キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
ぷりんめろんの初めての学園生活が進む裏で当然影人達の方の授業も進む。そのため、あれ以降も教育実習生の持田はどうにかして緊張を無くしていつもの調子を取り戻そうとするが……。
「はぁ……結局上手く行かなかった……。もう次の授業に行かないと……」
持田はやる事成す事全てが上手く行かず。一応彼は体育の先生志望という事で他の先生が体育の授業を教える様子は勉強していた。しかし、それはあくまで自分は生徒達から注目されていない状況になる。
「(ここに来てから上手く行かない事ばかりだけど……体育の授業ならいつも通りやるだけだ。良し!)」
そして、持田は今朝のホームルームみたいに生徒に注目されるともうダメなのかミスを連発する。そのせいで精神的にかなりのダメージを受けてしまっていた。だが、嘆いてばかりもいられない。そのため彼は首から下げていた笛を吹くと呼びかける。
「皆、集合!今日は跳び箱をやるぞ!マッスルマッスル〜!」
今現在、彼が受け取っているのは影人達のクラスの女子体育。影人達男子は別の場所に行っており、ここにいる生徒は女子だけだ。今回は見学では無く実際に授業を教える事になる。
そのため持田はうた達のクラスの女子へと集まるように呼びかけつつマッスルポーズを取る。しかし……
「あ〜素敵!」
「先輩達と体育の授業が被るなんて……」
「ラッキー過ぎる!」
持田にとって最悪だったのが、丁度ぷりんとめろんが転入した3年B組の体育とバッティングしてしまった事だ。ちなみにそこでは卓球をやる事になっている。
「わぁ、これ団扇みたい!」
「お姉様、これは卓球のラケットです」
そして、ぷりんが無邪気な様子でラケットを軽く振っているとめろんがお手本と言わんばかりに卓球のピンポン球を手にしつつ早速それを軽くサーブ。
「こうして球をピンポーンってするの!」
「ピンポ〜ン!」
めろんのサーブにぷりんも応えるかのように軽く打ち返す。それから二人のラリーは続き、当然のように周りの人を魅了するわけで。
「ピンポ〜ン!」
「ピンポーン!」
『キャーッ!!』
そして、その魅了の効果範囲は3年の他の女子生徒のみならず……うたのクラスである2年A組の女子にも届いてしまうと彼女達をその虜にしてしまった。
「うっ……」
「ッ!?皆〜!集合しよ!」
「跳び箱始まるよー!」
うたやななは完全に持田が萎縮してしまったのを見て慌ててクラスメイトに呼びかける。それを受けて彼は申し訳なさそうに声をかけた。
「すみません、蒼風さんに咲良さん。ありがとうございます」
「いえいえ、誰だって初めては緊張しますよね」
「頑張りマッスル!」
「ふふっ……」
それからうたやななの協力もあってどうにか2年の女子達の意識を持田の方へと向かせると早速跳び箱を始める事になった。
「じゃあ、まずは先生が手本を見せるぞ!」
『はーい!』
だが、やはり持田はあがり症なのか……注目されると緊張してしまう。そして、その体が一瞬ガチガチになった。
「(うっ、皆僕を見てる……。だけどやらないと……)」
持田はどうにか自分を奮い立たせると跳び箱を飛ぶために走り出す。だが、緊張した状態のままで跳び箱を飛ぶ事ができるわけも無く……。そのまま持田は尻を跳び箱の端に打ち付けてしまった。
『あちゃーっ……』
女子達が尻を打ってしまった持田へと同情の目線を向けた直後。ぷりんとめろんが跳び箱を見て興味を示したのかうたやななの近くにやってきていた。
「わぁ、面白そう!うた、なな。見ててね!」
「私もお姉様と一緒に」
ぷりんとめろんが二人揃って跳び箱の方に駆け出すとうたやななの事を知ってる様子なのが気になったのか坂上がななへと問いかける。
「あれ?二人と知り合いなの?」
「あ、えっと……」
「うたちゃんの、従兄弟の従兄弟の再従兄弟なんだよね!」
「うんうんそうなの!あはは……」
なながその話を聞いて咄嗟に苦し紛れの説明を行う中、うたも苦笑い。そんな中、密かにこの場所に来て体育館の舞台の袖にある幕の影からそっと見ていたヒメーノがななの言い訳に対してツッコミを入れる事に。
「(それはもうほぼ他人なのヒメ……。うたは実家のある村があるんだからそこで出会った友達と言っておけばもう少し信頼性のある嘘なのに……)」
「行っくよー!」
ヒメーノは思わず溜め息を吐いてしまう。するとその間にぷりんは華麗に跳び箱のロイター板を踏み切って跳び、跳び箱を越えて綺麗に着地。
「それっ!」
『キャーッ!!』
そして、当然ながらこんなカッコ良い所を見せればようやく体育の授業へと意識を向けてくれた女子達の目線はぷりんへと再度釘付けになってしまう。
「更に人気者になってる……」
「でも、持田先生大丈夫かな?」
