キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
うたはこころから飛び出したセンター争いという言葉に早速息を呑む。そして、彼女は早速センター争いについての話を始めた……。
「センター争い……センターって何?」
「プリ?」
「おーい……。何でそれわかってないかな……」
「やっぱこの二人はわかってないよなぁ……」
影人はいつも通り知識の無いうたやプリルンに呆れたような声を上げてしまう。そのため、毎度お馴染みのこころがこころ先生として概要説明を始めた。
「センター。それは、アイドルグループの真ん中に立つ人の事々
「「「ふむふむ(プリプリ)」」」
「英語でもセンターって中心という意味だからな。文字通りの場所になる」
こころはそれからどこからか展開したホワイトボードに絵を描きつつ話を進めていく。
「センターはグループの顔であり看板。つまり、グループの印象を左右すると言えます!」
センターは文字通りチームの要と言える場所であるのだから当然と言えば当然だろう。そして、センターはアイドルとしてのパフォーマンスをする上でも一番目立つ場所になるのでそこのイメージというのはチーム全体のイメージに直結すると言っても過言では無い。
「センターってそんなに大事なんだ……」
「うん……」
「……どういう事プリ?」
ただ、今の説明でもプリルンは理解できていないのか。彼女が一人だけ首を傾げているとメロロンが補足説明を入れる。
「ねえたま、お弁当で考えるのメロ」
「お弁当プリ?」
彼女もこころ同様に先生としての服に着替えると指示棒を使ってホワイトボードに描いた絵を指しつつプリルンにわかりやすく話した。
「真ん中にあるのがハンバーグだったらハンバーグ弁当なのメロ。タコさんウインナーならタコさんウインナー弁当メロ」
「プリ〜!プリルン、タコさんウインナー弁当が良いプリ〜!」
メロロンの影響でタコさんウインナー弁当を想像したプリルンは嬉しそうに飛び回るとうたも美味しそうなお弁当を想像して思わず涎が出てしまう。
「私はハンバーグが良いなぁ」
「絶対タコさんが良いプリ」
「今ご飯をある程度食べてるのにまだ湧いてくる食欲が凄いな……」
レイがご飯中にも関わらず、未だに衰えない食欲を見せるうたに苦笑いしているとこころが話の総括と言わんばかりに結論を話す。
「このように、センターとは争う物なのです」
「……なるほど」
「いや、無理して争う必要は無いんだけどな……」
影人がツッコミを入れるとこころはすぐに影人の方を向くと少しだけガッカリしたような声を上げた。
「えーっ!?カゲ先輩は欲が無いですよ、欲が。センターって言ったらどのアイドルグループでもチームメイト同士で争う程に重要なポジションなんです!それこそステージ上で一番キラキラしてる場所なんですよ!何でカゲ先輩は自分から取りに行かないんですかー!」
「いや、別に俺はそこまで拘っては無いから。チームメイト同士で言い争いして仲が悪くなったらそれこそ困るし……」
影人はアイドルプリキュアはアイドルだけで無く、プリキュアを背負っているのだからチーム内の仲が壊れるなんて事になればそれこそ本末転倒。チョッキリ団に勝てるものも勝てなくなってしまう。その状況を恐れたのだ。
「むぅう……っ!」
ただ、こころはやっぱり影人が最初からセンターになってくれないと明言したのがが気に入らないのか頬を膨らませる。
「あはは……ひとまず昼休みの時間もあるし。この話はまた放課後にしよっか」
こころの様子に苦笑いしたななは一旦この話を切り上げて後に回す事にした。
そして、時間が経過してこの日の放課後。喫茶グリッターでの事だ。そこでは昼休みのメンバーが全員集結してセンターについての会議が始まる。
「それでは、第一回。アイドルプリキュアセンター会議を始めます!」
「プリ!センター決めるプリ!」
こころが司会として会議を始めると早速ななが最初に今回の話題を振る事になった。
「センターが重要なのはわかったけど、どうやって決めるの?」
「はいはーい!歌で対決とか?」
「歌って、咲良さんにかなり有利な条件だなぁ……」
「でも、歌唱力とかは結構大事な要素って事は影人もわかってるだろ?流石に歌が下手な人をセンターにするのはどのアイドルグループだったとしても難しいだろうしな」
うたの歌で決める提案に影人は得意な方法に持ち込んだうたへとツッコミを入れ、レイがうたをフォロー。ただ、やはり合理性はあっても歌だとうたに有利なのは間違いないためにまだ他の方法も必要になるだろう。
「プリルンとメロロンはどう思う?」
「うーん、でも歌ならねえたまが圧勝だから問題無いメロ!」
「そこは自分じゃ無いんだな……」
メロロンはやはり相変わらずのプリルンことズキューンの信者のようで。歌だとしてもプリルンは勝てるという考えだ。
「んー。でもズキューンに変身したら兎も角プリルンとしての歌はもうちょっと上手くなった方が良いかも……」
「だったらメロロンと影人がサポートしてねえたまが上手になるように一緒に練習するのメロ!」
「練習するのは構わないけど俺を勝手に巻き込むなよ……」
プリルンはズキューンになった時はかなり歌が上手いのだが、生身であるプリルンのままだと歌うのが下手なようで。流石に○ャイアンにはならないが人気取りするのは厳しいだろう。だからこそメロロンは指摘に対して練習を提案する事にしたのだ。
そんな話はさておき、プリルンは自分がセンターになった時の事を考える。
「プリルンがセンタープリ?」
それからプリルンがステージに立って喝采を浴びるアイドルプリキュアを思い浮かべると六人の並びの真ん中にはズキューンが立っていた。尚、他のメンバーはアイドルのみズキューンと立ち位置を入れ替えている形である。
“君とズッキュン!”
