キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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マネージャーと初仕事

影人達三人、そして彼らの前に丸いテーブルを挟んで座るレイ、田中。その真ん中であるテーブルの上にプリルンが立っていた。

 

「ここからは女王様とも合わせてお話しするプリ!」

 

「お前が仕切らなくても良いんだが……呼ぶのは任せた」

 

影人が電話をして呼ぶという手もあるが、正直影人は普段はあのアプリを使いたく無い。今までスマホにいきなりインストールされたり、女王様から電話がかかってきてビックリさせられたり、着信拒否をしようとしたらそれを先に察知されて強制的に通話状態に移行したり。とにかく良い思い出が全く無いのだ。

 

「じゃあ、行くプリ」

 

うたが差し出したアイドルハートブローチにプリルンが自分の付けていたリボンを付ける。するとブローチから光が溢れ出すとピカリーネが映像として姿を現した。

 

「なるほど、本来はそういう出現方法なのか」

 

地味に影人も初めて見たブローチからのピカリーネである。そもそもスマホに無理矢理専用アプリをダウンロードさせられたりスマホを強制操作させられたりする事自体がイレギュラーな事なのだ。

 

『初めまして。私はキラキランドの女王。ピカリーネ!です』

 

ピカリーネはお約束の体を発光させての挨拶を済ませると初対面のなな、そしてレイはピカリーネへと挨拶をした。

 

「初めまして、蒼風ななです」

 

「俺もお会いするのは初めてですね。音崎レイです。いつも田中さんや妖精の方々に助けられています」

 

『なな、あなたが二人目のプリキュアですね。これからよろしくお願いします』

 

「は、はい!よろしくお願いします」

 

『そしてレイ、こちらこそキラキランドの妖精達がお世話になってます。それと、キラキランドの事件の影響でレイの実家にも迷惑を与えてしまい申し訳ありません』

 

二人が挨拶をする中で影人はこの感じだと二人は存在自体は前々から知っていたものの、今回が本当に二人が顔を合わせるのが初めてなのだと感じ取った。

 

「あの、女王様。田中さんって本当にキラキランドの妖精さんなんですか?」

 

『はい。そうですよ』

 

「プリルンも知ってる人?」

 

「知らないプリ」

 

『いいえ、プリルンもよく知ってる人ですよ。彼のキラキランドでの本名はタナカーンです』

 

その言葉を聞いてプリルンがタナカーンの姿を思い出すのと同時に影人はタナカーンの名前について色々と内心でツッコんでいた。

 

「(いや、タナカーンって……人間態からの妖精態への名前の変更がそのまま過ぎるだろ。せめてもうちょっとまともな変え方は無かったのか?)」

 

影人はそう考えるが、順序が逆だ。元々タナカーンという名前だからこそ名前の雰囲気を変えずに呼びやすいように田中としたのだろう。そんな影人の半分くらい無駄なツッコミが内心で繰り広げられる中、プリルンはやっぱりタナカーンと目の前の田中のイメージが一致しなかった。

 

「プリルンが知ってるタナカーンと全然違うプリ」

 

「あー。そういや、田中さんのタナカーンとしての姿は前に一度拝見したけど、確かに今の田中さんからはイメージは付きにくいよな」

 

どうやらレイはタナカーンとしての姿を一度見た事があるらしい。そのためプリルンの意見に肯定の意を示す。

 

「レイ君がそう言うって……田中さん、元々はどんな姿だったんだろ……」

 

「私もちょっと気になるかも……」

 

うたとななは二人で小声で話す中、田中はプリルンへと自分がタナカーンであると示すためにある行動を取る。

 

「では、これならどうでしょう?」

 

田中が指でプリルンの顎の辺りを優しくスリスリとさすってあげるとプリルンは気持ち良さそうに顔がふにゃ〜っと崩れる。

 

「ああ〜この手捌きはタナカーンプリ〜」

 

「「ええっ!?」」

 

「それでタナカーンとの判別もできるんだ……」

 

プリルン目線での田中の正体がタナカーンだと確認ができた所で一同は移動を開始。理由としてはここだと客がいつ来るかわからなのに加えてうたの家族に聞かれるリスクを考えてキラキランドの出張所で話をした方が良いという話となって一同は移動する事に。

 

「凄く久しぶりプリ!タナカーンはキラキランドでプリルンの家の裏に住んでた仲良しプリ!」

 

「意外とご近所付き合いだったんだな。……ただ、プリルンと結構年齢差がありそうなイメージなんだけど」

 

