キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

275 / 329
うたの見た謎の夢

影人達がうたの看病をしていた頃。この島の別の場所……とある村にある家の中では……。

 

「ん〜。中々美味しいプリ」

 

他の三人が大変な目に遭っている最中でまさかのプリルンがゲソを揚げた物を齧り、その美味しさを噛み締めていた。そして、その近くでは影人達と一緒にいなかったななとこころが会話をしている。

 

「……村の人達の話から色々と考えると、もしかしたらここは過去のアイアイ島なんじゃないかなって思うの」

 

「えっ!?」

 

「プリ?過去のアイアイ島プリ?」

 

影人達がやってきたのは過去のアイアイ島、それを聞いてこころが驚いているとななが脳裏にある仮説を話す。

 

「女神様が石像になったのは1000年前の厄災の時でしょう?それが無くて、ちゃんと女神様がいるという事は……それよりも前って事になるんじゃないかな?」

 

「???」

 

しかし、プリルンはイマイチ理解できていなかったようだったのか……頭に浮かんだ疑問符は増える一方である。

 

「って事は私達、時空を超えちゃったって事ですか!?」

 

「プリ〜!何だかよくわからないけど、とにかくうたと影人とメロロンを捜すプリ!早く行くプリ!早く行くプリ!早く行くプリ!早く行くプリ!早く……」

 

プリルンは結局理解が追いつかなかったものの、そうとわかった以上は早く他の三人の元に行かないと不味いと感じたのか……。ななとこころが向かい合って座っているテーブルの蓋に沿うようにしてクルクルと円を描きながら飛行。それをななが落ち着いた様子で捕まえる。

 

「慌てないで。うたちゃん達ならきっと大丈夫」

 

「プリ……」

 

「なんて言ったってカゲ先輩が一緒ですしね!カゲ先輩がいる時の安心感は半端じゃありませんよ!」

 

「お待たせ、お昼出来たよ」

 

するとそんな時だった。なな達三人がいる家の中へと入ってきたのは緑色の体色に緑の髪をした島の住民、ミドリである。彼女はその手に魚介類が並べられた所謂シーフードピザを持っていた。

 

「プ〜リ!」

 

「うわぁ……美味しそう!」

 

「ミドリさん、何から何までありがとうございます」

 

「ふふっ、な〜に、慣れてるさ」

 

「慣れている?」

 

プリルンがミドリの持ってきたシーフードピザに今にも食べたそうな目線を向けているとミドリからの気になる発言にこころが聞き返す。

 

「女神様のアイドル様も、アンタ達と同じようにこの浜に流れ着いてね。あたしらが見つけてお世話をしたんだよ」

 

「えっ?」

 

「あの……“アイドル様”?“巫女様”じゃなくて?」

 

「そうか、1000年前なら……」

 

ここでまた疑問符が浮かぶ現代でなな達が聞いた伝説によると女神様に力を与えたのは巫女様であった。ここで名称に食い違いが発生してしまっている。

 

「あたしらも最初はそうお呼びしてたんだけどね。自分のように歌って踊る者は元にいた世界じゃ“アイドル”って呼ばれてたんだって。自分で言いなさったのさ」

 

「自分でアイドルって言った……まるで、アイドルのその物を知ってるみたいですね」

 

「うん、もしかして……」

 

ななとこころは巫女が自分からアイドルだと名乗ったという事でその人がアイドルという概念を知っている人間だと予想できた。

 

「確か……“ショーワ”ってとこから来たとか言ってたかな」

 

「えっ!?」

 

「ショーワ……いえ、多分昭和ですねこれ!」

 

「って事は、伝説のアイドルはここに流れ着いた昭和のアイドルだったの!?」

 

まさかの衝撃の事実。確かにここに来る前にトットはアイアイ島の海は全世界の海と繋がっているのに加え、時間をさえも飛び越えられる……そんな趣旨の話をされ、そういう事情があるのはわかっていた。だが、ミドリの話によると昭和から1000年近くもの時間を一足跳びに飛び越えた事になるだろう。

