キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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閃きの蓮司対グリッターの謎メニュー

グリッターの昔からの常連である蓮司の所に来た夢乃とはもり。早速体へと持ってきていたメニュー表を見せるのだが……。

 

「ふーむ……流石のワシにもわからんな」

 

「常連さんなのに?」

 

「わぅん?」

 

どうやら古くからグリッターに通っている蓮司にもわからないらしい。だが、夢乃はこの蓮司の反応からある仮説が浮かび上がる。

 

「……もしかして、蓮司さんって“いつもの”しか頼んだ事が無い……とか?」

 

「おお、よくわかったな」

 

夢乃の予想、それは蓮司がグリッターのメニューを普段からあまり見ていないというものでありそれは当たっていた。

 

「いえ、蓮司さんって行くたびにその“いつもの”を頼んでいる場面しか見てなくて。他のメニューを頼まないのかなと」

 

「ふふっ、実はそうなんじゃ。メニューをちゃんと見た事が無かったんだよ」

 

「なーんだ、残念」

 

「まぁ、ちゃんと見てないのなら仕方ないですよね」

 

この辺りは普段の蓮司の頼む所を全部見れていなかった自分達にも非はある。蓮司への相談が無駄足として終わりそうになったそんな時。

 

「だが、心配無用!喫茶グリッターの謎メニュー……ワシの閃き名推理で解いてみせよう!」

 

「「閃き名推理?」」

 

「(って、名推理とは言ってもあんまり期待できなさそうな気がする……。蓮司さんって普通の人でしょ?)」

 

蓮司がはもりの頭に手を置きつつ言い出したのは彼がわからないなりにグリッターのメニューを言い当てようという物だった。ただ、正直夢乃の方は半信半疑な様子でありそこまで期待はしてない。しかし、そんな夢乃の気持ちは簡単に壊された。

 

「そう、あの夏……。ワシはバリバリの捜査一課の刑事だったんじゃ」

 

「へぇ……蓮司さんって昔は刑事をやってたんですね」

 

夢乃はそれを聞いて先程の評価を改める。流石に昔働いていた頃に事件を解決するのに推理で一役買っていた刑事をしていたのであれば彼の意見を無下にするわけにもいかない。

 

それに、刑事であるならその推理は自分達にはできないであろう凄い物だという別の期待もあった。

 

「ふふっ、署内では閃きの蓮司と呼ばれていてね。どんな事件もズンズンあっという間に解決したもんだ」

 

本人曰く、時には天井にいた犯人を見つけ出したり、時にはタクシー運転手に変装したり、時には凶悪な犯人をタイマンで捩じ伏せたりと……蓮司の解決した事件は数知れずとの事である。

 

「蓮爺ちゃん凄い!ズンドコ探偵みたい!」

 

「ワン!ワン!」

 

「蓮司さん頼もしい。現役時代、そんなに凄い人だったんだ……」

 

夢乃も最初の酷評はどこへやらと言わんばかりに蓮司が思っていた以上に凄い人で感心した顔つきになっており、その頃近くにある草むらに潜みつつ話を聞いていた尾行組……影人達も同じように意外そうな視線を向けていた。

 

「閃きの蓮爺ちゃん……」

 

「蓮司さん、刑事さんだったんだ」

 

「意外な過去ですね」

 

「まぁ、でも実際本当だったかは別として……。蓮司さんの過去をここで知る事ができるなんてな」

 

影人達も蓮司の過去については初見である。ななの七不思議の時もそうだったが、身近な人の意外な一面を見ると驚かされるものだ。

 

「どれ、その謎。この閃きの蓮司が見てあげよう」

 

早速蓮司がはもりから虫眼鏡を借りつつメニューを見る。それから

 

指で鼻の付け根辺りを掴むような仕草を見せつつ謎のメニューについてを考える。そして、それを暫く続けると何かを閃いたような顔になった。

 

「“お”で始まり、“グ”で終わるメニューか……ふーむ……。“お”で始まり、“グ”で終わる……はっ!」

 

「わかったの!?」

 

はもりは蓮司が謎のメニューについて閃いたという事で興味津々な様子で彼へと問いかける。そして、蓮司もそれを受けて過去の体験談を語り始めた。

 

「うん、アレは逃げた犯人を追いかけてフランスに行った時の事だ」

 

「うん?フランス?」

 

夢乃はフランスという単語に反応する。地味に蓮司が海外にまで出張していたという事実が気になったのだ。同時に彼女の中でまた嫌な予感がしてしまう。

 

「パリの路地裏の小さな食堂で食べた伝説の料理……オートヴァッサン・ジェリー・ド・グランディエールグの事では?」

 

「ん?ん?何そのメチャクチャ長くてよくわからない名前の料理」

 

