キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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それぞれのデート模様

場面が変わってここははなみちタウンの海。その砂浜でこころとぷりんはツーショット写真を撮っていた。今現在、彼女達がいるのは海を正面に見られる浜辺である。

 

「えい!」

 

まず二人でのツーショットは二人揃って海を背にしてウインクしつつ撮っており、それから早速何をするかという話になった。

 

「デートと言えば海!」

 

「お城作ろう!」

 

ただ、ぷりんはお姉さんの見た目にも関わらず、やはり中身はプリルンなようで。無邪気な様子で早速浜辺の砂でお城を作る事に。

 

「それかビーチバレーでも……あ、いや二人ならビーチフラッグの方が……」

 

そしてこころは浜辺でできる遊びとしてビーチバレーやビーチフラッグを挙げており、ここも運動ができる彼女の思考がよく現れていると言える。

 

「どっちも楽しそう!」

 

そして、楽しい遊びであれば興味の湧くぷりんは名前を聞いただけでやりたそうな表情を浮かべる。するとぷりんは視線の先に何か光るものを見つけると光った物が気になるのか早速それを拾う。

 

「あっ!」

 

「わぁ……綺麗!」

 

そこにあったのはピンク、水色、黒の綺麗な貝殻だった。砂浜に落ちている貝殻には鮮やかな色付きの物も確かに存在する。しかし、自然の物でここまで綺麗なのは中々無いだろう。そして、二人はその色合いに既視感を感じる。

 

「こうして見るとまるで……」

 

「「キュアアイドル、キュアウインク、キュアキッス!」」

 

ぷりんが拾った三枚の貝殻がアイドルプリキュアのカラーリングをしていると感じて二人揃って同じ事を口にし、意見が揃っている事を確認した。

 

「心キュンキュンしてます!」

 

「でもこうなったら……」

 

「キュアキュンキュン、キュアズキューン、キュアソウルビートを見つけて……アイドルプリキュアを揃えよう!」

 

「おーっ!」

 

折角今の段階でアイドルプリキュアカラーの貝殻が三枚も揃っているのだ。このままの勢いで全員分集めたいとなるのは至極当然の流れである。こころとぷりんの方針が決まった所で早速二人は捜索を開始するのだった。

 

場面が変わり、図書館にて。そこではななとめろんが到着しており、二人のデート場所はもうここだと決まっている様子だった。

 

「私達のデートはここで」

 

「ふふっ、図書館かぁ。良いね!」

 

前にめろんが“キズナのリボン”の本を探す時も二人はここに来ており、そのタイミングで仲良くなった。また、少なくともぷりんことプリルンとは中々一緒に行きづらい場所でもあるためにここに来れたのはななと一緒だからという側面が大きい。

 

「実は借りたい本があるの」

 

それから二人は早速デートをするために図書館の中へ。そしてめろんが探しているお目当ての本があると思われる場所の周辺を探していた。

 

「うーん……ッ!」

 

「どうしたの?」

 

二人が捜索する中でめろんはお目当ての本がある場所に辿り着く。……だが、残念ながら今は他の人が借りているのか貸出中と言った所なのか。本が置いてある場所に丁度空きがあった。

 

「借りたかった本、貸し出し中みたい」

 

めろんは残念そうな顔つきでそう告げる。幾ら借りたい本があったとしても、そこに残ってないのだとしたら借りるのは物理的に不可能。そのため仕方ないと言えば仕方ないのである。

 

「そっか。じゃあ他の図書館ならあるかも!行ってみよう!」

 

ただ、ななはまだ諦めてないのかそうやって別の図書館を薦める。しかし、めろんはこれ以上ななを自分の目的で連れ回すのには抵抗感があった。

 

「でも……良いの?私に付き合ってばかりじゃ、ななが楽しく無いでしょ?」

 

「ふふっ、二人一緒ならどこに行くのも楽しいよ!」

 

めろんが申し訳なさそうにするが、それでもななはめろんの手を取ると微笑みつつ答えを返す。

 

「ッ……ありがと……」

 

