キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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六人を繋ぐキズナリボン

キュアソウルビート。それが影人が新しく目覚めたプリキュアとしての名前だった。そして、それは自分の輝きが無くて不完全だったキュアソウルからの進化を示している。その証拠に、彼からは前以上に凄まじい力が周囲へと伝わっていた。

 

「お前、その姿は!」

 

「ああ。俺が本来持っていた光で変身したプリキュア。……キュアソウルビート。以後、お見知り置きを」

 

そして、ソウルビートは右手の親指、人差し指、中指の三本で指鉄砲のような形を作るとそれを頭の辺りに持ってきてからファンサをする対象に向けて振るようにポーズを取る。*1

 

その体からは閃光の如く銀の輝きが溢れていた。そしてそれはメインカラーが紫から銀へと変わった事で、キュンキュンのカラーリングを取り込んでいただけの前よりも自分の色が色濃く出たという事実がより顕著となった事を示す。

 

「キュア……ソウルビート!」

 

「ソウルが……進化した!」

 

「あー、さっきも言ったけど……今の俺はソウルビート。だからちょっと長いけどソウルビートって言ってくれると助かる」

 

「うん、またこれからもよろしくね。ソウルビート!」

 

アイドル達がソウルがソウルビートとして参加して帰ってきた事に喜んでいるとキッスは驚いた顔つきのまま思わず見惚れてしまった。

 

「お兄様……。素敵です……」

 

「キッス、夢中だね!」

 

そんな中でダークランダーを従えるジョギの方は彼の新しい姿に笑みを浮かべるとダークランダーへと声をかけた。

 

「プリキュアとして再度覚醒したって事か。ダークランダー!」

 

「ダークラン……ダー!」

 

ダークランダーが手にした巨大な鍵をソウルビートへと振り下ろそうとすると彼はその攻撃を真っ向から受け止める。

 

「……そんな物かよ」

 

「ダ!?」

 

ソウルビートはダークランダーからの攻撃を割とあっさり受け止めてしまう。他のプリキュア達ではこうはいかなかった所を見るとソウルビートはソウルの時から凄まじくパワーアップしているという事が明らかだろう。

 

「それじゃあ、そろそろ反撃させてもらうぞ」

 

「ダ?」

 

ソウルビートは受け止めていた鍵を思いっ切り蹴り上げるとダークランダーは鍵がいきなり上に行った事でバランスを崩してしまう。

 

「ダーク……」

 

「遅せぇよ」

 

ソウルビートはダークランダーが後ろに倒れる瞬間の無防備な時間を狙って跳び上がりながらの右脚による跳び膝蹴りを命中させるとダークランダーは吹き飛ばされた。

 

「ラァアア!?」

 

「強い!」

 

「ソウルの時よりも明らかに強くなってますよこれ!」

 

ソウルビートは単独で他のプリキュア達が手を焼いていたダークランダー相手にその強さを見せつけている。

 

「ッ……強いね、キュアソウルビート。だけど、幾らダークランダーを圧倒した所で技が通用しなければ意味が無いよ」

 

ジョギはダークランダーが圧倒されている事に多少驚いてはいたが、結局ダークランダーを浄化できなければ意味が無い。

 

「でも、今のソウルビートならきっと……」

 

ウインクはソウルビートの強さを見て今の彼なら一人でも浄化できるような予感がしていた。しかし、ソウルビートは他のプリキュアの方を振り返る。

 

「……皆、六人で決めるよ」

 

「「「「「えっ?」」」」」

 

まさかの全員で決めるというソウルビートからの言葉にプリキュア達は唖然としてしまう。先程までの流れならソウルビートが決められると思っていたために尚更だ。

 

「俺がこうして戻って来れたのはきっと皆との絆があったからだ。だから、俺は皆と一緒に決めたい」

 

「それが私達を繋ぐキズナリボン……ふふっ。私は賛成よ」

 

