キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
マックランダーは早速先制攻撃とばかりにレンズからエネルギービームを発射する。
「マックランダー!」
「危ない!ウインクバリア!」
その瞬間、ウインクがバリアを使うとその攻撃を防御。後ろにいる影人達を守った。
「大丈夫ですか?」
「レイ君や田中さん達は安全な所にいてください!」
そんな風に言って攻撃を防ぎ切ったウインクと隣のアイドルが飛び出す。そして残された影人達は一旦距離を取るべきと離れようとする。
「レイ、ここは危険だから一度離れるぞ」
「わかった。田中さんも!」
「タナカーン、隠れるプリ!」
影人達が移動しようとしてその間に田中はプリルンに促される中、アイドルとウインクはマックランダーの横をすり抜けるように移動して遠くへと移動する。
「こっちだよ!」
「マックランダー!」
マックランダーはひとまず目障りなプリキュアを倒すべきであるためにアイドルとウインクを追っていく。
「ッ!」
プリキュア二人とマックランダーが遠ざかる中、田中はプリキュア達の後を追いかけてしまう。影人はそんな田中を見てそのまま行かせるのはリスクが高すぎるとして彼も後に続く。
「田中さん!」
「影人もか!」
更にレイも芋づる式に二人を追いかける形となって結果的に三人共逃げずに追いかける形となった。
そしてプリキュアの二人は生身の三人から距離を十分に離したと判断すると足を止めて降り立つ。するとマックランダーがまたビームを放ったために回避し、こちらも二人の前に立つ。
「その調子だぜ!マックランダー!」
ザックリーに言われてマックランダーは更にどこかから出したのかSDカード型の投げ物を投げてきた。
「危ない!」
田中がその光景を見て思わず叫ぶ中、二人はその攻撃を足場に跳び上がるとそのままダブルパンチの体勢に入った。
「「はあっ!」」
二人が徐々に迫る中、影人は何かの違和感に気がつく。マックランダーの能力の急所であるレンズが狙われているのに敵がまるで動じない。その時影人は嫌な予感がして叫んだ。
「二人共、何か来るぞ!」
「「え?」」
「遅いぜ。やれ!」
するとマックランダーはいきなりレンズ保護のためのカバーを展開すると攻撃を完全に防いでしまう。すかさずマックランダーは体勢が崩れた二人へとエネルギービーム……ではなく、とあるボタンを押した。
「はい、一時停止!」
「マックランダー!」
マックランダーが使ったボタンは撮影動画の一時停止機能。これでプリキュアの動きさえも一時停止のように止めてしまった、
「な、何これ!?」
「身動きが取れない……」
「良し、マックランダー!逆再生だ!」
マックランダーが逆再生ボタンを押させると二人の動きが逆再生によって巻き戻っていく。それによりSDカードを避ける前の状態へと戻った。
「はい停止」
「ッ……何でこれ動けない上に勝手に逆再生するの!?」
「多分、さっき能力を発動した時に私達二人共対象内にされちゃったから……」
プリキュア達がピンチになる中、田中は焦りの心が出てきた。田中はプリキュアの戦いを直接見るのは初めてだ。そのために敵の強さに気持ちが乱れてしまう。
「影人、どうする?」
「……ちょっと時間はかかるけどどうにかする手はある」
影人はそう言って一時その場から離脱。その様子を見た田中は呆気に取られてしまう。
「ッ!?影人さん!」
「いや、今はアイツを信じよう。きっとアイツならどうにかする手段を持ってる。だから今は俺達は巻き添えを喰らわない場所にまで下がりましょう」
「………」
そんな中、ザックリーはニヤリとした顔になると更にマックランダーに指示を出す。今度はスロー再生だ。
「良し、マックランダー。スロー再生を使え」
「マックランダー!」
すると二人は動けるようにはなるが、その動きはいつもよりもかなり遅い。
「ええっ!?今度は動けるけど……遅い!?」
「これじゃあ攻撃が当てられないよ!」
二人はどうにかマックランダーに攻撃しようとするが、動きが遅すぎて当てる前に回避されてしまう。
「良し、マックランダー。今だ!プリキュアを叩き潰せ!」
ザックリーからの言葉にマックランダーがエネルギー光線を放つとそれが二人に命中。爆発して二人共吹き飛ばされてしまう。
「「きゃあっ!?」」
そのまま二人が打ち付けられるとなんとか立ち上がる。二人の体に痛みが走る中、諦めないと言わんばかりに再度走り出す。だが、未だに動きは遅いまま。これではこちらからの有効打が入らない上に向こうからは良い的に見られてしまう。
