キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
また時間を遡り、ズキューンとキッスが影人の囚われたカプセルへと光を送った直後。
アイドルプリキュアは五人揃う形でスラッシューやダークランダーに対抗していた。
「ダークランダー!」
ダークランダーは地面に鍵を刺して拘束というパターンはもう警戒されて通用しないと判断したのか、手にした鍵をぶん回すとそれを思い切りアイドル達へと投げつける。
「「「「「ッ!」」」」」
五人はタイミングを合わせてそれを回避するとスラッシューがすかさず跳んで回避した瞬間の逃げられない隙を突こうとする。
「隙だらけよ!」
「させないわ。チュッ、キッスショック!」
アイドル達はダメージの影響でスラッシューの動き出しへの反応がほんの少しだけ遅れてしまう中、唯一今までカプセル内部にいて大きなダメージを貰ってないキッスが反応するとキッスショックで牽制。
「この程度!」
スラッシューはキッスショックへと手にした炎の剣を振るうとハート型のエフェクトを真っ二つに切る形で粉砕。だが、それだけあればプリキュア達は頷き合うとそれぞれの相手を決める。
そして、アイドルプリキュアの三人がダークランダー。ズキューンキッスの二人がスラッシューへと向かって行く。
「キッス、私に合わせて!」
「はい、お姉様!」
ズキューンがキッスへとそう言うと自分に合わせるように言う。キッスは勿論それを了承。ただ、スラッシューはそれに笑みを浮かべる。
「甘いわね。わざわざ手負いのズキューンに合わせるなんて」
それから二人がスラッシュー相手に肉弾戦を挑むが、やはりズキューンのスピードに合わせるせいで連携の速度が足りない。そのためスラッシューは二人がかりで攻められてるのにも関わらず、それを軽く捌いてしまう。
「折角出てきたのにそれがあなたの弱点よ。キュアキッス」
スラッシューはキッスがズキューンの言う事ならそれに反対したりしないと見切っていた。そのため合わせるなら絶対にズキューンのペースだと予想していたのだ。
「そんな遅い攻めで私に勝てるとでも?」
スラッシューは横に薙ぎ払うように手を振るうと炎の鞭が飛び出す形でズキューンとキッスを纏めて弾き飛ばす。
「「ッ……」」
「受けなさい」
そして、距離が空いた瞬間を狙うようにスラッシューは手を掲げると炎のエネルギーボールを生成。二人へと振り下ろそうとする。
「キッス、逃げ……」
「いいえ、私がお姉様を守ります!」
ズキューンが自分を置いて行くように言うが、キッスにそのつもりは無い。スラッシューはその光景に笑みを浮かべると容赦無くエネルギーボールを放つ。
「ふん、ズキューンを庇った所で無駄よ!失せなさい!」
「ッ!」
キッスはその攻撃をどうにかするために正面から受け止めてしまう。ただ、その凄まじい威力のせいでキッスは後ろに押されてしまっていた。
「くううっ……」
「無駄だと言ってるのに、あなたがそこまで頑張る理由は何?」
「……私は今までずっと本当の気持ちを我慢してた。そのせいで、お姉様に、影人に……皆を振り回してしまっていたの。でも、もう私は自分の気持ちに嘘を吐きたくない!」
「あはっ、そう。罪の贖罪ってわけね?でも残念。あなた如きが一人で頑張ったって守れる物なんてたかが……」
「だったら、キッスだけに押し付けなければ良い!」
その瞬間、キッスの隣にズキューンが立つと彼女が抑えようとしているエネルギーボールを二人で受け止める。
「ッ、お姉様……どうして」
「私もキッスと同じだよ。……キッス、私がちゃんとキッスの気持ちを理解してたらきっとあなたはこんなに苦しんで無かった。だから、これはキッスを苦しめてしまった分だよ」