それを聞いてめろんは嬉しそうにしており、そのまま二人は別の図書館へと探しに行く事になるのだった。

 

場面がまた変わり、影人とレイの二人がいる場所。そこは“はなみちラウンド”と呼ばれるゲームセンター……なのだが、二人が来たのはその施設内のはなみちスポーツである。

 

「……それで、デートと言われて男二人で向かった場所がここか」

 

「ああ、そうだぜ」

 

「何でここにしたんだ。レイ」

 

「別に。特に深い意味は無いよ。強いて言えば面白そうだからかな」

 

「そういえばお前はそういう事で判断しそうだったな……」

 

それから二人は早速その施設のバスケットコートへと入ると1on1を始めた。勿論実力的にはブランクがあるとは言っても一時期天才小学生と持て囃される程の実力持ちのレイとこの前の球技大会である程度上級生やバスケ部員と言った格上相手に戦えたとはいえ、バスケを本格的にやった事の無い影人では実力差はどうしても生まれる。

 

「それで、俺と二人きりにしてお前は何か言いたい事があるんじゃないのか?」

 

「お、よくわかったな。何でだ?」

 

「いや、そりゃあお前の性格上……わざわざ俺達男同士のデートを推しておいて何も考えが無いなんて方が珍しいかなと」

 

影人の予想は当たっているのか、レイが笑みを浮かべると左から右に重心移動させてからすかさず左側に抜くテクニックをして影人を抜き去りシュートを決めた。

 

「ま、お前の予想は正しいよ。俺は理由があってこうする事を望んだ。勿論、ななの気持ちは尊重した上での話だけどな」

 

「まぁ、さっきのお前のあの発言に嘘は無さそうだし」

 

影人はそう言うとレイからボールを受け取って今度は影人が攻撃する番となる。

 

「それで、レイとしての理由は?」

 

「俺の理由か。まぁ至ってシンプルだ。……俺達のストレスのガス抜きってやつ」

 

「……それは運動する事でって事?」

 

「そうそう」

 

レイの狙いはストレス過多になりつつある自分達を運動をする事でリフレッシュするという点だ。何しろ運動には日頃のストレスを発散する効果がある。そしてこの施設は楽しみつつ運動をするための場所。レイが行きたがるのも無理はない。

 

「……なるほど、確かにここは俺達向きの施設ってわけだ。何しろ俺達は理由はどうあれ日常でストレスを溜めやすい環境下にいる」

 

影人の場合は暴走列車になりやすいうたやプリルン。偶に天然化するななにアイドルオタクになるとブレーキが壊れやすいこころ。更に地雷系女子であるメロロン。そして最後に目の前にいるドS系男子のレイ。彼等が暴走した際のブレーキ役を一手に担う事になる。そのためとにかくストレスを感じやすい。

 

レイの場合は幼い頃から父親の影響でやりたい事をやらせてもらえなかった事。そして家による縛りも厳しく同年代の子達と遊ぶのにもかかってしまう制限や、芸能界関連の人が日常的に実家の事務所に現れる事によるストレスが多いわけで。

 

「そ。だからせめてこういう時くらいガス抜きした方が良いだろって話!」

 

「なるほどな!」

 

そう言いつつ影人は先程レイがやってきた事を見よう見まねでコピーしてレイ相手に使用。ただし精度は劣るために再度もう一回の切り返しを入れて完全に抜き、シュートを決めた。

 

「ふぅ……。そういう事なら偶には俺達二人で楽しむか」

 

「おう。この施設ならストレス発散の物なんて幾らでもあるからな」

 

こうして、影人とレイのコンビはスポーツをする事でデート件ストレス発散をする事になる。

 

三組のデートが進む中、場面は遊園地に戻ってからの事。うたとカイトは遊園地を満喫中であり、次のアトラクションに向けて移動中だった。

 

「次何に乗りましょうか?」

 

「うーん、ここから近いのは……」

 

カイトが先程見た遊園地の地図を思い出しつつ答えを返そうとしていると二人の前を三人の男の子達が楽しそうにはしゃいだ様子で横切る。

 

