キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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叶った二人の願い

プリルンとメロロンが人間になるために田中のいる出張所でお泊まりをしてから一夜が明け。この日は普通に学校のある日だった。そのため影人達はいつも通りに学校へと登校をしている。

 

「皆おはよーう!」

 

影人、なな、こころの三人が一緒に歩いているとそこに後からうたが声をかけた。そのため三人が振り返るとうたが追いついてきた。

 

「あ、おはよう。うたちゃん」

 

「おはようございます!」

 

「おはよ。これでいないのはレイだけ……っと。あの二人もだったか」

 

このようなやり取りがありつつ影人、うた、なな、こころのいつものメンバー四人が合流。

 

「うん。プリルンとメロロン。昨日から田中さんの家に行ったまま帰ってきて無いんだよね」

 

「……と言う事はまだ人間になる特訓してるのでしょうか?」

 

「そうだろうな。ただ、上手くいくのかは正直疑問だけど」

 

いつもならうたの鞄に下げられているポシェットの中に仲良く詰まっているプリメロの二人。だが、今日は出張所に行ったまま戻ってきてないためかそこに二人の姿は無い。

 

「うーん、田中さんやヒメーノさん達が変身できてるから不可能では無いと思いたいんだけど……」

 

「でも今回はプリルンやメロロンがいなくても安心感が違うよね」

 

「確かに。キラキランド行った時は本当に大変な事になったからな」

 

プリルンとメロロンがいないのは二人がキラキランドへと一時的に戻った時以来。ただ、あの時とは違ってプリルンとメロロンの行き先はしっかりとわかっている。……だが、それでも二人がいないのは少し寂しい物があるのは確かだろう。

 

「何にせよ、プリルンとメロロンが人間になれるかどうかは今は置いておこう。それよりもまずは学校の方を……ん?」

 

すると、影人達が学校に入ってから少し歩くと何故か生徒達が何かを見て見惚れるかのように立ち尽くす姿が見えてきた。

 

「あれ?何で皆立ち止まってるんだろ」

 

「もしかしてアレじゃないですか?」

 

影人達もこの異常な光景に困惑しながら後ろを振り返る。その視線の先に二つの影が見えてきた。他の生徒達の視線も同じ方を向いており、こうなっている原因は明らかにあの二人の少女だとわかる。

 

「なんて麗しいの……」

 

「転校生かな?」

 

そしてその二人はまるで存在その物が神々しさを示すかのように周りからは輝いて見えており、赤と白の薔薇の花びらが舞い散るような美しい空気感を出しながら手を繋ぎつつ二人揃って歩いていた。

 

「ふふっ、お姉様。私達の学園生活の始まりです」

 

「凄っごく楽しみ!」

 

一人は白に近いブロンドのボブヘアーで、左サイドの髪は肩に少しかかる長さになっていて左右非対称である。また、その左側の前髪には黄緑とピンクのヘアピンが留められていた。身長は高く、その美しさからモデルのような雰囲気を与える。瞳は赤色を基調としており、下部には黄色の差し色が入っていた。首元にはチョーカーが存在し、白とピンクのリボンが白い糸に通されている。

 

もう一人はややウェーブがかかった黒髪のロングヘアーでサイドの髪はゆるい三つ編みにされている。この三つ編みは黒とピンクのリボンで結んであり、肩の前に垂れていた。瞳は紫色で、若干ツリ目がかっている。また彼女も中学生でありながら高身長で隣の白い髪の子よりは一回り低いものの、周りと比べたら高い身長を持っている事に変わりは無かった。

 

「あの二人だけ纏ってる空気感が違う……」

 

「まるで女子達の憧れる美少女先輩ですね」

 

「何だか少し前の翔太先輩みたい」

 

既に学校の生徒達の殆どは二人の姿を見て黄色い声を出しており、この学校での人気者の座を一瞬にして掻っ攫っていた。それはまるでもう転校していなくなってしまった男子バレー部のエース。翔太先輩を彷彿とさせる物である。

 

「ほんと、学校中の注目の的……って感じだな」

 

「ッ、レイ君」

 

「おはよ、皆」

 

そのタイミングで先に一人で来ていたレイが合流。彼も朝から学校に来る生徒達の目を釘付けにした高身長の美少女コンビに驚いたような目線を向けている所だ。

 

「あの二人昨日まではいなかったよな……」

 

「そうなんだよね。って事は転校生になるのかな?」

 

「だとしたら先輩になるって事ですかね?お話したいですけど……」

 

こころは彼女達に興味があるようで一度話をしたい気持ちがあった。ただ、この人気を見ていると中々近づくのも難しそうな感じである。

 

すると影人は二人の姿をジッと見ていると何かに気がついたのか、同じく二人を観察していたレイに話しかける。

 

