キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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レジェンドアイドルが見た現場

ジョギによってダークランダーが召喚された頃、丁度そのタイミングでうたとカイトは観覧車から降りてくる。そして、二人が乗ったタイミングが良かったのか……観覧車には既に列が出来ている所だった。

 

ただ、今のうたにはそんなのどうでも良いと思えるくらいにある事が脳裏に焼き付いて離れなかった。

 

「(……さっきのカイトさんの顔……)」

 

それは先程観覧車で会話する際に見せたカイトのあの何かを思ったような顔である。あんなに曇った顔を見せたカイトは初めてであり、確実に過去に何かがあったのだと思われた。

 

「(それに、前に会った時も……凄い真剣な顔をしてた)」

 

それは自分のサインを考え、ファンの人相手にどう接するべきか学んだ時。カイトは別れ際に真剣な顔つきで絆を離してはいけないと言ってきた。これらの事からうたはカイトが悩む理由が知りたいと感じており、勇気を振り絞ると彼に直接聞こうとする。

 

「あの……カイトさん」

 

「なんかアレ……変じゃない?」

 

「あの空、変だよね」

 

そんな時、うたの視線の先には紫の空間に覆われて暗くなった空が広がるのが見えてしまった。しかも、それは少しずつこちらにも近づいてくるようにも見える。そしてうたはこの空の正体を知っていた。

 

「……何だ?」

 

「(ダークランダー!?こんな時に……)」

 

うたはこの空からダークランダーの出現を察知すると隣にいるカイトをチラッと見る。するとカイトはある事を思い出していた。

 

「この空……確かあの時も……」

 

「(ッ、そっか……カイトさんは蓮爺ちゃんを助けた時に……。仕方ないけど……)」

 

カイトはかつてマックランダーの攻撃によって建物の倒壊から蓮司を助けた事がある。そのため、この空が出る事で人々に危険が迫るというのも知っていた。うたはこのままでは一緒に逃げるという話になりかねない。

 

「カイトさん……安全な所に!」

 

そのためうたはカイトへと前置きはせずに直球で逃げるように言うと自分はそのまま暗い空の中に向かって走っていく。

 

「えっ!?うたちゃん!!」

 

「すぐに戻ってきますから!」

 

うたはカイトと話をして引き止められてしまうと困るために何かを言われる前に急いで走って現場へと駆けつける。

 

「(うたちゃん……もしかして……)」

 

カイトはアイドルプリキュアが怪物と戦う事に関しては既に影人から聞いて知っている。だが、まだアイドルプリキュアの正体に関しては知らないわけで。そんな時にうたが怪物のいる方に迷い無く駆け出したのであればその予想に辿り着くのは容易に想像できた。

 

「(兎に角プリキュアだったとしても、そうじゃなかったとしても……このままうたちゃんが危険な目に遭うとわかっててここにいるのはきっとダメだ)」

 

カイトはそう考えつつうたの後を追って駆け出す事になる。それから少しして。先にコーヒーカップの付近に移動したうたはダークランダーの元に到着する。

 

「ッ……やっぱりダークランダー……」

 

「おや、君一人かい?」

 

すると、うたが到着したのを見たジョギは彼女が一人だけなのを見てそう問いかける。そして、うたはそのまま一人で立ち向かおうとしたその時。

 

「誰が咲良さん一人だけって?」

 

「む……」

 

その瞬間、影人の声が聞こえるとうたの元に他の五人も到着。また、妖精組の二人は先程ダークランダー出現の際に変化しなかったままのため、人間態の状態だった。ちなみにここに来ていないレイは入り口付近でこの暗闇の空の下から慌てて逃げてきた客達の誘導をしている所である。

 

「うた先輩!」

 

「良かった。無事だね」

 

「皆……」

 

「あーあ、揃っちゃったかぁ。まぁ別に良いけどさ?」

 

ジョギとしてはこのままキュアアイドル一人だけの方が気持ちとしては楽であったために少しだけ期待していたが、それでも仲間が揃ったのならそれはそれで仕方ないと考えていたために気持ちを切り替える。

 

「こんな時にまで来てくれて……」

 

「皆、行くよ!」

 

『(うん)(はい)(ええ)(おう)!』

 

こうして六人は囚われてしまった子供を助けるべくプリキュアへと変身。その姿を変えていく。

 

ただし、今回はいつもと違い妖精組のプリメロが人間態からの変身開始なためプロセスが一部違っていた。

 

まず本来ならプリメロが人間態になる所からスタートになるシーンは最初から人間であるためにキラキラショータイムマイクの生成。二人がそれらをキャッチするシーンへと変化。

 

「「「「「「プリキュア!ライトアップ!」」」」」」

 

そして、本来ならアイドルハートブローチとキラキラショータイムマイク、ソウルリンクライトが同時に映るシーンの方はうた、なな、こころのアイドルハートブローチと影人のソウルリンクライトを手にしつつリボンを装填するシーンへと変化。