ズキューンとキッスは二人がかりでエネルギーボールを止めると二人は踏ん張ってその場に留まる。
「ッ、馬鹿な……止まったですって!?」
「一人じゃ止められなくても……」
「私達二人なら……」
「「止められる!!」」
ズキューンとキッスはエネルギーボールを真上に弾く形で投げ飛ばすとスラッシューはその光景に驚いた顔を見せていた。
「やるわね……。でも、それはあくまで攻撃を防いだだけに過ぎないわ。私相手に勝てるとで……」
その瞬間だった。スラッシューの脳裏にある光景が映る。それは、ジョギに洗脳されてしまう前に見ていた黄色いドレスを着た女の子が自分に笑顔で話しかける様子だ。
「ッ……何、今の」
「「……?」」
スラッシューが動揺しているとズキューンやキッスは動きが止まった彼女にキョトンとする。そして、キッスはある事を指摘した。
「もしかして、歌を歌いながら戦ってた時の記憶を思い出してるの?」
「ちょっと攻撃を止めたくらいで見くびらないで……。私にこんな甘ったれた記憶なんて……無い!」
スラッシューは怒りの雰囲気でその記憶を捨て去るように首を横に振る。そして、空中に浮かびつつ手を翳すと炎の剣が大量に生成された。
「さっきは止められたけど……これならあなた達では止められないわよ?」
二人がそれを見て迎え撃つために構える中、スラッシューは容赦無く手を振り下ろそうとした瞬間だった。
突如として影人が閉じ込められたカプセルが銀色の眩い光を放つと同時にカプセルにヒビが入り、砕け散る。
「ッ、これって!」
「カゲ君……!」
「おいおい、嘘だろ?」
そして、その光はダークランダーと戦っていた三人やそれを見守っていたジョギも見ていたわけで。その場の全員の視線がカプセルへと注がれる。
すると中に閉じ込められていた影人が飛び出す形で降り立つと彼は外の世界に出られたと認識した。
「ふぅ……良かった。やっと出られた……」
「カゲ君!」
「うわあっ!?」
その瞬間、キュンキュンが飛びつく形で影人を押し倒すとその目に涙を浮かべてしまう。
「……キュンキュン?」
「もう……心配……したんですよ。急にいなくなって……。それに、私はあの時助けを求めてるカゲ君を助けられなくて……うわぁああっ!」
キュンキュンは影人が戻ってきてくれた事が嬉しすぎたのか、覆い被さったまま感極まって泣いてしまう。そんな彼女に影人は微笑むとそっとその頬に手を置く。
「ごめんな。急に一人にして。……もうこんな事にはしない」
「ひぐっ……。約束……ですよ。破ったら……許しませんからね」
それからキュンキュンと影人は立ち上がるとスラッシューが動揺した顔を見せていた。
「どういう事……あなたはブレイクに呑み込まれるはずじゃ……」
「……アイツなら、俺の中に戻ったよ。……元いた場所に帰ったって事だ」
それを聞いたスラッシューの目が見開かれると頭を抑える。そして、彼女の瞳に涙が出てきた。
「嘘……。嘘よそんなの……。ブレイクが完全に消えたってことは、まさか、ブローチも……」
「……ああ。もう粉々に砕けた」
「「「「「えっ!?」」」」」
スラッシューはブローチの力でブレイクがいるという事に関してはしっかり認知しており、だからこそ混乱した様子を見せる。そして、同時にアイドル達もブローチが失われる事の意味はわかっていた。そのため、影人へと問い詰めようとするとその前にスラッシューが声を上げる。
「ブレイク……そんな。私は……私は……また……うっ!?」
スラッシューは何かを思い出したかのように脳内にノイズの走った記憶が流れる。それは、どこかの海辺でポニーテールにした少女が自分と思われる人物の手を引っ張ってくれた事。彼女との海での楽しい思い出。
そして、自分と思われる少女を助けたのと引き換えに……ポニーテールの子は海の中に行方不明になってしまった事。
