キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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影と心の気持ちの変化 田中とレイの目的

レイの素性を知り、そしてキラキランドの妖精である田中と出会った翌日の朝。影人がこころの朝練に付き合っていた。

 

「お疲れ様、こころ」

 

「はい。……カゲ先輩、やっぱり初めて会った時から大分変わりましたよね」

 

「……そうかもな」

 

「何しろ先輩は私の事を最初に見た時にすぐにココって言ってくれませんでしたし」

 

「ちょっ!?それを言うなよ……。それにココの事はちゃんと覚えてたし、その……恥ずかしいじゃん。知り合いだと思ってたら人違いだったなんてオチ」

 

影人が僅かに恥ずかしそうに照れてる顔を見るとこころは“ぷっ”と吹き出して笑ってしまう。

 

「何ですかそれ!でも、明るくなってくれて良かったです。先輩、初めて会った時俺に関わるなって感じな顔でしたし。でも、あの時私とお話しして良かったでしょ?」

 

「ああ、そうだな」

 

こころの言葉に影人は頷く。思えば、引っ越ししても全く上手く行かないなんて風に気落ちしていた自分が嘘みたいにここ最近は楽しい日々を送れている。それは、あの時こころがあれだけ突き放そうとした自分に諦めずに話しかけてくれたお陰だ。

 

「こころ」

 

「はい、何でしょう?」

 

「その、あの時俺に話しかけてくれて……向き合ってくれてありがとう」

 

するとこころの胸は影人からお礼を言われたという嬉しさに普段のキュンキュンとは全く別物のキュンキュンの気持ちが湧き上がってくる。

 

「はい!私も先輩とお話しできて、今みたいに朝練で会える関係になれて嬉しいです!」

 

こころの笑顔を見た影人は胸がドクンと高鳴る。それと同時に普段よりも早く心臓が鼓動を打ち始めた。

 

「ッ……」

 

影人はうたやなな、他の人と話す時は全く感じないその感情に違和感を覚えた。その感情が影人にはわからなかったのだ。

 

「(この気持ち……心メラメラ……いや、もっと違う。こころの事が可愛らしく見えてきて……)」

 

「先輩?どうしたんですか?」

 

「べ、別に……何でもねーよ」

 

影人はひとまず今の整理の付かない気持ちでこころには向き合えないと僅かに顔を背ける。そんな影人を見たこころも内心ではかなり心がぐちゃぐちゃになってきていた。

 

「(うう……どうしよう。心がキュンキュンし過ぎてどこかおかしい。いつものキュンキュンとまるで感覚が違いすぎて……。ダメダメ、先輩とはあくまで先輩・後輩の垣根を超えた友達ってだけだから)」

 

二人は相手にこの動揺がバレたらどうしようと考えて少しの間無言の時間ができるとその間に二人は心を落ち着ける。

 

「こころ」

 

「何でしょう?」

 

「……今度、こころが会長をしてるアイドル研究会。行っても良いか?」

 

「えっ!?むしろ、私の方こそ良いんですか!?」

 

「何でだろ……。何だか無性にこころの事を知りたくなったと言うか……。こころがやりたいと思って始めたアイドル研究会が気になったと言うか」

 

その言葉にこころは目を輝かせると影人の手を両手で握ると興奮したような声を上げた。

 

「わかりました!そうと決まれば先輩の研究会への初参加を歓迎するための準備をしておきます!日付はまた前日の夜までにお伝えしますので!」

 

「ああ。よろしく……こころ会長」

 

「私……心、キュンキュンしてます!」

 

そんな風に二人が約束をする中、この日はもうそれぞれの予定に干渉する時間になったという事で解散する事に。

 

家への帰り道で影人はこころの事を考えていた。思えば、プリキュアに関わる運命に引き込まれたのもこころと話をした時間があればこそだ。アレが無ければ自分は別の場所へと移動する際にプリルンを拾ったうたと激突する事も無かった。

 

「……俺、知らず知らずのうちにこころに救われてたんだな」

 

それから自分の見る世界は大きく変わった。うたと関わりを持てて、それからプリキュアの活動を通してこんな楽しい時間を過ごせるとは当時の自分に言っても信じないだろう。

 

「俺もこころにそろそろ何かしらお礼をしたいな……」

 

影人はそう考えるが、こころが喜ぶ物が何かわからない。何しろ彼女の興味が向いているのはキュアアイドルだ。だからと言ってキュアアイドルを早々にこころと会わせるのはあんまり気が進まない。

 

「……できればこころにはプリキュアの本当の仕事については知られたく無いし」

 

世間一般の認識はプリキュアとはただのアイドルだ。だが実際の所、プリキュアにはマックランダーと戦い、そのついで……浄化のためにアイドルライブをしている側面がある。

 

