キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
グリッターでの会話から少しして。影人とこころは二人で家への帰路に着いていた。
「カゲ君、プリルンとメロロン、ああ言ってましたけど大丈夫なのでしょうか」
「……まぁ、出張所には田中さんだけじゃなくて姫野さんもいるし。カッティンやザックリンもいる。四人いれば不足の事態が起きても何とかなるだろ」
結局あの後、バイトを終えた田中と共にプリルンとメロロンの二人ははなみちタウンの出張所に行く事に。そのままそこでお泊まりするとの事だ。
「それにしてもプリルンとメロロンが人間になったらどんな感じになるのでしょうか?」
「それはそうなんだよな……。肉体年齢に合わせるか精神年齢に合わせるかでだいぶ印象が違う気がする」
「えっと……それはどういう事ですか?」
影人がプリメロの変化について気になる事を口にするとこころが首を傾げた。そのため彼女にわかるように説明を入れる。
「ほら、プリルンもメロロンも言動を考えるとまだ幼い子供だろ?だから下手したら学園生活とは言っても精神年齢に合わせて小学生くらいになるとかあり得るかなと思ってて」
「あー……プリルンの方は特に顕著ですものね。メロロンの方は分かりませんけど、でも私達よりも一回り大きい高校生くらいの精神かと言われてもなんか違いますし」
何しろプリルンは難しい話をする度に理解が追いつかずに周りに助けを求めるくらいの精神年齢だ。もし仮に変身しても中学生よりも下になる可能性があるかもしれないと影人は思ったのである。
「それで、もう一つの可能性……肉体年齢に合わせるというのは?」
「プリルンとメロロンがズキューンやキッスに変身する時って俺達よりも明らかに大人の雰囲気だろ?だからそっちになる可能性もあるのかなって」
「うーん、でもあれはプリキュアになる時のカモフラージュでは無いんですか?」
「いや、案外そうでも無い。二人の実年齢が幾つかはこの際置いておくけど、プリルンって10年くらい前にこっちの世界にやってきた田中さんと仲良しだったんだろ?つまり、あの二人は約10年くらい前の時点で既に面識があるって事だ」
夏休みの時の田中の言い回しを見るにこちらの世界に来てから彼は休みを取っておらず。その間キラキランドには戻ってないようにも見えた。つまり、プリルンが生まれてから少なくとも10年ちょっとは時間が経っているという事だ。
しかもそれはあくまで最低値の話。プリルンと田中ことタナカーンがお互いに仲良くなっている所やメロロンとの出会いがある事を考えると実際の年齢はもう少し上かもしれない。そう考えるとズキューンやキッスに変身する際の肉体年齢は人間換算にした場合、そこまで大きく間違って無い事になる。
「なるほど……」
「それに、この前動画撮影の時もあっただろ?プリルンがズキューンに変身してもタコさんウインナーをただ食べるだけの動画をやったって事」
「……確かにありましたね」
要するに、プリキュアの事も考えると二人は大人びた人間態になる可能性も高いという事である。
「ま。今のはあくまで仮定の話だし、そこまで深く考えなくても良いだろ」
「そうですかね?」
「そうだよ。そもそもまだ二人が変身できるかもわからないんだ。ゆっくり構えていようぜ」
「うーん、確かにその方が良さそうですね……」
「なら決まりだな」
こうして、影人とこころは雑談を終えるともう二人が家に帰る際の分かれ道にまで来てしまった。
「それじゃあ、そろそろですね」
「ああ、また明日学校でな」
「はい!プリルン達の事、楽しみですね!」
こうして、影人とこころは別れて自分達の家の方へと戻っていく。影人達がそんな二人の話をした後に別れた頃。
その二人……プリルンとメロロンは夕日に染まった空の下にある田中の家ことはなみちタウン出張所に既に到着していた。そして、出張所内では二人が田中とお話し中である。勿論内容はキラキランドの妖精が人間になるための方法についてだ。
「……なるほど、先程お話ししていたのはその事だったのですね。それなら私の所に来るのも納得です」
「タナカーンはどうやってその姿になってるプリ?」
「キラキランドの住人がこの姿になるのは……そうですね」
