キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
いきなり頭数を揃えて上陸してきたヤミクラゲに対して驚くうた。影人やメロロンも警戒状態に入る中でテラが一人銛を持った状態で後悔したような声を上げる。
「……ごめんね、私のせいだ」
「えっと、テラちゃんのせいって?」
「私がいるとヤミクラゲが集まってくるのよ……」
テラが言い出した衝撃の事実。まさかのテラという存在その物がヤミクラゲを引き付けているという事だ。
「えっ?」
「どうしてそんな事になるメロ?」
「理由はわかんない。……でもずっとそうだったの」
「確かに、言われてみるとヤミクラゲのターゲットが向いているのはテラの方だな……」
どうやらテラ本人にも詳細はわからないらしい。ただ、これだけは彼女の中でハッキリとわかっていた。……今回の件に関しては自分がその危険を予め言わなかったせいであると。
「……わかってたんだから、あんた達をとっとと村に行かせれば良かったんだ……。でも、一晩くらいならって……。甘かった……ごめん!」
テラは正直、影人達と過ごす時間が楽しかった。少しでも長く一緒にいるために彼女は危険を知らせることができていなかったのだ。しかし、その結果が今回のヤミクラゲが襲来した際に一般人である影人達を危険に晒した事に繋がった。
テラは自らの油断が招いた事だと酷く後悔。こうなった以上は自分が囮になっている間に三人を村に逃す事で落とし前を着けようとする。
「そっか、だからテラちゃんはずっと一人でいたんだね。皆を巻き込むのが嫌だったから……」
「本当に素直じゃ無さ過ぎだろ。結局、俺達と過ごしててその時間を幸せに感じてたんだから。そうじゃなきゃ、とっくに俺達を村に避難させてただろうからな」
影人達はテラの気持ちを理解するとあくまで彼女を責めずに優しい声色で接した。また、同時刻。村に近い海岸の岩場では村人達が海の中にある闇が入り江へと集まっている事からヤミクラゲが大量発生し、影人達のいる場所に迫っていると気がつく。
「この闇の動き、まさか……」
「俺、ななお姉ちゃん達に知らせてくる!」
「私も!」
ひとまず彼等の中の何人かがその場で闇の推移を見守っている間に他の大人達はヤミクラゲと戦うための道具を取りに行く。加えて、戦えない子供達はなな達の方へと話をしに行った。
尚、その時なな達のための寝床として用意されていた家の中では未だに睡眠中のこころがいる。加えてその顔面の上でプリルンが鼻提灯を出しながら爆睡しているせいでこころは呼吸困難になりかけていた。
「プリィ……プリィ……」
「ううっ……カゲ君、強く抱きしめすぎ……息ができません……」
夢の中でのこころは彼氏である影人と抱き合っている状態という幸せ空間の真っ只中。ただし、プリルンに顔を塞がれているせいで寝心地は最悪だったが。
「う〜ん、よく寝れたなぁ……」
そして、ななは一人先に起きた状態で家の外に出て伸びをしていた。そこにヤミクラゲの登場を知った村の子供が到着する。
「大変だ!大変だよ!テラ姉ちゃんのいる入り江の方が……」
「えっ!?とにかく、こころちゃんとプリルンを起こすね!」
ななはヤミクラゲは群れて動く事から自分一人で行くよりも可能ならこころやプリルンと三人で行った方が確実だと判断。そのため一旦家に戻ると二人を起こす事に。
ただ、このまま三人が向かうのを待っていたら入り江にいる影人達は全員石化してしまう。ただし、それは三人をただ待っているだけなら……の場合だが。
「私が何とか時間を稼ぐからあなた達三人は……」
「……いや、必要無いよ」
テラが逃げるように言うが、影人達三人にそのつもりは無い。むしろ、この時点で彼女を守れるのは自分達だけなので進んで前に立つ。
「あっ……。ま、待って!ヤミクラゲは……」
「知ってるよ。だけど、俺達は戦う」
「なっ!?馬鹿な事は止めて!そんな事したら……」
テラは影人達が戦える事を知らないので不安な気持ちになるが、それでも影人達は自分達を心配してくれている彼女を一人で死地に残すなどできるはずがない。だからこそ戦うのだ。
「ふふっ、心配してくれてありがと。でも私達は……テラちゃんを一人になんかしないよ!」