「……どうしてよ……どうして私みたいなのがいつも残るの……。私を置いて行かないでよ……。いなくなるなら私の方なのに……」
スラッシューは無意識にその言葉を口にすると影人はブレイクの言っていたことは間違ってないのだと確信。話しかけた。
「スラッシュー、もうこんな事止めにしてくれ。お前に悪役なんて似合わない」
「煩い!あなたなんかに何がわかるの!生かされる価値も無いのに生かされて……。周りからお前なんか要らないって言われた気持ちが……。世界を真っ暗闇にしたいのもそいつらへの復讐で……ッ!?」
スラッシューはここで自分が何を言っているのかを自覚すると思わず口籠ってしまう。
「ッ、違う!そんな記憶なんて無い……。私は……私は……」
スラッシューは混乱したようにその場に崩れ落ちると頭を抑えてしまう。影人はそんなスラッシューへと歩み寄ろうとした。
「スラッシュー、もう良いかげ……」
「おっと、これ以上はご遠慮願おうか」
その瞬間、ジョギが影人とスラッシューの間に割って入るように立つと影人は初めて見る幹部に警戒する。
「お前は……」
「君とも初めましてだよね。僕はジョギ。スラッシュー様の部下さ」
「ご丁寧にどうも。それで、お前はスラッシューをどうするつもりだ?」
「スラッシュー様は体調が優れないようでね。ここでリタイアさ。なぁに、またすぐ元気になって戻ってくるよ」
その瞬間彼が指を鳴らすとスラッシューだけを転送。彼女はその場からいなくなってしまう。
「そんな……」
「スラッシューさん、あと少しで助けられそうだったのに……」
アイドルやウインクが悔しそうにするとジョギは笑みを浮かべ、同時にダークランダーが降り立つ。
「さてと、長くなっちゃったけど君達にコイツが倒せるかな?」
「ダークランダー!」
「影人、下がって!私達が……」
ズキューンは変身ができなくなってしまった影人を下げようとするが、彼はダークランダーの前から動かない。
「影人君、もうプリキュアになれないんでしょ!?ここにいたら危ないよ!」
「……いや、俺は逃げたく無い」
「そんな、無茶ですよ!」
アイドルやキュンキュンも影人の事を心配するが、影人はその中でも胸に手を当てて深呼吸する。それを見たジョギが嘲笑った。
「折角仲間が逃げろって言ってるのに逃げないとか。君は相当の大馬鹿みたいだね。それとも、自分も努力すればどうにかなると思ったのかな?……それで一度挫折したくせに」
どうやら、ジョギはグリッターに潜入していたスラッシュー越しに影人の事は聞いていたらしい。そのため、彼の弱みにつけ込む形で彼は指摘。しかし、影人はそれを聞いても怯むことは無い。
「……前までの俺ならな。でも、今はそう思わない。今の俺には仲間がいる。俺は今まで、誰かの借り物の力しか使えなかった。だからこそ、今度は俺自身の力で輝きたい。それが俺の……魂のメラメラだから!」
その瞬間、影人の胸から虹のリボンが飛び出す。そして、その現象はかつてアイドル達も経験した物だった。
「あれって……」
「まさか、影人君……」
「うん、きっとそうだよ!だって今の影人、凄くキラキラしてる!」
アイドルやウインクが思わず呟くとズキューンは興奮したように声を上げる。
「枯れ果てた光……仲間と手を繋いでその暗闇を満たし、その絆が真の光を呼び覚ます」
キッスはいつものポエムを口ずさんでいるとリボンが蝶々結びで結ばれてそれが銀色のプリキュアリボンとなる。
「銀色のプリキュアリボン……じゃあこれが、カゲ君が本来持っていた……」
そして、影人の胸からもう一つ。今までずっと謎空間に封印されていたアイテムが飛び出してきた。それは、スティックタイプのペンライトであり、持ち手部分の一番上にリボンを装填する場所がある。加えて、持ち手の底部分にはダイヤルが存在していた。恐らく、ペンライトで言う色を変えるための機能が備わっているのだろう。