「はっはっは!弱ぇええなぁプリキュア!やっぱりこの前はマグレで勝ったようだな!」
ザックリーが高笑いする中、二人は傷だらけになりながらも必死に立ちあがろうと歯を食いしばる。
「どうにかしてこのゆっくり状態を突破しないと……」
「でもどうすれば……」
二人には打開策が無い。どれだけ精一杯走ってもこれ以上スピードは上がらない。二人は自分達の無力さを知って悔しそうにする。
「……おい、マックランダー!」
するとどこからか影人の声が聞こえてくると次の瞬間、不意打ちでマックランダーへと水がぶつけられる。
「マックランダー?」
そこにいたのはホースを手にした影人である。彼はいつの間にかマックランダーの近くに接近すると手にしたホースの先端に付いた洗浄機のトリガーを引いており、そこから水がマックランダーへとぶつけられたのだ。しかし、水ではマックランダーに物理的なダメージがあるわけじゃ無い。
「ぷっ……あははっ!お前、馬鹿じゃねーの?そんなのでマックランダーに勝つとか百年早いんだよ!マックランダー、そんな奴動きを遅くするまでもねぇ。さっさとやっちまえ!」
ザックリーの言葉に二人のプリキュア、そして状況を見ていた田中、プリルンは無謀な影人の行為をやめさせるために叫ぼうとする。
「田中さん。影人を信じてください」
するとレイは冷静に田中へとそう言う。田中はそれで踏み留まるも、やはり不安ではあった。
「……マックランダー?」
マックランダーがそろそろ影人を潰すために動こうとすると体に違和感を覚える。妙に体の動きがおかしいのだ。まるで電気の巡りが悪いような……。そして次の瞬間、いきなりマックランダーの体が電気でショートすると火花が散る。
「マックランダー!?」
「……あ?」
するとマックランダーは動きが鈍る中でも何とか動こうとするが、どんどん上手く動けなくなるためにどうにかして影人の放水をやめさせるべく一時停止を押そうとする。しかし、動きがおかしくなったためにその隣にあった早送りのボタンを押してしまった。
「……あ、馬鹿!それは……」
その瞬間、アイドルとウインクの動きが高速化。そしてそれがわかると二人は頷いて一緒に突撃するとダブルキックをぶつけた。
「「はあっ!」」
「マックランダー!?」
更に二人は着地の速さを活かしてマックランダーが倒れる間にまた距離を詰めると跳び上がって上から物凄いスピードでラッシュを仕掛けた。
「「はぁあああっ!」」
マックランダーはどうにか早送りを解除しようとするが、今度は解除機能さえも機能不全なのか止まらない。そして、マックランダーが地面に叩きつけられると同時に完全に時間操作系の機能が機能停止すると二人は元のスピードに戻った。
「元の速度に戻った!」
「影人君、ありがと!」
「こはるさんの大事なお仕事をもうこれ以上邪魔させない!」
ウインクの言葉、そして二人がどれだけマックランダーにやられても諦めずに誰かの光となろうとする姿勢を見て田中は目を見開く。彼の中でプリキュアへの認識がまた変わっていくのを感じたのだ。
「く、クソッ……マックランダー!」
「ま、マックランダー……」
ザックリーはマックランダーへ反撃を指示するがマックランダーは殆どの機能をショートさせられたせいでまともに動くことすらできていない。そのため、ウインクが浄化技で決めにかかる。
「ウインク、お願い」
「うん!」
「クライマックスは私。聴いてください!」
するとウインクの頭にインカムがされるとマックランダー強制着席。それからウインクはピアノの椅子から立ち上がって歌を歌う。
♪決め歌 まばたきの五線譜♪
「きらめきへ踏み出そう〜♪受け取った勇気つないで♪まばたきの数だけ〜♪五線譜に焼きつけていく♪出会えたキミへと奏でたい♪いつまでも鳴り止まないメロディー〜♪……プリキュア!ウインククレッシェンド!」
「「キラッキラッタ〜」」
マックランダーは自身に命中したキラキラによって浄化されるとキラルンリボンが生成。プリルンが付けてまたいつものポーズを決めた。
「プリ!プリルンに夢中プリ〜!」
「キィーッ!ウインクの奴眩しいんじゃね?ってか、ザックリ言ってこの状況不味い?」
ザックリーは前回に続きまたしても自身の油断によるマックランダーの能力の無力化による敗北を喰らったせいで確実にチョッキリーヌから説教される結果を連想。自分がヤバい状態に立たされたと察すると撤退するのだった。そして、それを静観するのがもう一人。