「メロ〜……」
そして、同じ光景をメロロンも思い浮かべたのか。両目が思いっきりハートに変わると妄想の中のズキューンにハートを撃ち抜かれたかの如く倒れ込む。
「メロロン!?メロロン〜!」
「メロ!ねえたまセンター……なんて、最高なのメロ……」
「メロロンー!」
「何やってんだお前らは……」
そのままキュン死したように目を閉じるメロロンに対して呼びかけるプリルン。影人は二人がやってるのがギャグにしか見えずに困惑してしまう。
「まぁでもズキューンがセンターっていうのも手としてはありだよな」
「うん、大人っぽいグループになりそうだね!」
「キラッキランラン〜!」
そんな妖精二人組の様子は置いておき、うた、なな、レイは好感触を見せる。ただ、こころは一人でそれについて悩んでいた。
「うーん。確かにそれも良いですけど、その場合ってキュアアイドルと入れ替わるんですよね?そうなるとシンメのズキューンキッスの立ち位置も崩しちゃいますし……」
「シンメ……プリ?」
「メロ?」
シンメという聞き慣れない言葉にプリルンは疑問符を浮かべるといつの間にか復活したメロロンと共に彼女へと問いかけた。
「こころ、それはシンメトリーの略だな」
「はい。まるで鏡みたいに右と左に立つ特別な二人組って事です」
「ズキューンとキッスは身長を含めて体つきが似たような感じだから、左右のバランスを取るためにも左右対称の位置にいた方が良いって事だ」
「色も白と黒って事で対称的だし。ズキューンをセンターにするならキッスもソウルビートと入れ替わる形で中心に寄った方が良いかもしれない」
勿論ソウルビートもズキューンキッス程では無いが身長はあるのでそこまでバランスが崩れる……という事態にはならない。ただ、やはりシンメトリー意識の立ち位置を組むのならズキューンキッスが対称的な場所にいた方が都合は良いだろう。
「なるほど。だからズキューンがセンターになる場合は、六人だし隣にキッスを置いた方が上手く横並びにできるってわけだね」
「鏡合わせの永遠の二人……。ズキューンキッスは離れない!」
「プリプリ!」
プリルンとメロロンは手を合わせつつ二人の絆を確かめ合った所でうたはある疑問が浮かんだために指摘する。
「あ、割と今更だけどさ。センターって基本的に一人なんでしょ?私達は六人グループだし、このままじゃ、センターを上手く決められないって事にならないのかな?」
基本的にセンターが一人の場合は奇数人数のアイドルグループなら上手く魅せられるが、偶然人数のアイドルグループだとセンター一人ではやはり片側に注目が寄ってしまう。そのため、上手く注目を集められないのではとうたは危惧したのだ。
「いえ、二人でセンター……ダブルセンターって手がありますよ。むしろ、私達の場合は今うた先輩が言ったみたいにダブルセンターにした方が都合が良いまでもあるんですよね」
「ダブルセンターメロ!?」
メロロンは嬉しそうに声を上げる。それも加味した上でズキューンキッスを中央に寄せた方が魅せ方として上手くいくという話なのだろう。
「うーん……そうなるとシンメの事もありますしズキューンキッスの二人がセンターの方が魅せやすいんですかね……」
「センターを決めるのって、全体のバランスも考えなくちゃいけないんだね。奥が深いなぁ……」
ななはこうしてセンターを話し合って、色んな要素を加味しつつ慎重に決めている事が楽しそうであった。
「はい。あ、でも。バランスも大事なんですが、これは最悪後からでも決められます。それよりも優先されるアイドルのセンターとして必要な要素。それは、その人が誰もが認めるセンターであるという事です!」
「誰もが認めるセンター……」
そんな中、うたは一人呟く。誰もが認めるセンターという言葉が気になったのだ。
