キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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アイドルプリキュアのセンター

夏休みが終わった新学期初日。その日の朝、影人は目が覚めると起きてからのルーティンを済ませてから居間へと移動。そこには夢乃や両親である魁斗や理沙も揃っていた。

 

「……おはよう」

 

「おはよ、お兄ちゃん!」

 

「影人、ちょっと眠そうだね。どうしたの?」

 

「もしかして悩み事か?」

 

影人は結局あの後、考えていたスラッシューと伝説のアイドルの片割れ、Kotoneに何かしら関係があるのかという事が頭から離れず。少しだけ寝不足になってしまったのだ。

 

「あっ、こころちゃんと上手く行ってないとかか!?」

 

「お父さん……そんな事は絶対無いから。お兄ちゃんとこころ先輩はラブラブなまま変わってないし」

 

「まぁ、こころちゃんとラブラブだなんて。良いお嫁さんと会えて本当に良かったわ」

 

「俺の悩みの話題からよくそこまで俺の事を弄る内容に持っていけたよな……」

 

影人は家族からの言葉に呆れてしまう影人。だが、それでもその話があったお陰で悩んでいたのが馬鹿みたいに思えてくる。

 

「でも、おかげで少しは気持ちが軽くなった。もしどうしてもヤバかったら相談する」

 

「良かった、お兄ちゃんの悩みが無くなって」

 

夢乃はそう言って微笑む。加えて両親も影人が気持ちを持ち直せた事に微笑ましい目を向ける事になった。

 

それはさておき、夢乃も影人へと聞きたい事がある事を思い出すと話しかける。

 

「ねぇ、お兄ちゃん。アイドルプリキュアのセンターってやっぱりキュアアイドルなのかな?」

 

「あー、それ俺達も気になってたんだよな」

 

「そうね。私もアイドルプリキュアが六人になったのは聞いたんだけど相変わらずキュアアイドルが真ん中みたいなイメージがあると思ってたわ」

 

影人の両親もアイドルプリキュアのセンターについては気になった様子を見せており、影人は少し考える。

 

「(アイドルプリキュアのセンターか……。確か、四人での時はこころに無理矢理あの位置にされたんだっけ。でも、今度は六人だからまた配置とか考えないといけないよな)」

 

アイドルプリキュアのセンター。考えたようで考えた事が無かった話題に影人も色々と思う所があるらしい。

 

「私は黒い子、キュアキッスかしらね。あの子、大人っぽくて美人さんだし。私もあのくらいの年頃にあんなに綺麗になってたらなって思っちゃうから余計に思い入れが深いのよね」

 

「そんな、理沙は昔も今も相変わらず美人さんだよ!」

 

「え〜、そんな事言われちゃったら照れちゃうわね……」

 

「おーい、夫婦でイチャつくのは良いけどここでしないでもらって良いか?」

 

アイドルプリキュアの話題からいきなりイチャつこうとする両親に影人がストップをかけると続けて夢乃が話す。

 

「私はやっぱりウインク推しかな。配信でもそう公言したし。ウインクの透き通ってる歌が好きだから」

 

「ふーん。やっぱり夢乃はキュンキュンよりもウインクの方に寄るんだね」

 

「キュンキュンも好きだけど、私の中での一番って言ったらウインクかな。あのスタイルとか透き通った歌声とか憧れるし」

 

夢乃はキュンキュンことこころの事は人として好きであるし、兄の彼女に相応しいと認めている。ただし、プリキュアとしての推しとなるとキュンキュンよりもウインク派という事になるのだろう。

 

「お兄ちゃんは?」

 

「うーん……。俺は……」

 

影人は今の六人だと誰がセンターに相応しいか考えるが、中々答えが浮かんで来ない。勿論自分以外の五人の中の誰かで行きたい気持ちはあるものの、誰が一番かと問われるとどうしても優劣を付けられないと言った所になるのだろう。ただ、それでも答え自体はちゃんと出るようで。