「メロロンも準備は良いな」
「メロ!」
そのままうたがアイドルハートブローチ、メロロンがキラキラショータイムマイク、影人がソウルリンクライトを手にすると変身を開始する。
「「「プリキュア!ライトアップ!」」」
三人がプリキュアリボンをそれぞれのアイテムに装填。そしてアイテムを三回タッチしていく。
「キラキラ!ドレスチェンジ!」
「キラキラ!ショータイム!」
「キラキラ!ソウルリンク!」
「「「YEAH♪」」」
それから三人は自分達の掛け声を言うと変身を開始。その姿をプリキュアへと変化させていった。
「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」
「ハートをメロっとひとりじめ!キミと口づけ、キュアキッス!」
「キミと輝く、ハートの鼓動!繋がる魂、キュアソウルビート!」
プリキュアに変身し、名乗りを上げた影人達三人。それを見てテラは驚いたような声を上げる。
「あ、あんた達!?」
「ヤミ〜!」
ただ、プリキュアへと姿を変えた影人達に驚いているのも束の間。早速ヤミクラゲ達が攻撃を開始してきた。
「「「はぁっ!」」」
ヤミクラゲが向かってくるのに対してソウルビート達三人は迎え撃つように飛び出すと三人同時の拳がヤミクラゲの突撃とぶつかり合う。するとピンクのハートのエフェクトが閃光のように輝くと同時にぶつかった個体とその直線上にいる個体が纏めて浄化されて白い妖精に戻っていく。
「ヤミヤミ〜……」
「う、嘘。ヤミクラゲを一撃で……。三人共凄い……」
テラは一体だったとしても自分では倒すのに時間がかかるヤミクラゲを一瞬で複数体浄化して制圧したプリキュア達に驚いていた。
「言ったでしょ、私はキュアアイドル!キミをキラッキランランにするアイドルプリキュアなんだ!」
そしてヤミクラゲを浄化した三人の内、アイドルがテラへポーズの際のハートを手で作って笑顔を向ける。そしてその輝きはテラの瞳の中にキラキラとしたハートの眩しさが染み込むように焼きついていく。
つまり、テラはキュアアイドルの眩しさに見惚れたのだ。ただ、ヤミクラゲはまだまだ数を多く残している。そのため、こうなったら数押しだと言わんばかりに群れを成して攻めてきた。
「来るぞ!」
「任せて!はあっ!やあっ!」
アイドルは迫り来るヤミクラゲを次々と殴って撃退。ソウルビートもヤミクラゲに攻撃させてからのカウンターで順番に処理していく。
「ただ数押しすれば勝てるとかそんな甘い考えで俺達をどうにかできると思うな!」
ソウルビートがヤミクラゲの一体の顔面に手を翳すといきなりヤミクラゲの目の前にハート型のエネルギー……つまり、キッスショックの際に飛ばされる物体が出現する。
「ヤミ!?」
「キッスの力、ソウルビートショック!」
ソウルビートがハート型のエネルギーを一気に蹴り込む形で飛ばすとその直線上にいたヤミクラゲ達は次々と電撃に巻き込まれて浄化されていった。その間にアイドルは目の前で相手にしていたヤミクラゲを上に投げる。
「キッス!」
「了解!はぁああっ!」
キッスはそれに合わせる形で跳び上がると投げられたヤミクラゲを上から蹴り込む形でヤミクラゲの群れにシュート。何体かを浄化させる。
「アイドルの力、ソウルビートグータッチ!」
更にダメ押しという事でソウルビートがアイドルの力を込めたグータッチという名前のパンチをかますとヤミクラゲは纏めて粉砕されていく。
そしてその姿を見たテラと口元に笑みが浮かぶと自分だって戦える所を見せると言わんばかりに声を上げる。
「ふふっ、負けてられないね!」
するとテラがヤミクラゲの元に向かうと手にした銛でヤミクラゲを一体吹き飛ばし、続けて迫ってきた個体を銛を砂に刺すとその棒を軸にして回転し方向転換。勢いを利用して蹴り飛ばす。
「ふんっ!たあっ!」
更に髪を触手のように伸ばすとヤミクラゲの中の一体を捕まえてから振り回し、自分の所に向かってきたヤミクラゲへとぶつけつつ纏めて吹き飛ばす。
「ヤミ〜……」
「わぁ……テラちゃん強い!」
しかし、ヤミクラゲ側もただ黙ってやられるだけでは無い。ヤミクラゲの群れの中からいきなり別のヤミクラゲの触手が伸びてくるとアイドルに向かって迫っていく。