また、手本を見せるべき立場である実習生の持田はぷりんに見せ場を総取りされてしまったせいでかなり落ち込んでしまっていた。
「(得意の跳び箱まで失敗するなんて……うう……)」
尚、この後めろんも同じように華麗な跳び箱を見せたためにもう一度黄色い声がその場を支配した事は想像に難くないだろう。そんなわけで、持田にとっては散々な体育の授業は挽回のチャンスも無いままに終わってしまうのだった。
それから場面が変わり、昼休み。いつものように影人達は学校の庭の方で食べていた。勿論ぷりん、めろんも一緒である。
「お姉様、はい。あーん」
「あーん」
めろんはお手製のカニさんウインナーをぷりんへと食べさせるとぷりんは美味しそうにそれを食べ、めろんも嬉しそうな笑顔を浮かべる。
「一番やってみたかったお姉様との夢の学園生活」
「ほんと、夢が叶って良かったね!」
「私も二人と一緒に学園生活を送れるの、嬉しいな!」
「キラッキランランに楽しもう!」
「キラッキランラン〜♪」
ぷりんとめろんが学園生活を楽しんでいるという趣旨の話をしている中、影人とレイは体育での事を一緒に居合わせているヒメーノから説明を受ける。
「「うわぁ……」」
「流石にそれは気の毒過ぎる……」
「また変に引き摺ることにならないと良いけど……」
影人達はここまで悲惨な目に遭っていると持田に同情してしまう。そして、同じように二人は同情の目線をヒメーノにも向けていた。
「本当にも、もう限界ヒメ……」
「姫野さん、もう少し頑張ってください。あと数時間で終わりですから」
ヒメーノは今日ここまでで既にぷりんとめろんの奇行に付き合わされ続け、折角休める有給なのに心労で潰されてしまっていた。レイはそんなヒメーノを励ますように声をかけており、ひとまず彼がヒメーノのケアをひている間にこころがぷりんとめろんに問いかける。
「そういえばプリルン、メロロン。部活動は決めた?」
「ふふっ、それならもう決まってるよ!」
「ええ。学園生活を夢見た時からずっと変わってません」
ぷりんとめろんはこころから問われるとそれはもう生き生きした雰囲気でその答えを返す。そして、授業が終わった後の放課後での事。
『キミのハートにとびっきり♪元気をあげるね♪ゼッタイ!』
『ゼッタイ!』
『アイドル!♪』
『アイドル!』
『ドキドキが止まらない!急接近♪笑顔のユニゾン、応えてほしいな〜サンキュー♪最高のステージで〜キミと歌を咲かそう♪』
ぷりんとめろんが入ったのは勿論アイドルプリキュア研究会。これも二人にとっての楽しみの一つである。今まではコーレスの際に声を出したらそれだけで怪しまれたが、これからは堂々とこの研究会のコーレスに参加可能になるのだ。
「凄っごく楽しい!」
「夢の部活動生活ですね、お姉様!」
ぷりんとめろんが推し活のための団扇やキラキライトを手にして興奮している中でヒメーノはようやく心労が終わったという事でぬいぐるみとしてレイの腕の中で休んでいた。
「れ、レイさん……本当にすみません……」
「いえ、こちらこそ二人の面倒を見ていただきありがとうございました……」
ななはこの光景に少しだけ複雑な気持ちだったが、ヒメーノには休息が必要だという事でこればかりは仕方ないために今回は目を瞑っている。
「……あれ?」
するとうたがふと外へと視線をやるとそこには研究会の出入り口の扉の窓から落ち込んだ様子の持田が通るのが見える。
「あそこにいるの、持田先生だ」
「持田先生?」
「うん。うちのクラスを担当している教育実習の先生だよ」
「初めての事だから凄く緊張しているみたいで」
「まぁあれだけミスを連発してたら誰だってへこむのは仕方ない所だろうな……」
彼は未だに連発したミスの事を引き摺って落ち込んでいたのだが、ぷりんとめろんはそれを見て黙っていられなかったようで。
「そんなの勿体無い!夢の学園生活は薔薇色な物なのに!」
「元気にしてあげなくちゃ!」
「ええ、お姉様」
「ちょっ、ぷりんにめろん!?今お前らが行っても逆効果だろそれ!」
実際の所、持田の落ち込む原因の一端を先程の体育の時間でぷりんとめろんが作ってしまったために彼女達が励ました所で逆効果になる可能性が高い。そのため影人は慌てた様子で二人を止めようとするが、その程度で止まる二人では無いわけで。さっさと教室から出て持田を追いかけてしまう。
そして、廊下を歩く持田は精神的にかなり追い詰められていると一人ブツブツと呟いていた。
「……緊張の連続で何をやっても失敗してしまう……」
「「持田先生ー!」」
そのタイミングで研究会の教室から出てきたぷりんとめろんが彼に追いつくと話しかけた。
「初めてだって大丈夫!」
「夢の学園生活を楽しみましょう!」
「え……」
「「フレッ!フレッ!持田先生!フレッ!フレッ!持田先生!」」
