めなさいよ。お前達の光じゃ誰も助けられないわ」

 

ウインクやキュンキュンの方は未だに鎖に囚われてしまっている状況で加えて少しずつ体力切れが近づきつつあるのか、かなり弱っている様子だ。

 

「うぅっ……」

 

「何か、何か考えないといけないのに……」

 

キュンキュンはこんな時ソウルならきっと状況打開のための案を出してくれるはず。そのため彼のように何か打開策を考えるが、それがまるで頭に浮かんで来ない。

 

すると、メロロンのカプセルの方から出てくる闇のオーラが更に凄まじさを増すとジョギが笑みを浮かべる。

 

「ふふっ、どうやら君達のお仲間のピンクの妖精の方は闇に呑み込まれ始めたみたいだよ?結局、君達の力では何も状況を変えられなかったね」

 

そんな中でズキューンは傷ついた体でメロロンの入ってるカプセルへと弱々しい足取りで近づきつつ必死に声をかける。

 

「メロ……ロン……。もう絶対に、一人にしないよ……だからお願い!戻ってきて!」

 

「だから、声をかけても届かないって。往生際が悪いわよ?」

 

ズキューンがどうにかカプセルへと近づきながら手を伸ばすものの、そこにスラッシューが移動すると彼女の前に立つ。

 

「ッ……そこを退いてよ!」

 

ズキューンが拳を繰り出そうと腕を引っ込める。……しかし、酷くダメージを受けた後であるズキューンの拳はスラッシューにとってはかなり遅い。

 

「遅すぎるわ!」

 

その瞬間、ズキューンの拳に合わせてスラッシューからの炎のアッパーカットがズキューンに命中。彼女は吹き飛ばされると宙を舞った。

 

「か……はあっ!?」

 

それを見た三人は顔を青ざめさせる。何しろズキューンの目元が暗くなると表情は見えなかったが、仰向けに倒れ伏したズキューンはグッタリと倒れて動かなくなってしまったのだ。

 

「そん……な」

 

「ズキューン!起きてください!」

 

「あはははっ!本当に馬鹿な子ね。あの妖精は闇の子だって言われてるのに、闇の中がお似合いだって言うのに……。わざわざ外に連れ出そうなんて……」

 

「皆で仲良くして……何が悪いの!?メロロンは、寂しそうにして……」

 

「それがあの子の本心とか本気で思ってるわけ?」

 

「ッ……」

 

ウインクがスラッシューの言葉に必死に反論するが、スラッシューはそんなウインクへと冷たい眼差しと言葉をかける。

 

「周りは誰も自分を理解してくれない、自分の大切な人達はいつもその理解してくれない周りの人達に取られてばかり。……私と同じよ……。誰も私の努力をわかってくれない……。あの子と一緒にステージに立つ度にいつもそう……。チヤホヤされてるのはあの子だけ!私なんてオマケ程度でしか無い!」

 

スラッシューの言葉を聞いてアイドル達三人は目を見開く。それは、スラッシューが失ったと思われた記憶の欠片に繋がるような言葉だったからだ。ただ、彼女本人は無意識にこれを言ったようにも見えた。するとジョギが目を細める。

 

「(またこれか……。この子達と関わるとスラッシュー様の洗脳に亀裂が入っていくような感じ。まだ今は無意識だけど、どうするべきかなぁ……)」

 

ジョギがスラッシューの様子を見てそう考えていると抵抗する力を失いつつあるプリキュアの体に少しだけ希望の光が灯った。

 

「……そっか、スラッシューさんも辛かったんですね」

 

「別に私は辛くなんか無いわ。今はもう理解してくれる人が周りにいるもの。話を戻すけど、あの妖精は苦しんでるのよ。あなた達とは合わないのに、そこで倒れてるもう一人の妖精のために己を殺して……苦しんで。それに影人君の事だって、本当はもっともっと甘えたいのに……彼女が遠慮してるって事、わからないわけ?」

 

スラッシューが更に続けているとアイドル達はある結論が彼女達の中に浮かんでくる。彼女のこの発言は、自分達の事をよく見て知っているという事を前提に成り立つからだ。何しろ知らない相手の内情を深く知り、的確に話すのは相手の記憶や心を読む以外に理解するのが難しいと言わざるを得ないためである。

 

そしてそれは、彼女の潜在意識の奥深く。スラッシューでも気が付かない場所に、天城切音としての記憶がしっかりある事を意味していた。

 

「……だったら、尚更私達がこれから理解してあげられないといけない。それが、メロロンの事を悲しませてしまった私達の責任でもあるから!」

 

