キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
それから場面が変わってその日のお昼過ぎ。テレビ出演の撮影が終わったために解放された影人達。そんな彼等は時間もあったために早速響カイトから受け取った映画のチケットを使ってその映画を観ることにした。
そして、一同は映画を観終わるとシネマの前にある休憩スペースで座って休んでいた。
「ふぁああ……素敵な映画で感動しちゃった!」
「じーっ……」
「ああ。それにしてもまさかあそこまでバリバリにアクションやってくれるなんてな……」
一同はこのように映画の感想を言い合っており、今回の映画はそれだけ評判が良い物だったのだろう。
「ですね!
「じーっ……」
「中々良かったのメロ」
「プリプリ!」
「じーっ……」
なな、こころ、プリルン、メロロン、レイが映画の感想について語り合っていると影人は最後の方にあった展開について話す。
「そういえば、今回の映画では敵組織を倒せていなかったし……続編あるかな……と思ってたらやっぱり最後に予告されてたな」
「そうですね。来年の2月くらいに公開らしいので、もう撮影自体には突入してそうな感じだと思いますよ」
「じーっ……」
そんな中、影人達が映画の感想を話している間、珍しくうたが話に入って来ないと思ったら何故かジト目で全員を見ているようだった。そのため、流石に気になったのかななが話しかける。
「あれ?どうしたの、うたちゃん。さっきから私達の事をジロジロ見てたみたいだけど……」
「あはは……。えっとね……さっきテレビ局の楽屋でカイトさんから……」
それからうたは先程カイトへとセンターに誰が相応しいかと問いかけた際に彼から言われた事を他の五人にも共有した。尚、その説明の際に影人はうたと一緒にいて話を聞いたためにうたの説明が足りない際に時折り補足を入れていく。
「なるほど……カイトさんがそんな事をね」
「お互いを見ればセンターが誰かわかる……かぁ」
「それで私達を見てたんですか」
一応うたがジロジロ見ていた事は影人以外の他の五人もわかっていたらしく。先程からのうたの行動に合点が行った様子だった。
「えへへ……。で、考えてみたんだけど……皆センターなんだな〜って」
それを聞いて一同は疑問符を抱く。皆センター……そもそもセンターは定義として一人だけ、例外があるならダブルセンターの場合のみ二人までとなる。そのためうたが今発言した全員センターの意味がわからなかった。
「ウインクもキュンキュンも……ズキューンキッスも!勿論ソウルビートだって。皆がセンターになった所を想像したらどれも素敵だもん!誰がセンターでも、キラッキランラン〜♪」
それを受けて影人達はキョトンとしてしまう。うたからして見れば、誰がセンターになったとしてもチームとしては輝ける。そう思えたからの言葉だった。
「皆はどう思……」
「俺は正直反対……」
うたがそう言い切る前に彼女の意見に待ったをかける声がする。それはうたと一緒にカイトと話をした男……影人だった。
「影人君……どうして?」
「……俺はチーム全体がセンターだなんて事にはしたく無い。確かに皆がそれぞれのポジションで輝いているのは確かだし、誰もがセンターになれるだけの輝きはある」
「カゲ先輩、そこにカゲ先輩自身は……」
「……自画自賛するのは性に合わないけど、勿論その中には俺もちゃんと含んでるよ」
影人は自分を含めた六人全員がセンターになれるだけのアイドルとしての魅力があると認識しており、それはうたと共通している。……だからこそ、彼はうたのどっちつかずの意見に賛成できなかった。
「俺は皆がキラキラしているという意見は否定しないけど、それでも決めるならちゃんとセンターを決めるべきだと思う。ここでどっちつかずの決定をしたら……きっと後悔すると思うから」
「そっか……うん、そうだよね。こころもセンターは争うものって言ってたし、誰か一人か二人に絞った方が良いかもしれない……か」
うたも影人の言う事には一理あるという事でやはりセンターを決めるなら明確に一人を決めた方が良いのかもしれないと考える。
「……カゲ先輩。だとしたら私は……カゲ先輩にやってもらいたいです」
それを聞いて一同の視線はこころに集まる。こころはこのタイミングで影人相手に正面切ってセンターをやってもらいたいという要望をぶつけた。
「カゲ先輩は嫌がるかもしれませんが……それでも私は今日のテレビ局の事とか、あとこれまでの事を考えたらカゲ先輩以外のセンターが考えられなくて……」
「……こころの気持ちはよくわかった。咲良さん達の意見も聞いても良いか?」
