キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
キッスの力でハートガーデンへと移動したプリキュア達。向かい合うはジョギと彼が従えるダークランダーだ。
するとハートガーデンについて初見のウインクがいきなり別空間に変わった事に驚きの声をあげる。
「それにしてもキッス、この場所……ハートガーデンって」
「簡単に言えば外の世界と空間を切り離して作った特殊な場所。ここでなら周りの人を巻き込まずに済む。
「ふふっ、ありがとうキッス!」
そう言ってズキューンがキッスに抱きつくと彼女は思わず恥ずかしそうにする。そんな様子を見たジョギは笑みを浮かべた。
「ふふっ、ハートガーデンか……面白い。さて、今度のダークランダーはどうやって攻略するのかな」
彼はアイドルプリキュアがダークランダー相手にどう立ち向かってくるのか気になった様子を見せる。
「まずはどうするか……」
そんな中でソウルビートはダークランダー相手に警戒心があった。まずは目の前のダークランダーがどういうパターンの敵か見極める必要がある。するとアイドルがいきなり声を上げた。
「……あぁーっ!」
「どうしたんだ?アイドル」
ソウルビートがいきなり声を上げつつ頭を抱えてしまったアイドルへと問いかける。
「そういえば、一回スルーしちゃったけど……まだセンターが決まってないのにまた私が!!」
「………今更過ぎるだろそれ……」
「「「「あはは……」」」」
アイドルが我に返って言い出したのはまだ未確定状態だったアイドルプリキュアのセンターの事だ。先程変身して名乗った際に無意識とはいえアイドルが勝手に真ん中へと立った上、いつも通りセンターとして名乗ってしまったのである。
その今更過ぎる指摘にソウルビートは呆れ果てると他の四人も苦笑いを浮かべた。するとジョギがいきなりセンターの話をし出した事に物申したいようで。
「センター?そんな事気にしてる場合?余裕だねぇ」
「別に余裕では無いけどな?というか、お前こそニコニコの笑顔を浮かべて余裕かよ」
ジョギは満面の笑みを浮かべてアイドルプリキュアへと話しかけており、ソウルビートは彼へと言い返す。
「まぁ、僕としては最終的に君達の心を折れるなら何でも良いのさ。じゃあ、早速遊んであげよう」
ジョギが指を鳴らすと彼が使役するダークランダーが体に力を込める。するとダークランダーの体にあるポップコーンが一瞬だけ盛り上がった。
「ッ、上から降ってくるぞ!」
その行動だけでソウルビートはダークランダーが何をするか予想。それを裏付けるようにポップコーンが弾けて真上に射出されていく。
そして、少しだけ上空を飛ぶ時間が挟まってからすぐに流星の如く真上からプリキュア達にポップコーン弾が襲いかかってきた。
「ヤバっ!」
「数が多いよ!」
「それなら皆、私の所に!ウインクバリア!」
ポップコーン弾のあまりの数の多さにプリキュア達は堪らずウインクの周辺に集まってウインクバリアの下に隠れる。
「取り敢えず一安心ですね……」
「く……ううっ……」
「ウインク……まさか……」
「ごめん、見立てが甘かったみたい……」
その瞬間、ポップコーン弾の威力がウインクの想像以上に強かった事もあってバリアにヒビが入ってしまう。このままではウインクバリアごと全員が狙い撃ちにされる。
「そんな……」
「ひとまずここから抜け出して……」
「おっと、させねぇよ。ダークランダー、集中砲火だ」
「ダークランダー!」
するとダークランダーは先程まで広範囲を狙っていたポップコーン弾をウインクバリアの周辺のみに集中して降らせるようにした。
「くうっ……」
「そんな、このままじゃ逃げられないよ!」
これはウインクバリアを展開してその下にプリキュア達が揃ってしまった影響で的が動かなくなったのが原因となる。やはりウインクバリアは防御壁として役に立つのは確かだが、使い所を誤ると今回のように追い詰められてしまうという事だろう。
「ふっ、もうゲームセットだなんて……余裕かましていた割に呆気ないね」
ジョギはプリキュア達を揶揄うように話すとそれに対してキュンキュンが周囲をチラッと見てある事に気がつき反論する。
「そういうあなたこそ、大事な事を忘れてますよ」
「へぇ。大事な事ねぇ……うーんっと、ウインクバリアの下にいるプリキュアが1、2、3、4、5……うん?五人だけ?」
その瞬間だった。ダークランダーもジョギと同様に違和感に気がついたのか慌てて後ろを振り向くとそこには既に見失っていた最後の一人が迫っていた。
「気づくのが遅過ぎなんだよ!だりゃあああっ!」
