キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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突然訪れた遊園地デート

謎のメニュー解決から数日経った放課後。喫茶グリッターではうたがいつものようにお手伝い中である。また、今日は田中のバイト日でありその田中の隣には姫野もいた。

 

「姫野さん、こちらを」

 

「はい、ありがとうございます」

 

本来彼女は今日は休みの日。ただ、姫野は田中の隣で働けているからか心なしか幸せそうな顔をしていた。

 

そして、うたもうたでグリッターでのお手伝いが幸せなのか鼻歌を歌いながら働いているとカウンターの上に置かれた何かに気がつく。

 

「ふふんふふんふ〜ん……うん?」

 

そこにあったのは“はなみち遊園地”のガイドブックであった。ただ、このガイドブックは今日の朝は無く。うたの知る限りこの席を利用した客はいない。そうなると答えは絞られてくるわけで。

 

「……遊園地のガイドブック?もしかして田中さんか姫野さんのですか?」

 

「えっと、それは私では無く……」

 

「ああ、すみません。私のです」

 

どうやらこのガイドブックは田中の物らしい。バイト前まで田中はこのガイドブックを見ていたようで、この場所に置いたままバイトに入ってしまったようだ。

 

「田中さん、どうしてこれを?」

 

「遊園地はよくアイドルのイベントがありますから……仕事の合間に勉強してたんです」

 

「おぉ……」

 

田中はアイドルプリキュアのマネージャーとしてリアルアイドル活動が可能な場所を色々調べていたらしい。そして、遊園地というのは自ずと人が集まる。つまり、アイドルが活動するには持ってこいの場所の一つというわけだ。何なら、遊園地によっては屋外のライブ会場が併設されているパターンもある。

 

「田中さん凄い……アレだけ忙しい中でもアイドルプリキュアのための勉強を欠かさない……素敵です」

 

「遊園地でイベントなんて楽しそう!」

 

姫野は田中がアイドルプリキュアのマネージャーとして懸命に働く姿にいつも通りながら感銘を受け、うたも遊園地でイベントをする自分達の姿を想像して想いを馳せた。そんな時、グリッターの扉が開くとそこに常連客の蓮司がやってくる。

 

「どうも、こんにちは」

 

「蓮爺ちゃん!いらっしゃいませ!」

 

うたは蓮司の登場に嬉しそうにしつつ彼もまたいつものメニューを頼もうとしたその瞬間だった。蓮司は扉の枠の部分に脚を引っ掛けると躓いてしまう。

 

「いつもの……を!?」

 

「あっ……」

 

普段はこんなところで躓く事は殆ど無い。だからこそ蓮司も油断してしまったのだろう。田中や姫野では物理的に遠く、うたも反応が遅れた事があって間に合わない。そんな時だった。

 

「ッ!」

 

蓮司の後ろに来ていた青年が蓮司を後ろから支える形で助け出す。そして、その青年は蓮司を心配するように優しく声をかけた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「あ、ああ……」

 

そして、うたは蓮司を助けたこの青年の姿に見覚えがあるために思わず彼の名を呼ぶ。

 

「カイトさん!?」

 

その青年こそ、帽子と眼鏡で変装したレジェンドアイドルこと響カイトであった。そして彼は眼鏡を少しだけズラしてうたに瞳を見せつつ話しかける。

 

「久しぶり、またここのハーブティーが飲みたくなって」

 

カイトが周りにバレないようにそっとうたに来た理由を伝え、それに対して蓮司も彼が前にマックランダーの攻撃のせいで崩れた瓦礫が直撃しないように助けてくれた男だと思い出す。また、カイトの事はこの前のサインの時に正体を見ていたために余計に印象に残っていた。

 

「君は……レジェンドアイドルの……」

 

「うえっ!?」

 

そして蓮司は思わず周囲に他の客がいるにも関わらず、この場にカイトが来ているという事を言ってしまう。そのためうたは慌てて周囲を見渡すと幸いにもそれを聞いていた客はおらず。一安心した所で蓮司へと注意する仕草を見せる。

 

「しーっ!」

 

「すまんすまん。君に助けてもらうのは二回目だね。感謝の印にはなみち遊園地のチケットを受け取ってくれないかい?」

 

蓮司はうたから言ってはダメというジェスチャーを見せられて謝ると懐から二枚のチケットを取り出す。それは奇しくも先程までうたがガイドブックで見ていたはなみち遊園地のチケットだった。そして、蓮司は二度も助けてもらったお礼としてこのチケットを譲るとの事である。

 

「さっき福引で貰ったんだ」

 

「いえ、そんな……」

 

そして、助けたカイトもまさか蓮司がそれをタダでくれるとは思っておらず。思わずそれを貰うのを遠慮するが、蓮司としても何度も助けてもらったのにお礼の一つや二つくらいしないと気が済まないのか引こうとしない。