 

その後いつも通りにキラキラショータイムマイクのカバー回転のシーンが入ってから三回のアイテムタッチシーンが入り、それぞれの掛け声を言う。

 

「「「キラキラ!ドレスチェンジ!」」」

 

「「キラキラ!ショータイム!」」

 

「キラキラ!ソウルリンク!」

 

「「「「「「YEAH♪」」」」」」

 

そこからはいつも通りの変身シーンだ。それによって六人の姿はプリキュアへと変わる。

 

「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」

 

「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」

 

「キミと踊る、ハートのリズム!心キュンキュン、キュアキュンキュン!」

 

「ハートをプリッとロックオン!キミとズッキュン、キュアズキューン!」

 

「ハートをメロっとひとりじめ!キミと口づけ、キュアキッス!」

 

「キミと輝く、ハートの鼓動!繋がる魂、キュアソウルビート!」

 

「「「「「「We are!キミとアイドルプリキュア♪!」」」」」」

 

こうして、アイドルプリキュアの六人が名乗り終わって降り立つ。ただ、そのタイミングでうたを追いかけて現場にやってきたカイトが到着。プリキュアがダークランダーと対峙する場面を見かけてしまった。

 

「ッ……あれは、アイドルプリキュアと怪物。やっぱり……」

 

「ッ!?」

 

そして、ソウルビートはカイトがここに来てしまったのを気配で察知すると一瞬だけその方を向く。だが、同時にソウルビートはジョギもダークランダーもカイトには気が付いてないと確認したために今は敢えて反応せずにスルーする事にした。

 

下手に反応してジョギ達にカイトの事を知られれば彼がターゲットにされる危険が跳ね上がってしまうからである。

 

そして、その状況を知らないキッスはいつものように投げキッスを使用。キッスの精が飛んでいく。

 

「お願い、チュッ!ハートガーデン!」

 

これによりハートガーデンを展開するとダークランダーごと自分達をその中に移動させる。

 

それと同時に外部ではダークランダーが出る事で発生する暗い空とハートガーデンの中に転送した影響でその場にいたプリキュアの六人やダークランダーが消失。カイトは驚きに目を見開く事になる。

 

「ッ、消えた。そうだ……うたちゃん……」

 

カイトはそれを見て急いで周囲を見渡すが、ダークランダーのいる方に向かったはずのうたの姿は見えない。そのためカイトの脳裏にある予感が浮かぶ。

 

「……やっぱり偶然にしては出来すぎてる。もしかしてうたちゃんって……」

 

カイトはアイドルプリキュアと関わる度にうたとも話をする回数が増えていると感じ、やはり何かしらの関係性があるのではという答えに辿り着いてしまうのだった。

 

それはさておき、ハートガーデンに転移したダークランダーとプリキュア達まず最初に動き出したのはダークランダーである。

 

「ダーク……ランダー!!」

 

ダークランダーはその体を高速回転させながらプリキュアへと突進。プリキュア達がその突進を回避するとその動きから今回のダークランダーのモチーフを早速見抜く。

 

「アレってもしかして……コーヒーカップ!?」

 

ウインクがそう言った所で通り過ぎていったダークランダーは高速回転を止め、プリキュアの方を向く。

 

「遊園地は楽しくて……キラッキランな場所なのに!」

 

「デートの邪魔は許しません!」

 

「ダークランダー!」

 

するとダークランダーは再度高速回転しながらプリキュアへと向かってきた。そのため、まずはアイドルが飛び出す。

 

「アイドルグータッチ!」

 

「クラクラクラァッ!」

 

アイドルのグータッチとダークランダーの高速回転がぶつかり合うとその力で押し合う。

 

「くぅううっ……はあっ!」

 

「ンダ!?」

 

その押し合いは双方互角だったためにアイドルとダークランダーは共に攻撃を相殺。これによりダークランダーの回転が止まったのでソウルビートはチャンスと見てすかさずソウルリンクライトのダイヤルを回転させる。

 

「キュンキュンの力、ソウルビートレーザー!」

 

「ダーク!?」

 

ソウルビートが放った紫のレーザービームは回転が止まった事で勢いを失ったダークランダーに命中して怯ませる。

 

「ダークラン!」

 

「ッ、思ったよりタフだな」

 

だが、ダークランダーも今のだけでやられる程弱く無い。ソウルビートからのレーザーが止んだ所を見てすかさず再度回転攻撃を仕掛けた。

 

「来る!」

 

「ここは私が!ウインクバリア!」

 

そのタイミングでウインクがバリアを展開。ダークランダーからの突進を見事に押し留めると跳ね返す。

 

「ダーク……ラ!?」

 

ダークランダーが返り討ちに遭って吹き飛ばされたのを見たジョギはダークランダーの不甲斐なさに話しかける。

 