 

「俺は、誰か一人に絞れって言われたらアイドルになるのかな。メンバーのバランス的にも中心に太陽みたいな明るさのあるアイドルがいた方が目立つし」

 

影人はキュンキュンの選択肢もあったのだが、敢えてそれを捨ててアイドルを選択。これはアイドルの方がチームとしての雰囲気が明るくなるという彼の中での判断による物である。

 

「ふーん。こころ先輩じゃないんだ……」

 

「別にこれは私情で選ぶ物では無いだろ」

 

すると夢乃がボソッと自分の彼女を持ち上げなかった影人へと呟きながらジト目を向け、影人はそれに小声で返す。両親はそんな二人の会話は聞こえなかったために影人の意見に納得。

 

こうして、家族との会話を終えた影人は早速朝の準備を済ませてから学校へと出かける事になるのだった。

 

それから少しして。家を出た影人は学校に到着するとその最中でうたと合流。彼女のカバンにはまたプリルンとメロロンが詰められる形で入っている状態だ。

 

そんな二人が下駄箱に到着すると既に東中がおり、彼女も今来た所なのか履き替えた靴をしまっていた。

 

「おっはよー!」

 

「おはよう、東中さん」

 

「みことも夏休み、キラッキランランだっ……」

 

「うた!影人君!」

 

その瞬間、いきなり東中は二人を見つけると詰め寄って声を上げる。そんな彼女の挙動に二人は驚くが、東中は更に続けた。

 

「アイドルプリキュアとズキューンキッスソウルの動画観た?」

 

「ああ、二つのチームが合体したあの件?」

 

「それもそうだけど、今日はこっちだよ!」

 

東中がスマホを取り出すと五人での合体技の動画が上がってしまっていた。影人はその動画はまだ投稿のための準備が揃って無いと聞いていたので唖然とする。

 

『『『『『『重なる想いの強さを歌に乗せて〜♪届けに来たよ Sing For You 照らしてみせる〜♪溢れる思いを残らず伝えるんだ〜♪どんなときでもYou and I 〜♪私とキミを結ぶキズナシンガリボン〜♪』』』』』』

 

「えっ……」

 

「二つのチームが合併して早速上がってたこれ。六人一緒でのステージって初めてだよね!?早速六人でのライブ映像があって嬉しいなぁ〜。また六人でやって欲しい!」

 

そう言って東中は興奮したかのように腕をブンブンと振りつつ声を上げる。彼女も一人のアイドルプリキュアファンにしてアイドルオタクだという事だろう。

 

「あはは……。六人でのステージか。確かに初めてだよな」

 

「うん!しかもキュアソウルはキュアソウルビートにイメチェンしてくれて。こっちもこっちでカッコ良くて良い……。あー!早く次の六人動画来ないかなぁ……」

 

東中は興奮のあまり、次の六人での動画が待ちきれない様子である。そんな彼女にうたはある事を言い出した。

 

「うーん、多分絶対。またやってくれるんじゃないのかな」

 

「うぇ?」

 

「さ、咲良さん!?」

 

うたがそう言うとまたうっかり言ったらダメな事をバラしてしまうのではと考えて思わず身構えてしまう。しかし、彼の心配は杞憂に終わる事になる。

 

「ふっふーん。アイドルプリキュアはもう六人でアイドルプリキュアだよ?やってくれるに決まってるじゃん!」

 

うたが自信満々にそう言うと東中は彼女がここまで自信あるならそれが本当になると何処か安心したように頷く事になる。

 

「うん!そうだね!」

 

彼女がそう言って微笑むと影人も胸を撫で下ろした。一先ず彼女にアイドルプリキュアの事がバレなくて良かったと言った所である。

 

それから少し経過した昼休み休憩。そこでは影人達いつもの五人とプリルン、メロロンの二人を加えた七人で昼食を摂っている所だった。

 

「巻き起こってますね……アイドルプリキュア旋風が!」

 

