キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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謎に包まれたメニューの答え

アイドルがタライ攻撃によって撃墜され、頭にデフォルメの絆創膏を貼った状態で倒れているとチョッキリーヌが声を上げる。

 

「ふっ、あははははっ。笑えるねぇ。アイドルよりもお笑い芸人の方が向いてるんじゃない?」

 

「……お笑いだろうが、アイドルだろうが……大事なのは……どんな時でも全力でやる事だよ!」

 

アイドルが立ち上がると同時にデフォルメの絆創膏は剥がれ落ちた。ただ、今のままではまたギャグ補正でやられるリスクがあるわけで。

 

「ソウルビートも大丈夫ですか?」

 

「ああ……だがあのギャグ補正をどうやって破るか……」

 

そしてソウルビートの方もキュンキュンに引っ張ってもらう形で熱湯風呂から脱出。するとウインクがある事を思いついた。

 

「だったら皆、ギャグにはギャグで対抗しよ!」

 

「ギャグにはギャグって……どうするの?」

 

キッスがそう言うとウインクが自分の意見を全員に共有。それを聞いてソウルビートも頷いた。

 

「なるほど、確かにギャグ使って対抗してくる相手にバトル漫画の正攻法で挑んでも勝てないよな……」

 

普段ならソウルビートが何かしら思いつく所だが、今の彼はギャグ補正にやられまくっているせいでムキになっている。そのためウインクが意見を出してくれたのはとてもありがたかった。

 

「それじゃあ皆行くよ!」

 

「はっ、何をしようがギャグ補正の乗ったダークランダーには勝てないよ!」

 

ダークランダーはチョッキリーヌの合図と共に早速背中からまたタライを射出。だが今度は真正面からそれをどうにかするつもりは無かった。

 

「キュンキュンの力、ソウルビートレーザー!」

 

ソウルビートはキュンキュンの力を利用するとレーザーを使って落ちてくるタライを全て破壊せずに受け止める。つまり、レーザーの出力を意図的に抑える事で一本の棒で皿のような物体を受け止めて回す。所謂皿回しの状態を作った。

 

「はぁ!?何だいそれ!?」

 

「そしてウインクの力、ソウルビートバリア!」

 

更にソウルビートは先程まで自分が入っていた熱湯風呂の底にソウルビートバリアを展開。そのままバリアを真上に一気に押し上げると中のお湯が一気に空中に飛び出す。

 

「皆、受け取れ!」

 

そして、ソウルビートが受け止めたタライの中の四枚をウインク、キュンキュン、ズキューン、キッスへと投げ渡す。

 

「ありがとう!」

 

「ここにお湯を!」

 

「入れる!」

 

こうしてアイドル以外の五人は熱々のお湯入りタライを手にする事になる。

 

「くっ、だがそれじゃあ素早くは動けないだろう!ダークランダー。なんでやねん攻撃だよ!」

 

「ダークランダー!」

 

ダークランダーは先程プリキュアを苦しめたなんでやねん攻撃を仕掛けるべくプリキュアへと接近しようと脚を上げた。

 

「脚を上げたな?今がチャンス!」

 

ソウルビートはお湯入りタライを地面に置いてそれをカーリングの球のように地面の上を滑らせる形で投げる。そして、ダークランダーはそのお湯入りタライの中に脚を突っ込んでしまう。

 

「ンダァアア!?」

 

当然熱々のお湯にいきなり脚を入れたダークランダーは慌てて脚を上げる。それからソウルビートは残っていたレーザービームで皿回しをしていたタライを一気にダークランダーへと投げつける。

 

「俺達が喰らったタライ攻撃。お前も喰らってみろ!!」

 

そしてダークランダーは脚を上げて片足立ちになっているタイミングで大量のタライを体に受けるとバランスを崩してしまう。

 

「ダーク!?」

 

「今です!」

 

「せーのっ!」

 

ダークランダーが倒れてしまった瞬間を狙い、四人はタライに入ったお湯をダークランダーの顔面辺りを目掛けてひっくり返してかける。当然熱々のお湯を顔面に受けたダークランダーは叫び声を上げた。