「ダァアアッ!?」
ソウルビートがダークランダーの顔面へと不意打ち気味に拳を叩き込む。これは先程ダークランダーがポップコーン弾の雨を降らせた際にソウルビートだけは敢えてウインクバリアから離れるように移動したため、彼だけはダークランダーの攻撃の範囲から逃れられたのである。
「ソウルビート、ありがと!」
「ああ。だがまだ一発入れただけだし、次からこの手は使えない。ウインクもさっきみたいな事になるのは危険だからできる限りウインクバリアを使ってその場で留まるのは止めた方が良い」
「うん、そうするよ」
ソウルビートがひとまず敵のダークランダーのメインウェポンがポップコーン弾による広範囲攻撃だと何となく理解するとそれに対する対策を考える事に。
「さぁダークランダー。もっとアイドルプリキュアにプレッシャーを与えてあげて」
「ダークランダー!」
ジョギは相変わらずダークランダーに攻撃を指示すると先程と同様に弾幕で攻め立てる。ただし今度はプリキュア側もウインクバリアを頼るのでは無く、全員が動き回る事で攻撃を回避する方向で対応していった。
「同じ手は食わないよ!」
「ウインク、一緒に!」
そして、アイドルとウインクはポップコーン弾を華麗に回避しながらダークランダーへと接近。一気に跳び上がるとアイドルがパンチ、ウインクがキックを繰り出す。
「「はぁあああっ!」」
「ダァッ!?」
ダークランダーは二人からの攻撃に対して的確に防御。ダメージとノックバックを最小限に抑える。しかし、その程度でプリキュア達からの猛攻は止まらない。
「次は私よ!はぁああっ!」
ダークランダーの視線が離れ、尚且つポップコーン弾が止まってしまった瞬間。そこを狙ってキッスが跳び上がって、一回転してからのダブルスレッジハンマーを振り下ろす。
「ダァ!?ク……」
ダークランダーは防御姿勢をする際にどうしてもガラ空きの後頭部を上に晒すため、キッスがその後頭部に攻撃を命中させる。そしてその攻撃により前のめりに倒れ込むとキッスの連携に合わせたズキューンがダークランダーの倒れ込むすぐ右側に立っていた。
「隙だらけだよ!」
そのままズキューンはダークランダーを真上に蹴り上げる形で吹き飛ばす。フィニッシュを飾るのはキュンキュンだ。
「はぁっ!」
キュンキュンが跳び上がるとブローチをタッチしつつダークランダーへと自身の技を至近距離から命中させようとする。
「キュンキュンレーザー!」
しかし、ダークランダーはまさかの空中で体勢を立て直すと跳び上がって向かってきたキュンキュンを迎え撃つべくポップコーン弾を放とうとする。
「ダーク……」
「ヤバっ!でももう攻撃するしか……」
このままではキュンキュンレーザーがダークランダーのポップコーン弾に止められて不発に終わってしまう。その瞬間、ソウルビートがすかさずライトのダイヤルを変えて技を発動する。
「キュンキュンの力、ソウルビートレーザー!」
ソウルビートからの銀色のオーラのような物を纏った紫のレーザービームが解き放たれるとそれがダークランダーからの攻撃と相殺。キュンキュンの攻撃のサポートをする。
「ッ!ソウルビート!」
「行け!」
「はい!はぁああっ!」
キュンキュンはこのチャンスを逃さない。熱量を上げたキュンキュンレーザーを一気にダークランダー本体へと命中させた。
「ンダァアアッ!?」
そのままダークランダーは撃墜。地面に倒れ込むとジョギがダークランダー相手に有利に戦闘を運ぶアイドルプリキュアへと声を上げる。
「へぇ……やるね。もうダークランダーに対応してくるとは。さっきまでセンターがどうとかアイドルごっこをしてたのにさ」
「ッ……」
ジョギはあくまでアイドルプリキュアを精神的にも追い詰めたいのか、言葉巧みにアイドルプリキュアを混乱させようとしてくる。ただ、それに反応したのは他の誰でも無くキュアアイドルであった。
「“アイドルごっこ”なんてしてない!」
アイドルはたった一人ジョギの言葉に真っ先に反応すると正面から彼の言葉に激突。それを聞いたジョギは僅かに苛立ったように俯く中でアイドルは高らかに宣言した。
「……私達はアイドルプリキュア。私達六人で世界中のキミを!勿論、あなたも!絶対キラッキランランにするから!」
「ああ、それが俺達……アイドルプリキュアのやるべき使命。そして、覚悟を決めた俺達は誰が相手だとしても負けないんだよ!」
アイドルがジョギへと指差しつつ話をしているとソウルビートがそれにフォローする形で付け加える。その二人の姿を見た他の四人の心には同時にある考えが呼び起こされた。
「……アイドル!ソウルビート!」
「……くっ」