「あははっ。やっぱり面白いですね、プリキュアというのは。……また楽しませてもらいましょう」
そう言って消える影。まだ自分が出るのには早いと言わんばかりに傍観に徹するこの影が出るのはいつになるのだろうか。それはさておき、プリキュアの姿を見ていた田中の瞳に珍しくハイライトが浮かぶほどに彼はプリキュアの輝きに見惚れていた。
「これが……アイドルプリキュアか」
するとレイは何かを思い出すと影人と田中の手を引いて急いで物陰にまで離脱。ちなみに影人は放水のために出したホースは手放してである。その間にマックランダーから元に戻って倒れていた森が目を覚ました。
「……あれ?私、どうしちゃったんだろ」
「こはるさん!」
「大丈夫ですか?」
「はい……」
「そしたら撮影の続き、やりましょう!」
アイドルが森へと手を差し伸べる。彼女達の傷は戦いの終了と同時に消えているので撮影での心配は無い。
「……はい!」
アイドルとウインクが森と向き合う中、物陰に隠れた影人、レイ、田中はその様子を見守っていた。
「良かったな。影人の頑張りが無駄にならなくて」
「別に……サポート役としてやれる事をやっただけ。結局浄化はプリキュア頼みだし、俺にはこれが限界だよ」
「何言ってるんだよ。お前はもっと誇るべきだろ?ちゃんと自分の分の手柄ぐらいは自慢しても良いんだぜ」
「……ふん。俺はできる事をただ必死にやってるだけ。俺にできるのは他人を輝かせる影の役割。俺が光になるなんてあっちゃいけない」
「やれやれ……頑固なサポーターだな」
レイがそう言って呆れると田中は一人でアイドルプリキュアがキラキランドで伝説とされているのかというのを考えていた。
「何故キラキランドの救世主がアイドルプリキュアと言われているのか。少しだけわかった気がします。この輝きがいつか、キラキランドを救う事に繋がるかもしれませんね。それと……」
田中は本人に気づかれないようにそっと影人の方を向くとまた内心で思考をする。
「(最後のアイドルプリキュアの資格に今最も近いのは影人さんなのかもしれません。彼の中のキラキラは無意識のうちに濃くなりつつある。それこそ今の二人に匹敵する程に。プリルンが彼を選ぶかは別として、最後の一つのブローチが彼をアイドルプリキュアとして認めるまでそう時間はかからないと思いますよ)」
それから少しして。CMは無事に完成。お店のオープンと同時に世間へと解禁された。お店には人だかりができており、アイドルプリキュアがCMのメインを張っているという事でその注目度の高さから初日から大勢の人が訪れる結果に。
「わぁ……皆見てるよ!」
「ちょっと恥ずかしい」
「プリルンも映ってるプリ!」
「……取り敢えず、問題は無さそうで良かった」
すると三人の後ろに一人の影が現れると三人へと声をかけてきた。それは通りすがりのレジェンドアイドル、響カイトである。
「やぁ」
「カイトさん!?」
「今日オープンなんだ」
「ああ、みたいですね!」
うたは自分がプリキュアだとバレないようにするためにそう言うとふと思い出したかのようにカイトへと前の質問の続きをした。
「あ、あの。カイトさん。この前言ってましたよね?初めての仕事の時、これだけは大事にしたい事があったって。それって何だったんですか?」
「……一緒に仕事をする人達に笑顔になって欲しいって事」
カイトが言った答えにうたとななは顔を見合わせると一緒に仕事をした森が笑顔で客の案内をしているのを見て二人は微笑むのだった。そして、カイトは二人がお店の方を向いたタイミングで密かに影人へと話しかける。
「影人君。そういえば初めての撮影。大丈夫だった?」
「はい。……やっぱり二人は自分なんかよりずっと強いんだと実感させられました。一緒に仕事をした人の事をちゃんと笑顔にしてますし」
「そっか。……でも、一つだけ今の発言で間違いがあるよ」
「……?」
「俺から言わせたら君は二人の事をよく支えてる。君も十分強いよ。それじゃあね」
カイトはそう言い残してまた密かに去っていく。影人はそう言われて僅かな嬉しさを感じていた。しかし、それでもまだプリキュアを支える人として足りないという自覚はある。だからこそこれからも頑張るべきと判断するのだった。
「あれ!?そういえばカイトさんは!?」
「もう行った。偶々通りかかっただけだろ」
「えぇ〜!もっとお話したかったのに〜!」
尚、うたは今回、あまりカイトとお話しできなかった事が不満だったらしい。影人がうたがいなくなった後にそれなりに話してたと聞いたのもあって影人への嫉妬で口を尖らせるのだった。