 

「ランダァアア!?」

 

「締めはアイドル、お願い!」

 

「任せて!」

 

ギャグに対するお返しはギャグでという事で作ったこのチャンスを逃す事無くアイドルは飛び出しつつブローチをタッチ。再度のアイドルグータッチを繰り出すと丁度顔を起き上がらせたダークランダーへと先程以上の一撃を叩き込む。

 

「アイドルグータッチ!」

 

「ンダァアア!?」

 

これにはダークランダーも堪らず吹っ飛ばされた。しかも今度は先程のようなタライによる最後っ屁も無い。

 

「行くよ!」

 

そして、今度こそプリキュアはダークランダー相手に一気に決めにかかるべく浄化技を発動。

 

♪決め歌 キミとシンガリボン♪

 

「「「「「「感じてYou and I キズナリボン〜♪」」」」」」

 

六人が歌を歌い始めるとイントロに入り、キラキライトを持ちながらステージの上で動く。

 

「「「「「「クライマックスは私達!」」」」」」

 

そして、掛け声と共にキラキライトは光と共にキラッキランリボンバトンへと変化。その後、プリキュアステージリボンを装填。同時にダークランダーは技の効果で席へと強制着席。そのままイントロが終わり、六人は歌を歌う。

 

「「「「「「重なる想いの強さを歌に乗せて〜♪届けるに来たよ Sing For You 照らしてみせる〜♪溢れる思いを残らず伝えるんだ〜♪どんなときでもYou and I 〜♪私とキミを結ぶキズナシンガリボン〜♪……プリキュア!キラッキランフォーユー!」」」」」」

 

六人が歌いながらキラッキランリボンバトンを回しつつパフォーマンスをしていき、歌が終わると同時に技を発動。六人のシンボルマークを合わせた強力な浄化の光を解放し、虹の光の奔流がダークランダーへとぶつけられた。フィニッシュは六人での決めポーズである。

 

「「キラッキラッタ〜」」

 

これによりダークランダーは無事に浄化されると小原井が助け出され、同時にキラルンリボンも生成。今回はウインクがキラルンリボンを手にする事になる。

 

「くうっ……今日はこのくらいにしておいてやるよ!」

 

そして、ダークランダーを浄化されてしまったチョッキリーヌは負けた敵役の常套句を残して撤退。

 

また、助け出された小原井も後からやってきた夢乃達の行く先で気絶していた。ちなみに、倒れている際の体勢が両腕を広げつつ仰向け状態で尚且つ尻を少しだけ突き出した物だからか、彼の背負ったハリセンが折れてしまっていた。

 

「常連さん二号」

 

「……んぁ?」

 

「常連さん二号はどうしてこんな所で寝てるゾナ?」

 

「んぇ?俺は……何を……」

 

そして、はもりの心配に対して夢乃は先程一瞬だけ出てきた暗い空からダークランダーの出現を察していたためにはもりへと補足する。

 

「はもりちゃん。きっとここを通る時に慌てすぎてバナナの皮を踏んじゃったんだよ。それでそのまま倒れて気絶したんだと思う。ほら、バナナの皮も落ちてるし」

 

夢乃が指差す先には何故かバナナの皮が落ちており、はもりや近くにいた蓮司は夢乃の名推理に感心していた。

 

「おぉ、なるほど。確かにこれを踏んで滑ったのなら納得じゃな」

 

「流石夢乃の名推理ゾナ!」

 

ちなみに、先程ダークランダーが投げてソウルビートを転ばせたバナナの皮というのもこれの事を指しているのかもしれない。それからはもりが小原井へと指摘すると彼は起き上がり、先程まで自分がやろうとした事を思い出す。

 

「そうだ。常連さん二号はお店に行くんじゃなかったのゾナ?」

 

「はっ……もう休憩時間が終わってるかもしれない!?」

 

こうして小原井は無事に意識を取り戻し、改めて喫茶グリッターに一同が集結するとグリッターの謎のメニューについての言及がされる事になった。

 

