キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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キミに届ける閃光の歌

バッサリーナによってクラヤミンダーが召喚される少し前。場面は喫茶グリッターでの事。そこでは全国ツアーの了承を一時保留にされてうたやこころが少しだけ不機嫌なのか口を尖らせていた。

 

「折角バッサリーナさんがやる気にさせてくれたのにどうして止めちゃうの……」

 

「そうですよ。全国ツアーですよ?全国ツアー。それに、その途中のライブとかもプロデュースしてくれるのに……」

 

二人はバッサリーナが折角自分達をプロデュースしてくれると話したのにどうして田中がその考えに乗らなかったのかがわからず。そんな二人をななが宥めていた。

 

「まぁまぁ二人共。全国ツアーなんて凄い舞台をできるのは嬉しいけど、それだけ大きな舞台だからこそ皆慎重になってるだけだから」

 

「むーっ、それなら良いんだけど……」

 

「確かによくよく考えてみたら軽率過ぎました」

 

うたやこころはななからも言われてようやく納得すると同時にプリルンやメロロンが田中の方に保留にした理由を問いかけていた。

 

「タナカーン、どうしてオッケーしなかったプリ?」

 

「そうメロ。もしかして、何か引っかかったのメロ?」

 

「いえ、私では無いのですが……。レイさんから一旦話を進める前に踏み留まって欲しいとの事だったので」

 

田中からの言葉に一同はレイがストップをかけたのであれば仕方ないと考える。どちらにせよ、答えを返すまでにまだ一日近くあるのだ。焦って決めてしまうと目の前に見えているリスクも見えなくなってしまう。

 

「田中さん、お待たせしてすみません。会社への報告が終わりました」

 

「ありがとうございます。そちらの社長の方からは何と?」

 

「社長の方からは今回の件について反対との意見でした」

 

それを聞いて田中は僅かに渋い顔をする。ハジメが反対したとなると今回の件を軽々しく受けるという選択も厳しくなった。何しろ今のアイドルプリキュアの活動を支えているのは他ならない彼の支援である。

 

もしここで無理にやると言い出してハジメからサポートを打ち切られた場合が一番最悪。そのためやるためにはハジメが納得できるだけの何かが必要になる。

 

「そうですか……。ただ、私としてはできれば彼女達の意見は尊重したいです」

 

「それは私も同じですよ……。でも、レイさんも何か気にしていますし。一旦レイさんが戻ってからしっかりとした話を……」

 

姫野がそこまで言った時だった。丁度そのタイミングで街ではバッサリーナがクラヤミンダーを召喚。その影響でプリルンは体を震わせてしまう。

 

「ブルっと来たプリ!?」

 

レイがまだ戻ってないが、プリルンのこの反応を見てしまったら放置はできない。そのため、急いで現場へと向かう事になった。

 

「こんな時にチョッキリ団!?」

 

「まだレイ君が戻ってないのに……」

 

「まさか、レイ先輩じゃないですよね!?」

 

「アイツなら多分大丈夫だ。皆行こう!」

 

それから六人が移動するとその場所に到着。クラヤミンダーを視認すると驚いたような声を上げる。

 

「ッ、クラヤミンダー!?」

 

「ダークランダーじゃないですね」

 

「と言う事はチョッキリーヌメロ?」

 

前回も説明したが、影人達はその場所にいたのがダークランダーじゃないために少なくとも今回クラヤミンダーを召喚したのはジョギでは無いと考える。ただ、クラヤミンダーだったとしても目の前にいる脅威を放っておくわけにはいかない。

 

「プリ!?グリッターの常連のお爺ちゃんがいるプリ!」

 

「嘘、蓮爺ちゃんが!?」

 

「何にせよやるしか無い!皆!」

 

六人はそれぞれの変身アイテムを構えると同時に全員での同時変身を開始していく。

 

「「「「「「プリキュア!ライトアップ!」」」」」」

 

六人がプリキュアリボンをそれぞれのアイテムに装填。そしてアイテムを三回タッチしていく。

 

「「「キラキラ!ドレスチェンジ!」」」

 

「「キラキラ!ショータイム!」」

 

「キラキラ!ソウルリンク!」

 

「「「「「「YEAH♪」」」」」」

 

