キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
キュアソウルとブレイクの最後の戦いが始まる少し前。ソウルが変身する前にアイドル達三人が光を送るほんの少し前だ。
メロロンはダークメロロンの嫉妬の渦によって巻き起こされた闇の液体に浸かるとそれが首の辺りにまで到達。あと一歩を押し込むためにダークメロロンは声を上げる。
「さぁ、闇に染まるのメロ!そうすれば許せない咲良うたを……あの子達を捨てられるのメロ!」
そんな風に強い口調で圧力をかけるダークメロロン。するとメロロンは苦しそうな顔をしながらも呟き始める。
「そう、許せないメロ……」
メロロンの言葉を聞いてダークメロロンはようやくメロロンが闇に堕ちる決意をしたのだと感じ、続く言葉を聞こうとした。
「メロロンが許せないのは……メロロンメロ!」
「メロ!?」
しかし、メロロンが涙を溢しながら怒りを向けていた対象は……まさかのメロロン自身だった。ダークメロロンはまさか自分自身が悪いとメロロンが言い出すとは思わずに唖然とする。そして、そんなダークメロロンを他所にメロロンは自分の想いをぶつけた。
「お友達になりたいって、言ってくれたのに……。もうお友達って言ってくれたのに……」
メロロンはずっと我慢し続けていた。うた達と友達になったらいけない。それがプリルンの願いを叶えるために自分のやった事なのだから。そうやって自分に言い聞かせる事でこの湧き上がる気持ちを割り切ろうとしていた。
「……本当はわかっていたメロ。影人や夢乃がメロロンの友達になってくれたのに……メロロンに何とも無かった時点で……おかしいとは思ってたのメロ」
メロロンは涙ぐみながらある事実を思い出す。それは、ハートキラリロックによる封印を発動した時点で影人や夢乃とは既に友達だった。その時は不鮮明だったとはいえ、もし友達を作ってはいけないという封印内容であれば自分はその二人の事に関して何かしらの封印が発動していたはずなのだ。
だが、それなのに影人や夢乃の事に関する記憶を忘れなかった。つまり、プリルンのように最初から持っていた物を失わなかった時点でメロロンは本当の一番の願いが自分の思っていた物とは違う事ぐらいはわかったはずなのである。
「それなのにメロロンは、影人のキラキラを取り戻そうと頑張って……。そのせいでキラキラごと影人は封印されて。もっと苦しめてしまったのメロ!影人があんな風になったのはメロロンのせいメロ!」
そして、メロロンは自分で本当に封印した物の自覚ができていなかった影響で一番やってはいけない事をわかっておらず。そのせいで影人を更に苦しめる結果に終わってしまったと酷く後悔していた。
「だから……だから一番悪いのは……メロロンが今一番許せないのは……ずっと本当の気持ちを伝えられるはずなのに伝えられなかった、メロロンなのメロ!」
そして何より、メロロンはプリルンや影人との未来を封印していないのだとしたら……本当ならメロロンが少し折れるだけで簡単に手に入れる事ができたはずの友達という関係性をずっと拒絶し続けてきた。素直になれば手に入ったはずの幸せを自ら捨てる道を選んでしまって、その結果周りの皆を自分勝手な理由で傷つけてきたメロロン自身が許せなかったのだ。
そして、メロロンが本当の気持ちを吐露すると同時に彼女の手にしていたキラキライトが眩い輝きを放つ。
「どうしてメロ……メロロンの事を一番知ってるのはメロロンのはずなのに……」
ダークメロロンはメロロンの想いを聞くと動揺。まるでバグったパソコンのように混乱した顔つきを見せる。するとそんな時にアイドル達三人の歌がメロロンの元にも届く。
「メロ……皆の歌が聞こえるメロ……。メロロンはあんなに酷い事をしてしまったのに……助けに来てくれたのメロ……」
三人の歌はメロロンの背中を後押し。これにより、彼女も自らの気持ちに蓋をするのを止めた。彼女の心にあるその想いが……メロロンの持っていたキラキライトを更に光り輝かせる。
「……だから、今度は絶対に……。皆にメロロンの本当の想いを伝えるメロ……」
メロロンはそう言って光り輝くキラキライトを上に掲げるとその光に包まれたメロロンの閉じ込められたカプセルが再度浮かび上がった。そして、そこから外で戦っている四人。つまり、アイドル・ウインク・キュンキュン・ズキューンの元に虹色のリボンを伸ばすと四人の胸元へと結ばれる。
また、未だにカプセル内にいる影人の方にもそのリボンがカプセルへと巻き付く形で繋がった。
「影人、ねえたま、こころ、なな、うた……」