そして、グリッターに集まった影人、うた、なな、こころ、プリルン、メロロン、夢乃、田中、はもり、小原井、蓮司。そして中にいた和と音の二人が揃う形で真相が明かされる事に。

 

『ええっ!?』

 

「“お”で始まって“グ”で始まるメニューって“面白い一発ギャグ”だったゾナ!?」

 

「面白い一発ギャグって……」

 

「中々奇抜なメニューだね」

 

影人と夢乃はまさかのお笑いに通ずるメニューに苦笑いを浮かべてしまう。ただ、小原井にとってこのメニューはとても大事な物だった。

 

「一発ギャグ……」

 

「そう、マスター渾身の一発ギャグ!」

 

「うちに来たお客さんが笑顔になってくれるようにってね」

 

和がそう言うものの、音はかなり複雑そうな顔つきであったために恐らくそれはかなり気不味い内容だったのだと容易に察せられる。

 

「それってどんな?」

 

「ふーむ。他にもレパートリーはあったかもしれんが、俺が聞いたのはこういうのだった」

 

「“布団が吹っ飛んだ!”とか“枕を無くしてお先真っ暗ァーッ!”」

 

『………』

 

小原井が紙芝居風にギャグを言うが、その場には何故か冷たい風が吹くと微妙な空気感が流れてしまう。

 

「今の面白いプリ?」

 

「凄く微妙なのメロ……」

 

人形のフリをしているプリメロさえも小声で微妙な事を指摘する始末であったため、こんな事を言っていたのなら封印するのも致し方ない事である。

 

「えっと、今のをうた先輩のお父さんがやったんですか?」

 

「……うん」

 

「それで滑って、恥ずかしくなって。メニューを封印したのよね」

 

「……でも嬉しいよ。僕のギャグを見てお笑い芸人になったお客さんがいたなんて」

 

正直な所、それはそうである。面白いギャグを見てお笑い芸人を目指すのなら兎も角、今回のように滑るギャグを見てお笑い芸人を目指すというのは中々無いのだから。

 

「はい。全然面白く無かったけど、それでもあんなに堂々とできるなんて……勇気を貰いました!」

 

「いやぁ、照れちゃうな……」

 

「いや、それで照れるのもどうなんですか……」

 

影人は面白く無い一発ギャグで褒められて照れる和を思わず指摘してしまうが、本人が褒められてると思うのならそれは良い事にはなるのだろう。そして、小原井はそのギャグを見たいのかリクエストをする。

 

「あの、もう一度お願いします!あの面白い一発ギャグを!」

 

「そう?じゃ、布団が……」

 

「ダメよ、あなた」

 

「ええっ!?」

 

和は流れに任せて面白い一発ギャグをしようとしたそんな時。音はそんな和を止めてしまう。この場に微妙な空気感が流れてしまうのもそうだったが、今のグリッターには小原井のいた10年前と違ってもっと適任な場の盛り上げ役がいる。

 

「だってほら。今はうたが」

 

「え?」

 

「そっか……。今は僕じゃ無くて、うたがお客さんを笑顔にしてるから……」

 

それを聞いて小原井は先程出会った少女がグリッターのマスターである和と何らかの関係性があると思い至る。

 

「もしかして娘さんですか?」

 

「ええ、うちの看板娘。看板アイドルなの」

 

音の紹介に合わせるように影人、なな、こころ、夢乃がジャーンとやるようにうたを紹介するポーズを取る。

 

「えへへ……」

 

うたが照れくさそうな顔を見せているとそのタイミングでグリッターの戸が開き、今回の調査に協力してくれたもう一人の人物。絵真がやってくる。

 

「こんにちは、また来ちゃいました。あ、蓮司さんも来てたんですね」

 

「うん、メニューの謎。答えがわかったからね」

 

「そうなんですか?」

 

絵真と蓮司が会話していると先程の流れに乗る形でうたが何かを準備している所だった。

 

「絵真さんも良い所に」

 

「丁度今から……」

 

「うた、歌います!」

 

「待ってましたゾナ!」

 

「ワン!」

 

そして、ななやこころに推される形でスプーンマイクを準備したうたは早速歌を歌う事になった。

 