「……あんな危険な現場を何も知らないこころが見たら絶対に腰抜かすだろうし、下手したらアイドルプリキュアに対して持っていた夢や憧れが全部壊れるかもしれない……」

 

すると影人の脳裏に自分自身が夢破れて心が折れた姿を思い浮かぶが首を横にブンブンと振って否定する。

 

「……ダメだ、考えただけでも不快感しか無い。こころに同じ思いをさせるぐらいならあの現実は知らない方が良い。もし仮にそれでも推してくれるとしてもちゃんとその説明はしないとな」

 

ただ、キラキランドの女王であるピカリーネ曰く関係者で無い人へのプリキュアの話の流出は良くないとの事。下手したら自分もプリルンみたいにモッサモサになるリスクが生まれるだろう。それに前にななにバレた際に自分達がモッサモサにならなかったのはバレる前に不可抗力でマックランダーを一度見られてキュアアイドルことうたが戦う所を目撃されたから。

 

しかもその後に彼女がプリキュアとして覚醒して正式な関係者になったためにピカリーネからそれに免じてお咎め無しとみなされただけかもしれない。

 

「……下手に真実は話せないな」

 

それでも影人の中にはいつか近い未来、こころにちゃんとアイドルプリキュアの真実を話さないといけない日が来る。そんな妙な予感がしていた。

 

そんな風に考えつつ影人は自宅に帰るとそこで家族と朝食を食べ、うたやななと集まる約束をしているグリッターへと向かう。

 

「あっ、影人君来た!」

 

「おはよう、影人君」

 

「おはよう、二人共。ひとまず上に行こうか」

 

影人は一旦プリキュア関連の話に入るために人が基本的にいないカフェの二階にあるスペースへと移動した。そして、まずは開口一番に二人へと謝罪の言葉を話す。

 

「……昨日は本当にすまない」

 

「えっ!?何で!?影人君、私達に対して何も悪い事してないよね?」

 

「昨日のレイや田中さんの件だよ。あの時俺が二人を上手く捌けていれば良かったんだけど、二人が関係者じゃなかったら色々終わってた訳だし」

 

影人は自分の未熟さのせいで二人の身バレが世間に知れ渡る大きなリスクに繋げてしまったと二人へと謝罪しているのだ。

 

「そんな、影人君は私達を守ろうとしてくれたのに……」

 

「うん。私達は影人君を責めるつもりなんて無いから」

 

そんな風に三人で話をしているとプリルンが耳をひょこひょこさせると店の扉が開いて二人の男達がやってきた。

 

「プリ?あ、昨日の二人が来たプリ」

 

「「「……え?」」」

 

この状況に三人は言葉を揃えて驚く。そもそも影人は昨日会った際に二人へとここの住所とかは話していない。そして今日会うという約束もしていなかったために面食らうと影人はスマホに通知が入っているのを見た。

 

「……“今から咲良さんの実家、喫茶グリッターに行くからプリキュアの二人と一緒にそこ集合な?”っておい。アイツふざけんな。そもそも何で俺達が今日集まるって思考がバレてるんだよ」

 

「お店まで特定されてるなんて……」

 

「どうしよう……」

 

そんな三人のやり取りも露知らずの二人は席に向かい合って座るとまずは客としてコーヒーフロートとアイスカフェラテを注文。

 

「……レイ様のお話の中にあった喫茶グリッターというお店。初めて来てみましたが中々良い物ですね」

 

「ああ。あとそれとここでは普通に様付けは無しでお願いします。普通に君とかさん付けで呼んで欲しいです。俺も田中さんって呼びますから」

 

田中にとってレイは同胞の妖精達の雇い主の息子という事で敬称を付けてるが、今はそれは無しにするようにレイから言われたため、彼は頷く。その間に二人が注文したコーヒーフロート、アイスカフェラテが出てきたのでそれが置かれる。

 

「お待たせしました。コーヒーフロートにアイスカフェラテです。どうぞごゆっくり」

 

そんな風にドリンクを置いた音が去っていくと二人は早速ドリンクを飲み始める。

 

「ッ!?」

 

「美味しいでしょ?……俺も初めて来た時こんな美味しいお店あったんだって思いましたよ」

 

田中はレイにそう言われてコクコクと頷くと夢中になってコーヒーフロートを飲んでいた。レイもそんな田中が無表情ながらも幸せそうに飲んでいるのを見て微笑ましい顔になり、一緒にアイスカフェラテを飲む。

 

「なんかうちのコーヒーフロートを堪能してる……」

 

「というか、レイはここのお店に来た事があるんだな」

 

「うん。常連さん程頻繁に来る訳じゃないけど結構不定期な間隔で来てくれてるから」

 