アイドルはスラッシューの心にまだ記憶が残っている認識を改めてすると、諦めるように促してくる彼女へと力強く反論する意思を見せる。

 

改めて場面が戻り、メロロンの元へ。メロロンはダークメロロンから言われた言葉に必死に抵抗するかのようにキラキライトを握り締めると反論の声を上げる。

 

「メロロンには……ねえたまだっているの……」

 

「そのねえたまもあの子達を奪うメロ!!」

 

だが、ダークメロロンは反論を許さないと言わんばかりに声を上げる。それを聞いたメロロンは彼女からの圧に押されて口籠ってしまった。

 

「……メロロンが一番にいたまやねえたまを好きなのに……。にいたまには既に恋人がいて、もうメロロンがにいたまにとっての一番になる事は絶対にできないメロ!だから、メロロンにとっての一番はねえたましかいないのに……」

 

ダークメロロンの憎悪の高まりと同時に足元の闇の液体は徐々に嵩を増していくとメロロンの体をどんどん沈めていく。そして、ダークメロロンはとうとう己の怒りを爆発させた。

 

「……許さないメロ……許せないメロ!!」

 

ダークメロロンから放出される憎悪の量は更に凄まじくなると彼女自身の体から紫色の禍々しいオーラと共に溢れ出ていく。そしてそれが闇の侵食を早めるとメロロンの体は既に首の手前辺りまで闇の液体に浸かってしまった。

 

メロロンの窮地と時を同じくして。ソウルの方もブレイクからの攻撃を必死に回避しながらアイドル達から連絡が帰ってくるのを待っていた。しかし、その思いも虚しく返事は返ってこない。

 

「そろそろ無駄な追いかけっこも終わりにしよう。お前は力尽きて俺に呑まれる。これからは俺……ブレイクがお前に取って代わって闇の世界を作り上げてやる」

 

「……そんな事……」

 

「それに、お前達が助けたいあの妖精はもうすぐ闇に呑まれる。外の奴等だってスラッシュー様やジョギの手でもうボロボロ。お前らに勝ち目なんて無いんだよ」

 

ブレイクがそうやってソウルを絶望させようと揺さぶりをかけていく。ただ、彼のその言葉を聞いてソウルの頭にある考えが浮かぶ。

 

「それでもお前が降参しないって事は……何か考えがあるのかな?」

 

ソウルが考えを深めているとブレイクがソウルの内心を探るように問いかける。

 

「……別に。大した考えじゃ無いさ」

 

「ふーん。じゃあ、とっとと諦めて降参しろよ!」

 

ブレイクの声色には多少苛立ちも入っており、ソウルが孤立無援かつ力も失われつつあって圧倒的不利な状況である事は先程からずっと変わってない。

 

それなのにも関わらず、ソウルは未だに希望を捨てずに抵抗し続けている。ブレイクは先程ソウルの動きを見てすぐ自滅すると判断したために敢えて無視してきた。しかし、ここまで粘られると話は別だ。

 

「悪いけど降参するにはまだまだ早いんだ。それに、お前の言葉で一つ確信ができたからよ。こんな所で諦めてたまるか!」

 

「はぁ?何が確信できたって?」

 

ブレイクはソウルへと聞き返す。今の発言のどこに確信できる要素があるのかわからないからだ。

 

「……お前今、見えてないはずの外の世界の様子を言っただろ?」

 

「ふん、それがどうした。それとお前の抵抗の何の関係がある?」

 

「つまり、この空間の外と中を繋げる方法はあるという事だ。だから俺は諦めない。絶対にアイツらなら気がついてくれるって」

 

「ああなるほど、それでお前は外に連絡しようとしてたのか。でも、俺のような闇の力を持つ者なら兎も角として……お前の力の源である光では外との連絡なんて不可能だ」

 

「俺にやるのが不可能かどうか問題じゃ無い。……ただ、お前にできるなら絶対に無理ってわけじゃないって事。その事実がそこにあるだけで……俺は希望を胸に戦える!」

 

「馬鹿な……。そんな不確かな物で、俺の優位が覆るわけが無いだろう」

 

「……というか、それ以前の話だけど。お前、俺相手に何でトドメ刺しに来ないんだ?」

 

ソウルはそう言ってブレイクへと逆に問いかける。それは、いつまでも遠くから攻撃を仕掛けるだけのブレイクへの挑発でもあった。

 

「さっきから俺が粘ってるのを見て苛立ってるみたいだけど、それなら俺にさっさとトドメを刺せば良いだろ?それとも何だ?俺より弱いって事を自分から主張してるとでも言いたいのか?」

 