田中は事情を理解すると早速プリルンが問いかける。それに対して田中は少しだけ考えるような仕草を見せてから知的キャラがよくやるように眼鏡をクイと上に一度上げつつ答えを返す。
「一言で言うなら大人の嗜みです」
「ゴクリ……大人の嗜み……」
「って何プリ?」
田中からの説明に二人はその言葉の意味がまだイマイチわかってないのかプリルンに至ってはいつものように問い返す始末だった。
「うーん、言葉で説明するのは難しいですね。私から言えるのはただ一つ」
「「ゴクリ……」」
「お二人もいつか時が来ればなれるかもしれません」
要するにまだ二人は人間態になれない所から妖精の中では子供の部類である……という事だろう。逆にタナカーンは前に言っていた若い頃という発言もあるため確実に妖精の中では大人になってる扱いだと思われる。
ただ、田中のはぐらし方に対してまだ二人はイマイチよくわかってない様子であった。
「時が来れば……メロ?」
「全然わからないプリ!」
「では、晩御飯の支度がありますのでこの辺で」
そのまま田中は自分のやるべき事をやるためにその場からいなくなってしまう。そして、残された二人はどうすれば良いか迷っているとそこに三人のこの家に住む人間態持ちの妖精……ヒメーノこと姫野、カッティン、ザックリンが帰ってきた。
「ただいま戻りました」
「ザックリ今日も疲れたリン」
「でも、プリティストアで働く日々は幸せッティン!」
どうやら今日は二人共早めに上がる日らしく。この辺りは他にもバイトや社員を雇って働き手が出てきた事が要因である。また、姫野も今日は偶々早く上がれる日だったようだ。
ただし、この後はドリーム・アイの配信等の予定についての打ち合わせを夢乃とリモートでするためにまだ休む事はできないが。
「ヒメーノプリ!」
「カッティンにザックリンも来てくれたのメロ」
「あれ?プリルンにメロロン。何でこちらに?」
そのままプリルンとメロロンの二人は今やってきた三人に事情を説明。改めて質問する事にした。
「うーん、とは言っても俺達の変身に関してはダークイーネの影響が強いリン」
「自分達、キラキランドにいた頃はまだ人間にはなれなかったッティン」
残念ながらカッティン、ザックリンの元チョッキリ団幹部組の二人はダークイーネの力で人間態に変身できるようになった事もあってその辺りの事情には詳しく無かった。ただ、チョッキリ団のバーでお酒を飲んだり夜の大人の時間を過ごせていた事から田中の言っていた時期というのも割と目前に迫っていたのかもしれない。
「ヒメーノはどうなのメロ?」
「……そうですね。私の場合もいつの間にか変身できるようになったと言うべきでしょうか。ただ、人間になれるようになる少し前。キラキランドで過ごしている時に多少考え方の変化というのは感じましたが、それ以外は特に何も」
「「考え方の変化……」」
だが、今のプリメロにそんな兆候は無い。そのため、結局の所田中の言うように時間が経つのを待つのが最善と思われる。
「ま、タナカーンの奴が待った方が良いって言ってるんだから待つのが良いリン」
「そんなの待てないメロ!」
「メロロンの言う事も一理あるッティン。うた達だっていつまでも学校にいるわけじゃないッティン」
「そんなの嫌プリ!折角ならうた達とも通いたいプリ!」
実際問題、うた達が中学校にいられるのはあと1年半くらい。学年が下のこころでも2年半が限度。その間に人間になるための条件が揃わなければ仮に人間になっても自分達だけで学校を過ごす事になる。
「うーん、そうですね……。時間的余裕が無いのなら何か手を探すべきかもしれません」
「ひとまずこれからザックリン達は片付けとタナカーンの手伝いをするリン」
「ご飯を食べた後でまた相談には乗るッティン」
「すみません、私も夢乃さんとのリモートがあるので……」
結局この後田中達が話に参加できるのはご飯後になりそうだった。そのため二人で再度話をする事に。
「うーん、何も出てこなかったプリ」
「でも、諦めたらダメなのメロ。こうなったら、人間になる特訓メロ!」
「プリ!楽しい特訓プリ!」
自然に時が来るというやり方がアテにならない以上、今のプリルン達にできるのは自発的に変身できるようになるための特訓だった。
「タナカーン、人間になるのは大人の嗜みって言ってたプリ」
「……という事はつまり!大人みたいに身長を伸ばすのメロ!」