「ッ、アイドル来るぞ!」
「え?くうっ……ああっ!?」
アイドルはどうにか反応を間に合わせると防御するが、その防御ごと押し切るヤミクラゲのパワーに負けて吹き飛ばされると地面に叩きつけられる。
「アイドル!?」
「大丈夫……でもこれって」
キッスの心配にアイドルは平気だと返すが、彼女達が触手の伸びてきた方向を見ると他の個体と比べて明らかに大きく強そうな個体が群れの中から姿を現した。
「まぁこれだけ数がいるのならそりゃあ精鋭の兵隊もいるよな……」
「ヤミ〜」
「ヤミ〜」
「ヤミ〜」
しかもその数は三体。ただでさえ数押しされるだけでも不利なのにここに精鋭の個体まで来たら今の戦力では保たない。
「ヤミ〜!」
その瞬間、巨大な個体がターゲットをテラに定めると触手を伸ばしてきた。
「ッ!テラちゃん!」
「ウインクバリア!」
テラが成す術なくヤミクラゲの触手の餌食になりかけた瞬間。いきなりキラキラマークのバリア……ウインクバリアが展開されるとヤミクラゲからの攻撃を防ぐ。そして、これが出てくるという事は……。
「あっ!」
「キュンキュン……レー……ザーッ!!」
テラを守ったバリアに続いてキュンキュンの声が空中から響くとそこにはキュンキュンが頭にある黄色い髪留めに紫のエネルギーを高めており、それを一気に解放。
レーザーを真下から一気に前に向かって扇状に射出する事でその効果範囲内のヤミクラゲを一瞬にして殲滅した。
「やっと合流か……。俺達の頼もしい仲間達!」
「そういう事、お待たせ!」
そこにズキューンも降り立つとキッスの前に姿を現す。そして、彼女を見たキッスはというと。
「お姉様〜!!」
「おーい、クールキャラが壊れてるぞキッス」
キッスは姉と慕うズキューンことプリルンと一日ぶりに会えたのが嬉しかったのか、顔つきが思わず緩んでしまう。そんな二人の隙を突くべくヤミクラゲが向かってきた。
「「「「「ヤミ〜!」」」」」
「させるか!キュンキュンの力、ソウルビートレーザー!」
ソウルビートがキュンキュンの力であるレーザービームを使用すると向かってきたヤミクラゲを制圧。更にそれを上に向けて放つ形でレーザーが弾けるとヤミクラゲ達へと無差別爆撃と言わんばかりにダメージを与えていった。そして、その間にウインクやキュンキュンがアイドルと合流する。
「ウインク、キュンキュン!」
「あんた達は?」
「私達の友達で皆テラちゃんの味方だよ!」
「「うん!」」
「村の人達がテラちゃんが危ないって教えてくれたの!」
テラの問いにアイドルが今来た三人は自分達の友達で味方であると説明。更に彼女は村の人も来てくれたと聞いてその方を向く。
「あっ……」
「テラ姉ちゃーん!」
「皆……」
テラの視線の先には村の男性達が銛を持って戦える状態にしており、子供達は遠巻きとはいえテラと会えた事が嬉しそうにする。
「良かったな、テラ。……さてと」
ソウルビートがテラが安心したのを見て安堵すると目の前に先程のソウルビートからの攻撃を耐え切ったヤミクラゲの精鋭を先頭にまだかなりの数のヤミクラゲがいた。
「このまま正面からやり合ってもキリが無い」
「うん、だとしたら一気に決めるしか無いよね!」
アイドルプリキュアは六人が揃った所で一気に目の前のヤミクラゲ達との決着を着ける必要があると判断。
そのためまずはソウルビートがヤミクラゲを浄化するために浄化技を発動。ライブの領域を展開すると銀のスポットライトを浴びる。
「クライマックスはこの俺!」
ソウルビートが笑顔を浮かべると左耳に銀のインカムを生成。それと同時にヤミクラゲは問答無用で椅子に強制着席させられる。
「フィナーレ、決めるぜ!」
それと同時に観客達が銀のペンライトを振っており、ソウルビートが自らの歌を歌い始めた。
♪決め歌 キミと繋ぐ閃光の光♪
「もう迷わない〜♪もう見失わない〜♪これが新たな自分の光♪!キミがくれたんだ〜♪その光を胸に、新たな世界へ飛び立つんだ♪!届けたいんだ、この光を〜♪キミと手を繋ぐために♪!」
ソウルビートは銀の稲妻の力を受け止め、ライトで円を描いてからすかさずソウルリンクライトを突き出して銀の光の奔流を放つ。