「……なぁ、レイ。あの二人。何だか見覚えがあるのは気のせいか?」

 

「多分お前の予想は間違ってない。だってそっくりだろ?……影人もよく知ってるあの二人のプリキュアとしての姿に」

 

影人とレイが二人の正体に何となく察しがついているとそこにその二人が揃って近づいてくる。その内の片方、白い髪の少女が話しかけてきた。

 

「おはよう」

 

「わぁ……カッコいい」

 

「うん」

 

「まさか私達に話しかけてくれるなんて……心キュンキュンしてます!」

 

「あれ?でも、どっかで見たような……」

 

どうやらうたも彼女達の纏う親近感に気がついたようで。校舎の方に歩いていく二人を追いかけるとその横を歩きつつ顔をジッと見つめる。

 

「んー……んー……」

 

するとうたは先程までの影人達とのやり取りやここにはいないはずの二人の妖精の言っていた事を思い出す。そして思わず叫び声を上げると問いかけた。

 

「あっ!あーっ!まさか……」

 

「うた!プリルン人間になれたプリ!」

 

「「ええーっ!?」」

 

まさかの衝撃のカミングアウトにうただけで無くななやこころも驚いてうたの隣に来る。そして、影人とレイは三人よりも一歩早く正体に気がついたためか割と平然とした様子で歩いてきた。

 

「やっぱりか……何となく顔立ちや雰囲気がズキューンキッスに似てると思ったよ」

 

「俺も影人と同じく。そんでもってプリルンと一緒にいるって事は……」

 

「そうよ。私がメロロン」

 

メロロンの方もカミングアウトがあったという事でこれによりこの二人が変身したプリメロであるという事が確定した。

 

「それとお姉様、今はプリルンでは無く……」

 

「あ、そっか。じゃあ改めて。私、人間になれたよ!」

 

「凄い……でもどうやって?」

 

「キラッキランリボンバトンでこの姿になれたの!」

 

うたはまさか本当に人間になれるようになるとは思っておらず。未だ信じられない様子だった。しかし、プリルンもメロロンもキラッキランリボンバトンの力を使ったとはいえこうして人間として目の前にいる。それは紛れもない事実だった。

 

「マジか、あのバトン。こんな事もできるんだな」

 

「ふふっ。私達の強い想いが叶ったの」

 

何にせよ、これで二人も念願の学園生活を送る事ができる。それに今まではプリルンもメロロンも学校では昼休み以外の殆どの時間をぬいぐるみとして過ごさないといけなかったが、学生になれば今まで以上に自由に動ける。

 

これだけでも影人達が気を使う必要が無くなったと言えるだろう。ただし、今度は自分達が妖精である事を隠す必要が出るので負担が完全に消えたわけでは無いのだが。

 

「そっか、良かったね!」

 

「これで問題無く学園生活を満喫できますね!」

 

「楽しみだね!」

 

「「うん!」」

 

それはさておき。一同が行こうとするとプリルンの持っている鞄がガサゴソと動くとそれに影人が気がつく。

 

「ん?プリルン、その鞄……」

 

「ああ、そうだった。はい」

 

するとプリルンが鞄のチャックを少し解放するとそこから何故か妖精態となった姫野。即ち、ヒメーノが姿を現す。

 

「ッ!?姫野さん!?何で……」

 

「……田中さんに頼まれて、二人の様子を見守りに来たのヒメ……」

 

どうやら彼女はプリルンとメロロンがちゃんと学校で生活できているかどうか確認するために田中からの要請でここにいるらしい。

 

「でも良いんですか?折角今日有給取ってたのに」

 

「えっ……もしかしてお休み返事で来てるんですか!?」

 

まさかの今日は元々休みだったというヒメーノに彼女の雇い主の息子であるレイは特に申し訳なさそうにする。

 

「大丈夫ヒメ。そもそも最終的に行く事を決めたのは私なのヒメ。それに……田中さんに頼られてるというだけで私は十分ヒメ……」

 

「でも、無理したらダメですよ」

 

「はい、勿論危険だと思ったらすぐに休むつもりです」

 

幸いにも休む時間は幾らでもある。プリルンとメロロンが授業を受けてる間も特に問題が無ければ寝言やいびきが無い程度に寝ても良い。

 

「プリルン、メロロン、しっかりやれよ」

 

「うん!学校楽しんでくる!」

 

「はい。お姉様との夢の学園生活ですもの。楽しまなければ損ですから」

 

その返事に影人は不安を抱く。この調子では何かしらはやらかすだろう。影人はどうにか二人をカバーしたい気持ちになっていた。

 

「なぁ。プリルン、メロロン。お前らのクラスって何年生扱いだ?」

 