「……これが、俺の力で生み出したキラキラの力」
そして、影人は覚悟を決めると自らの輝きで生み出した力を握りしめ、変身を開始。
影人は右手にペンライト型のアイテム。ソウルリンクライトを手にすると左手に銀色のプリキュアリボンを構える。すると彼の背景が銀色をベースにした特殊な空間へと移行。彼の服装が変身のための銀色に発光した専用の物に変化した。
以前まで変身時のスタートが暗い空間だったと考えるとこの時点で既に影人の色がハッキリと出ている事がわかる。
「プリキュア!ライトアップ!」
影人はそう言いながらプリキュアリボンをソウルリンクライトに装填。そして、影人はライトにあるリボンを装填した箇所を顔の右側、頭の上、心臓辺りの順にライトその物を移動させながらタッチ。
そして三回目のタッチによってライトが銀色に発光。すかさず自身の正面で大きく円を描くように動かす。
「キラキラ!ソウルリンク!YEAH♪」
影人が胸の前にライトを持ってきつつ左手でライトのリボン部分をまたタッチして変身を開始。すると影人の髪が電撃のエフェクトと共に根元から染まって行くかのように銀髪へと変化。ただし、他のプリキュア達と同じようにバイオレットのメッシュが入るのは同じである。
それから彼が髪が変化している間閉じていた目を開けるとオッドアイの瞳は紫色の瞳になっており、髪色の大幅な変化も相まって印象が大きく変わった。
「キミと〜!YEAH♪」
影人はライトのリボンの部分をタッチすると彼が纏っている服装が眩い光を放つと前までと同じで彼の姿が一瞬だけシルエット化。その直後には彼の服が展開。その服装は貴族が着ているようなスーツ姿だった。また、ズボンの方は黒を基調とした半ズボンで膝の辺りまで出ている。
上半身の貴族服のカラーリングは前とは違い銀色がメインである。その分メインカラーだったバイオレットは差し色程度に留まっていた。
そして、その直後には両肩に紫のエポーレットが装着。それに続き、肩から袖口にかけて線伸びていく形で黒のラインが入っていく。そのまま左肩から紫に銀のラインが入ったマントが出てくるとそれが幕が上がるように移動。そのタイミングで影人がライトを手にしていた。
「一緒に〜!YEAH♪」
影人が三度目のライトへのタッチを行うと両脚に銀色の光が膜のように展開していくと電撃と共にそれが膝下まで来る銀に紫の差し色が入ったロングブーツが装着。そして、影人の腰からローブが出現。これも銀色に紫の差し色となっていた。
そのまま両腕には左右で同じ白色のグローブが展開。また、腕の袖口は捲られていた。そして、両方の耳に小さめな雷の形をしたイヤリングが出現。最後に影人は手にしていたライトが影人の手から一瞬で彼の左腰にマウントされる形で移動。
そして、背景が再び変化すると同時に影人はプリキュアとしての名乗りを上げて変身を完了する。
「キミと輝く、ハートの鼓動!繋がる魂、キュアソウルビート!」
こうして、影人はキュアソウル改めキュアソウルビートへと変身。その姿をお披露目する事になるのだった。
今回、影人が変身するプリキュアがキュアソウルからキュアソウルビートへと変化しました。
……メタ的に言ってしまうとキュアソウルのままだと色々と不都合があったのでこの度変化を加える事にしました。ただ、だからと言ってキュアソウルビートへと何の前触れも無く進化した……というわけではありません。
影人が本来持っている銀の光に関しては前々から伏線は張ってましたし、あくまでキュアソウルは他人の力を借りてるだけなので影人本来の力が目覚めたら当然違う名前にくらいなるという理屈で見てもらえると嬉しいです。
ソウルビートの活躍は次回以降に回しますのでまた次回も楽しみにしてください。