キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
ダークイーネによってバッサリンダーは再起動してしまうと先程同様に火力による制圧攻撃をしようと構える。
「ッ、またさっきのが来ますよ!?」
「……だったら、アイドル、ウインク。直列で行くぞ」
「えっ?直列?」
「順番は俺、ウインク、アイドルの順で縦に並ぶ。後はバッサリンダー相手に突撃だ。下手に回避に専念してもあの火力からは逃げ切れない。だったら一人でも突破できる事に望みを賭ける」
ソウルビートはバッサリンダー相手に火力勝負をしても勝てないという事は先程の戦いで明白になっているため、敢えて正面から突っ込む事で誰か一人でも強引に突破できる事に賭けるという事だ。
「キュンキュン、ズキューン、キッスは突撃組を飛び道具で援護。行けるな?」
「えっと、三人のカバーをすれば良いんだね!」
「私達なら朝飯前です!」
「皆、気をつけて」
ソウルビート達の話し合いが終わるとバッサリンダーは既に発射準備を整えており、早速火力をぶっ放してくる。
「行くぞ!」
バッサリンダーの攻撃が開始される直前に三人は直列で並ぶとソウルビートの通った場所をウインク、アイドルがすかさず通って行く形で突撃。バッサリンダーは一番危険なターゲットとして自分に向かってくる三人だと認知すると早速その火力を三人に集中させてきた。
「うわ、やっぱり来た!」
「いや、誘導した通りなら大丈夫だ!」
ソウルビートは迫り来る正面、両サイドからの弾幕攻撃に対してまずは正面から対応する。
「ズキューンの力、ソウルビートバズーカー!」
ソウルビートはライトのダイヤルを白に合わせるとライトが白に発光。ライトの先端に稲妻マークが内部に紋章として浮かぶ強力なエネルギー砲が生成されるとそれをバズーカー砲として放つ。
「はぁあああっ!」
そのバズーカー砲は正面に来た弾幕を全て粉砕していくと道を切り開く。だが、あくまで潰せたのは正面だけ。左右からは構わずこちらに攻撃が飛んでくる。
「ソウルビート、このままじゃ……」
「大丈夫だ!」
アイドルが心配の声を上げるが、ソウルビートは構わず進むために他の二人は着いて行かざるを得ない。そんな時だった。
「ズキューンバズーカー!」
「キュンキュンレーザー!」
後方から自分達の両サイドを守るかのように飛んできたバズーカーと小さな無数のレーザーが束ねられた太めのレーザービームが駆け抜ける。これにより、左右を挟み込むように飛んできたバッサリンダーの弾幕を防ぐ事に成功。三人の前に道が開ける。
「良し、まずは一段階目!」
だが、バッサリンダーはこれ以上近づかれるのは御免と言わんばかりに乱発できない切り札である胸のミサイルを放つ。
「バッサリンダー!」
「ウインク!」
「うん!ウインク……」
「ウインクの力、ソウルビート……」
「「バリア!」」
ウインクは自らの持ち技であるウインクバリア。ソウルビートはダイヤルを青に合わせた上でウインクをすると同じように青いキラキラマークのバリアを生成。ただし、ウインクバリアでは正面から見て左上と右下に小さなキラキラマークなのに対してソウルビートバリアは同じ箇所に銀の稲妻マークが浮かんでいる。
ソウルビートとウインクはその強力なミサイルに対抗するために二人分のバリアを重ねるとバッサリンダーからのミサイル二発を凌ぎ切った。これであと少し近づけば十分攻撃を当てられる距離感になる。
「バッサリ……」
バッサリンダーは止められない三人の突撃に対して再度先程と同じ弾幕を決めようとする。しかし、この時点で彼女は気づいていなかった。警戒するべき最後の一人を見失っている事に。
「キッス!」
「私をこっちに残したのはそのためね!チュッ、キッスショック!」
ここまで攻撃や防御に参加していなかったキッスが跳び上がって空中に移動するとこのタイミングでキッスショックを放つ形で介入。バッサリンダーの視界はソウルビート達の走る下にばかり意識が行ったので当然彼女には気が付かない。
「リンダァアアアッ!?」
バッサリンダーが無警戒だったキッスからのキッスショックをまともに受けてしまうと凄まじい量の電撃でダメージを受ける。これにより、一斉斉射をする所では無くなってしまったバッサリンダー。
「今だ!行くぞ!」
「オッケー!」
「うん!」
味方の援護もあってバッサリンダーの懐に入った三人は跳び上がるとアイドルがブローチをタッチ。それに合わせるようにソウルビートとウインクもダブルキックを放つ。
「アイドルグータッチ!」
「「はぁああっ!」」