「プリ。プリルンよりもタナカーンの方が年上だからプリね」

 

「いや、妖精に年齢とかいう概念あったのかよ……」

 

ただ、プリルンとタナカーンこと田中では妖精態と人間態で姿が違う事を差し引いても纏う雰囲気が違い過ぎる。プリルンには妖精として精神年齢の幼さが濃く滲んでいるが、田中は大人としての余裕がある。人間態の外見がそのまま妖精としての年齢に直結すると仮定すると田中は妖精としてはプリルンよりかなり年上という事になるだろう。

 

「やっぱりプリルンとは全然違うね」

 

「うん。どう見ても普通の人にしか見えないし」

 

「こちらの世界ではこの姿でやっていますし。私は先程説明のあった通り、ずっと前からそちらのレイさんの実家とギブアンドテイクの関係を継続しつつキラキランド出張所にいました」

 

田中からの言葉に影人達は改めてこの山の中にキラキランドの出張所があるという事実を再確認する事に。尚、プリルンはまた田中から顎をさすられて気持ち良さそうな顔を浮かべていたが。

 

「そういえば、随分と街から外れた山の中に行くんだね」

 

「まぁ、そもそも出張所は他人から見つかりにくい場所にしないと困るからな」

 

この出張所の場所に関してだが、何かの拍子でうっかりキラキランドとは無関係の人が出張所の中に入ってきたりすると混乱の元となってしまうという事でこんな人目の付かない場所になっているようだ。

 

「もしかしてこの場所もレイ君の実家が?」

 

「いや、これに関しては俺の実家が提供したわけじゃないよ。実は俺の実家は昔からキラキランドの妖精と繋がりがあってね。多分、初めてこの街にキラキランドの妖精さんが来た時に俺の祖先の人がこういう所を薦めたからじゃないかな」

 

そんな風に話しているうちに目的地である出張所に到着。そこは山の中にポツンとあるお洒落なログハウスであった。

 

「着きました。こちらです」

 

「プリルンも初めて来たプリ!」

 

「ファンシーで可愛い〜!」

 

「どうぞ」

 

それから一同は出張所の中に入ると客間に案内される。とは言っても出張所の中に入って目の前に机と椅子が置かれている形だが。それから影人、うた、ななの三人とレイ、田中が向かい合う形で座る。プリルンは田中の手の中におり、未だにかつての近所である田中から顎を触られて気持ち良さそうにしていた。

 

「お前いつまでそこにいるつもりだよ」

 

「だってタナカーンの手捌きがやみつきになって離れられないプリ〜」

 

「ダメだこりゃ……」

 

「まぁまぁ、プリルンの事は一度置いておくとして。話を続けようか」

 

「……先程キラキランドの妖精とレイ君の家との間に繋がりがあるという趣旨の話がありましたが、私達のキラキランドとここ、はなみちタウンは遥か昔から姉妹都市としての繋がりがあるんです」

 

そう聞くとレイの実家は妖精達とは割と長い付き合いになるという事になる。それこそレイの生まれる前から繋がりがあった可能性が高いだろう。

 

「そういえば、ここで何をされているんですか?」

 

「人間界で異変があった時のためのパトロールです。これまではずっと平和だったので何も問題が無かったのですが……」

 

元々は人間界での出来事がキラキランドに影響を及ぼさないようにするための監査役としてこちらに来ていた。そのために特に異変が無かった今までは何も問題は無かったのだが、ダークイーネによる侵略がキラキランドであったために田中は人間界に取り残される形となったという事である。

 

「私や妖精達の中の何人かがこちらにいるタイミングでキラキランドが真っ暗闇になってしまったので、女王様からの命を受けてこちらでキラキランドの救世主であるアイドルプリキュアのマネージャーをやる事になったのです」

 

ひとまずキラキランドの事情はここまでで完全に話し終えた。するとななが田中へと質問する。

 

「えっと、タナカーンさん?」

 

「田中で結構です」

 

「では田中さん。マネージャーってアイドルを手伝う人の事ですよね?」

 

「それって私達がアイドルの仕事をやるって事でしょ?」

 

二人からの期待の視線に対して田中は無表情のままでその期待をアッサリと切り捨てる。

 

「……違います」

 

「「……え?」」

 

「プリキュアの使命はマックランダーを退けて世界を救う事にあります。こちらの世界のアイドルタレントのように人前に出るのは避けた方がよろしいかと」

 

「田中さん……。やっぱりその考えは変わらないかぁ」

 