ブレイクはソウルからの言葉に余計に苛立つ。何しろ、ソウルは体こそ元気だが、光が消えかけてる関係で半分死にかけの状態。そのためブレイクがその気になれば力の消耗速度が早まり、簡単に倒せるだろう。だが、ブレイクはそれをしてこない。

 

「そりゃあそうだよな。今目の前にいるお前は、あくまで過去の俺だ。自分が弱いって決めつけて、一人で殻の中に閉じこもってただけの……臆病者だから!」

 

ソウルはブレイクがあくまで前に自分を乗っ取った時の彼から全く変わってないと断言。それを聞けばブレイクにもプライドがあるためにとうとう我慢の限界を超えた。

 

「俺が、臆病者だと?……ふざけるなよ。さっきの歌が届いた現象ははあくまで偶然。偶然は二度も起きないんだよ!」

 

ブレイクはそう声を荒げるとソウルへと遠距離からの攻撃を中断。踏み込むと一気に接近してきた。

 

「(良し、来た!)」

 

ソウルはそのままブレイクと真っ向から殴り合う。同時に心の中で外にいる三人へと再度呼びかけを再開した。

 

「(アイドル、ウインク、キュンキュン!俺だ、キュアソウルだ。もしこの声が届いてるなら誰でも良い……返事をくれ!)」

 

ソウルとブレイクの戦闘が再開された頃。外ではアイドルがスラッシュー相手に孤軍奮闘するが、吹き飛ばされて地面に激突する。

 

「きゃああっ!?」

 

「「アイドル!!」」

 

ウインクとキュンキュンが心配する中、アイドルはダメージを堪えながら立ち上がる。

 

「大丈夫……まだ戦えるよ」

 

その様子に二人が安堵していると先程まで倒れていたズキューンもフラフラながらも立ち上がっていた。

 

「く……ううっ。私だって、まだやれるよ……」

 

「ズキューン、良かった……」

 

「へぇ、まだやるつもりなの?」

 

「当たり前だよ……。私達は、まだ終わりじゃ無い!」

 

スラッシューがズキューンの立ち上がる所を見て笑みを浮かべる。するとそんなズキューンに突き動かされたのか、ウインクやキュンキュンも歯を食いしばって鎖を壊そうと力を込めていた。

 

「だから、頑張っても無駄って言ってるのにまだわからないかな?」

 

ジョギが頑張るアイドル達を嘲笑うとそれを聞いてアイドルは小さく呟く。

 

「……無駄なんかじゃない……」

 

その瞬間、アイドルは踏み込むとウインクとキュンキュンへとダメージを与えていたダークランダーへと接近。ブローチをタッチする。

 

「アイドルグータッチ!」

 

そのままアイドルから放たれた渾身の拳がダークランダーへと突き刺さり、その威力で吹き飛ばす。それから彼女は降り立つと力強く話した。

 

「私達のやってる事は無駄なんかじゃない!」

 

「どれだけやっても光を届けられないのにかい?」

 

「ううん。光は……届くよ。どんな真っ暗闇だって、絶対に……キラッキランランにしてみせる!」

 

その時だった。アイドル、ウインク、キュンキュンの耳にいきなりインカムが展開。ソウルの声が聞こえる。

 

『アイドル、ウインク、キュンキュン!俺だ、キュアソウルだ。もしこの声が届いてるなら誰でも良い。返事をくれ!』

 

「この声、ソウル!?」

 

「無事だったんですね!」

 

「本当に良かった……」

 

『やっと繋がってくれた……。けど、喜んでる所悪いな。こっちもかなりヤバい事になってる』

 

「やっぱりそう……ですよね」

 

『ああ、正直何か手は打たないといけないけど……。ここからは内部通話にしてくれ。多分そっちにスラッシューとかチョッキリーヌとかいるんだろ?』

 

「(うん、わかったよ)」

 

それからアイドル達三人は内部通話状態へと移行。そして、ソウルが話を続ける。

 

『取り敢えず、今の状況を簡単で良いから話してくれ』

 

「(オッケー。こっちは……)」

 

それからソウルへの情報共有を終えるとソウルは少しだけ考えたのちに三人へと答えを返す。

 

『そっちの事は大体わかった。……作戦を話すよ』

 

「(ッ、もう作戦を思いついたんですか?)」

 

『まぁ、元々持ってた作戦を修正して提示するだけだけどな。でも、このままだと確実に全員やられる。だから、この作戦に賭けるよ』

 

それからソウルは三人へと作戦を簡単に話していく。それから三人はソウルの提示した作戦を実行するのだった。




また次回も楽しみにしてください。
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