案の定、蓮司が口にした何やらよくわからない長い名前の料理を聞いて夢乃の頭は混乱。フランスの料理なのは確かだろうが、何だかこの謎を解くためだけに用意されたような長い名前の料理に思わず唖然としてしまう。

 

「それはどんなお料理ゾナ?」

 

「ふっ、あの伝説の料理。オートヴァッサン・ジェリー・ド・グランディエールグを……再現してみるかい?」

 

すると何故かはもりと蓮司はきゅーたろうを間に挟んだ状態でオートヴァッサン・ジェリー・ド・グランディエールグの話を始めた。しかもご丁寧にも背景はフランスの街。きゅーたろうの上にはエッフェル塔も存在している。勿論イメージ絵なので物理的にあるわけでは無いが。

 

「(どうしようこれ……収拾つくかな……そこの草むらにいるお兄ちゃんだったらどうやって解決するんだろ……)」

 

夢乃はどんどん話がカオス方面に傾き出したのを見てどうするべきかわからずに困惑。ついでとばかりに近くに影人達がいる事自体は察していたために彼等に事態の収拾の手助けをしてほしいくらいだった。

 

そして、草むらに紛れつつ話を聞いていた影人達もよくわからない料理の名前が出てきた影響でその料理について考え中である。

 

「オ……オートバーサン・ドグラ?」

 

「咲良さん、言えてないぞ。オートヴァッサン・ジェリー・ド・グランディエールグな」

 

「何にせよ、ますますわからない事になってきたね」

 

「だけど、私もちょっと食べてみたいです。心キュンキュンしてます」

 

しっかりと名前を言えていないうたへとツッコミを入れる影人。だが、蓮司とのやり取りの影響で真実に近づくどころか逆に遠ざかっているようなイメージだった。するとそんな時に四人の所に妖精態に戻ったプリルン、メロロンが合流する。

 

「皆ここにいたプリ!」

 

「手掛かりを見つけたメロ」

 

(いにしえ)のグリッターメニューの謎……見事解き明かしてみせましょう」

 

四人が横並びで草むらから顔を出す中でプリルンとメロロンはそんな四人よりも下側の草むらからポコッと顔を出しており、このタイミングで田中の声が周囲へと聞こえる。そして、影人達四人は声だけ聞こえる田中がどこにいるのかを探す。

 

「あれ?田中さんはどこに……」

 

その瞬間、影人達四人の後ろ。草むらの上を突き破るようにして何故か探偵のように黒いハットを被り、手には杖を持った状態で振り返りつつ決めポーズを取る。

 

「この名探偵、タナカーンが……ゾナ!」

 

珍しく田中もノリノリ状態であり、元々普段からスーツを着ている事も相まって名探偵のコスプレが似合っていた。……ただし、だからって今のこの場で思いっきり目立つ行為が良いか悪いかで言われたら勿論悪い方になってしまう。

 

「いっ!?」

 

「田中さん、見つかってしまいます!」

 

「隠れて〜!!」

 

何しろ影人達は夢乃達を尾行している立場であり、本来ならバレてはいけないのだ。それなのに田中が立ち上がって草むらから思い切り体が出てしまっている以上、影人達は慌てて田中を草むらの中に戻す事になるのだった。

 

同時刻、チョッキリ団アジトでは。何故かバーの中に備え付けられている古いテレビにズンドコ探偵が映されていた。また、このテレビは以前ジョギがアイドルプリキュアの六人技を観る際も使用していた物である。

 

そのため、ビリヤード台やダーツもある事からこのバーはかつては本物のバーとして使われていた場所だと改めて察せられるが……それは今は置いておこう。

 

『謎は全てズンドコ解けたゾナ』

 

『ポンペコ!』

 

『犯人は針と糸と氷とハムスターを使ったトリックで現場を密室にしたゾナ。ズンドコズンドコ』

 

どうやら今はズンドコ探偵が事件を解決した所であり、チョッキリーヌはそれをボーッとしたような視線で見ながらある事を呟く。

 

「……はぁ、こういう名探偵に依頼すればいなくなったカッティーやザックリーをズンドコ見つけてくれるのかね?」

 

それは今はカッティン、ザックリンとしてプリキュア側に行ってしまったかつての同胞にして部下。カッティーとザックリーがいた日々を懐かしむものである。するとチョッキリーヌの隣にスラッシューが座ると彼女は冷たく話しかけた。

 

「随分とおめでたいね?チョッキリーヌ。二人がいなくなったのはあなたの行いのせいでしょう?」

 

「ッ、スラッシュー……」

 

“スラッシュー、私と同じ管理職仲間。最近、二重人格を行ったり来たりしている。今は冷酷な方の性格が表に出ている”

 

このタイミングでチョッキリーヌの解説でスラッシューの紹介がされており、この辺りの仕様は絵真や蓮司の時と同じだ。

 