キッスが嬉しそうにソウルビートの意見を肯定。ただ、そうするには一つ問題がある。

 

「あれ?でも確か“キズナのリボン”に出てきた女の子って……」

 

「あっ、そっか!五人しかいないよ!」

 

キッスことメロロンが持ってきたキズナのリボンに出てくる少女達は五人しかいない。このままではまたソウルビートが一人だけ欠けてしまう。

 

「ううん、きっと大丈夫です。私達の絆なら……六人で繋ぐ事もできるはずですよ」

 

「うん、それに本にはリボンを持つ人が最大で五人しかいないなんて……そんな記述は無かったしね!」

 

「それに、俺の光なら皆と繋がれる。だから、俺達にならできる!」

 

すると、ソウルビートの体に銀の輝きが出てくるとそこからリボンが伸びて五人の右手に巻き付く。そして、六人が物理的に繋がった瞬間。

 

六人の胸が虹色に光り輝く。直後に六人の胸から飛び出したそれぞれのイメージカラーを模したリボンは自分達の上で一つに合わさっていった。

 

「これってもしかして!」

 

「うん、私達のキズナリボンだよ!」

 

「ソウルビートが、バラバラな私達を繋いでくれた」

 

「これで私達の絆は永遠です!」

 

そう。それはソウルビート達六人の絆を示すリボン。お互いの距離がどれだけ離れたとしても、ずっと途切れることの無い絆の証だ。

 

そして、六つのリボンが重なる形で一本のピンクのリボンと化するとそれが蝶々結びとして結ばれる。それにより、新たなリボン……プリキュア・ステージリボンが完成。

 

そのリボンは中央に金色の四芒星が配されており、四芒星の右上端にはハート型のストーンも存在。そして、中央部にピンク色のハート。右側に白と青、左側に黒と紫。リボンの縁取りに銀色が使われるという、正に六人の絆を示すリボンだった。

 

「良し、無事に全員分出てくれた!」

 

「あっ!という事はもしかして!」

 

「うん、ソウルビートも歌に参加できるって事だよね!」

 

キュンキュンやウインクが嬉しそうな声色を見せる。何しろ、この前の三人技の時はソウルビートだけ仲間外れで歌えなかった。また、ズキューンとキッスの技の時も基本的にはこの二人だけしか参加しないので何気に初めての全員で使える仕様の物である。

 

「ふふっ、なるほどねぇ。だったら君達の絆でコイツを倒せるか……やってみなよ」

 

「ダーク!」

 

するとダークランダーは未だにやる気なのか、プリキュア達相手に戦う意思を見せる。ジョギもプリキュアの新たな力が相手でもダークランダーは勝てると判断したのだろう。

 

「私達六人で、キラッキランにしよう!」

 

「「「「「(うん)(はい)(ええ)(おう)!」」」」」

 

♪決め歌 キミとシンガリボン♪

 

同時に六人は浄化のためのステージを発動。その領域を展開するとアイドル、ウインク、キュンキュンの三人にインカム。ズキューン、キッスはマイク、そしてソウルビートはアイドル達とは違う形状のインカム。……具体的には左耳に生成されて左側からマイクが伸びているタイプの銀色のインカムを装着。

 

「「「「「「感じてYou and I キズナリボン〜♪」」」」」」

 

六人は円陣を組むように並ぶと自身のイメージカラーを光らせたキラキライトを中央で合わせてからそれを同時にゆっくりと上へと持っていきつつ曲が開始。ステージに光が灯るとパフォーマンスを開始する。

 

「「「「「「クライマックスは私達!」」」」」」

 

六人の掛け声と共にキラキライトは光と共にその形状を変化。ピンクを基調としつつ、上の方にリボンの装填箇所や布のリボン。そして更にその上にはボール状のクリアパーツがあり、内部にはハート型のプレートが回転する機構があった。……その名も、キラッキランリボンバトン。プリキュア達はステージリボンをバトンへと装填するとクリアパーツ内部が発光する。

 