「素敵なお笑い〜♪布団が吹っ飛んでも♪きっと!♪きっと!♪絶対!♪絶対!♪笑顔で寒くないよ〜♪」

 

こうして、その場は歌のうたのお陰で拍手に包まれると同時に幕が閉じていく。最後を締めるのは勿論名探偵はもりんだ。

 

「これにてズンドコ一件落着……ゾナ!」

 

「ワン!」

 

グリッターのメニューの謎を無事に解決し、名探偵としての仕事も達成したはもり。こうして、何気ない日常はまた一日過ぎていく事になるのだった。

 

〜おまけ 昭和のプリキュア?〜

 

グリッターの謎のメニューが解決したその日の夜。黒霧家が四人で家族団欒の時間を過ごしていると理沙がある事を思い出した。

 

「あ、そういえばここ最近アイドルプリキュアの話題が世間の話題を占めてると思うんだけど」

 

「そうだけど……どうしたの?お母さん」

 

「私が影人や夢乃くらいの頃にプリキュアに関連しそうな話題……聞いた事があるかも」

 

「あ、俺も噂程度だけどそんな話があったよな」

 

まさかの魁斗や理沙が丁度学生くらいの頃に薄らとした噂程度だったが、プリキュアに通じそうな話があったという事で困惑する。

 

「えっ……嘘でしょ!?」

 

「マジか。えっと、その噂ってどんな?」

 

「うーんとね……確か横浜だったっけ。私達とほぼ同い年くらいの中学生や高校生くらいの子かな。その子達が探偵事務所をやってるらしくて」

 

「人づての話だけど、どんな謎でもキュアっと解決してくれるんだとさ」

 

それを聞いて影人達は凍りつく。それは先程言っていた名探偵の話と幾つか特徴が合致してしまうからだ。

 

「当時は沢山盗難事件があって大変だったよね」

 

「ああ。だけどその探偵事務所の名探偵達が解決してくれたんだとさ」

 

「へ、へぇ……そうなんだね……」

 

夢乃はぎこちないながらもどうにか平静を装いつつ反応を返し、影人が恐る恐る理沙へと問いかける。

 

「それで、そのプリキュア要素ってまさか」

 

「ええ。キュアっと解決っていうのが何だかアイドルプリキュアの名前の響きにちょっと似てるな〜って」

 

「それは多分気のせいじゃない?だってプリキュアって単語じゃ無いんでしょ?」

 

「うーん、そうなのかな……」

 

「そうだよ」

 

影人はどうにかプリキュアという単語から遠ざけようと色々言うが、理沙は少し考えた様子だった。すると魁斗が理沙にフォローを入れる。

 

「まぁ、俺達だって実物を見たわけじゃ無いからさ。もしかしたら気のせいかもな」

 

「うん……きっとそうだよね」

 

こうして両親が納得してくれたという事で二人は顔を見合わせてホッとしたような表情になった。それから理沙は冷蔵庫からある物を取り出す。それは器の中に入っていたお菓子……マカロンだった。

 

「わぁ、マカロン!美味しそう」

 

「うん、今日私が作ってみたんだ〜」

 

「お母さん上手だね!」

 

「ふふっ、でも昔は下手だったんだよね」

 

「え〜?こんなに美味しそうなのに?」

 

夢乃が美味しそうなマカロンに歓喜の声を上げていると理沙の昔は下手発言に少し懐疑的な声を上げる。

 

「ああ、そうだったな。俺の気を引くために練習してくれたんだっけ」

 

「うん。甘い物を食べたら勉強の助けになると思って」

 

「マカロン……。他にも甘いお菓子なら沢山あるのに何で作るのが難しいマカロンなんだろうか……」

 

影人は知らない事だが、理沙の中の人は先程言及された探偵事務所のある街のケーキ屋に勤めていた彼女と……なので色々と縁深い物ではあった。

 

「……名探偵のプリキュアか。もしいるとしたらまたいつか会えたらな……」

 

そして、影人は周りには聞こえないようにそう呟きつつ母親が作ってくれた美味しいマカロンを食べる事になる。




また次回もお楽しみに。
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