 

そこまでの規格外の移動が可能な事に二人は驚きを隠せなかった。ちなみにシーフードピザに食べたそうな目を向けていたプリルンはそんな大事な話をしているのにも関わらず、勝手に一人でピザを平らげてしまう。先程までゲソを食べていたはずなのによく食べられるものだ。

 

そんな余談はさておき、ミドリは同時にある事も思い出す。それは流れ着いた時のそのアイドル様の言葉である。

 

「……そういえば、アイドル様。最初に島を訪れた時、少し不安そうな顔をしていたね」

 

「そりゃあ、昭和から1000年近くも遡ったら……」

 

「ううん。違うのよ。まるで、大切な誰かを元の世界に残してきたような……そんな感じと言えば良いのかしら」

 

「うーん……」

 

だが、大切な誰かというのはアイドル様は島の住民達と仲良くなっても明かしてくれなかったらしく。結局ミドリ達の中でも謎のままだ。

 

「ひとまず、変に長々と考えても仕方ありません。今は腹ごしらえをして、これからに備えましょう!」

 

「うん、そうだね!」

 

「そうと決まれば早速ピザを……あれ!?」

 

「ゲフッ……美味しかったプリ〜」

 

するとななやこころがピザの方を向くとそこにはピザを一人で全部食べてしまったプリルンがおり、こころは唖然としてしまう。

 

「ぷ、プリルン。ここにあったピザは?」

 

「プリ?全部食べちゃったプリ〜!」

 

「嘘でしょ……」

 

「あはは……食べちゃったかぁ……」

 

こころがピザが食べられなくてガックリと肩を落とすとななはその様子を見て苦笑い。それを見てミドリは作る事を提案する。

 

「それならもう一枚焼いてくるわね。少し待ってて」

 

「すみませんミドリさん……」

 

「もう、プリルン。これから来る分は食べたらダメですからね……」

 

「プリ?わかったプリ!」

 

プリルンは元気そうにそう返事を返すが……恐らく彼女の事なので我慢できずに食べるだろう。こればかりは彼女の食欲の旺盛さには困ったものである。

 

それから多少の時間が経ち、カサゴの毒に侵されて気を失っていたうたはとある夢を見ていた。それは今自分達がいる時間から更に時間を遡ったアイアイ島での事である。

 

〜回想〜

 

アイアイ島の波打ち際。そこで一人の女性がステージの上で見せるようなフリフリの可愛らしい衣装を着た状態で気絶し、倒れていた。

 

「んんっ……」

 

女性はどうにか目を覚ますと起き上がる。ただ、彼女は自分の姿を見て困惑したような顔を浮かべた。

 

「あれ……私、何でステージで着る衣装を……。確か、海水浴をしていたはずなのに」

 

どうやら女性はここに流れ着いてしまう前に海水浴をしていたらしく。もしその際の衣装のままであるなら自分は今、水着姿になってないといけないはずだ。それなのに何故か今はステージに出るような可愛らしい衣装になっている。

 

「……大丈夫?」

 

「!!」

 

すると、女性の正面。つまり島の陸地側から声が聞こえた。女性が顔を見上げるとそこにはこの島……アイアイ島の住民が女性を心配そうに見つめている。

 

「あの、ここは……?」

 

「アイアイ島だ」

 

「アイアイ……島?」

 

女性はアイアイ島を知らない様子で島の名前を繰り返す。そんな時、女性はある事が脳裏を過ぎると住民へと慌てたように問いかける。

 

「ッ、あの!」

 

「?」

 

「他に……私みたいな格好を着た同い年くらいの子は来てませんか?えっと、髪の毛が肩ぐらいまでかかってる水色の衣装の女の人!」

 