その後、三人は喫茶グリッターに行くとそこにはメニューを片手にグリッターのエプロンを付けた田中が出迎える。
「ただいま〜!」
「いらっしゃいませ」
「「「「……え?」」」」
「今日からアルバイトをしてくれる事になった田中さん!」
「田中さ〜ん!」
「うちで飲んだコーヒーフロートが忘れられなくて、どうしてもうちで働きたいって言ってくれてな」
そんな風に紹介されてうたやななは完全に唖然とした様子となるとプリルンも訳が分からずに目をパチパチさせる。また、店の中にはうたの両親とはもり、常連の城蓮司もいた。そして奥にいたレイを影人は発見すると近寄る。
「おい、どういう事だよ」
「……言葉通りの意味。前にここに来た時にコーヒーフロートを飲んで感激してただろ。だからここで働きたいんだってさ」
「は?でも田中さんお前の会社で……」
「……何を勘違いしてるかは知らないけど、田中さんはあくまで出張所の配属。俺の会社にいる妖精社員さん達とはまた別枠。だから問題は無いんだ」
影人はその説明を受けてひとまず納得するとそのタイミングで蓮司が声を上げた。
「コーヒーのおかわりを頼む」
「「は〜い!」」
それから二人が蓮司の相手を音とはもりがする中、うた達は小声で話しかける。
「ちょっとこっちへ」
うた、ななは田中と共に店の端に行くと密かに働く理由について話し始めた。
「どういう事ですか?」
「マネージャーとしてアイドルプリキュアの近くにいた方が良いと思いまして」
「……それは、管理の方のマネージャー?アイドルとしてのマネージャー?」
「どっちもです。あなた達のキラッキランランを私ももっと見たいと思いまして」
そうか返した田中に対してプリルンは嬉しさのあまりうたの腕から飛び出すと田中の顔面へとまた張り付いて押し倒す。
「タナカーン!大好きプリ〜!」
それからプリルンが声を上げたせいで慌ててプリルンに静かにするように二人は戒める事に。それと同タイミング。影人は思い切り声を上げそうになったのを直前で押し留めていた。
「ちょっ、レイ。お前マジで言ってるの?」
「ん?マジ。というかこれは決定事項」
「……」
影人が手を頭に当てて呆れると携帯が震える。それから影人がそれを見るとこころからのメッセージだった。
「……こころか。って、今からプリホリに来いって……マジ?」
「行けば良いんじゃない?あの子も大切な人なんだろ?今の話は後でもゆっくりできる」
影人はレイに促されて先に彼女の元に向かう事になる。そして、それを見た二人はレイへと何故影人が行ったのか聞くと一応彼は友達との約束と答えた。
「あ、それと田中さんと予め話して決定した事を二人にも通達。……俺の親が社長をしている事務所……サウンドプロダクションがアイドルプリキュアをサポートする事になったから。ちなみにこれはうちの父さん……社長とピカリーネ様の代理として田中さんで契約書までやってる完全公式の物だから。そして俺はその現場監督として直接任命されたからよろしく」
その言葉を聞いて二人は最初、その意味を飲み込む事ができなかった。何しろ唐突な上にいきなり相当大きい契約をしているという事実を知ったために受け入れるまでに時間がかかったのだ。
「「えぇえええええっ!!?」」
二人はやっと意味を理解すると流石に叫ばずにはいられず。驚きのあまり店の中で声を上げざるを得なかった。
それから同時刻。再び場面はPretty_Holicへ。そこではこころが店のディスプレイでやっているアイドルプリキュアのCMを見て興奮したように声を上げる。
「心、キュンキュンしてます!」
「あれ?心キュンキュン……私のお兄ちゃんと似た言葉を使いますね」
そこに丁度タイミング良くやってきたのは影人の妹、黒霧夢乃だった。そんな夢乃を見たこころは影人の面影を感じて思わず返事を返す。
「カゲ……先輩?」
「カゲ先輩……やっぱりお兄ちゃんの知り合い……ううん。もしかしてここ最近お兄ちゃんと話してるこころ先輩ですか!?」
「ッ!?」
こころと夢乃。二人の初めての対面での出会いはまさかの新しくできたPretty_Holicでの事であった。運命の歯車はまた大きく動き出す。
今回でアニメ五話分が終わったので、次回からようやく……ようやく私の推しの彼女を表立って本編に参加させられます。むしろ、ここまではかなり長い序章のような物です。彼女が本格参加する事による展開を待ってもらえたらと思います。それではまた次回もお楽しみに。