メロロンが思い浮かべた解決策、それは身長を伸ばすという事だが……タナカーンやヒメーノが妖精態になった時の二人の身長を見たらそこまで妖精態での身長は関係無さそうにも思えてくる。
そして、ツッコミ役が不在なのでそのまま二人は自分達の考えを疑う事すら無く。家の中を探してぶら下がりをするためのトレーニング器具があったためにそれを使う事に。尚、この器具を何の目的でこの家に買って置いてあるのかはわからなかった。
「メロ〜!」
「プリ〜!」
「これも夢の学園生活のためメロ!」
プリルンとメロロンは体を縦に引き伸ばせば身長も増えて大人になれると思っているのか……。ぶら下がりをしてその負荷に苦しそうな顔になりつつも学園生活を謳歌したいという気持ち一つで頑張ってやっていた。
「メロロン頑張るプリ〜!」
二人がぶら下がりしている間、田中が料理の合間にお手洗いに行ったのか。横を通って一瞬その姿を見たものの、特に言及する事無く料理に戻っていく。
「プリルン、ファンサで応援するプリ!」
「メロ!?」
二人は器具に対して縦に繋がる形でぶら下がりをしていたのだが、プリルンはいきなりメロロンから手を離すとお久しぶりのリボンを付けてのファンサをする事にした。
「プリ!キミに投げキッスプリ!んっ!」
その瞬間、プリルンがメロロンに向けて投げキッスをする。それを受けてメロロンは当然プリルンからの投げキッスなんて貰えばハートを撃ち抜かれるのも当然なわけで。
「ねえたまの投げキッシュ〜!メロロロロッ!」
メロロンはやる気パワーを全開にすると体から某超野菜人のように金色のオーラを纏い、まさかの懸垂まで始める程だった。
「プ〜リ!」
「メロ!メロ!メロ!メロ!」
そして、それを片付けを終えて田中の手伝いをするためにいつの間にか人間態になったカッティンやザックリンが横目に見つつ通り過ぎて行く。尚、結局プリルンはこの後ぶら下がりをやらなかった模様だったが。
それから少しして、メロロンがぶら下がりを終えると今度はホイッスルを吹いて体育会系のような雰囲気を出す。
「人間には気合いでなるのメロ!」
「はいプリ!」
「人間になれなれ!フレッ!フレッ!ねえたま!」
「フレッ!フレッ!メロロン!」
「フレッ!フレッ!ねえたま!」
「フレッ!フレッ!メロロン!」
「フレッ!フレッ!ねえたま!」
「フレッ!フレッ!メロロン!」
二人は応援団のようにお互いの事を応援し始める。その熱量が部屋の中に声として響き渡る中、田中の方は料理がある程度完成したのか……彼が鍋を両手に持った状態でキッチンのある部屋から出てくると居間にある机の方に並べていく。
そして、その間も応援を続けていたプリメロは更にある物を取り出す。それは応援時の必須アイテムことキラキライトだ。
「もっと、もっと応援メロ!」
「なら……やっぱりこれプリ!」
「メロ!」
プリルンは白、メロロンは黒に発光させたキラキライトを手にするとそれを振りながら先程の応援を継続。
「「フレッ!フレッ!フレッ!」」
「もっともっとプリ〜!」
「メロ〜!!」
それから二人はもっと応援がいるとの事でキラキライトを更に早く振る。尚、リアルでこんな事をしたら危ないので他人の迷惑にならないようにやるべきだという事だけ言及しておこう。
「プリ〜!」
「メロ〜!」
「プリ〜!」
「メロ〜!」
「プリ〜!」
“その時、不思議な事が起こった!”
「この声何プリ?」
「メロ!?ねえたま、これを見るのメロ!」
プリルンがいきなり聞こえてきた謎のナレーションに気を取られていると二人の持ってるキラキライトが光と共にダークランダーを浄化する際に使うアイテムであるキラッキランリボンバトンへと変化した。
「プリ!?」
「キラッキランリボンバトンに変わったのメロ!」
そして、二人は続けて自らが付けている白とピンクのリボンと黒とピンクのリボンを装填。バトンを翳すとその姿が光に包まれる事になる。
「「ええ〜っ!?」」
その直後、その場には二人分のお姉さんのような大人っぽい声色の驚き声が広がる。そして、そこに田中が二人を呼びに戻ってきた。
「プリルン、メロロン。夜ご飯が出来ましたよ〜……って、これは!?」
田中は目の前に広がる光景を見て思わず驚きの顔つきになってしまう。そして、目の前で起きているとんでもない光景をどうにか受け止めようとするのだった。
また次回もお楽しみに。