キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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プリキュア達の底力

ソウルビートがスラッシュー相手に反撃を開始した頃。他の五人もダークランダー相手に反撃を開始していた。

 

「行くよ、ズキューン、キッス!」

 

「うん!」

 

「ダークランダーが連携してない今ならまだどうにかする手はある!」

 

ソウルビートの作戦でダークランダーを分散させた今こそが逆転のための大きなチャンス。まずは臼ダークランダーの武器である巨大な杵をどうにかしないといけない。

 

「ダークラン……ダー!」

 

臼ダークランダーが杵を上から振り下ろして三人を纏めて押し潰そうとする。そのまま三人は潰されてペシャンコに……。

 

「「「ぐううっ……」」」

 

「おっ……」

 

なると思われたが、三人は杵を下側から受け止めると必死の形相で持ち上げようとしていた。これはプリキュア名物と言える持ち上げシーンである。

 

「こんなの、アマス様のハンマーに比べたら……」

 

「軽過ぎるくらいだよ!」

 

「アマス様?誰だそれ……」

 

ジョギはアマスの事を知らないために困惑するが、実際アイアイ島で過去にアマスからの巨大ハンマー押し潰しを喰らった三人からして見ればこの臼ダークランダー程度の杵による押し潰しなど三人いれば十分に止められるレベルだった。

 

「ズキューン、キッス……息を合わせるよ!」

 

「1!」

 

「2の……」

 

「3!!」

 

キッス、ズキューン、アイドルの順でカウントダウンした三人は一気に杵を押し上げる。

 

「ダ!?」

 

「行くよ、ズキューンバズーカー!」

 

そして、臼ダークランダーが押し返された衝撃で杵を振り上げた状態に戻した隙をズキューンは逃さない。すかさず発動したズキューンバズーカーで杵だけを撃ち抜く。

 

「ンダァ!?」

 

まさか手持ちの武器を弾かれると思わなかった臼ダークランダーは動揺。その間にアイドルとキッスは目線を合わせると同時に飛び出す。

 

「「プリキュア!ダブルキック!!」」

 

「ダァアアッ!?」

 

アイドルとキッスによるダブルキックが臼ダークランダーに命中。その威力によって臼ダークランダーは吹き飛ばされると地面に叩きつけられる。

 

「やったね!」

 

「ええ」

 

「そういえばアイアイ島に行った時からアイドルとキッス、二人の息がどんどん合うようになったよね!」

 

「えっ……」

 

今の光景を見たズキューンは興奮したようにキッスへと話しかける。そして、同時にキッスは自分がアイドルと合わせられるようになった事を改めて実感した。

 

「ふふっ、私もキッスと息が合うようになって嬉しいよ!」

 

「そうね……少なくとも、前以上に合わせられるようになった事は確かよ」

 

その頃、軍配ダークランダーと交戦するウインクとキュンキュンの方は軍配ダークランダーからの手数の攻めを捌きつつ攻めに転じていた。

 

「ダークランダー!」

 

ダークランダーが塩を撒く事によるエネルギー弾をばら撒くとウインク、キュンキュンを倒そうとしてくる。それに対して二人はウインクバリア、キュンキュンレーザーを駆使して攻撃を全て受け切ってしまう。

 

「やっぱり、ソウルビートの予想した通りこっちのダークランダーは単独ではそこまで圧がありませんね」

 

「うん。これなら私達だけでも十分だよ!」

 

「ンダ!?ダークランダー!」

 

余裕そうな雰囲気の二人を見て軍配ダークランダーは侮辱されたと感じたのか……。怒りを露わにすると両手脚を引っ込めると巨大な軍配型の状態にに変化。そのまま高速回転しながら斬撃波を連射し出した。

 

「ッ!新しい攻撃……」

 

「ですが、このくらい!」

 

キュンキュンは軍配ダークランダーへと走って行くとそのままスケートの○ナバウアーをするように上半身を逸らしつつ攻撃を避けて一気に接近。

 

「ダ!?」

 

軍配ダークランダーがキュンキュンの回避方法に気を取られているとウインクはそのタイミングですかさずウインクバリアを使用。

 