同時にダークランダーは技の効果で有無を言わさずに強制的に着席。その拘束力は六人の光を束ねているだけあってこれまでの中でも最強だった。その中で、ソウルビート達六人は歌を歌う。

 

「「「「「「重なる想いの強さを歌に乗せて〜♪届けに来たよ Sing For You 照らしてみせる〜♪」」」」」」

 

六人はキラッキランリボンバトンを手で回転させつつ綺麗な光を周囲へと示す。尚、ズキューンとキッスは片手でマイクを持っているために当然その分難易度が高いはずだが……難なくやれていた。

 

「「「「「「溢れる思いを残らず伝えるんだ〜♪どんなときでもYou and I 〜♪私とキミを結ぶキズナシンガリボン〜♪」」」」」」

 

六人の歌が終わると同時に技名を言い放ちつつ、自分達の頭上でバトンを振りつつ光のエネルギーを一つに集約。それはピンクのハート・青の四芒星・紫の雫・白の音符・黒の二連符・銀の稲妻のマークが一つに合体したような状態であり、六人の光が束ねられたような物だった。そして、その事実が生成された光のエネルギーが強力な力を秘めた物だと一瞬でわかるだろう。

 

「「「「「「プリキュア!キラッキランフォーユー!」」」」」」

 

そのまま六人がバトンを振り下ろす形で束ねた凄まじい光のエネルギーを解放。それが虹のエネルギー波としてダークランダーへと向かって飛んでいくと命中。その体を一気に浄化していく。同時に六人で決めポーズを取った。

 

「「キラッキラッタ〜」」

 

また、ダークランダーが浄化された事でマックランダーやクラヤミンダー同様にキラルンリボンが生成される事になる。それをアイドルが手にするのだった。するとその様子を見たジョギが目を見開くと笑みを浮かべる。

 

「ふふっ……。おいおい、本当にダークランダーを浄化するなんてね。……面白すぎるだろ。そりゃあスラッシュー様が気に入るわけだ」

 

彼はそのまま撤退していく事になり、ダークランダーの登場で荒れてしまっていたその場所は元通りに戻った。そんな中でソウルビートはダークランダーの素体にされてしまった夢乃を見つけると駆け寄る。

 

「夢乃!?大丈夫か?」

 

「ん……ううっ……お兄……ちゃん?助けてくれてありがと……」

 

夢乃はソウルビートの事を薄らと目を開ける形で認識。彼女は薄らと微笑んでお礼を言った。そのため、ソウルビートも安心したようにホッとする。

 

「良かった……」

 

そして、夢乃の無事を確認した所でズキューンが自分の持っているキラッキランリボンバトンを見て興奮したように声を上げた。

 

「キラキライトがパワーアップしちゃうなんて、ビックリ!」

 

「ソウルビートが私達五人を繋いでくれたお陰だよ。ありがと!」

 

「いや、俺は力が出てくるキッカケを作っただけ。皆がキッスとちゃんと向き合ってくれなかったらきっと生まれて無かった力だ」

 

ウインクはソウルビートへとお礼を言うと彼はあくまで自分がやったのは補助的な役割に過ぎないと謙遜する。そんな時、アイドルが自分の持っているキラッキランリボンバトンを空へと掲げた。

 

「これが六人の新しい力。キラッキランリボンバトンだね!」

 

アイドルが嬉しそうに話していると、彼女の掲げたキラッキランリボンバトンに合わせるように他の五人もそれを掲げる。そして、その光景はハートの木の周囲に舞い踊る桜の花びらに優しく包まれていた。

 

「ふふっ…… We are!」

 

「「「「「「キミとアイドルプリキュア♪!」」」」」」

 

それは、アイドルプリキュアがチームとして名乗る際の名乗りの口上だった。そして、今回はそこにズキューン、キッス、ソウルビートが加わると二つのチームは真の意味で一つのチーム……アイドルプリキュアとして重なる事になる。

 