それから六人は自分達の掛け声を言うと変身を開始。その姿をプリキュアへと変化させていく。

 

「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」

 

「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」

 

「キミと踊る、ハートのリズム!心キュンキュン、キュアキュンキュン!」

 

「ハートをプリッとロックオン!キミとズッキュン、キュアズキューン!」

 

「ハートをメロっとひとりじめ!キミと口づけ、キュアキッス!」

 

「キミと輝く、ハートの鼓動!繋がる魂、キュアソウルビート!」

 

六人が名乗りを終えると全員で円陣を組む形で手を重ねる。それから全員でポーズを取りつつチーム名を名乗った。

 

「「「「「「We are!キミとアイドルプリキュア♪!」」」」」」

 

この際の並び順は正面から見て左手からキュンキュン→キッス→ソウルビート→アイドル→ズキューン→ウインクとなる。

 

六人のプリキュアが降り立つ中でバッサリーナはそれを見て驚かずにはいられなかった。何しろ、彼女の脳内情報はアイドルプリキュアは三人。残りの三人はズキューンキッスソウルになっていたはず。

 

加えてソウルがソウルビートに進化した事は彼女には伝わっていなかったのだ。そのため、六人になった上に一人が違う名前のプリキュアを名乗れば混乱するのも無理はない。

 

「何で……。もしかして、二つのチームがアイドルプリキュアとして纏まったって事!?しかも、キュアソウルがイメチェンした上に改名してるなんて……でも、アレはアレで良い……」

 

バッサリーナがファンとしてキュアソウルビートへの変化を喜んでいるとプリキュア達はクラヤミンダー相手に戦闘を開始。

 

「はあっ!」

 

まず飛び出したのはソウルビートだ。彼のスピードはクラヤミンダーが思わず見失ってしまう程であり、次に気がつくともう眼前に近づいていた。

 

「クラ!?」

 

クラヤミンダーが慌てて防御姿勢を取るが、ソウルビートからの鋭い右ストレートパンチが炸裂。クラヤミンダーはどうにか防御を間に合わせこそできたが、そのパワーは凄まじい。たった一撃で数メートルは後ろに後退してしまう。

 

「行きます!」

 

「はぁああっ!」

 

その瞬間、ソウルビートによって吹き飛ばされる先にまで先回りしていたウインクとキュンキュンが左右から二人同時のドロップキックを命中させるとクラヤミンダーは倒れ込んだ。

 

「クラァ……」

 

「ッ、強い」

 

バッサリーナはクラヤミンダーがあっと言う間にダウンした事に唖然とする。プリキュア達は前回、クラヤミンダーよりも更に力の質が上回るダークランダーを相手にしている。そのため、ダークランダーの強さにクラヤミンダーの強さが追いついておらず。クラヤミンダーの能力に簡単に対応できるようになった。

 

加えてソウルビートは前回、ダークランダーを単独で圧倒している。そう考えるとやはりクラヤミンダーではもう能力不足が否めない。

 

「お姉様!」

 

「うん!一緒に行くよ!」

 

「「はぁあああっ!」」

 

ズキューンとキッスは二人で駆け出すと跳び上がり、同時にパンチを繰り出す。クラヤミンダーはそれに対して反撃の拳を繰り出した。

 

「クラヤミ!」

 

拳がぶつかり合うとお互いに力が拮抗して押し合う。ただ、クラヤミンダーは割といっぱいいっぱいなのに対してプリキュア側の戦力はまだ残っている。

 

「アイドルグータッチ!」

 

ズキューンとキッスがクラヤミンダーと押し合っている間にアイドルが飛び出すとブローチをタッチ。強力な拳をぶつけると三人分の拳でクラヤミンダーを押し切って吹き飛ばす。

 

「この前のダークランダーが強かったせいかクラヤミンダーが比較的楽に感じますね」

 

「油断したらダメだよキュンキュン。どんな手を使ってくるか……」

 

キュンキュンとウインクが話をしているとクラヤミンダーは突如として自らの胴体部分を回転。まるで抽選機を回すかのような動きを見せるとクラヤミンダーの胴体部分が一回転すると黒い玉のような物体を飛ばしてきた。

 