影人はこころが改めて正面から自分を推薦してきたのを受けて彼女の想いを理解するが、やはりそれだけでは決められないと周りに意見を問いかけた。
「私は影人君でも反対しないよ。だって、影人君は皆の事をそっとサポートしてくれてるし……」
「うん、なんて言えば良いのかな?前に出る事は少ないけどアイドルプリキュアを影からずっと支えてくれてるって感じ?だから影人君は前に出なくてもキラッキランランってしてる」
「プリ!プリルンも今の影人はキラキラしてるってわかるプリ!だから影人がセンターでもオッケープリ!」
うた、なな、こころ、プリルンの四人が賛成意見を述べる中、メロロンは僅かに言いづらそうな顔をしていた。
「………」
「メロロン。君の意見は?」
「メロ……でも、言って良いのメロ?」
「その感じだと反対意見って所か?……良いよ、言ってくれるか」
影人はメロロンが今回のソウルビートセンターの意見に反対するとわかった状態で容認。彼女は本人の了承が得られたという事で話す。
「メロロンは、ソウルビートはセンターに向かないと思うのメロ……」
「えっ!?」
「メロロン、どうしてですか?」
こころはソウルビートがセンターに向かないと聞いて困惑。ひとまず理由を聞かないと議論にならないのでちゃんと向き合って話す事にした。
「……ソウルビートは確かにキラキラして輝いている。メロロンもその意見には賛成してるのメロ。だけど……ソウルビートまで自由にやり出したら……多分ダメな気がするなメロ」
「自由にやり出したらダメ……?」
「なんて言えば良いのかわからないけど……ソウルビートはメロロン達五人を繋げるリボンメロ。ソウルビートがリボンになってるからアイドルプリキュアの五人は規律を保って纏っているような……そんな気がしてならないのメロ」
メロロンの意見を聞いてこころは目を見開く。そしてその理由を聞いて彼女は察した。……察してしまったのだ。影人がアイドルプリキュアのセンターをやりたがらなかった理由。そして、今の現状でセンターをやってしまえばチームがどうなってしまうのかを。
「……俺もソウルビートがセンターをやるのは反対。勿論それはソウルビートが完全に力不足ってわけじゃないんだ。チームの欠陥をフォローして纏めて……ソウルビートにはそういうチームを引っ張る力は当然ある。むしろ、チーム内で考えたら一番適任なくらいにな」
「もしかして……」
「ああ。ソウルビートがセンターになって輝きの中心に移動してしまった場合……彼自身にかかる負担が大き過ぎるんだ。メロロンがさっき影人の事をチームを纏めるリボンって言ったけど、その例えは結構俺もしっくり来てて。リボンは許容以上の負荷がかかると切れちゃうだろ?だから最初は上手く行っても時間が経てばどこかしらでボロが出るんだ」
それを聞いたこころは胸の中に罪悪感が広がってしまう。自分が考え無しに影人のセンターを薦めたために彼を苦しめてしまっていたのだと。
「そんな……。じゃあ私がやってきた事って……」
「こころ、そんなに気負わなくても良い。むしろ、ちゃんと説明してなかった俺にも責任の一端はある。……俺はチーム内での役割を貰えるだけでも十分だから」
「はい……」
どちらにせよ、これでソウルビートがセンターになる案は立ち消えてしまった。こうなると残りは五人。そのうちズキューンとキッスはダブルセンター確定として単独センターとなると残り三人だ。
そして、影人達が議論を進めているのと同時刻。チョッキリ団アジトから出てきたジョギ。彼がはなみちタウン上空に姿を現すとある事を呟く。
「……この街にいるのか。アイツが……」
どうやらジョギはこの街にいる誰かと知り合いらしく。その誰かの事を少しだけ考えるが、今はそんな事どうでも良いと言わんばかりに気持ちをすぐに切り替えた。
「っと、あまりゆっくりしてるとスラッシュー様達に口出しされそうだし……さっさと始めますか」
ジョギはそのままの流れでターゲットを探すべく街中を移動。すると影人達のいるシネマの売店にてジュースとポップコーンを購入した男性を見つける。
「映画と言えば、ポップコーン〜♪」
男性はこれから映画を観る際のお供としてポップコーンを食べるのを楽しみにしていた。そのため、早速ポップコーンを食べるべく片手でポップコーンを摘むと口に持って行こうとする。
「ッ!?」
だが、その瞬間。不幸にも男性は脚をもつれさせてしまうとそのまま前のめりにダイブする形で転んでしまう。
「うわあっ!?」
その衝撃で散らばってしまうポップコーン。同時にポップコーンを歩きながら食べようとした自分を男性は悔やみ始める。