時間が経ち、その日の夕方。影人達は変身解除するとはなみちタウンの出張所に来ていた。

 

尚、その際に目が覚めた夢乃も影人達に同行。加えて、メロロンの両耳に付いたリボンの石化についても影人が光を取り戻した影響で解除。これでメロロンの方の代償問題も完全に解決した事になる。

 

「結局俺は何の役にも立てなかったか……」

 

「いや。そんな事は無いよ。……俺が信じてる仲間の中には勿論お前や田中さん。カッティンやザックリン。姫野さん。……つまり、俺達に関わる皆の分も含まれているんだ。だから、何もしてないなんて事は無い。それに、全力で俺とメロロンを助けようとしてくれたんだろ?ありがとうな」

 

レイは今回の件こ解決法を探すために色々調べたようだったものの、幾つか試そうと思った解決策が全部必要無くなった事に苦笑い。

 

ただ、影人の言う通り彼等の存在も影人がカプセル内部に閉じ込められてからその中で頑張る原動力になってくれた。そのため、完全に無駄になったと言う事は絶対に無いだろう。

 

「そういや、メロロンはさっきから中で何してるんだ?」

 

「ああ、それなんですけどね」

 

ふとレイが先程から出張所の中で何かの作業をしていたメロロンの様子が気になったのか声をかけると夢乃がそれに反応した。

 

「準備完了メロ」

 

「メロロン。先程から部屋の片付けをしていましたが、もしや……」

 

「勿論、うたのお家に引っ越すプリ!」

 

ハートキラリロックの封印以降、うた達と袂を分つという意味を込めてメロロンはプリルンと共に出張所に居候していた。だが、今回の件を機に仲直りの意味を込めてうたの家にまた戻る事にしたらしい。

 

「これからはねえたまと、影人と……皆と一緒にいたいメロ。……良いメロ?」

 

メロロンは少し気恥ずかしい様子で話すが、うた達にとってこの提案はずっと別れていて寂しかった事もあってあっさりと受け入れられた。

 

「勿論!」

 

「はい!」

 

「嬉しい!」

 

「そういや、俺の事はにいたま呼びはもうしてくれないのか?」

 

「……元々はハートキラリロックの封印に触らないようにするための一時的な措置だったのメロ」

 

影人の事をにいたま呼びにしたのはハートキラリロックの影響で友達という手段が使えないため、一時的に呼んでいただけに過ぎない。だからこそ今はもうその枷から解き放たれて今度は友達として接したい様子だった。

 

「お兄ちゃん、良かったの?」

 

「メロロンが名前呼びしたいって話ならそれを尊重すべきだし、俺はメロロンが良いなら異存は無いかな」

 

影人は少しだけ寂しそうな様子だったが、メロロンの意思は尊重すべきであるためにそれ以上とやかく言う事は無かった。するとうたはいきなりメロロンの元に行くと彼女の体を抱いた状態でクルクル回りつつ歌い始めた。

 

「メロロン一緒に帰ろう♪明日も明後日も♪一緒、一緒、ずっと一緒!♪」

 

「メロ!?」

 

メロロンは急な事に戸惑っていたが、その顔つきに今までのような負の感情は存在していなかった。

 

「これからもよろしくね~!♪」

 

こうして、メロロンは影人以外とも完全に友達となるとハートキラリロックを使用した時から始まったチーム内でのギクシャクした関係は終わりを告げる事になる。

*1
イメージとしては○面○イダー○ォーゼの○文字隼の決めポーズ




と言うわけで、今回でアニメ30話分終了となります。今回はソウルビートのデビュー戦で彼の単独浄化技がありませんでしたが……。まぁ今回のメインはあくまであっちなので事情はお察しください。

その代わり、また彼が一人で決めるタイミングは別で作る事にします。それはさておき、次回からですがアニメ31話……では無くオリジナルストーリーです。

また回り道をする形ですみませんが、よろしくお願いします。それではまた次回もお楽しみに。
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