そして、メロロンは五人と繋がる事で手にしたキラキライトに虹の輝きをもたらすとそのまま更に強く自分の気持ちを叫ぶ。
「メロロンとお友達になってメロ!皆と一緒にいたいメロー!!」
次の瞬間。メロロンの想いはとうとう爆発。キラキライトから発生した光がカプセル内部にある闇を全て掻き消すかのように周囲に駆け抜けていった。
「そんな……メロロンは……メロロンじゃ無かったのメロ……」
同時にメロロンの心を理解できなかったダークメロロンは、諦めたかのように呟くと虹の光に包まれて消滅。その光はとうとうカプセルの内部には収まり切らないと言わんばかりに周囲に漏れ出すとカプセルその物が粉砕される。
「「「ッ!」」」
「何……」
「嘘でしょ……」
カプセルから光が溢れ出た後に砕け散る光景を見たアイドル達やスラッシュー、ダークランダーさえも思わず戦いの手を止めるとカプセルのあった場所からメロロンが飛び出してその時近くにいたズキューンの元に飛び込む。
「メロロン……!」
「ねえたま……」
ズキューンは嬉しそうに飛び込んできたメロロンを抱きしめると彼女を包み込むようにそっと頭を撫でる。まるで迷子になった寂しがりの妹を見つけて安心させるように。
「メロロン……おかえりなさい」
「やった!」
「メロロンが戻ってきてくれた……」
「はい、これであとはカゲ君だけです!」
アイドル達三人もメロロンの帰還を嬉しそうに迎える。そして、ズキューンに抱きしめられたメロロンは目に涙を浮かばせるとズキューンへとそっと答えを返す。
「ただいまメロ……」
するとズキューンはメロロンの耳に付いているリボンがまだ石化したままな事に気がつくと目を見開く。
「メロロン、もしかしてこれ……」
「メロ、きっと影人がまだ封印された自分の光を取り戻せてないのメロ。……メロロン達の力で、影人を助けるのメロ」
メロロンはまだ自分の封印した物が封印されっぱなしの証という事で未だに耳の石化が解除されていなかった。だが、メロロンがその事で悲観する様子は無い。むしろ今まで迷惑をかけた分、今度こそ自分の手で影人の光を取り戻す助けになりたかった。
「勿論だよ、メロロン!」
ズキューンがメロロンの意見に賛同すると彼女のその想いを具現化するようにメロロンの姿が変化。
「プリキュア!ライトアップ!キラキラショータイム!YEAH♪」
メロロンが単独でキュアキッスへの変身を完了させると降り立ち、名乗りを上げた。
「ハートをメロっとひとりじめ!キミと口づけ、キュアキッス!」
これにより、プリキュアが五人集結。そして、キッスが帰還した事でアイドル達はそれを歓迎するかのように彼女の元に集まった。
「キッス!」
「キッス!」
「キッス!」
「えっ……」
「やったぁ……」
それからアイドル、ウインク、キュンキュンがキッスをズキューンごと抱きしめると感動の再会を果たす。そして、それをしたキッスの顔つきは今まで以上に柔らかい物だった。
「うん……。皆、助けてくれてありがとう」
「キッス……!」
キッスはもう自分の気持ちに嘘を吐くのは止め、アイドル達の元へと歩み寄る事にした。……もう、一人で意地を張らなくても良いと今回の件で嫌という程に思い知ったというのも大きいだろう。
「皆、お願い。影人を助けるためにも……。歌を届けたい。だから……」
「オッケー。ウインク、キュンキュン」
「うん。足止めは任せて!」
「はい、ズキューンもキッスと一緒に……」
「そうだね!私も影人のために歌いたい!」
キッスの頼みにアイドルは笑顔で答えるとウインク、キュンキュンも敵への足止め役を買って出る。そんな中でスラッシューは良い加減お喋りは終わりと言わんばかりに炎の斬撃波を放つ。
「はぁ、良い加減感動の再会の時間は終わりよ!」
「ウインクバリア!」
スラッシューからの斬撃波に対してウインクがバリアを展開。攻撃を完全に防ぐ。
「なっ!?」
スラッシューはまさかウインクが完全に防ぐとは思わなかった。何しろ、自分の攻撃は今まで彼女のバリア相手に何かしらダメージを残してきたのだ。それなのにいきなり攻撃を完全に防がれたため、彼女は困惑したのである。
「はぁああっ!」
キュンキュンは動揺しているスラッシューへと跳び上がると一気にドロップキックを放つ。それを受けてスラッシューは防御するが、それでも彼女は防ぎきれずに吹き飛ばされる。
「うぐっ!?」
「はぁ。これは確かに面倒だね。スラッシュー様達がいつも勝てずに戻ってくるのも納得だ」
勢いを取り返したプリキュア達の様子を見たジョギは溜め息を吐きつつその様子を見つめる。先程まであれだけ劣勢だったはずなのに、完全にトドメを刺し切るに至れないと不死鳥のように何度も蘇ってきてしまう。