「ッ!やっぱ抽選機みたいな攻撃してきたな!」

 

クラヤミンダーは胴体をひたすら回転させるとその玉による攻撃を連発してくる。

 

「っ!こんなの、当たらなきゃどうって事無いよ!」

 

「うん!」

 

「だから油断するなって!抽選機の玉って事は……」

 

すると、アイドルの目の前に飛んできた抽選機の玉が僅かに赤みのかかった玉という事に気がつく。

 

「あれ?なんかこれ色が……」

 

その瞬間、赤みのかかった玉がいきなり爆発。アイドルはそれでダメージを受けてしまう。

 

「うわぁああっ!?」

 

「えっ!?どういう事で……」

 

キュンキュンが困惑していると今度は彼女の元に来た青みのかかった玉が爆発して周囲に煙幕を張ってしまう。

 

「うえっ、今度は煙幕ですか!?」

 

「抽選機だから当たり外れがあるんだよこれ!」

 

「あっ、そういう事!?」

 

普通の抽選機には色ごとで景品が当たる場合が多い。今回のクラヤミンダーはそう言った当たり玉の能力があるようだ。

 

「これ、回避し続けるの不味くない!?」

 

「ええ、さっきのを見た感じだと……」

 

ズキューンとキッスが話をしていると二人の前で今度は緑がかかった玉が破裂。その直後に二人が地面を踏む脚に力を込めると踏ん張りが効かずにズルリと滑ってしまう。

 

「「……えっ!?」」

 

その直後に二人の前から玉が一つずつ転がってくると二人を容赦無く轢く形で吹き飛ばしてしまう。

 

「「うわぁあああっ!?」」

 

「ズキューン!キッス!」

 

「でも、あとちょっとで!」

 

ソウルビートは徐々にクラヤミンダーとの距離を詰めており、あと少しで攻撃が届く圏内となる。

 

「クラヤミンダー!」

 

しかし、クラヤミンダーもこのままやられるつもりは無い。今度はクラヤミンダーが跳び上がると両脚を地面と並行になるように広げ、自身の体の縦回転を利用して地面を転がるタイヤの如く前進。ソウルビートはいきなり向かってきたクラヤミンダーに驚く。

 

「嘘だろ!?」

 

ソウルビートは慌てて防御しようとするが間に合わない。そんな時にウインクがすかさずカバーする。

 

「ウインクバリア!」

 

「ウインク、すまん!」

 

ウインクバリアの力でクラヤミンダーの回転突進を防いだ二人。しかし、クラヤミンダーを防御してクラヤミンダーの方が弾かれた直後。クラヤミンダーは弾かれた衝撃で進路を変更。

 

「ッ、そっちには誰も……あっ!」

 

「嘘!?どうして……」

 

クラヤミンダーが進む進路の先。そこにはプリキュア視点では逃げ遅れてしまったと思われるバッサリーナが建物の物陰に隠れつつ少しだけ体や顔を見せている状態だった。

 

「バッサリーナさん!逃げて!」

 

「ッ……うわぁああっ!」

 

バッサリーナは恐怖のあまり腰を抜かす*1とクラヤミンダーは容赦なくバッサリーナを轢き潰そうとする。

 

「ヤバい!」

 

ソウルビートは咄嗟に変身アイテムであるソウルリンクライトを取り出すと持ち手の下の方にあるダイヤルを黒に合わせるとライトが黒に発光する。

 

「キッスの力、ソウルビートショック!」

 

ソウルビートがライトを前に翳すとキッスのメンバーカラーである黒い色をしたハートが生成される。これはキュアキッスのキッスショックをコピーした物だ。

 

ソウルビートはソウルの時に使っていたソウルメガホンの代わりとして変身アイテムであるソウルリンクライトを使う事でアイドルプリキュア五人の力を使用できるようになるのだ。

 

そして、生成されたハートが高速で射出されるとバッサリーナへと向かっていったクラヤミンダーの死角である後ろから激突する形で命中。

 

「クラァアアアッ!?」

 

クラヤミンダーはいきなり電撃を受けた影響でバランスを崩して地面を何度かバウンドして倒れ込もうとする。ただ、クラヤミンダーが倒れ込む先にいるバッサリーナは避難できていなかった。

 