 

「受け取ってくれ。ワシのためだと思って」

 

「それじゃあ、お言葉に甘えて……ありがとうございます!」

 

蓮司からの強い要望に加えて、彼からチケットを手に持たされたためにカイトは最終的にチケットを受け取る事になった。そして、うたはカイトが受け取ったチケットを見て彼へと微笑むと声をかける。

 

「ラッキーですね!」

 

「うん!」

 

するとカイトの視線はうたの方に向くと同時に彼女が持っている何かに気がついた。それは先程まで話題に挙げていたはなみち遊園地のガイドブックである。うたが先程田中や姫野と話をした時からずっと持っていたそのガイドブックが気になったカイトは思わずうたへと問いかけた。

 

「……うん?それ、遊園地の?」

 

「おや?もしかしてうたちゃんも行きたかったかな?」

 

うたがガイドブックを持っているのを見てカイトだけで無く蓮司も彼女が遊園地に行きたいのだと勘違い。実際にはアイドルプリキュアのイベントの件の話だけだったのが少しずつ話が大きくなっているのを見てうたは慌てる。しかも、元々遊園地の事を持ち出した話題もアイドルプリキュアという他人に言えない事なので余計にどうすれば良いのかわからずに混乱していた。

 

「あっ、え、えーっと……これは……」

 

すると、どう答えて良いのか迷ったうたを見てカイトは微笑むとそんな彼女に貰ったばかりのチケットを見せつつある提案をする事になる。

 

「じゃあ一緒に行こうか……遊園地」

 

それは、遊園地に一緒に行くという彼からのお誘い。カイトが貰った遊園地のチケットも丁度二枚あるため二人で行く事自体は可能だ。ただ、そんな事よりも大事なのはうたがカイトに誘われたという事実。

 

そして、うたはその意味を理解すると頭の中が真っ白になっていく。それから数秒してようやく事態を飲み込むとお店の中であったにも関わらず、うたは驚きのあまりその場で叫んでしまうのだった。

 

「え……え……えええーっ!?」

 

尚、うたが叫んでしまったせいで周囲の客からの目線がうたへと集中。彼女はどうにか今叫んでしまった事を一緒に店の中にいた田中や姫野達と共に誤魔化すのだった。

 

それからカイトと改めてこの週末の土曜に遊園地へと行く事を約束。その日は一旦それで終わったものの、その週末の土曜日はあっという間に訪れてしまった。

 

「ホントにこの日が来ちゃった……」

 

うたはこの数日の間、家でも学校でも半ば夢を見ているかのようにボーッとしてしまうと周りの人から色々心配されてしまう。それでもどうにか乗り切ったうたは今現在、はなみち遊園地の入場口前に一人で来ていた。

 

「あわわ……髪、跳ねて無いかな!?顔にご飯粒付いてないかな!?」

 

うたは遊園地の入り口付近でカイトが来るのを待ちつつカイトと会う際に自分の格好が大丈夫かを慌てて再確認してしまう。このように、うたが身なりを気にするのにはある理由があった。

 

「ななちゃん達があんな事言うから……」

 

それは、カイトと遊園地に行くという話になった翌日。うたは学校後の放課後の時間で影人達を自分の部屋に上げて色々と話をしていたのである。

 

〜回想〜

 

「……って事があって……」

 

うたは先述した通り、ソワソワした態度を学校でもしてしまっていたために影人達に何かを抱えているというのは一発でバレてしまっていた。そのため、家で改めてこの話をすると早速こころが食いつく。

 

「うた先輩、それは絶対にデートですよ!」

 

「えっ!?」

 

こころがうたへと身を乗り出しつつ顔を近づけてカイトが誘ったのはデートであると指摘。そのためうたは思わず否定する。

 

「そ、そんなのじゃ無いよ。ね、レイ君?」

 

「……いや、確実にデートだな」

 

「ええっ!?」

 

うたはどうにかデートという考えを頭から外そうとするが、頼った先であるレイからもデートだという追撃を受けてうたは唖然としてしまう。

 

「ちょっ、ちょっ、レイ君。それ本気で言ってるの?」

 

「こんな時まで冗談は言わないよ。それに、誰が見てもこれはデートだってわかるからな」

 

「うぅ……影人君、お願いどうにかしてよ!!」

 

うたはレイから梯子を外されてしまったために影人へと助けを求めるように視線を向けるが、当の影人はあくまで平然とした顔のままうたへと無慈悲な答えを返す。

 

「諦めろ咲良さん。これはカイトさんとのデートだ」

 

「うわぁああ……影人君まで私を見捨てたーっ!」

 