すると一階ではスマホではもりや和、音の咲良家の三人がアイドルプリキュアの動画を見ていた。

 

『ゼッタイ!(ゼッタイ!)アイドル!(アイドル!)ドキドキが止まらない!急接近♪笑顔のユニゾン、応えてほしいな〜』

 

『きらめきへ踏み出そう〜♪受け取った勇気つないで♪』

 

「キュアアイドル可愛い〜!」

 

「キュアウインクちゃんも良いね!」

 

「輝いてるなぁ」

 

「そういえば、夢乃ちゃんはウインク推しだったっけ。あの透き通った歌声が好きなんだって」

 

そんな風に話してるのを聞いた三人。その中でもななは僅かに照れくさそうな顔をしているのを影人は横目で見た。

 

「(私の推しが……私を推してくれてる……)」

 

「(まぁ、そんな気持ちもわからなくも無いが……。そういやその蒼風さんの推してる相手こと夢乃も割とプリキュアの沼にハマりつつあるんだよな。俺が関係者ってバレたらヤバいし誤魔化すのも大変になってくるなぁ……)」

 

ななが推しのVtuberにアイドルとしての自分を推してもらっているため、嬉しさでいっぱいになっているのを影人は何となく察するとうたにはそれがバレて無さそうなので僅かに安堵する。うたに変にその辺りの話題を掘られると彼女も夢乃の正体を知りかねないからだ。

 

「二人のステージ、素敵プリ!」

 

そんな中、二階で三人が話す中、影人が動画投稿アプリを開くとそこには後から投稿されたキュアウインクの動画だけでも1000万回視聴された上で1000万いいねを貰ってる。……ちなみに普通なら視聴数といいね数はかなりの差が開くはずだ。視聴している人全員がいいねを入れるわけでは無いし、そもそも動画をリピートする人だっている。だから二つの数字は殆どの場合は一致しない。

 

そんなメタ発言はさておき、後から投稿されたウインクでさえこれなのだから先に投稿されているアイドルの方はもっと凄まじいだろう。

 

「うわぁ……プリルンが前にアップした動画、拡散しちゃってるよ」

 

「これを見て私達に気づいたのかな?」

 

「……いや、その線は多分薄い。俺は生身だから即バレしても仕方ないが二人の場合見た目が激変してるし、瞳の色も変わってる。一番怖いのが声バレだけど今の所は歌ってる所だけ。歌なら多少声質が普段喋る時から変わるからまだ平気っぽいしな」

 

とは言っても時間の問題ではあるかもしれない。ネット民の中には怖い連中がウヨウヨいる。推しの正体を暴くために平気な顔をしてネットに上がった僅かな証拠から特定の人物の持つ個人情報等全てを身ぐるみを剥ぐまで曝け出すような狂った人も少なく無い。

 

「……俺が世間にバレるのは仕方ないとして二人の事はどうにかして守らないとだしな」

 

「……あれ?私達に……お願い?」

 

するとななが動画のコメント欄にある文面で気になる場所があったのかそこで手が止まる。そのタイミングで田中とレイがドリンクを飲み切ってお代を払う所まで終わったのか、二階に上がってきた。

 

「お取り込み中の所を失礼します」

 

「さて、昨日は二人はさっさと先に行っちゃったからちゃんとした話をしようか」

 

「……レイ、あまり個人に深く踏み込むことはダメだからな?」

 

「あははっ、影人。お前、やっぱり二人の戦闘面でのサポーター兼日常面でのマネージャーみたいだな」

 

レイが二人のことを第一にしている影人を見てそう言うと影人はレイに揶揄われていると思って一度溜め息を吐く。

 

「お前な」

 

「わかってる。先に言っておくけど俺達は皆の活動を揶揄いに来たんじゃない。むしろ逆だ」

 

「「「え?」」」

 

すると田中は胸ポケットから出した名刺を差し出すとそれをうたとななが受け取る。

 

「改めまして私、田中と申します」

 

「はぁ……」

 

「アイドルプリキュアのマネージャーを務めさせていただきます」

 

「「……え?」」

 

田中からそんな風に言われ、うたとななの思考が凍りつく。影人は何となく二人が協力者だと知った時点でそういう目的だと何となく察しがついていた。

 

「「マネージャー!?」」

 

「だろうなぁ……。そもそも二人がキラキランドの関係者で経営関連の事をしてるって時点でそういう用件だと思ってたよ」

 

それから早速困惑する二人へと影人から昨日聞いていた二人についての説明が入る。そして、二人が大体の事情を理解した所で改めて女王様ことピカリーネを呼び出して本格的な話に入るのであった。




また次回もお楽しみに。
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