それからこの日の会議は終了して解散するというタイミング。影人達が移動を開始したタイミング。その場に一人残っていたこころは僅かに残念そうな顔つきをしていた。それを見てレイはそっと話しかける。
「なぁ、こころ」
「何ですか、レイせんぱ……」
「昼の時から思ってたけど、こころは影人にセンターをやってほしいんだろ?」
「ッ、あはは……その気持ちが無いかと言えば嘘になっちゃいますね……」
こころは苦笑いでレイからの指摘に対応。彼女自身の気持ちとしてはやはり影人にセンターをやってほしい様子だった。ただ、本人がやる気を出してくれて無いのに加えて他に相応しい候補が出てしまうと意見はそちらに傾くのは自然の事。
自分が通したい意見と周りの意見が違う事に少しだけモヤモヤとした気持ちが出てきてしまっていたのだ。
「もう素直に影人のセンターを薦めたらどう?」
「いえ……。カゲ先輩が拒否してるのにセンターに無理矢理だなんて……。私にはできませんよ。それこそカゲ先輩の嫌うチーム内対立の方向に行ってしまいますから」
それでもこころは影人をセンターにする事を諦めたく無かった。どうやったら影人が首を縦に振ってくれるのか、その鍵が知りたいのである。
「こころ。それだったらこころと影人の二人でセンターをやれば良いんじゃないのか?」
こころは目を見開く。それからレイの方へと向くと彼は優しく彼女を後押ししようとする。
「こころならセンターをやっても十分輝けるだろうし、影人もこころを支えるためなら首を縦に振ってくれるかもしれない」
「ッ、でもレイ先輩はなな先輩にやって貰いたいんじゃ……」
「うーん。俺もハッキリ言っちゃうとセンターにそこまで執着しているわけじゃ無い。勿論、グループ全体が良くなる人がなった方が良いとは思ってる。だけど、センターが取れないからと言ってその人の価値が消えて無くなるわけじゃない。むしろ、周りがいるからセンターという場所ができるんじゃないのか?」
レイもあくまで影人と同じ。私情とかでは無く現場の状況を見ての冷静な判断をしていた。
「……だとしたら私は……どうすれば……」
「ま、今すぐこの人って決める必要は無い。それに……多分こころが明確にこの人が良いって言わないのは、現状にそれなりに満足しているからじゃないのか?」
「えっ……」
レイはそう言ってこころの前から去っていく。彼にも予定があるため、あまり長々と話をする事ができないからである。そして、入れ替わる形で影人が戻ってきた。
「カゲ先輩……帰ったんじゃ……」
「ああ、帰ろうと思ったんだけど……こころが中々出てこないと思って心配して見に来た」
「もう、そんな事ですか……。私は大丈夫ですよ。ですので、一旦家に……」
「……なぁこころ。この後時間ある?」
「え、まぁまだ日が暮れるまでは少しありますし……」
「ならもう少しここで話していこう」
それを聞いてこころは唖然とする。その後、ひとまずうた達を呼び戻さないといけないと考えた。
「そ、そうなんですね。ならうた先輩達を呼び戻して……」
「いや、何でそうなるんだよ。……二人で話がしたいんだ」
「う、うええっ!?まさか二人だけですか」
こころは心の準備ができていなかったために慌てるが、影人は既にこころの座っているテーブルの反対側に座ってしまっている。そのため、この状態からまた無理矢理立たせるのも悪いと思ったこころはその提案を受けざるを得なかった。
「わ、わかりました」
「決まりだな」
そして、そんな様子をプリルンとメロロンが階段の影から見ていたが、メロロンが話しかける。
「ねえたま、これ以上はそっとしておくのメロ」
「プリ?でも何をお話しするか気になるプリ」
「今は邪魔したらダメなのメロ。これは影人とこころの大切な時間メロ」
「わかったプリ」
その言葉を最後にプリルン、メロロンの妖精組は周りにバレないように素早くその場からいなくなる事になるのだった。
また次回もお楽しみに。