「アイドル、キュンキュン!」

 

「オッケー!」

 

「任せてください!」

 

そのタイミングで体勢を立て直していたアイドル、キュンキュンがすぐにカバー。クラヤミンダーを受け止めるとバッサリーナへとぶつからないように押し留めた。

 

これにより、バッサリーナが巻き込まれる前にクラヤミンダーの動きを止める事に成功する。

 

「大丈夫ですか?」

 

「は、はい……ありがとうございます……」

 

「ここは危険です。急いで避難してください」

 

「すみません……」

 

バッサリーナは震える脚ながらも立ち上がる*2とその場からどうにか脚を動かして走り去る。ただ、途中でアイドルプリキュアの事が気になったのか一瞬だけ振り返ったが。

 

それでも彼女はその場からいなくなると六人は集まって再度クラヤミンダーと睨み合う。

 

「クラヤミ!」

 

クラヤミンダーはどうにか電撃を振り切って立ち上がるともう一回先程のように抽選機弾幕を放とうとする。

 

「あっ!またさっきのが来るよ!」

 

「いいえ、もうさせません!キュンキュンレーザー!」

 

キュンキュンはクラヤミンダーが回転しようとする瞬間を狙ってキュンキュンレーザーをクラヤミンダーの顔面に放つ。これを受けたクラヤミンダーは動きを止めてしまう。

 

「クラァ!?」

 

「ウインク、合わせて!」

 

「うん、任せて!」

 

キッスがウインクへと促してから二人で飛び出すとクラヤミンダーを両側から撹乱。クラヤミンダーはその影響でどっちを狙うべきか迷ってしまう。

 

「お姉様!」

 

「あっ、そういう事ね!ズキューンバズーカー!」

 

「ンダァアアッ!?」

 

クラヤミンダーが困惑した隙を突く形でズキューンバズーカーが炸裂。クラヤミンダーがダメージを受けて尻餅を付くとアイドルがすかさず跳び上がって真上から追撃する。

 

「はぁああっ!」

 

アイドルがクラヤミンダーへと真上からストンピングを喰らわせるとクラヤミンダーは伸びてしまう。

 

「ソウルビート、今日こそ決めちゃって!」

 

「おう、クラヤミンダー相手なら俺単独の技でも十分だしな!」

 

ソウルビートは前回やらなかった分としてクラヤミンダーにトドメを刺すために浄化技を発動。領域を展開すると銀のスポットライトを浴びる。

 

「クライマックスはこの俺!」

 

ソウルビートが笑顔を浮かべると左耳に銀のインカムを生成。それと同時にクラヤミンダーが強制着席させられる。

 

「フィナーレ、決めるぜ!」

 

それと同時に観客達が銀のペンライトを振っており、ソウルビートが自らの歌を歌い始めた。

 

♪決め歌 キミと繋ぐ閃光の光♪

 

「もう迷わない〜♪もう見失わない〜♪これが新たな自分の光♪!キミがくれたんだ〜♪その光を胸に、新たな世界へ飛び立つんだ♪!届けたいんだ、この光を〜♪キミと手を繋ぐために♪!」

 

それは、以前までのキュアソウルの歌と比べると少しだけ曲の速度がテンポダウン。

 

前まではあくまで自分の限界を破るという歌だったものが今度は自分の周りにいる人達と手と手を取り合い、一緒に光の世界へと飛び出すような雰囲気に変化。そしてその歌から影人の考え方が変わったのだと察せられる。

 

ソウルビートは左手を胸に当ててからソウルリンクライトを手にした右手を上に掲げると空から降り注いだ銀の稲妻をその中に溜める形で受け止める。その後、ソウルリンクライトで円を描いてからそのリングの中にソウルリンクライトを突き出すとそこから銀の光の奔流を放つ一撃。

 

「プリキュア!ソウルビート・フィナーレ!」

 

その一撃がクラヤミンダーを呑み込むと一気に浄化。同時にクラヤミンダーはお決まりの台詞を口にする。

 

「「キラッキラッタ〜」」

 

そして、その後生成されたキラルンリボンをソウルビートが手にすると笑顔を浮かべる事になるのだった。

*1
勿論演技

*2
これも演技




また次回もお楽しみに。
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