「ウインクバリア!」

 

そして、ウインクはそのバリアを足場として使用すると段々と上に上がっていく。

 

「「はぁああっ!」」

 

これにより回転攻撃で空中に浮いた軍配ダークランダーは上をウインク、下をキュンキュンに挟まれる形となり混乱する。

 

「ダ?ダ?ダ?ダァアアッ!?」

 

そのまま呆気なくウインクからのキックとキュンキュンからのアッパーが同時に繰り出されたことによる挟み撃ちを受け、ダメージを負うダークランダー。そしてすかさず二人がダークランダーから距離を取って構えた。軍配ダークランダーはサポートタイプであるために他に厄介な能力を持っている可能性を考慮して離れたのである。

 

「やった!」

 

「このまま一気に……って行きたいんですけど、ソウルビート無しだとやっぱり決め手不足ですね」

 

「うん、それは確かに否めないと思う。私達じゃ個人技を使ってもダークランダーには届かないし」

 

ウインクもキュンキュンも二人だけでは合体技を使う事ができない。そしてソウルビートのサポート無しの個人技ではダークランダーどころかその手前のクラヤミンダーにさえ通じるか怪しい状態だった。そう考えると今はまだ無理する事はできない。

 

「ひとまず他の所が動くまでに私達で出来る限り抑えるべきですね」

 

「そうだね。皆ならきっと大丈夫だと思う!」

 

ウインクとキュンキュンはここは無理に攻めずに一旦はダークランダーを追い詰める事だけに専念する事になる。

 

そして、スラッシューと対決するソウルビートはスラッシューからの攻撃に対してソウルビートが少しずつ押し返し始めていた。

 

「はぁああっ!」

 

「ッ、この!」

 

ソウルビートは普段の受け重視のスタイルから積極的に攻めるスタイルへと戦い方を変えていた。対してスラッシューは先程のソウルビートからの言われた言葉が脳裏を過ぎるせいで集中力が欠けつつあった。

 

「どうしたスラッシュー!心がここに在らずだぞ!」

 

「ッ、煩い!」

 

スラッシューが手を翳すと両手に剣を構え、次々とソウルビートを斬りつけようと繰り出していく。

 

「はぁああっ!」

 

「やっぱり冷静さが無くなってる……。Kotoneさん!あなたなら闇の心を抑えられる!」

 

「煩い……もう私をその名前で呼ばないで!」

 

スラッシューが剣を掲げると上空から炎の剣の雨が降り注ぐ。対してソウルビートは一気にスラッシューへと肉薄すると彼女へとベッタリ張り付く形で肉弾戦を仕掛ける。

 

「なっ……」

 

「もうこの技の弱点はわかってる!」

 

空中から降ってくる剣がスラッシューの周囲には絶対に来ないとソウルビートはわかっていた。そのため剣が降り注いだ瞬間に一気にスラッシューの近くにまで接近すれば被弾のリスクは最小限に抑えられる。

 

「くっ、だけどこの距離ならこの攻撃は躱せない!」

 

スラッシューは続けて両手に炎の鞭を展開するとソウルビートへと放つ。しかし、ソウルビートは何とその炎の鞭を素手で捕まえてしまった。

 

「は?」

 

「ッ、やっぱり直で触るのは熱すぎる……だけど、耐えられない事は無い!」

 

ソウルビートはそのまま動揺したスラッシューを自らの元に引き寄せるとカウンター気味の肘打ちを彼女の腹に命中させた。

 

「ぐあああっ!?」

 

そのままスラッシューは崩れ落ちると顔を歪める。同時に脳裏にノイズが走ると共にモノクロの景色となったコンサート会場で顔がボヤけてしまったUtakoと共にステージに立つKotone……つまり自分の姿が映った。

 

「な、何……今の……」

 

スラッシューはダメージの影響で記憶がほんの一瞬だけフラッシュバック。同時に彼女の脳内は混乱する事になる。

 

「違う……違う……こんな記憶なんて無い!」

 

「スラッシュー、やっぱりどれだけ記憶を封印しても俺達と戦えば今みたいに少しずつKotoneさんとしての記憶を取り戻せるはず」

 