ズキューンが嬉しそうに声を上げるとジョギは二人からの言葉に苛立ちを覚えたものの、どうにか冷静さを装う事で気持ちを抑え込んだ。そして、そんなアイドル、ソウルビートからの決意を聞いたキッスはある考えを話す。
「……決まりね」
「へ?」
「やっぱりセンターはキュアアイドルとキュアソウルビートのダブルセンターだよ!」
それを聞いてアイドルが振り返るとソウルビートも困惑する。なぜこの流れで決定になるのかがわからなかった。
「うぇっ……」
「私達にはそれ以外の選択肢が考えられないかな。……私がアイドルプリキュアになったキッカケはキュアアイドル。アイドルプリキュアと言えばキュアアイドルだよ!」
ウインクはそうやってアイドルを励ます。そして、キュンキュンがソウルビートと向かい合うと話を続けた。
「ソウルビートは、私達がバラバラにならないように上手くバランス調整をしてくれて。アイドルとして見せる表の面じゃなくてその裏側。ファン達に見せないような裏での私達を引っ張ってくれてます。ファンに見せる表の顔としてのセンターがキュアアイドルなら、ファンに見せない裏側のセンターはソウルビート……あなたしかいないんです!」
アイドルとソウルビート。方向性は違うものの、アイドルプリキュアの中核として無くてはならない存在になっていた。そして、この二人が並び立つ事で表と裏。二つの面が高いレベル纏まることができる。
つまり、二人の内どちらか片方が欠けたらダメなのだ。アイドルとソウルビート。アイドルプリキュアとしての眩い光を放つ純粋なんだからセンターとそのセンターを活かしながら影からチームを引っ張る存在というサポート役的立ち位置をサブセンター。二人が真ん中でダブルセンターになる事はアイドルプリキュアに必要な事であった。
「でも……」
「……良いのか?アイドルは兎も角、俺の方は目立たないし……裏方的ポジションならわざわざセンターに行く必要性は……」
「いいえ、目立たない状況下でここまで頑張ってるからこそソウルビートがセンターである必要があるんです。……それは皆同じ気持ちですよ」
「ッ……」
ソウルビートはそこまで言われて、キュンキュンや他の三人。そして、アイドル自身もソウルビートがサブのセンターとして裏を支える役目に文句を言わない。つまり、彼女達も認めているという事になる。
「ダーク!」
するとダークランダーは先程のキュンキュンレーザーを受けてダメージこそ負っていたものの、やはり完全には倒せておらず。また立ちあがろうとしていた。
「「「「「ッ!」」」」」
六人がダークランダー相手に構えているとキッスがアイドルへと構えをしたまま話しかける。
「……私、最初はどうしてあなたがいつもセンターだったのか疑問だった。……けど、今日のテレビ局の件も含めて改めてわかったわ。……キュアアイドルは何処にいても目立つし、眩しい程に輝いてるの」
それは、今回のテレビ局での一件の際にどれだけアイドルをセンターから遠ざけたとしても持ち前の明るさで注目を集めてしまうという事。そして、それをコントロールする役割としてソウルビートが不可欠であると全員が感じ取った。
そのため、キッスは……他の四人は……アイドルがセンター。ソウルビートがサブセンターであるという気持ちが一致したのだ。
「太陽は……真ん中にいてくれないと困るの。それに、その光を平等に行き渡らせられるのはリボンの役割を果たすソウルビートだけ。だから、あなたもアイドルの隣でセンターをして」
その言葉にアイドルは嬉しそうに笑うとソウルビートもここまでチームメイトから押されているのにその期待を裏切って否定するのは違うと判断した。
「……そうだな。悪い、俺も頑固になってた。お前らからこんなに押してもらってるのに俺がやらないわけにはいかないか」
するとダークランダーが立ち上がるとジョギはそんなダークランダーへと告げる。
「やれやれ……。ダークランダー、もう一踏ん張りよろしく」
ジョギはもう今回は勝てないと何となくわかったために最後の抵抗と言わんばかりにダークランダーへと指示。そして、そのダークランダー相手にアイドルプリキュアのアイドルを除く五人は彼女を支える事にした。
「行って、アイドル!」
「私達がサポートするから!」
「センターらしく決めちゃってください!」
「……アイドル、俺達が全力でお前という名のセンターを輝かせる。だから、その光で世界中を照らしてくれ」
「……ッ!うん!」
こうして、ダークランダーがポップコーン弾を飛ばしてくるのに対して六人はすかさず立ち向かう。その中心にいるのは勿論アイドルなのだった。
また次回もお楽しみに。