キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
学校から移動した影人達。それからマネージャーの田中と合流するとひとまず二人は変身するとの事で影人、レイ、田中は一度別れるとうた、ななの二人は物陰へと隠れる。
「誰もいないね……良し」
「行くよ」
「あ……それリップ」
うたが張り切って変身しようとするためにリボンを出したつもりが、出したのはサンプルとして渡されたリップであった。うっかりミスにうたは苦笑いする。
「間違えた。改めまして!」
「「プリキュア!ライトアップ!キラキラ!ドレスチェンジ!」」
二人がアイドルハートブローチを押し込むとその姿を変化。変身を完了するとそれぞれの名前を名乗る。
「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」
「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」
二人が変身を完了すると変身の際に大人数が集まって目立たないようにするために別の場所に待機していた影人達の元に合流する。
「お待たせー!」
「じゃあ行こっか!」
それから五人は撮影現場へと行くためにまずは挨拶のためにお店へと入る事に。
「「こんにちは!」」
アイドル、ウインクが今回の案件のメインのため、二人が前に出た状態でお店へと入ると早速担当者である森が出迎えた。
「キュアアイドルさん、キュアウインクさん!本当にありがとうございます!今日はよろしくお願いします!」
「はい!」
「こちらこそよろしくお願いします!」
そんな風に最初の挨拶は大丈夫そうと言った所だ。影人も第一関門を突破して一安心。すると森の目線がぬいぐるみのフリをするプリルンへと向いた。
「あれ?そのぬいぐるみ。昨日のマネージャー見習いさんも持っていた……」
「うっ!?」
アイドルは僅かにギクリとし、影人はそれに対して何か言い訳をするために策を巡らせようとする。しかし、その前にウインクがフォローを入れた。
「私達のマスコットキャラなんです」
影人は自分が言うより早くウインクにフォローしてもらえたおかげで何とか難を逃れたとホッとする。
「ああ、そうなんですか!可愛いですね。そうだ!その子も出ちゃいましょう!」
影人はその言葉を聞いて驚くと同時に内心で慌て始めた。普段から何かと問題を起こすプリルンが撮影中に好奇心とかで勝手に動き回り、機材とかを壊された場合が最悪と考えて自分がしっかりと持っているつもりだったのにこれでは見ているこちらの胃が保たない。
「プリルンもCMデビューだね!」
「プリ?」
だが、プリルンはあまりこの状況がわかっていなさそうだった。それに、向こうの意思も尊重しないといけないために断る理由も無い。そのため、受け入れる事にした。
「良いね〜そのアイディア!いただき!」
「今回のディレクターさんです」
「「よろしくお願いします!」」
「お願いします」
二人がディレクターに挨拶をすると一応最初の挨拶では何も無かった事にひとまずホッとする。
「それじゃあ早速撮影スタートだ」
「行ってきます!」
それからアイドルとウインクはプリルンと共に撮影のために移動。影人はまだ不安な気持ちだったが、それでも今は二人を信じるべきとその不安を顔に出さないようにしていた。
「……影人、大丈夫か?」
「レイ、何だよ」
「やっぱり心配なんだろ?」
「当たり前だろ。でも、俺に出来るのは信じる事だけだ」
「あはっ……。確かにそれもそうだな」
それからマネージャーの田中、そしてマネージャー見習い名目の影人、レイも撮影を見るために現場へと移動する。
それから少しして撮影が開始される事になった。だが、やはりと言うべきか案の定と言うべきか……。二人は初めての撮影に失敗を連発した。
「プリティアップでキラッキランランな私!」
「台詞はリップ塗った後ね!」
「……あ」
最初にアイドルが台詞とリップの順番を間違えるというミスをしてしまう。ひとまずそれを後にして先にウインクの方を撮ることになるが……。
「はい、カメラ目線で〜」
「う〜ん、ふん!あうっ!?」
ウインクがカメラの前でウインクするはずがガチガチに緊張したせいで上手くできずにぎこちない映像しか撮れていない。また、顔面をカメラにぶつけたウインクは顔を顰めてしまう。