「おいおい、まさかこの程度じゃ無いよね?」

 

「ダーク……ラン!」

 

ダークランダーはジョギからそう言われて立ち上がるとすかさず目が赤く発光。同時に飛び出すとそのスピードは先程以上だった。

 

「ッ!?しまっ!」

 

「ダーク!」

 

そして、先程までのダークランダーがいつもより弱かったのに油断してしまったのか……。アイドルがダークランダーに捕まってしまう。

 

「アイドル!!」

 

「うわぁああっ!?」

 

そのままアイドルは真上に放り投げられるとソウルビート達は動き出そうとして止まってしまう。何しろ折角アイドルを捕まえたのにダークランダーがアイドルを真上に投げたという事でその有利を放棄したのだ。

 

そのため、ダークランダーがこの後何をするかわからず警戒してしまったのである。だが、ダークランダーはソウルビート達を無視しながら跳び上がった。

 

「うえっ!?な、何……」

 

「良し、やれ!ダークランダー!」

 

「ダークランダー!」

 

そのままアイドルを自らの体であるカップの中に捕える形で閉じ込め、その上で再度の高速回転。そのためアイドルはカップの中で目を回してしまう。

 

「アイドル!?」

 

「うわぁああ〜!?め、目がまわるぅう!?」

 

「そのまま突撃だ!」

 

そして、アイドルをカップの中に捕まえたまま高速回転しつつ他のプリキュア五人へと突撃。

 

「ッ!?」

 

「うわあっ!!」

 

「お前、悪役らしく人質作戦かよ!」

 

ソウルビート達はアイドルがカップの中に捕まっているという事で下手に手を出す事ができず……。ダークランダーからの突進を回避するので手一杯だった。

 

「良いぞ、その調子だ!」

 

「アイドルを放しなさいよ!」

 

「放せと言われて放す悪役がいるわけ無いじゃん」

 

「くっ、このままじゃ……」

 

ジョギはキッスの言葉を突っぱねるとズキューンがどうすれば良いのかわからずに困り果ててしまう。するとソウルビートが一同に声をかける。

 

「ウインク、キュンキュン、二人は俺と一緒にダークランダーを引きつけてくれ!キッスはキッスショックだ!」

 

「ッ、でも……」

 

「キュンキュンやズキューンが技を使うよりもキッスが使った方がアイドルへの負担が小さくなる可能性が高いんだ!」

 

「わかった。アイドルごめん!」

 

キッスはソウルビートの言葉を信じてすかさずリップを塗る形でキッスショックを発動させる。

 

「チュッ、キッスショック!」

 

「ダーク……ラァアアン!?」

 

キッスからのキッスショックが命中するとダークランダーは電撃によって体が痺れた影響か、回転がストップして千鳥足になる。

 

そして、同時にアイドルもカップから落ちる形でようやく解放された。ただ、キッスが危惧したようにアイドルが電撃で大きなダメージを受けたわけでは無さそうである。

 

「これって……」

 

「キッスショックは暗闇の力を持つ相手を痺れさせる効果を持ってる。他のプリキュア達の技と違ってそれならアイドルに誤射して当てたとしても暗闇の力なんて持ってないアイドルなら問題無い可能性が高かったんだ」

 

「流石ソウルビートです!」

 

それに、キュンキュンレーザーでは回転する敵相手に火力不足のリスクがあるのとズキューンバズーカーは威力の高さとズキューンが手加減できないリスクがあったために結果的にキッスショックが正解行動だったわけである。

 

「お姉様、今です!」

 

「オッケー、私も負けてられない!」

 

ズキューンはキッスに促されると張り切ったように声を上げ、すかさずアイカラーを使用。ズキューンバズーカーを放つ。

 

「ズキューンバズーカー!」

 

「ダーク!?」

 

その一撃が痺れのせいで千鳥足のダークランダーに命中し、尻餅を付かせる。そして、倒れていたアイドルもこのタイミングでどうにか起き上がった。

 

「アイドル、大丈夫?」

 

「行けますか?」

 

ウインクとキュンキュンがアイドルを心配すると彼女は頬を軽く叩いて気持ちを入れ直し、戦う意思がある事を示す。

 

「もう大丈夫!」

 

そして、ダークランダーもまだやるつもりなのか起き上がって対峙。そんな時、ソウルビートがジョギへと声をかけた。

 

「なぁ、ジョギ。お前に話がある」

 

「……いきなり何?」

 

「戻りかけていたスラッシューの記憶に上書きを施したの……お前だな?」

 

『えっ……』

 

ソウルビートはジョギを睨むように見据えつつそう問いかける。アイドル達はそれを聞いて驚いたような顔を見せ、ジョギはそれを聞いて無言になると少し考える様子を見せるのだった。




また次回もお楽しみに。
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