「クラス?えっと……3年だったっけ?」

 

「……はい?」

 

それを聞いて影人は思わず唖然としてしまう。3年……つまり影人達よりも上級生だ。勿論身長的に見たら中3じゃないと釣り合わない……むしろ3年でも釣り合うか疑問だが、それではもし二人がやらかした時のカバーが全くできないわけで。

 

「それで姫野さんが来たんですね……」

 

「そういう事ヒメ……」

 

確かに他に誰もプリメロのやらかしのカバーができないとなれば当然田中は可能な限りヒメーノをお目付役にするだろう。勿論毎日というわけにはいかないため初日である今日だけである。

 

尚、もし仮にヒメーノが休みでは無かったら今日がプリティストアの方を休みとなっているカッティンが来る事になっただろう。

 

「そろそろ時間も経ってきたし、行こっか」

 

「そうだな。良い加減教室の方に行くか」

 

影人達はこれ以上この場所で話をしていても教室に行ってなければ遅刻扱いになってしまうため、別れて校舎に入ろうと考える。

 

「教室、教室〜♪」

 

「お姉様と窓辺の席で……」

 

二人が教室に行く事の嬉しさに心を躍らせているとヒメーノがいきなりストップをかけた。

 

「待つのヒメ。そっちに行ったらダメヒメよ」

 

「「え?」」

 

「……お二人は転校生名義ヒメ。だからまずは教師のいる職員室の方に行くのヒメ」

 

「えーっ!?」

 

ヒメーノからの指摘にプリルンはガッカリしたような声を上げる。だが、そうは言ってもダメなものはダメなわけで。

 

「ダメなものはダメなのヒメ。職員室に行くのヒメ」

 

「むーっ……」

 

「仕方ありません。参りましょう、お姉様」

 

プリルンは残念そうにするが、メロロンに手を引かれる形でどうにか職員室に連れて行かれる事になる。これでは先が思いやられるが……それでもどうにかするしか無いだろう。

 

その頃、影人達もそれぞれの教室に行こうとしたその時だった。突如としてこころが影人の手を掴むとストップをかける。

 

「カゲ君、ちょっと待ってください」

 

「え?そんな事言ってもこれから教室に行かないと……」

 

「そんな事よりも何でさっき人間になったプリルンとメロロンをジロジロ観察してたんですか?」

 

「……は?」

 

こころが指摘したのはつい先程のプリルンとメロロンがあの美少女二人の正体だとわかる直前。影人がその二人の事を観察していた時の事であった。

 

「“は?”はこっちの台詞ですよカゲ君。私が今目の前にいるのに何でプリルンやメロロンに鼻の下を伸ばしたんですかって聞いてるんです」

 

「待て待て待て待て!何で?違うってこころ!それは誤解だ!」

 

影人はこころから変な誤解をされてしまったのを受けて慌てて反論。恐らくプリルンとメロロンの人間態の正体を探った際に長めに凝視してしまったのがこころに見られてしまったのだろう。

 

「だったら何でプリルンやメロロンの人間としての姿をずっと見てたんですか!やっぱり私の体じゃ不満なんですか!」

 

「だーかーら、違うって!!」

 

影人が大変な目に遭っているのをレイは苦笑いしつつ見ていた。そして、彼に同情しているのも束の間。今度はレイが肩を後ろから優しく叩かれた。

 

「レイ君?」

 

「何だ、なな……」

 

「何他人事みたいな目を影人君に向けてるの?レイ君もプリルンやメロロンの事ジロジロ見てたよね?」

 

「いや、ななさん。そういう訳じゃ……」

 

「レイ君にそんなつもりが無くてもあんまり長々と女の子の体は見る物じゃないんだよ?彼女持ちなら尚更……ね?」

 

ななはレイへとあくまで優しい声色で話してはいるのだが、残念ながらその瞳のハイライトは無い。つまり、それなりに怒っているという事だ。

 

「あ、あの……ななさん?」

 

「どういう事か、後でしっかり説明はしてもらうからね」

 

「は、はい……」

 

こうして、男衆二人は彼女二人から怒ったような目線を向けられて思わず萎縮。うたはこれを唖然としたままの顔で見ていた。

 

「ななちゃんとこころが嫉妬に燃えてる……」

 

悲しいかな、うたはこの三人の中で一人だけ彼氏持ちでは無いためか二人の気持ちを完全に理解する事は難しい。そして、あまりこういう時に手出ししてはいけない物だと考える。

 

「ごめんね、二人共。私にはちょっと入れないかな……」

 

こうして、影人やレイは自らの彼女達に色々と問い詰められてしまうのだが……それは完全な余談であるのでこの辺にしておこう。




また次回もお楽しみに。
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