「次はアレに乗ろうぜ!」

 

「えー、待ってよ!」

 

するとその瞬間、突如として強風が吹きつけるとうたやカイトはどうにか身につけている物が飛んでしまわないように抑える。

 

「ッ!?」

 

「くっ……」

 

どうにかして二人は何も物を飛ばされずに済んだが、先程自分達の前を通って近くにいた男の子の一人が被っていた帽子が風に煽られて飛ばされてしまう。

 

「あっ!!俺の帽子……」

 

「どうする?」

 

「あんなの届かないよ!」

 

風によって飛んでしまった帽子は男子小学生くらいの子達の身長ではジャンプしても届かない。しかも運の悪い事に帽子の飛ぶ先には丁度池のような物が存在しており……このままでは帽子は池の中に落ちてしまう。

 

「うたちゃん、待ってて」

 

「カイトさん!?」

 

するとカイトはうたにここで待つように促すと駆け出していき、一気にジャンプ。見事に空中にあった帽子を掴むと着地する。

 

「ふっ!」

 

空中の帽子をキャッチして池に落下するという事態を見事に防いだカイト。そこに男の子達が来るとカイトは優しい微笑みをしつつ手渡す。

 

「はい、どうぞ」

 

「ありがとうございます!」

 

男の子達は自分達だけでは恐らく届かなかったであろう帽子を取ってもらえたという嬉しさにお礼を言うとカイトの前から去っていく。ただ……運の悪い事に先程ジャンプしたタイミングで今度はカイトの帽子が外れてしまったらしく。帽子が無くなってしまったために髪が露出する事になってしまった。

 

「ねえ、あの人……どっかで見た事無い?」

 

「眼鏡かけてるからよく見えないけど……」

 

「芸能人かも……声かけてみちゃう?」

 

カイトの緑色の髪は彼自身が有名な事もあってどうしても既視感が出てしまう。そして、それに気がついた周りの女性客達がボソボソと話し始めていた。

 

「うえっ!?」

 

それと同時にうたは落ちていたカイトの帽子を拾うと周りの人達のそんなやり取りに気がつく。そして当然彼女は話を聞いて内心焦り始める。また、彼女はこのままカイトがここにいるとバレた時の想像を浮かべた。

 

「(不味い……カイトさんってバレたら……)」

 

そして、その場合……カイトのファンであるの女性達が一斉に突撃して自分なんて簡単に弾き飛ばされるのは目に見えてわかってしまう。

 

それ以前にうたと二人で来た事がバレたりでもしたらレジェンドアイドルとしての響カイトの株はガタ落ちだ。うただって嫉妬したカイ友に何をされるかわかったものでは無い。

 

「カイトさん、こっちに!」

 

そのためうたは慌ててカイトへと小声で話しかけつつ彼の手を握ると急いでこの場を離脱するために彼と共に走り出す。

 

「アトラクションが私達を呼んでいる!!」

 

多少強引だったが、話しかけられてしまうと面倒な相手だっている事からまずはここから逃げるのが先決。うたにしては素早く的確な判断をするとカイトと共にそそくさとその場からいなくなるのだった。

 

同時刻。チョッキリ団のアジトでは、またまたチョッキリーヌがバーの椅子に座りつつある事を思い出していた。それは勿論、いつまでもこの場に戻ってこないチョッキリ団の二人。カッティーとザックリーの事だ。

 

「はぁ……。思えばあの頃は良かった。アイツらや最近打ち解けてきたスラッシューとは違って、あの若僧はどうも腹が読めない」

 

「……先輩の言ってる若僧ってもしかして僕の事ですか?」

 

チョッキリーヌが一人でまたかつての日々を懐かしむ。もう二度と戻って来ないと知りつつも、自分の元部下であるカッティーやザックリーと過ごした日々は楽しく。彼女にとって充実した物だった。

 

そしてそんな時。チョッキリーヌの隣に座ったジョギが彼女を横から覗きつつ話しかける。

 

「そうそう。お前の事……へ?」

 