「うう〜」
「もっとリラックス!」
その後、再度アイドルのシーンとなるが、今度はリップを塗ったは良いものの、鏡を見ずにノールックでやったせいか思い切りはみ出してしまう。
「リップはみ出てる……」
「うわあっ!?ごめんなさい!」
「ああ……」
流石のこの有様には普段から無表情の田中でさえも動揺を隠しきれなかった。そして、アイドルのウインクシーンではプリルンが喋らないように口元をそれなりの時間覆ってしまう。そのためプリルンは呼吸ができず、目を回してしまった。
「く、苦しいプリ〜」
「うえっ!?ご、ごめん!」
すると苦しさで力が抜けたのか、プリルンがアイドルの腕から落ちて下に転がってしまうとそれを森が拾ってアイドルへと返した。
「はい」
「ごめんなさい!カメラを見ると緊張してしまって……」
「そっか……何か良い方法は」
するとそのタイミングで影人が森へと一度二人の気持ちを落ち着けさせるために少しの休憩を提案する。
「すみません、一度休憩を貰っても大丈夫ですか?まだデビューしたてでこういう場には慣れてないんです」
「わかりました。ディレクターさんに言ってみますね」
その後、森からの話も受けてディレクターは一度十分休憩を宣言。一旦アイドルとウインクはカメラの場から解放されて戻ってきた。
「うう、どうしよう……上手くいかない」
「カメラを見ると緊張して……」
「ごめんね、影人君にも迷惑かけて……」
「いや、むしろこのタイミングで良かった。二人に言いたい事があってさ」
「「え?」」
影人の言葉を聞いて二人は首を傾げると共に疑問符を返す。影人はひとまず二人をリラックスさせるべきと考えていた。それをしないとこの先もミスを連発しかねない。それを避けるためにもまずは何かを変えないといけないと判断したのだ。
「これは俺からの提案。カメラを見る時に自分がリラックスできると思う相手の顔がカメラの前にあると思ってやってみたら?」
「「……へ?」」
影人からの提案を聞いたその瞬間、二人の顔が凍りつく。影人はそれからも説明を続けた。
「カメラに撮られてるって思ってるから二人共緊張してるって感じだし、カメラに対して笑顔を向けるんじゃなくて自分の親しい人相手に笑顔を向けるって思った方が自然だし気持ちは楽でしょ?」
影人が説明をするとどういうわけか二人はその想像をするとアイドルが吹き出して笑い始め、ウインクもクスクスと口角が上がるのを抑えきれていなかった。
「あはははっ!影人君何それ!」
「ん?なんか俺変な事言ったかよ」
「カメラの先に人の顔……ぷっ……」
「え?え?」
どうやら二人はカメラの先端にそのまま人の顔を付けたような妄想をしたらしい。影人としてはカメラを親しい人にそのまま置き換えてその人に対して台詞や動きをしたらと言ったつもりなのだが、二人はその提案を曲解。カメラのレンズの先端にそのまま人の顔が張り付いている様を想像したらしい。
「ちょっ!?待て待て、顔のレンズの代わりに顔があるわけじゃなくてだな……」
「影人、お前面白い事を言うな……あははははっ!」
レイもレイで今の解釈に対してツボにハマったのか、笑いを堪えきれない様子で話しかけてきた。
「あーもう!何でこうなるんだよ!てか、レイ!どうせお前は俺の提案をちゃんと理解してたのに悪意を持ってそう捻じ曲げただろ!」
「いや、俺も二人と同じかいしゃ……くくっ……」
「お前マジふざけんな!」
レイは完全に悪ノリモードに入ったのか、そう言って影人を笑いのための玩具にし始める。だが、その様子を見ていた田中は目を見開いていた。先程まで緊張でガチガチだったはずのアイドルとウインクがこのやり取りで完全にリラックスしたのである。
「影人さんが二人の緊張をほぐして……」
「ふふっ。影人君、私達の緊張をどうにかしようって頑張ってくれたんでしょ?ありがとう!」
「うん。おかげでリラックスできたから。多分今なら大丈夫!」
「お、おう……なんか俺だけ損した気分なんだが……」
それから休憩時間が終わって二人による撮影が再開されると今度は二人共リラックスしたような感じで順調に撮影が進んでいった。
ちなみにその間、揶揄われた影人は僅かに不貞腐れたような顔つきとなっていたが。そして、今度は無事に撮れている様子に田中も安心したような顔つきとなる。