レイは田中の考えに対してそう言うと半ば仕方ないと言った顔つきになる。レイもレイで違う考えを持っているようなのだ。

 

「レイは何でそんな返事を?」

 

「俺は田中さんにマネージャーとしてアイドルプリキュアが人々に希望を与えるためのサポートをしてもらいたかった。つまり、そのためなら人前に出る事も良いと思ってるんだよ」

 

「しかし、マネージャーには管理する人という意味があります。私はあなた方が救世主として活動できるように管理し、サポートします」

 

その言葉を聞いてレイはやれやれと言わんばかりの顔つきになる。できればこの展開は避けたかったと言わんばかりの顔だ。すると影人は不満だったのか田中へと声を上げる。

 

「あの、その管理って言葉……。俺は嫌いです」

 

「それはどうして?」

 

「確かにマネージャーには管理という意味が付きまとうのは俺も知ってます。ただ、咲良さんや蒼風さんにもアイドルプリキュアとして人々に希望を与えるためにやりたい事があると思います。それを管理という理由で上から抑えつけて縛るのは良くないかと」

 

影人の真っ向からの反論に田中は無言になるとこちらは溜め息を吐く。田中としてはあまり目立つのは良くないと考える派なのでどうやって影人を説得するかを思考していた。

 

「影人君もプリキュアの使命は聞いているでしょう。それにアイドルプリキュアはあまり世間に広がってはいけない。それは彼女達のためでもあるんです」

 

「……それでも俺は二人が望むと言うのならやりたい事をやらせるべきです。……それを踏まえた上でスケジュールやお仕事相手との打ち合わせとか、必要な事を管理するのがマネージャーだと思っています」

 

影人と田中ではそもそもの話、マネージャーという言葉への認識が違うらしい。この辺りは仕方の無い所だろう。

 

「あの。ダメって言われるかもしれないんですけど、実は私達に仕事をお願いしたいってメッセージが来てるんです」

 

するとなながスマホを取り出すととある画面を見せる。それは先程見ていたプリキュアのライブの切り抜き動画に来ていたメッセージであった。そこにあったのはPretty_Holicの新作コスメのキャンペーン宣伝をお願いしたいと言う物である。

 

「Pretty_Holicって……」

 

「キラキラで大人気のコスメブランドだよ」

 

「おお!」

 

更にその下には二人のプリキュアへの想いが力強く描かれており、最後にこのメッセージを見たら連絡が欲しいとの事である。

 

「これはやらないとだね!ななちゃん!

 

「私、キュアウインクになって何かやれる事が無いか考えていたんです。だから、この人の力になれるのならやってみたいんです。中学生の私達だけでは難しいけど、マネージャーさんの田中さんが手伝ってくれるのならできると思うんです」

 

ななの熱い気持ちに影人が付け加えようとするとそこにレイもななへと加勢する形で加わる。

 

「田中さん。改めて俺からもお願いします。田中さんは渋るかもしれませんが、彼女達のモチベーションは重要な事です。二人がもっとやる気を持ってアイドルプリキュアをやるためには今回の事を一度挑戦するのも良いんじゃないかと思ってます」

 

「レイ……」

 

「しかし、人前に出るのは……」

 

ここまで言われてもやっぱり田中はどうしても気持ちが進まない。するとプリルンがそんな田中の顔へと飛びつくと駄々をこね出す。

 

「絶対、やるプリー!やるって言うまで離れないプリ!タナカーン!」

 

「わ、わかった!わかったって!」

 

「うーわっ……」

 

プリルンは田中を後ろへと押し倒す形で田中の顔の上で大暴れ。田中もプリルンのこのゴリ押しによる我儘にはどうする事もできず。結局根負けする事になった。

 

「プリ、ありがとうタナカーン!」

 

「じゃあ早速行こうか!」

 

「うん。アイドルプリキュアとしての初仕事だよ」

 

うたとなながやる気になる中、影人はレイへと問いかけた。レイ個人としては一見関係無さそうなアイドルプリキュアへの肩入れがどうしても気になるのである。

 

「なぁ、何でレイはこんなにプリキュアに肩入れするんだよ。会社にならともかくお前個人へのメリットが無いだろ」

 

「メリットならあるよ。……だって楽しいじゃん。こういう友達とわちゃわちゃするのがさ」

 

「……要するにお前の気分の問題か」

 

影人が呆れるが、レイはそんなのお構い無しと言わんばかりで笑みを浮かべる。こうして、一同はPretty_Holic側に連絡を入れると早速向こうから指定されたお店に向かう事になるのだった。




また次回もお楽しみに。
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