ソウルビートはスラッシュー相手に手応えを感じつつ目の前にいる彼女を助けるべく動く事になるのだった。

 

場面が戻り、臼ダークランダーと戦うアイドル達。すると臼ダークランダーが今度は杵を使わずに四股踏みによる地ならし攻撃で三人を牽制する。

 

「ダークランダー!」

 

「くっ……」

 

「しまった、タイミングが合わなくて……」

 

「ダークラン!」

 

その直後に臼ダークランダーが強烈な突っ張りを三人へと叩きつけてしまう。

 

「「「うわぁああっ!?」」」

 

三人はこれには堪らず。ダメージに倒れ込むが、それでも必死に立ち上がろうと踏ん張っていた。それを見たジョギがプリキュアへと話しかける。

 

「はぁあ……。ねぇ、何でそんなに頑張っちゃうわけ?」

 

「それは……どういう意味?」

 

「だってそうじゃん。幾ら連携が厄介だからってさ、分散させたとしても今度は決定力に欠ける。結局は無駄なのに頑張る理由がわからないんだよ」

 

ズキューンからの聞き返しにジョギは冷たくそう話しかける。実際、ダークランダーを分散させても戦況は互角程度。浄化技も全員での技じゃないと通らない可能性を考慮すると状況はもっと悪い方寄りの可能性さえもある。この事から彼視点では無意味な努力をしているようにも見えたのだ。

 

しかし、アイドル達はダメージに耐えながら立ち上がるとジョギからの言葉に負けじと反論する。

 

「……だって私達、くりきゅうたさんのお手紙からいっぱい元気を貰ったから……くりきゅうたさんにもキラッキランランになって貰いたい!」

 

「はぁ?」

 

「それに、くりきゅうたさんもファンのために……力君のために頑張ってほしい!」

 

「おいおい、その力って子もあっちでダークランダー化してるんだぞ?キラキラも何も無いでしょ」

 

ジョギはウインクとキュンキュンが交戦している軍配ダークランダーの方を一瞬向くと残酷に告げる。あのダークランダーの素体は力だ。そのためくりきゅうたを助けた所で力も救わなければまるで意味が無いのである。

 

「それなら二人揃ってキラッキランランになってもらう。私達はそのために今ここにいる!」

 

「へぇ、けど良いの?さっきのくりきゅうたとか言う力士……自身無くしてキラキラどころかクラクラなんだけど」

 

「そんなの、大丈夫に決まってるよ。……だってくりきゅうたさんは……力君のヒーローなんだから!」

 

「「「諦めないでほしい!」」」

 

「チッ……」

 

アイドル達三人がそう力強く告げるとジョギはしぶといプリキュア達に苛立ちを募らせたのか舌打ちする。するとズキューンとキッスは一瞬だけ軍配ダークランダーの方を向くとアイドルへと小声で話す。

 

「アイドル、あっちをお願いしても良い?」

 

「あなた達ならきっと大丈夫だから」

 

「ッ……そっか。任せて!」

 

アイドルはズキューンとキッスからの言葉を聞くと二人の意図を察すると同時にすかさず動き出す。それをジョギは見逃さない。

 

「どこに行くつもり?」

 

「ダークラン……」

 

「あなたの相手は私達よ!チュッ、キッスショック!」

 

ただ、ダークランダーがアイドルへと意識を向けたタイミングをキッスも見逃さない。すかさずキッスショックを使うとダークランダーを電撃で痺れさせる。

 

「ンダァアアッ!?」

 

「たぁああっ!」

 

更にズキューンが踏み込んでからの一撃を叩き込むとダークランダーを吹き飛ばす。

 

そして、軍配ダークランダーの方は元々ダークランダーのタイマン能力が高く無いのとウインクとキュンキュンの連携によって崩されて倒れ込む。

 

「……ウインク、提案があります」

 

「それって……」

 

するとキュンキュンが小声である事を話すとウインクは目を見開く。同時にキュンキュンに聞き返した。

 

「それ、キュンキュンは大丈夫なの?」

 