「はいオッケー!じゃあセットチェンジします!」
ディレクターがそう言う中、セットチェンジが始まるとその変えている間にレイは田中へと小声で話しかけた。
「……どうですか?影人の力」
「確かに、レイさんが仰ってた通りの人ですね。……私は昨日まで彼の力については疑いの気持ちもありました。アイドルプリキュアでは無いのにどうしてあの二人にあそこまで信頼されているのか。やっとわかった気がします」
「私もあの見習いの子がちょっと羨ましいです」
するとその会話に田中の隣にいた森も入ってくる。彼女も影人を見て何かを感じたらしい。
「……今回の案件。上の人には相当嫌な顔をされていて……。特にこれから新たな事業展開としてこの街に店を出したのにこんなポッと出の新人アイドルに任せて良いのかーって」
「でしょうねぇ……。俺も正直最初にその話を聞いた時そう思いました」
「さっきの緊張した二人を見て、巻き込んだ私が何とかしなきゃって思ったんです」
「……それはアイドルプリキュアを起用してダメだった際に責任を取らないとダメだからですか?」
レイはそう踏み込んだ質問をする。森は僅かに苦笑いをすると正直な気持ちを言うことにした。
「そうかもしれません。実際上からもそんな趣旨の話をされましたし、下手したら責任者をクビになるかもって。でも私はやっぱり今回の案件を二人に任せて良かったと思ってます。あんな優秀なマネージャー見習いのおかげであの二人は活き活きと輝いてる。そう思ったらこの先絶対に二人は世間に出ても売れていく。そんな想像までできるくらいでしたから」
そんな風に最後の方は僅かに興奮した様子の森の言葉にレイは微笑む。そんなやり取りを聞いた田中も影人に対する認識が少しずつ変わっていく気持ちになっていた。
「……そういえば、レイさんってどこかで聞いた苗字だと思ったんですけどもしかして……」
するとレイは指を口に当ててシッというような仕草を見せる。あまりこういう場で言われるのが好きでは無いらしい。
「俺の正体に気づいてもできれば周りにあまり知られたく無いので、こういう場所では控えていてください。……今はあの二人が輝きを放つ所を見届けましょう」
レイに言われて森も頷くとふとポケットに入れていたスマホが震えるのを感じた。どうやら電話がかかってきたらしい。
「あっ……。すみません、ちょっと電話がかかってきてしまって……。少しだけ外しますね」
そう言って建物の外に出る森。彼女が電話に出るとスマホを耳に当てた。どうやら上役からの電話らしい。森は興奮した様子でそれを伝えているとそのタイミングでザックリーが出現した。
「やっほう!お。目障りなキラキラ、早くも発見だな。……お前のキラキラ、オーエス!」
「きゃああっ!」
ザックリーが空中からタイミング良く見かけた森をターゲットにすると彼女からキラキラの力を引き抜いてしまう。
「はぁい、ザックリ行くぜ!来い!マックランダー!世界中をクラクラの真っ暗闇にしやがれ!」
それからザックリーがマックランダーを召喚すると建物の屋上に巨大な撮影用カメラをモチーフにしたマックランダーが姿を現す。
「マックランダー!」
その頃、マックランダーが降り立った衝撃で建物が僅かに揺れたため、中にいた人達はその揺れを感じ始める。
「ッ!?何だ……」
「ブルっと来たプリ!」
またそのタイミングでプリルンもマックランダーの出現を感知。それを受けてアイドルとウインクを先頭に五人は建物から出た。
「あっ!」
「あの中にさっきのお姉さんが閉じ込められてるプリ!」
「こはるさん……」
「チッ……こっちは今俺の面子を犠牲に二人の気持ちを和らげてて良い状態だったのに余計な事しやがって……」
影人が先程よりも不機嫌な顔つきになるとマックランダーを見据える。そして、田中は初めて見るチョッキリ団とマックランダーに驚いた様子だった。
「あれがチョッキリ団か……」
「さぁ、ザックリやっちまえ。マックランダー!」
「マックランダー!」
それからザックリーの指示と共に戦いの幕が開ける。同時刻、建物の影に潜んでその様子を見つめるチョッキリ団のフードの人物がいた。
「ふふっ。始まりましたね。さて、少しは楽しませてもらいましょうか」
その人間は間近で見られるプリキュアの力にニッと笑みを浮かべるのであった。
また次回もお楽しみに。