影人さえも自分を擁護してくれない事にうたはガックリとしてしまう。そんな時、こころは先程から影人やレイを使ってデートだという事実を否定してもらおうとしているうたへと反論する。

 

「いやいや、見捨てたって言いますけどどう見ても二人で遊園地なんて絶対デートですよ。そりゃあカゲ先輩やレイ先輩も納得しますって」

 

「うぅ、でもまだ全員納得してないもん!ななちゃんもプリルンもメロロンもデートって言ってないから!」

 

うたはどうにかデートという言葉を否定するために今のやり取りでデートだと直接的に言ってない三人を持ち出して望みを繋ごうとした。そのためこころはそれならとななに話を振る。

 

「なな先輩もデートだと思いますよね?」

 

するとこころが話を振った所でななは丁度ジュースを飲むのをひと段落させると彼女もまた容赦無く考えをうたに話す。

 

「……デート……だね」

 

「ななちゃんまで!?」

 

ななにもしっかりデートであると言われたうたは唖然としていると更にそこに追撃の一撃とばかりにメロロンも言い放つ。

 

「デート……メロ」

 

「メロロンもー!?」

 

メロロンはデートの場面を想像するかのように顔をほんのり赤くしつつ自分の頬に手を当ててクネクネと動く。するとプリルンは隣でお煎餅を食べながらいつものように質問する。

 

「遊園地って美味しい物あるプリ?」

 

「うぇ?えーっと……」

 

うたは今の流れでその質問が来るとは思っておらず。反応に困ってしまう。そのため影人は彼女はいつもと変わらないプリルンという事で思わずツッコミを入れる。

 

「お前はデートって単語を聞いてもブレないなぁ」

 

「褒めてくれてありがとプリ!」

 

「褒めてねぇよ」

 

プリルンが恋愛については純粋過ぎてやっぱり無頓着という事はさておき。うたが答えを返そうとすると今度はななが話しかける。

 

「……そんな事より」

 

「うん?」

 

「プリ?」

 

「そんな事より、うたちゃんって……カイトさんの事どう思ってるの?」

 

なながうたへと指を差しつつ彼女へと爆弾を投げた。そしてそれはうたの心を動揺させるには十分だったのか……。彼女は一瞬にして慌て始めてしまう。

 

「うぇっ!?そ、そんなの……わからないよ」

 

うたは珍しく恥ずかしそうに顔を赤くしつつ俯く。そこに間髪入れずにこころが追撃する。

 

「じゃあ……嫌いなんですか?」

 

「嫌いじゃない!」

 

「そこは正直に言うんだな」

 

カイトへの対応からまず嫌いという線は除外できるとして、好きかと問われた場合に上手く答えられないというのは仕方のない事だろう。ただ、こういう時の他の女子というのは兎に角気になって仕方ないという事で。うたに更に聞く。

 

「じゃあ好き?」

 

「うぇ!?す、す、好きとかじゃ……」

 

「もう誘導尋問始まってないか?これ」

 

影人はななやこころがうたにカイトが好きって言わせたいが一心で誘導尋問をしているように見えてきていた。そして、レイもレイでこの状況を面白そうに傍観している所である。

 

「まぁ良いんじゃね?見てて面白いし」

 

「鬼かお前」

 

そして、中学生組が話しているのを聞きつつメロロンは友達がカイトに純粋な気持ちで恋をしているうたの様子に想いを馳せていた。

 

「これぞ純情……」

 

「純情って何プリ?」

 

ただ、やっぱりプリルンにはこの気持ちがわからないようで。この調子だと田中の言っていた通り、彼女が今の時点で人間の姿を獲得するのは難しかったように思えてくる。

 

「結局どっちなんですか?」

 

「わかんないよぉーっ!!」

 

結局この時はうたからカイトへの恋心についての自白を取る事はできず。影人達はカイトとのデートを楽しんできてという言葉で締めくくられる事になる。

 

〜現在〜

 

そんなわけでうたはカイトへの気持ちを余計に意識しながらこの日を迎える事になっていた。何なら今でもカイトへの気持ちが何なのか考えているくらいである。

 

「私は……カイトさんの事……」

 

うたが自分の気持ちについて考えているとそこにカイトがやってくると話しかけた。

 

「ごめん!待たせちゃったね」

 

カイトはいつものように帽子と眼鏡で変装しており、出かける際に身バレしない準備をした状態で来ていた。そしてうたはそんなカイトからの言葉によくある常套句で返す。

 

「えっ、いえ……私が早く来すぎちゃって」

 

「じゃあ行こっか」

 

こうして二人は揃って遊園地へと入場し、うたとカイトによるドキドキな遊園地デートが幕を開ける事になるのだった。




また次回もお楽しみに。
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