二人分のキックとアイドルグータッチを喰らったバッサリンダーは一気に後ろに押し戻されると唸った。
「バッサリ……」
更にキッスショックによる電撃での麻痺はまだ継続中。決めるならもう今しか無い。
「良し、このまま皆で決めよう!」
今度はバッサリンダーを確実に浄化するために六人での浄化技を発動。四人がインカム、二人がマイクを展開する形で領域を展開した。
♪決め歌 キミとシンガリボン♪
「「「「「「感じてYou and I キズナリボン〜♪」」」」」」
六人が歌を歌い始めるとイントロに入り、キラキライトを持ちながらステージの上で動く。
「「「「「「クライマックスは私達!」」」」」」
そして、掛け声と共にキラキライトは光と共にキラッキランリボンバトンへと変化。その後、プリキュアステージリボンを装填。同時にバッサリンダーは技の効果で席へと強制着席。そのままイントロが終わり、六人は歌を歌う。
「「「「「「重なる想いの強さを歌に乗せて〜♪届けに来たよ Sing For You 照らしてみせる〜♪溢れる思いを残らず伝えるんだ〜♪どんなときでもYou and I 〜♪私とキミを結ぶキズナシンガリボン〜♪……プリキュア!キラッキランフォーユー!」」」」」」
六人が歌いながらキラッキランリボンバトンを回しつつパフォーマンスをしていき、歌が終わると同時に技を発動。六人のシンボルマークを合わせた強力な浄化の光を解放し、虹の光の奔流がバッサリンダーへとぶつけられた。フィニッシュは六人での決めポーズである。
「「キラッキラッタ〜」」
これによりバッサリンダーは無事に浄化されると囚われてしまっていたバッサリーナは無事に解放され、アイドルがキラルンリボンを手にするのだった。
そして、戦いを見届けたジョギはバッサリーナがアッサリとやられた事に僅かに残念そうな顔つきを見せる。
「あーあ。才能はあると思ったけど、結局は闇と共に歩む覚悟が足りなかったって所かな」
彼は事の顛末を報告するために撤退。ソウルビート達は周りに部外者が誰もいない事を確認して変身解除すると倒れていたバッサリーナへと駆け寄った。
「バッサリーナさん!」
ななが一応呼吸とかを調べるとバッサリーナは普通に眠っているだけであり、彼女を近くのベンチに寝かせて待つ事にした。すると十分程で無事に目を覚ます。
「……んんっ……」
「バッサリーナさん!!」
「あ……アイドルプリキュアの皆さん……」
「バッサリーナさんが無事で良かったです」
それからバッサリーナは六人に見守られながら立ち上がると早速彼女は深々と頭を下げた。
「この度はご迷惑をおかけして本当に申し訳ございませんでした!!」
「うえっ!?バッサリーナさん!?」
「顔を上げてください。悪いのはバッサリーナさんの弱みにつけ込んだチョッキリ団で……」
「いえ、今回は私がちゃんと家族や夢と向き合えていたらどうにかできた事です。それに、そのせいで皆様には相当な迷惑をかけました……。全国ツアーという言葉で騙した事も……」
バッサリーナはやはり根が真面目なせいか、今回の件でアイドルプリキュア相手にここまでの大事を起こした事。加えてファンとしてあるまじき行為をして周りの人も苦しめた事。自分のしてしまった罪に罪悪感を抱いていた。
「大丈夫ですよ!その代わり……バッサリーナさんのショボッボボンボンがキラッキランになったんですから!」
「はい。もしどうしても私達にしてしまった事に悔いが残るのでしたら、その分心配してくださってるご家族とちゃんと向き合ってあげてください」
影人達はバッサリーナを……桜庭花を責めるつもりはもう無い。むしろ、彼女は長い間自分を苦しめてきた悩みから解き放たれたのだからその分笑顔になってほしかった。
「本当にすみません……」
「あ、それで。桜庭さん……で良いですよね。この後はどうなさるつもりなんですか?」
「名前の花呼びで大丈夫です。……やはり、家族の方に顔を出そうかなと思います。ずっと心配をかけてきましたし」
「女優とかの芸能界デビューの方はどうするつもりですか?」
レイは立ち直れた彼女を見て一応確認を取る事にした。それはバッサリーナの夢だった女優への道をどうするかである。その問題が解決しない限り、また彼女自身が悩む危険があるからだ。
「……私、女優の夢は諦めます」
「「「えっ!?」」」
「どうしてプリ!?」
「花、凄い頑張ったって言ってたのメロ!」
うた達女子組はバッサリーナ……花が夢をアッサリと諦める宣言をしたために驚きの声を上げる。