女性の慌てぶりに彼女を心配していた住民達が顔を見合わせると首を横に振ってしまう。残念ながら島の住民達はその子を知らないらしい。

 

「ッ……そう……ですか。じゃあ、あの子は無事に助かったのかな……」

 

女性は何かを気にしていた様子だったが、それを女性が確かめる術はここには無い。すると、島の住民が声を再びかける。

 

「ひとまず、女神アマス様の元に案内する」

 

「女神……アマス様?」

 

「この島を守ってくださる女神様の事だよ」

 

それから女性はその女神アマスの元に案内された。女性が案内された先にいた女神アマスは石像になっていた時とは違い、他の人間の大人と大して変わらないサイズ感をしている。髪は赤く先端が薄いピンク色をしている。また、衣装は肩出しなのか肩から上腕、二の腕辺りまでは肌が露出。

 

巫女や天女を思わせる服装は大部分が白く、ピンク色の縁取りがされている。また、頭部の後ろ側には光を放つ太陽を意識した丸く黄色い物飾りのような物が存在した。そして頭部には島の住民と同じようにサンゴの枝のような角が二本生えている。首には水色の細長い宝石のような物を三つ付けており、正に神様と言えるような姿をしていた。

 

「……あなたが島に流れ着いたという人ね?」

 

「はい!女神アマス様!」

 

女性と話すアマスはその背後に島の住民達を従えており、彼女自身が島を代表して女性との話し相手となる。どうやらこの女性と出会った頃はアマスも普通に人前に姿を現していたようだった。

 

「随分と可愛らしい衣装をしているわね。……あなたは何者なの?」

 

「これですか?……それは私が……アイドルだからです!」

 

自らの事をアイドルと名乗った女性。その声質はうたの物にそっくりだった。そして、その言葉を聞いてうたは夢から覚醒して飛び起きる。

 

「はっ!」

 

しかし、その瞬間に貝の上から吊るされていた干物用の魚に顔面が命中。魚の生臭さをモロに受けてしまう。

 

「うぇえ……生臭い……」

 

そもそも何故こんな都合の良い場所に魚が干されているのか。それは、影人とテラが先程の漁をして食べた後に余った魚を協力して吊るした際にどうしてもこの位置にせざるを得なかったからである。

 

「目が覚めたか」

 

「影人君、これって……」

 

「済まないな。魚の感覚やら吊るす位置やら色々やってたらどうしてもここしか無かった」

 

うたはそれなら仕方ないと生臭い匂いに少し嫌な顔をしつつも今回の件は割り切る事にした。するとメロロンもうたが起きた事に気がつき、手にしていた水の入ったボウルを思わず落とすとうたの顔面に突撃してくる。

 

「うた!目が覚めたのメロ!?」

 

「あはは、ごめんね。心配かけて」

 

メロロンはうたの顔に抱きつく形でくっ付くと影人は前に見たある光景を思い出す。それはメロロンがはなみちタウンに来たばかりの頃、プリルンとの時間を邪魔してしまったうたに対して体当たりをかましていたメロロンがここまで仲良くなった事に対する感慨深さである。

 

「こうして見るとプリルンとの時間を邪魔されてローリングメロロンアタックをかましていたあの頃と比べて凄い仲が進展してるなぁ。

 

「うた、無事で本当に心配したのメロ!大変だったのメロ!本当に……」

 

「メロロン、そろそろ離れた方が良いぞ?多分……」

 

影人がある事に気がつくとメロロンに離れるように言う。その瞬間、メロロンが抱きついているうたの顔面から先程彼女が被ってしまった魚の生臭い匂いが香る。そして、当然メロロンはその匂いを嗅いでしまうわけで。

 

「うた、生臭いメロ〜」

 

「やれやれ……」

 

そこに騒ぎを聞いてうたが起きた事を確認しに来たテラは呆れながらもうたが無事だった事には内心安堵しており、その様子をそっと影人は見るとちゃんと心配してくれてる事への嬉しさから少しだけ口角が上がるのだった。