「はい、少しくらいなら保たせてみせます。それにソウルビートが戻ってくればこのダークランダーはどうにかできますから」

 

「わかった、お願い!」

 

ウインクはキュンキュンの提案に賛成すると彼女を残してキュンキュンが即離脱。同時にアイドルがやってきた。

 

「二人共お待た……あれ、キュンキュンは?」

 

「ごめん。少しだけこのまま待っててアイドル。今ソウルビート連れて来るから」

 

「オッケー」

 

そのままアイドルとウインクにコンビを切り替えてダークランダーを止める中、キュンキュンは集中力に欠けたスラッシューに膝を付かせると彼女に話しかける。

 

「スラッシュー、そんなに苦しんでるのに何で見栄を張るんだ」

 

「煩い……こんなの、こんなの私の記憶には無い!」

 

スラッシューがどうにか気持ちを落ち着かせようとしているとソウルビートは困り果てる。そのタイミングでキュンキュンが到着した。

 

「キュンキュン?何で……」

 

「ソウルビート、あなたなら単独でもダークランダーを浄化できます。私とスラッシューの相手を交代してください」

 

それを聞いてソウルビートはスラッシューを一瞬だけ見てからキュンキュンの言葉に頷く。

 

「………わかった」

 

「な……待ちなさい……あうっ……」

 

するとスラッシューの脳裏にまた先程の光景が流れてしまう。それを見たキュンキュンはスラッシューへの説得を交代することになる。

 

同時に軍配ダークランダーの元に戻ったソウルビートはアイドルとウインクがダークランダーと拳をぶつけ合う瞬間を視界に入れる。

 

「はあっ!」

 

「ダァア!?」

 

ダークランダーがソウルビートの横からの強襲に倒されるとプリキュア三人が合流する。

 

「ソウルビート、待ってたよ!」

 

「うん、このままソウルビートが……」

 

「いや、折角だ。三人でやるよ」

 

ソウルビート単独で決めるという話に対してソウルビートが反論した事にウインクが疑問符を浮かべる。同時にアイドルが何かを思い出した。

 

「えっ、それってどういう……」

 

「あっ、もしかして夏祭りの時と同じ!」

 

「ああ。二人共行くぞ!」

 

ウインクは状況を飲み込んでいるソウルビートとアイドルの反応に困惑するが、それでも二人の事を信じてやる事にした。

 

そして、ソウルビートはソウルリンクライトを紫に合わせるとキュンキュンと同じ紫のオーラを纏う。この条件が揃ってやる歌はもう一つしか無い。

 

♪決め歌 Trio Dreams♪

 

「「「ウー、レッツゴー!Try, try, trio dreams♪」」」

 

『Let's sing, let's swing, let's dance, let's bound,Let's smile, let's fly』

 

「「「ハート上げてくよ!」」」

 

今回はアイドル、ウインクに加えてソウルビートがキュンキュンの代わりを務める形で技を使用。

 

三人のプリキュアは領域を展開しつつインカムを装着。同時に軍配ダークランダーは技の効果で席に強制着席させられる。ダークランダー側も抜け出そうともがくが、ソウルビートの力が入ってるせいで抜ける事はできず。そのまま歌が始まった。

 

「「「Sing!♪音符に夢乗せて〜♪キミ、あなたのもとへ〜for you!♪もっともっと輝き合えるね〜♪みんな、キラッキラン!♪瞳水晶にいつだって〜♪笑顔映し合おう〜promise!♪キミがいるからパワー、生まれるよ、今日も〜♪Try, try, trio dreams♪……プリキュア!ハイエモーション!」」」

 

ソウルビートは本来はキュンキュンのポジションである正面から見た際のアイドルの左側で歌い、三人が力を合わせる事で発生した虹のエネルギーを放つ。そしてその光はダークランダーへと降り注いでその体を浄化。勿論技名はハイエモーションのままである。

 

「「キラッキラッタ〜」」

 

そして、三人の光が軍配のダークランダーを浄化。生成されたキラルンリボンをアイドルが手にする。それから、技を使った三人の内ソウルビートがインカムを生成して連絡をすると同時に三人が移動を開始するのだった。




また次回もお楽しみに。
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