そんな風に応援を始めたぷりんとめろん。当然彼女達がそんな事をしていれば周囲からの注目を集めてしまう。そこに影人達が追いつくものの、その時には持田の顔つきは緊張した物に変わってしまっていた。
「ああ……皆に見られてる……」
「ッ、レイ……これヤバくない?」
「ああ……多分このままだと」
それを聞いてうた達が疑問符を頭に浮かべていると持田は緊張度が限界に達してしまったのか、その場から逃げ出してしまう。
「うわぁあああっ!」
「「持田先生!?」」
いきなり逃げ出してしまった持田を慌てて再度追いかけるぷりんとめろん。影人達はそれを更に追いかけるとこころが声を上げた。
「カゲ君、これってどういう事!?」
「多分持田先生はあがり症って言えば良いのかな。周囲から視線を集められるのが苦手なんだよ」
「ぷりんもめろんもこの学校じゃ存在感の塊だから一緒にいたら当然注目される」
「あっ、だから不味いって事!?」
「とにかく追いかけないと!」
そしてぷりん、めろんの前から逃げ出した持田は校舎の外に出るとそのタイミングでチョッキリーヌが上空に姿を現してしまった。
「……まったくしょうがないねぇ。今回だけ試してやるとするか……」
チョッキリーヌとしてはジョギの言いなりで何かをするのは正直嫌だった。だが、今はそんな事を言ってられない。そのため下を見るとそこに落ち込んだ持田を視界に捉える。
「……はぁ、どうしても緊張してしまう。僕に先生なんて無理なのかも……ダメだダメだ。もうダメだ……」
そして、これだけ落ち込めばチョッキリーヌに視覚化できるくらいの闇が出てしまう。彼女はこれ幸いとばかりに持田をターゲットにした。
「お、良い真っ暗闇だね!」
それからチョッキリーヌはジョギと同じように人間の闇を大きくするための呪文を言いつつ指を鳴らす。
「お前の闇を見せてみな」
「うわぁああっ!?」
その瞬間、持田の胸からリボンが出てしまう。ただし、ジョギの時との相違点としてこの際に出てくるリボンは赤い物だった。その後、リボンの色が赤から闇色の黒へと染まってしまう。
「チョッキリ呑まれてしまえ!」
チョッキリーヌがそう言いながらポーズを決めると黒いリボンが解かれて持田が闇に呑まれてしまう。ここからはいつも通りだ。ダークランダー召喚用の水晶と持田の入った球体を合わせて地面に叩きつけることになる。
「さぁ来な!ダークランダー!」
「ダークランダー!」
これによって呼び出されたダークランダー。今回は先程体育で使用していた跳び箱の個体である。
そしてその頃、ぷりんとめろんは手を繋いだ状態で校舎の出入り口辺りにまでやってきていた。ここでダークランダーの出現を感知する。
「ッ!!ブルっと来た!?」
そして同時に何故かぷりんとめろんの変身が解除。プリルンとメロロンに戻ってしまう。
「えっ!?元に戻っちゃったプリ!?」
「メロロンもなのメロ!?」
「ダーク!ダーク!」
そして、彼女達の目の前にはチョッキリーヌの出したダークランダー。彼は先程持田がやっていた“マッスルマッスル”のポーズをしている。
「あれは……」
「最悪のタイミング……レイ!」
「ああ、姫野さんの事と事情説明は任せてくれ」
そこにやってきた影人達四人の内、ヒメーノを抱えたレイはこちらの世界でやるべき事を任せるように言う。
「ッ!持田先生プリ!」
「大変!?助けなきゃ!」
更にプリルンが例の如く目をパチパチさせると持田が囚われている事を確認。影人達は早速彼を助けるべく変身する事になる。
「「「「「「プリキュア!ライトアップ!」」」」」」
「「「キラキラ!ドレスチェンジ!」」」
「「キラキラ!ショータイム!」」
「キラキラ!ソウルリンク!」
「「「「「「YEAH♪」」」」」」
「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」
「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」
「キミと踊る、ハートのリズム!心キュンキュン、キュアキュンキュン!」
「ハートをプリッとロックオン!キミとズッキュン、キュアズキューン!」
「ハートをメロっとひとりじめ!キミと口づけ、キュアキッス!」
「キミと輝く、ハートの鼓動!繋がる魂、キュアソウルビート!」
「「「「「「We are!キミとアイドルプリキュア♪!」」」」」」
プリキュアに変身した影人達の内、キッスは早速投げキッスをするとハートの精を召喚。
「お願い、チュッ!ハートガーデン!」
これによりハートガーデンを展開するとダークランダーごと自分達をその中に移動させた。勿論レイはこの中に来ていない。そして、ここでプリキュア達は持田を救うために全力で戦う事になるのだった。
また次回もお楽しみに。