 

場面は変わり、ここは先程うたが浅瀬で素手での魚掴みをやっていた場所……の、崖を挟んで反対側。そこではななと村の子供達が魚の掴み取りに挑戦していた。

 

「やったぁ!獲れた、獲れたよ!」

 

「おっきい!」

 

「凄いね!」

 

特に子供達は魚を捕まえて大はしゃぎなのか、嬉しそうにしていた。ななは片手で長いスカートが濡れないように捲っているので参加自体はできてないが、子供達の様子を一緒に浅瀬に入る形で微笑ましい顔をしつつ見ていた。

 

「毒のある魚は先に避けてあるけど、気をつけるんだよ!」

 

『は〜い!』

 

そして、先程のうたのような事故が起きないようにするためにミドリ達大人が浅瀬の中にいる毒を持つ魚は先に取り除いていた。それでも隠れている個体がいるかもしれないので危険がゼロとは言えないが。

 

また、魚掴みの場所から少し離れた場所。ヤシの木と思われる木の近くでは、木の上の方にいるプリルンと下で布を広げるこころや島の子供がいた。

 

「行くプリ〜!」

 

「オーライ!」

 

プリルンはその手にプリルンが持つにはそこそこ大きめな木の棍棒を持っており、彼女は一人だけ空中に浮くことができるという利点を利用してヤシの実を落とす役を担っていた。下にいるこころや子供達はそれを受け止める役割である。

 

「プリプリプリプリプリプリプリプリ……プリ〜ッ!」

 

プリルンは自らの体ごと高速回転。勢いを付けてヤシの実の一つを根元から棍棒で叩く形で落とす。それを下にいたこころ達が布で受け止めるとヤシの実の重さを感じつつ実を獲れた嬉しさに声が上がる。

 

「わぁっ、採れた!」

 

「プリルンちゃん凄い!」

 

「どんどん行くプリ〜!」

 

今回のヤシの実取りは島の子供達にとってかなり楽な方法なのは間違い無い。何しろプリルンが一人いるだけで木に登る必要が無いのに加え、ヤシの木を蹴ることで落とすにしても一度に複数個落ちて事故になるリスクも小さくて済むのだから。

 

それから時間は経過。夕日が沈む中でななは先程の魚獲りの岩場で子供達と崖の方に向かって歩いていた。

 

「それでね……」

 

「うんうん」

 

「あっ、君達ストップ」

 

「うん?どうしたんですか?」

 

ななは急に止められて疑問符を抱くと島の男性住民がこれ以上進んではいけないとばかりの仕草を見せる。

 

「悪いけど、ここから向こうは危険なんだ」

 

「それって……」

 

「ほら、あそこを見てごらん」

 

男性の視線の先。崖が伸びる先端辺りの海に黒い闇が発生すると海が暗く染まってしまう。その光景にななは見覚えがあった。

 

「あれは……ヤミクラゲ!」

 

「この入り江の向こうにも一人だけ住んでいる者がいるんだが、そっちにもあまり近寄らん方が良い」

 

「えっ!?それはどうしてですか?」

 

ななはヤミクラゲがここにもいるという事を認知すると男性からの説明を受けて困惑する。その説明を間に受けるのなら入り江の向こう側……つまり、テラがいる方に近づかない方が良いという事になるだろう。

 

「うーん、実は……」

 

「テラお姉ちゃん……」

 

ただ、子供達はテラの事を知っているらしく。彼女が一人でいる事に少し申し訳なさそうな顔を浮かべる。

 

「訳ありって事になるのかな……。あの、後でヤミクラゲとかの事情を聞かせてもらいたいんですけど」

 

「ああ、この後の夕食の準備の間にでも話すか」

 

こうして、なな達は改めて島の今がどうなっているのかについて話を聞く事になる。




また次回もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。