「仕方ないけど、これ以上立て直されるのは俺も御免かな。ダークランダー」
「ダークランダー!」
ジョギもプリキュアに持ち直されるのはあまり面白い事では無い。そのためダークランダーへと攻撃を指示。ダークランダーはそれに応える形で手にした鍵を地面に突き刺して五人纏めて捕えようとする。
「ッ!あなたの相手は……私だよ!はぁああっ!」
それに対してはダークランダーの動きにいち早く気がついたアイドルが飛び出す形で対応。彼女は踏み込むと一気に接近。強力な拳を叩き込む。
「ダーク!?」
ダークランダーはアイドルからの拳を受けて押されると攻撃をキャンセル。すかさずアイドルはまた近づくと今度は拳の連打攻撃でダークランダーの意識を自分へと集中させていく。
「だだだだだっ!」
ダークランダーはアイドルから繰り出される攻撃の連打をどうにか鍵で止めようとするが、彼女の勢いは止まらない。ダークランダーへと拳で殴りまくった後に最後の一発とばかりにブローチにタッチ。先程以上の強烈な拳を放つ。
「アイドルグータッチ!」
「ラァアアン!?」
ダークランダーが吹き飛ばされると近くの木々が生い茂る森に激突して目を回す。
「ッ、調子に乗らないで!」
スラッシューが天に手を翳すと炎の剣が上空に生成。それを見てプリキュア達が警戒すると彼女達の視線が上を向いた瞬間を狙ってスラッシューは自身の周囲に火炎弾を生み出す。
「ウインク、キュンキュン!」
「上と前からの時間差攻撃ですか!?」
「キュンキュン、上の方をお願い!」
「え、ええ。わかりました!」
アイドルが二人を心配するとウインクが咄嗟にキュンキュンへと上を対処してほしいと指示。キュンキュンは彼女の言葉に迷う事なく正面をウインクに任せるとブローチをタッチ。
「キュンキュンレーザー!」
キュンキュンの髪飾りから放たれたレーザーが上から降り注ぐ剣を全て撃ち落としては破壊。
「例え上を防いだって……」
「そうだよ。だからこうすれば良いの!」
ウインクは再度ウインクバリアを召喚するとそのバリアを正面に張る……のでは無く、バリアを手に持った。
「ウインクバリア!」
ウインクバリアの弱点。それは同時に二枚以上出す事ができない事。加えて、バリアで守れるのは一方向だけしか無いと言う事だ。厳密に言えば使った方向から裏側に回れば使い回しはできるかもしれないが耐久力は恐らく削られたままだろう。
つまり、何が言いたいかというと多方向からの攻撃を防ぐのには向かないという事だ。そのためウインクは今回、バリアを正面にただ展開するのでは無くバリアその物を持つとそのまま自分ごと回転する。
「ッ、はぁ!?」
「はぁあああっ!」
スラッシューは驚きつつも火炎弾を発射。それは正面だけで無く斜め前方向からもプリキュアを狙う。そのため、ウインクは高速回転しながらバリアを使って自分達のいる場所に飛んできた炎弾を全て打ち返すような形で防いでいく。
「な、何よあれ!?ウインクはあんな事もやれるの!?」
「な、名付けてウインクスピンバリア……」
「ウインク、大丈夫ですか!?もう、無茶しないでくださいよ!」
スラッシューはまさかウインクがこんなトンチキにも近い防ぎ方をするとは思わずに唖然とする。だが、ウインクは七不思議の件からもわかる通り天然な所があった。だから普通はやりたがらないような事もやろうとする。それが今回の防御成功に繋がったのだろう。
尚、その奇策を使った当の本人は回転し過ぎで少しだけ目を回してしまったが。
いずれにせよ、アイドル達は見事にスラッシュー達を足止め。その間にズキューンとキッスは浄化技としてでは無く、未だに囚われている影人へと光を送るために歌を歌う。
〜挿入歌 Awakening Harmony〜
「「取り戻したい〜♪光の世界〜♪」」
「その笑顔♪」
「勇気♪」
「涙♪」
「夢♪」
二人は歌によって自らの力を高めていくとそれがだんだんと最高潮へと向かっていく。
「「希望の兆し♪キミと明日を〜願うチカラで♪生まれる〜私たちのハーモニー♪響け〜♪」」
ズキューンとキッスは二人で手を翳すと歌によって高められた白と黒の光が射出。それが影人の囚われたカプセルへと入っていくと闇の力で暴走したブレイクと対峙する彼の変身のための力として機能するのだった。
「お姉様、ありがとうございます。後は……」
「うん、影人が戻ってくるまで私達五人で持ち堪えるだけだね!」
二人はお互いの意地を確かめるようにそう言うと先にスラッシュー達と戦っていたアイドル達へと合流する事になる。
また次回もお楽しみに。