その瞬間、チョッキリーヌは一瞬唖然とした。彼女としては今の発言は独り言として誰もいないバーで呟いたはずの言葉だ。しかし、それをまさかのジョギ本人に聞かれているとは思っていなかったのだ。

 

「アンタ、いたのかい!?」

 

「ええ」

 

「ッ……お前は本当に神出鬼没だね。毎度毎度いきなり出てきてくれて」

 

「あははっ、そんなに怖い顔しないでくださいよ」

 

チョッキリーヌはまたジョギ相手に良いようにしてやられているという事実にどうしても納得がいかない様子だった。

 

「それで……アンタはまた私にウザ絡みをしに来たのかい?」

 

チョッキリーヌが警戒心を露わにしているとそれを聞いたジョギは笑みを浮かべると共に立ち上がる。

 

「……安心してください、僕はこの後すぐに出かけますよ。今日の留守番はあなたです」

 

ジョギは自分から行くと言い出すが、勝手に当番を決められたのが納得いかないのかチョッキリーヌは声を荒げる。

 

「何でアンタが決めるんだ!それに、アンタもスラッシューの指示が無いと動けないはずだろ!」

 

「え〜?僕は優秀な部下ですから、わざわざ先輩や上司の指示が無くてもやって欲しい仕事をちゃんとやる人なんですよ。……誰かと違ってね」

 

どうやら今回の出撃はジョギの独断らしい。チョッキリーヌがスラッシューへと物申したかったのだが、肝心のスラッシューはこの場におらず。どうする事もできなかった。

 

「はぁ!?その誰かって私の事じゃないだろうね?」

 

「別に誰の事を言ったって良いじゃないですか」

 

ジョギがまたいつもののらりくらりとした対応をするとチョッキリーヌは彼のペースにどんどん嵌ってしまっているのか苛立ちを溜める一方である。

 

「くぅうう……先輩は私だよ!生意気な事ばかり言って……」

 

「あー、確かにそうでした。チョッキリーヌ先輩(・・)

 

ジョギはわざとらしく“先輩”という言葉を強調するとそのまま去っていく。そのため彼女は怒りを露わにしつつその場で叫んでしまう。

 

「ムキーッ!?アイツ生意気ぃいいっ!!」

 

「はぁ……本当にいつになったら仲良くしてくれるのやら」

 

するとそこにスラッシューが姿を現す。どうやら彼女は今の二人のやり取りの一部始終を見ていたらしく。彼女もまたジョギがチョッキリーヌ相手に生意気な態度を取るのには少し頭を悩ませていた。

 

「スラッシュー、アンタ……今日はどっちだい?」

 

「は?それは私の性格の事?……何度も言わせないで。私は私よ」

 

「ッ……」

 

チョッキリーヌはそれを聞いて背筋に寒気が走る。つまり、今のスラッシューは冷酷な方だという事だ。

 

「……さっきはジョギの事を言ったけど、あなたも本当に切り替えないわね?あの二人はもう戻って来ない。あなたに今できるのは世界をクラクラの真っ暗闇に染める事。それ以外に何をするっていうわけ?」

 

スラッシューが鋭い視線をチョッキリーヌに向けると彼女は無言になる。するとスラッシューの手の握り拳が強く握られているのを見た。

 

「……プリキュア、良い加減諦めれば良いのに何なの?私の事を説得しようとして……それで私の調子を狂わせて……私がやりたいのは……私の事を苦しめたこんな世界を……」

 

「ッ……スラッシュー、アンタ……」

 

チョッキリーヌがスラッシューの言動に違和感を覚える。それは、最後に言った一言。まるでスラッシューが過去に世界に恨みを抱くような何かをされたと言う事。そして……彼女自身の中に無意識ながら過去の記憶の断片が言動に出始めているという事だ。

 

「……アイドルプリキュア……光の世界で輝くあなた達なんかに……ドン底に落とされた私の気持ちがわかってたまるか……」

 

スラッシューの心は嫉妬の炎に燃えており、チョッキリーヌはそんな彼女を見て危うさを感じる事になる。




また次回もお楽しみに。
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