スラッシューは過去の事を思い出す度にその事を自業自得だとチョッキリーヌ相手に突きつけており、その顔つきからはまるでチョッキリーヌを見下しているようにも思えた。ただ、そんな彼女も今の解説には言いたい事があるようで。

 

「冷酷な方って何よ。別に私が優しかろうが冷酷だろうがあなたには関係無いでしょ」

 

「関係あるよ。……そりゃあ、もう私のせいで部下や仲間にいなくなられるのは……」

 

スラッシューは何故自分の事をここまで気にするのかとチョッキリーヌへと問いかける。すると、彼女もカッティーとザックリーがいなくなった事を未だに引き摺っているような様子を見せた。スラッシューはそんなチョッキリーヌへと冷たく突き放すように現実を突きつける。

 

「……はぁ、本当にあなたも絆されたわね。他人には散々アイドルプリキュアにハマった事について言ってたくせに」

 

「それは……そうだね。今の私だったらカッティーやザックリーがハマっていた事を咎められない」

 

「……反省はしてるみたいね。ただ改めて言っておくけど、今更もう遅いからね?カッティーやザックリーがここに戻ってくるなんて期待はしない方が良いわ」

 

「ふふっ、スラッシュー様の言う通り。そんなの夢物語ですよ」

 

そのタイミングでいつの間にかジョギがスラッシューとは反対側のチョッキリーヌの隣の席に座って声を上げており、彼もまたチョッキリーヌへと生意気な態度をとっていた。

 

“ジョギ、胡散臭い新人。よくわからない”

 

そこにチョッキリーヌの解説付きでジョギが登場すると紹介時に“よくわからない”と言われた事について彼は思わず反応を示す。

 

「えぇ?わからないというのは、もっと僕の事を知りたいという意味ですか?」

 

「別に。ただアンタは自分から気持ちを見せるのが少ないから不気味なだけだよ」

 

ジョギは基本的に自分の心の奥底を見せない。そのためチョッキリーヌとしては他のチョッキリ団メンバーと比べて彼の相手はやりにくいのである。

 

「ふーん。だったらチョッキリーヌ先輩のその敵対的な態度をどうにかしたらどうですかね?」

 

「は?何でよ」

 

「僕としても、そうやってピリピリした対応をされたらやりづらいんですよ。あなたがもう少し柔らかい対応をしてくれれば……もっと僕も話しやすくなるというものです」

 

ジョギが笑みを浮かべつつそう言うものの、チョッキリーヌの中ではそういう軟化した対応を取られても彼の心の奥底が見えないせいで不気味に思えてならなかった。

 

「ッ……アンタのそういう所が胡散臭くてやりづらいんだよ」

 

「えー?これじゃあ話が平行線じゃないですかー」

 

ジョギがチョッキリーヌ相手にわかりやすく棒読みをするとチョッキリーヌはこれ以上はやってられないと言わんばかりにバーの席から立ち上がる。

 

「はっ、確かに話が平行線で進まないね。だからアンタの相手なんかやってらんないのよ」

 

「あれれ……」

 

そのままチョッキリーヌは一人で出撃してしまう。そのためジョギは多少キョトンとしつつも両手を上げて愛想笑いをしつつ見送る。そして、スラッシューはそんなチョッキリーヌへと溜息を吐いていた。

 

「本当にチョッキリーヌも仕方ないわね」

 

「(まぁ、チョッキリーヌ先輩もそうだけど……スラッシュー様も記憶の封印が度々緩むのをどうにかしてるのは僕なんですけどね)」

 

そして、スラッシューがチョッキリーヌの事を気にしているとジョギが内心スラッシューへの小言を言いつつも平然とする。

 

「……ジョギ」

 

「何ですか?」

 

「チョッキリーヌともう少し上手く付き合う方法は無いの?」

 

「難しいですねぇ。ほら、僕って色々胡散臭いじゃないですか。チョッキリーヌ先輩も言ってるみたいにね」

 

ジョギはスラッシュー相手にものらりくらりとした態度で接するとチョッキリーヌの態度にはお手上げのような仕草を見せた。

 

「……そう、それなら仕方ないわね」

 

「スラッシュー様こそここ最近アイドルプリキュアに足元を掬われがちなんですからしっかりしてくださいよ?」

 

「……そうね。次は容赦するつもりは無いわ」

 

ジョギがここ最近のスラッシューがプリキュア相手に記憶を起こされまくってるせいでロクに戦えていないのを指摘。彼女もそれは理解してるのか、珍しく弱々しい声で返事を返す事になる。

 

「(やれやれ、これはまた経過観察の必要ありかな)」

 

ジョギはスラッシューの調子についてはまた注視する必要があると考えつつアイドルプリキュアに対抗するための考えを巡らせるのだった。




また次回もお楽しみに。
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