「プリキュア!ソウルビート・フィナーレ!」
ソウルビートからの閃光の一撃を受けたヤミクラゲはひとたまりも無く浄化。白い妖精の姿に戻っていく。
「キッス、私達も!」
「ええ。やりましょう!」
ズキューンとキッスはソウルビートに続くように合体技を使用。捕らえた個体は一体だけだったものの、しっかりと椅子に拘束させた。
「「二人の誓い!今、輝け!」」
そしてそのままライブ領域が展開。ヤミクラゲは強制着席させられたために二人による歌を黙って見ているだけしかできなかった。
♪決め歌 Awakening Harmony♪
「「取り戻したい〜♪光の世界〜♪」」
「その笑顔♪」
「勇気♪」
「涙♪」
「夢♪」
「「希望の兆し♪キミと明日を〜願うチカラで♪生まれる〜私たちのハーモニー♪響け〜♪……プリキュア!ズキューンキッスディスティニー!」」
ズキューンとキッスが放った白と黒の光の一撃がヤミクラゲへと降り注ぐとその体を浄化していく。
「私達も行くよ!」
「うん!」
「皆さんに負けてられません!」
そして、アイドル達三人も他の三人に負けじと技を発動させる事に。勿論使うのは三人での合体技だ。
♪決め歌 Trio Dreams♪
「「「ウー、レッツゴー!Try, try, trio dreams♪」」」
『Let's sing, let's swing, let's dance, let's bound,Let's smile, let's fly』
「「「ハート上げてくよ!」」」
三人のプリキュアは領域を展開しつつインカムを装着。それとほぼ同時にヤミクラゲは椅子にいつも通り強制着席。そのまま三人による歌が始まった。
「「「Sing!♪音符に夢乗せて〜♪キミ、あなたのもとへ〜for you!♪もっともっと輝き合えるね〜♪みんな、キラッキラン!♪瞳水晶にいつだって〜♪笑顔映し合おう〜promise!♪キミがいるからパワー、生まれるよ、今日も〜♪Try, try, trio dreams♪……プリキュア!ハイエモーション!」」」
三人が力を合わせる事で発生した虹のエネルギーがヤミクラゲへと降り注いでその体を浄化させていく。すると強力な個体のヤミクラゲが三体も立て続けに撃退された影響か、他のヤミクラゲ達はこのままでは勝てないと考えて撤退する事になる。
「ヤミ〜!」
「ヤミ〜!」
そして、ヤミクラゲの脅威が去ったためにアイドルプリキュアの六人の中のソウルビートを除く五人が村の人達と触れ合う。
「やった〜!」
「凄いね!」
「ありがとう皆さん!」
「アイドル様のライブみたいだったよ!」
こうして取り戻された平和な時間にテラは嬉しそうに微笑むと息を吐く。同時に影人が話しかけた。
「良かったな、テラ」
「別に、村の皆が無事で嬉しかっただけよ」
「そっか」
ソウルビートが微笑むとテラもそれにつられて微笑む。事件はこれで解決して無事にアイドルプリキュア六人が合流……となればどれだけ良かっただろうか。
その瞬間、ソウルビートは視線の先に何かを見つける。それは海から飛び出すヤミクラゲの触手だった。
「ッ!?テラ!」
ソウルビートは咄嗟にテラを庇うように動くが、それよりも早く二人の元に触手は到達。そのまま二人を縛る形で捕まえてしまった。
「ううっ……」
「くっ!?」
そして、二人が声を上げるよりも早くソウルビートとテラを捕まえた触手は先程までテラの持っていた銛を残し、そのまま二人が助けを求める声を出すより早く捕まえた二人ごと海の中に戻ってしまう事になる。
するとこの直後、アイドルやキュンキュンは影人とテラがいない事に気がついた。
「あれ?テラちゃんは?」
「ソウルビートも見当たりませんよ!?」
「嘘、さっきまでここにいたのに……」
アイドル達が急にいなくなった二人の行方を心配する中、村の子供は二人が何に連れ去られたのかについてわかっていたようなのか声を上げる。
「ああ……ああ……」
その後、二人の行方について考えられる可能性をその子供が告げるとアイドル達五人は今はその場所に向かうためには準備が万全じゃ無いという事で一度村に戻り現状整理を行う事になるのだった。
また次回もお楽しみに。