「はむっ、メロ!」

 

こころがそう言いつつお弁当の卵焼きをメロロンに食べさせる。今まではうたがプリルン、メロロンの分も負担しているかメロロンが自分で作ってくる事が多かったために新鮮な光景であった。これもメロロンが仲間と打ち解けた結果だろう。

 

「扇風機?」

 

「旋風です……」

 

「何でそこで扇風機になるかな……」

 

尚、うたは手にした携帯扇風機の風を浴びながらいつも通りの知識の無さでこころを唖然とさせてしまう。影人もそんな彼女に思わずツッコミを入れてしまった。

 

「世間で盛り上がってるって意味だよね!」

 

「確かにここ最近は世間でもアイドルプリキュアの事ばかり耳にするよな」

 

以前に発表したアイドルプリキュアが六人チームとして合流した事を受けて更に人気が爆発。ソウルビートに関してもソウルの時と違う良さがあったからか、無事に世間から受け入れて貰えていた。

 

「はい!アイドルプリキュアが六人になった事。更にキュアソウルがキュアソウルビートにリメイクした事で、テレビや雑誌もアイドルプリキュア尽くし。動画の再生数も凄いですし、ますます引っ張りだこになるかもですね!」

 

「ますますタコさんプリ?」

 

「引っ張りだこな?どこをどうやったらタコさんウインナーの想像に切り替わるんだよ……」

 

またプリルンがボケ(本人は無自覚)をしてしまったせいで影人が一言言うとななが興奮したかのように声を上げる。

 

「ライブしたり、ドラマに出たり……」

 

「映画のオファー来ちゃうかも……」

 

「おーい、そこでリアルイベントの告知を兼ねたステマかよ。丁度今くらいの時期とはいえ、プリキュアでは毎年恒例だからな」

 

「影人、お前も何を言ってるんだ?」

 

「いっぱいタコさんプリ〜!」

 

うたの映画出演の話題を皮切りに彼女がアイドルプリキュアの全員で映画に出る展開を想像。そのため影人は慌ててうたへと指摘をするとレイもそんな影人に苦笑いを浮かべてツッコミを入れた。

 

そしてプリルンは指摘を受けたにも関わらず、沢山のタコさんウインナーを想像して目を輝かせる事になる。

 

「まぁ、それはさておきとしてだ。プリルン、お前に聞きたい事がある」

 

「プリ?」

 

レイが話題を変えるとプリルンの方を向いて話し始めるとうたも何を言いたいのか思い出して彼女へと問いかけた。

 

「あっ、そうそう!プリルン。また勝手に動画アップリしたでしょ」

 

「そういや、クラスどころか学校中でも六人でのライブ映像が流れた影響でその話題の会話が出来てたぞ」

 

「プリ〜」

 

うたはプリルンの頬に人差し指を当ててから文句を言うかのように詰め寄る。するとそこにメロロンもやってきた。

 

「アイドルプリキュアの公式チャンネルメロ。勝手じゃ無いのメロ〜」

 

「メロロン、お前も一枚噛んでたのか……。でもな、いくら公式だったとしても勝手に上げたら問題じゃないのか?」

 

「大丈夫メロ。ここまでモッサモサにならなかったら問題なんて無いのメ……」

 

その瞬間だった。まるで立ったフラグを一瞬で回収してしまうかのようにプリルンとメロロンの髪がポンという音と共にモッサモサになってしまう。

 

「プリ!?」

 

「メロ!?」

 

「ほら見ろ言わんこっちゃない……」

 

影人がいつも通りにモッサモサ髪になってしまったプリメロの姿を見て呆れ果ててしまう。

 

「プリィイイッ!?」

 

「メロォオオッ!?」

 

プリルンとメロロンは仲良しと言わんばかりに二人で抱き合うと大慌て状態になってしまう。動画投稿したのは数日前だったので余計に油断していたのかもしれない。

 