「うぅ……どうして俺はこうなんだ……」
彼が地面に倒れたまま項垂れているとその光景にターゲットを探していたジョギが気がついてしまう。
「あらあら。良い真っ暗闇……持ってるね」
ジョギは真っ暗闇を出してしまった彼をターゲットにすると早速ダークランダーを召喚するための掛け声を言う。
「光の中にも闇がある。君の闇を……見せてごらん」
「うわぁあああっ!」
ジョギが指を鳴らすと同時に男性の胸から漆黒のリボンが飛び出してしまう。
「綺麗だね……呑まれると良い」
すかさずジョギがそう告げると結ばれていたリボンは勝手に解かれてしまい、男性の体がリボンから発生した闇のエネルギーで包まれていく。それからジョギは赤い色の水晶を出すと二つを合わせて地面に叩きつける。
「さぁ、おいで!ダークランダー!」
「ダークランダー!」
これにより、再びダークランダーが呼び出されてしまった。今回は溢してしまったポップコーンをモチーフにした個体である。そして、ダークランダーが出たという事は当然プリルンも勘付くわけで。
「ブルっと来たプリ!?」
「こんな時に……!」
影人は厄介なタイミングでダークランダーが出てきたと感じるとその近くから人々が逃げ惑う光景を見つける。何しろ、ダークランダーは映画館付近で出たのだ。そうなると敵は影人達のすぐ近くにいるという事である。
「こうなったらセンターの話は後回し!皆!」
「レイ君は逃げて」
「ああ。頼むぞ」
うたがそう言って全体を仕切るとレイ以外の六人がすかさずダークランダーに対抗するために変身アイテムを構え、プリキュアへと変身する。
「「「「「「プリキュア!ライトアップ!」」」」」」
六人がプリキュアリボンをそれぞれのアイテムに装填。そしてアイテムを三回タッチしていく。
「「「キラキラ!ドレスチェンジ!」」」
「「キラキラ!ショータイム!」」
「キラキラ!ソウルリンク!」
「「「「「「YEAH♪」」」」」」
それから六人は自分達の掛け声を言うと変身を開始。その姿をプリキュアへと変化させていった。
「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」
「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」
「キミと踊る、ハートのリズム!心キュンキュン、キュアキュンキュン!」
「ハートをプリッとロックオン!キミとズッキュン、キュアズキューン!」
「ハートをメロっとひとりじめ!キミと口づけ、キュアキッス!」
「キミと輝く、ハートの鼓動!繋がる魂、キュアソウルビート!」
六人が個人での名乗りを終えると全員で円陣を組む形で手を重ね、ポーズを取りつつチーム名を名乗った。
「「「「「「We are!キミとアイドルプリキュア♪!」」」」」」
六人の変身が完了すると早速ダークランダーと対峙。そして、同時にソウルビートはある事を考える。
「ダークランダー!」
「ダークランダー、確か人々の心の闇から生まれるって話だよな……」
「ソウルビート?」
アイドル達は当初、そのまま戦闘をしようとしていた。しかし、ソウルビートがそれに待ったをかける。
「キッス、ハートガーデンを展開してくれないか?」
「ハートガーデンを……?」
「ジョギは前にダークランダー召喚の鍵が人々の心の闇……負の感情って言ってただろ。だとしたらダークランダーを大人数の人に見られれば見られる程に不安とかそういう感情が煽られるんじゃないのか?」
それを聞いて一同は納得の顔つきになる。もしそうだとすればこのまま外で戦闘をするのは相当危険な状況になってしまう。それだけ不特定多数の人間に見られるリスクが大きいからだ。
「その点ハートガーデンなら外部からの目を遮断できる。前にウインクとレイのデートを守ったみたいに誰にも悟られずに倒す事もできるはずだ」
「えっ!?私とレイ君が夏祭りデートしてた時に皆戦ってたの!?」
「あはは、あの時はごめんね。ウインクのデートを邪魔されたく無くて」
ウインクは当時、レイとのデートをしていたためにクラヤミンダーが出た事すら知らなかった。そうなるようにソウルビート達が手を回したのである。何にせよ、ダークランダー相手に戦う時はハートガーデンが必要だと察したソウルビート。そのためキッスはハートガーデンを展開する。
「お願い、チュッ!ハートガーデン!」
こうして、プリキュアの六人とダークランダー。そして召喚主のジョギがハートガーデンへと転移。外界と切り離された特殊空間で戦闘が開始されるのだった。
また次回もお楽しみに。