「あはは……。確かに今までずっと頑張ってましたけど、今回の件で女優は私には叶えられない夢だって事を受け入れられたからです。……多分、あれだけ諦めたく無いって言っておきながら……心の底どこかでは限界を感じてて、何かしら諦めるタイミングが欲しかったのかもしれません」
「それは……家族に対する誤解が解けたからですか?」
「はい……。会って話さないといけないのは変わりませんが、少なくとも……今なら落ち着いて家族と向き合える気がします」
花は女優という夢を叶えられなければ家族から温かくしてもらえないという恐怖心に陥っており、それが原因で今回の心の闇の増幅を許してしまった。だが、今はレイからの説得もあってそれが自分の考え過ぎだという答えに思い至ると胸のつかえが取れたかのようにスッキリしたのだ。
勿論レイの言った事はあくまで仮定の話。もしかすると帰った時に厳しい言葉を沢山かけられるかもしれない。ただ、花はそれも含めて現実を正面からしっかり受け止めるつもりだった。
「レイさん、あなたのお陰で気持ちに整理を付けられました。……助けていただき、ありがとうございました」
「いえ……。俺はただ花さんに前を向いて欲しかっただけですよ」
レイが優しく返すと花も微笑む。するとうたはやはりここまで頑張ったのに止めてしまうという事に勿体無いと言わんばかりの顔つきだった。それを見て花は微笑んだ顔のままある事を言い出す。
「いえ。確かに女優の夢は諦める事にしましたが、また新しい夢ができました」
「えっ?新しい……夢?」
「それって何ですか?」
「ふふっ。……それは勿論。アイドルプリキュアのプロデューサーになる事です!今度はチョッキリ団としてでは無く……本物のプロデューサーになって!」
花からの宣言に影人達は驚きつつも、彼女が自分達のプロデューサーを本当にやるつもりになってくれて嬉しかった。
「本当ですか!?」
「そうなったらとてもキラッキランだね!」
「はい、心キュンキュンします!」
「勿論、サウンドプロダクションと合同で……です!」
花は一応サウンドプロダクションがアイドルプリキュアのバックに付いている事は知っており、その仕事の邪魔をするつもりは無いという意思を示しつつ自分もプロデューサーを目指すという新たな決意表明をした。
「……その時はまたよろしくお願いします。俺も父さんの元で勉強してもっと力になれるようにしますから」
「はい!私も両親の元で改めてプロデューサーを目指す意志を伝えます。……私のアイドルプリキュアを推す気持ちは誰にも止めさせません!皆さん。少し待たせてしまいますが、私は必ず立派なプロデューサーになって帰ってきますから!」
こうして、バッサリーナの誕生から始まった一連の事件は幕を下ろした。バッサリーナ改め、桜庭花はミュージカルガーデン所属のプロデューサーとなるために推しであるアイドルプリキュアへの情熱を胸に努力を重ねる事になる。
それから時間が経過してその日の夜。レイと姫野は事後報告のためにハジメの前に立ってる状態だ。
「報告ご苦労。レイ、姫野君」
「……父さんはどのタイミングからバッサリーナさんが花さんだってわかったんですか?」
「私かい?……昨日の夜かな。その段階で彼女がチョッキリ団だって事も確信していたよ」
レイはその言葉にやはり彼との能力差を感じずにはいられなかった。もっと早く花の正体に勘付けていれば、バッサリンダーにさせるのも阻止できたかもしれないと感じたのである。
「ッ、どうして。わかってたのなら教えても……」
「いえ……良いんですよ姫野さん」
「しかし……」
ハジメからの言葉に姫野は思わず反応してしまうが、レイはあくまでこの結果はハジメの能力差だと痛感していた。そしてレイが改めてハジメと向き合う。
「……父さん」
「何かな?」
「……俺は絶対に父さんを超えて見せます。だから、俺の事を見ていてください」
レイはそんな風に父親と向き合って堂々と決意を口にした。それを聞いてハジメは僅かに口元に笑みを浮かべるとレイへと優しく返した。
「ふふっ。それは楽しみだな。期待してるよ。レイ」
「はい!」
この日からレイも父親であるハジメとちゃんと向き合うようにした。彼は父親であるハジメから逃げるのでは無く、正面からぶつかる道を選んだのである。彼のアイドルプリキュアのサポーターとしての戦いもある意味ではここがスタート地点なのかもしれない。
一応今回でバッサリーナの件は決着が付きましたが、もしかすると次回は今回のオリジナルストーリーのエピローグから今後の話に繋がっていく補足回的な立ち位置になるかもしれません。
ただ、普通にアニメ31話に戻るパターンもありますのでその辺りは次回またお知らせします。
それではまた次回もお楽しみに。