「女王様からのお仕置きプリ!?」

 

「そういえば言い伝えで、映ってる人皆に許可を取らないとメロ!」

 

「何だその仕組みは……」

 

「良いよ良いよ!」

 

「うんうん!」

 

「どうぞどうぞ!」

 

「はぁ……俺も構わない」

 

結局、無断投稿を知らなかった影人達が許可を出した事で二人の頭は無事に元に戻る事に。それにしても動画投稿によるアウトラインがようやく明かされた形である。

 

「良かった、元に戻った……」

 

「というか、戻る時はそうやって戻っていくんだね」

 

すると早速やらかしをした妖精二人組が無断転載をしてしまった事に対する弁明を始めた。

 

「六人でステージができて嬉しかったプリ。早く観て欲しかったプリ」

 

「メロ……」

 

「ふふっ、私も嬉しい!」

 

「これからも私達六人で頑張ろうね!」

 

うたやななが六人でアイドルプリキュアをやれる事を嬉しそうにする中でこころは早速ある事を言い始める。

 

「六人と言えば……。遂に念願のファンクラブ会員証の箱推しバージョンです!」

 

こころの手に握られていたのはアイドルプリキュアファンクラブの新たな会員証だ。今まではメロロンが反対したために六人でのカードは作れていなかった。しかし、彼女がやっと受け入れてくれたためにこのタイミングでようやくお披露目になったのである。

 

「「おお!」」

 

「田中さんや姫野さん達と配置についてはちゃんと話し合ったからな。今の時点ではこれがベストだと思ってる」

 

この箱推しバージョンの会員証のデザインを考えたのはレイ達だ。そして、会員証制作は企業への委託する体制も既に整っているためにもう影人達が人力でやる必要は無い。

 

「見せて見せて!」

 

「そんなに慌てなくても渡しますよ、先輩」

 

こころは既に会員証のデザインを知っているレイ以外へと配る。ふとメロロンは会員証を見て気になったのか声をあげた。

 

「メロ?どうしていつもキュアアイドルが真ん中メロ?」

 

メロロンが疑問を浮かべたのがいつもセンターポジションにいるうたことキュアアイドルの存在だった。

 

「でも、それだったらキュアソウルビートもいつも真ん中プリ!」

 

そして、今のアイドルプリキュアは六人チームなので当然二人が真ん中に立つ形となる。前の四人の時もそうだったのだが、ソウルビートはチームが奇数人数の時はセンター。偶数人数の時はアイドルと双璧の形で真ん中にいるパターンばかりなのだ。

 

「三人の時も、四人の時も、六人の時も。並ぶとキュアアイドルがいつも真ん中にいるのメロ」

 

メロロンから指摘されてうたは考える。すると彼女はどんな時もキュアアイドルがど真ん中に立っていた事に気がつく。厳密にはキュアソウルもだが、どちらかと言えばチームを引っ張る役割はアイドルの方が多いだろう。

 

「ホントだ……。確かに!」

 

「……先輩、今気づいたんですか?」

 

「俺はこころに立ち位置は半ば無理矢理決められたからもう諦めてたけど、咲良さん達三人までは最初無意識で決めてたんだな」

 

実際、三人の時までは特に言及される事なく立ち位置が決まっていたので割と無意識に決めていたのかもしれない。とはいえその頃はななは主張が控えめだったし、こころは尊敬する先輩を立てるのでうたが真ん中に行くのはある意味必然ではあったが。

 

「メロロンはキュアズキューンやキュアソウルビートが真ん中なのが良いのかな?」

 

「メロ!」

 

「プリ?」

 

ななからの問いに頷くメロロン。ただ、プリルンはよくわかっていなさそうな顔をしていた。

 

「なるほど。……では、センター争い。……しますか?」

 

こうして、一同は今まで決めていそうで決めていなかった案件。アイドルプリキュアのセンターについて決める事にしたのだった。




また次回もお楽しみに。
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