キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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影と心の気持ち アイドルプリキュア(変身前)との初対面

こころと二人でPretty_Holicを訪れた次の日の朝。影人とこころはもうすっかり日課となった朝の練習をしていた。

 

「お疲れ様。こころ」

 

「はい。カゲ先輩!」

 

一通り踊り終えたこころは影人から受け取ったタオルやドリンクを手にすると弾む息を整える。

 

「カゲ先輩。今日はアイドル研究会の活動日ですので、よろしくお願いします!」

 

「ああ。昼休みだよな」

 

影人の問いにこころはニッコリと笑って頷く。それから二人は朝練を終えると家へと戻っていく。こころの家は瓦屋根の和風の一軒家。その扉を開けながらこころは鼻歌でキュアアイドルのステージ曲である“笑顔のユニゾン”を歌う。

 

すると家の中からこころよりも暗い紫の髪をショートヘアにカットして鞄を肩にかけ、スーツを着て腕時計を見ながら出てきた女性が来る。彼女の名前は紫雨愛。こころの母親だ。

 

「ああ、おはようこころ!」

 

「お母さん、もう仕事?」

 

「うん!」

 

「行ってらっしゃい」

 

「こころも学校遅れないようにね!」

 

それから二人がハイタッチするとすれ違う。すると愛はふと思い出したようにこころへとある事を聞いた。

 

「あ、そういえばこころのお気に入りの男の子、影人君とは上手く行ってる?」

 

「ふぇっ!?う、上手くって何が!?」

 

「ふふっ。その感じだと仲良くなってるみたいね。今度また紹介してね」

 

「そ、そのうちね!」

 

それから愛はやっと出かけていき、こころは僅かに赤い顔で“調子狂わされた”と思いつつも部屋へと入っていく。

 

「ここちゃん。朝ご飯できてるよ」

 

「はーい!」

 

すると次にこころへと声をかけたのは白髪の女性でこころの祖母である西村恵子である。ただ、こころと名字が違うために母方の祖母という事だろう。更に言えばこころの母親は元々西村愛であるという点もこれで確定した。

 

「いただきます」

 

それからこころは体だけちゃんと拭いてから祖父の西村誠、そして祖母の恵子の二人と共に食卓を囲んでご飯を食べる。

 

「はむっ……」

 

「そういえばここちゃん。影人君とは上手くいってる?」

 

「もう!おばあちゃんも同じ事言うの!?私とカゲ先輩はまだまだそういう関係じゃ無いよ」

 

「でもここ最近、ここちゃんの顔が活き活きしてる日が増えたと思うわ。私はその影人君のお陰だと思うわよ」

 

「ッ……。それは私もそう思う……。カゲ先輩のおかげで正直毎日が楽しいから」

 

ご飯を食べ終えたこころは部屋に戻るとそこにはキュアアイドル、キュアウインクの応援のための団扇が壁にかけられており、彼女達のポスターを壁に貼っていた。前のライブ動画のライブ映像の直前にあったプリキュアの変身完了から名乗りまでのシーンの中で切り抜いた物を使っているのだろう。

 

「あ、そうそう。これも持っていくんでしたよね」

 

こころは学校の制服に着替え終わると何かが入った巾着を手に取るとそれを鞄の中へ。そして棚の上に置いてあった自作のキュアアイドル、キュアウインクのアクスタの間に存在する今は亡き父親。紫雨信二の遺影へと手を合わせてから“行ってきます”の挨拶をする。

 

「お父さん。行ってきます」

 

それからこころは家を出る。その少し前。影人も影人で準備を進めていたのだが、夢乃から色々と追求を受けていた。

 

「お兄ちゃん、こころ先輩とはどうだったの?ほら、流石にキスはまだでも手を繋ぐとかはしたよね?」

 

「煩え。まだだって昨日から何度も言ってるだろ。しつこいぞ夢乃」

 

「えぇ〜。またまたぁ。そんな事言って。本当は?」

 

「(ウゼぇええ……)」

 

夢乃は割と好奇心全開で影人へと昨日の放課後デートについて聞かれていた。尚、影人的にはまだ本格的なデートでは無いと思っているために二人の間で話が違うことになっているが。

 

「それでさ。お兄ちゃんはこころ先輩の事をどう思ってるの?」

 

「……俺の事を助けてくれた恩人で、学校の先輩後輩で、大切な友達。以上」

 

「むーっ!そんなのダメだって言ってるじゃん!毎日毎日朝顔を合わせて二人でそれなりの時間過ごしてるのにまだそこ止まりなの?」

 

夢乃としては影人のこころへの対応の薄さに不満を感じていた。彼女は昨日話しただけでこころが兄の嫁として来ても大丈夫な人だと認めている。それにこころの朝練に一緒に行くようになってからもう数週間。良い加減何かしらの進展が欲しいと思っていたのだ。

 

「お兄ちゃんは乙女心をわかってなさすぎ!どうしていつも冴えた頭してるのにこういう事はちゃんとしてないの!?」

 

「なんでそんなにお前に指摘されないとダメなんだよ。それに、まだお前は小学生で彼氏の一人も作った事無いくせにわざわざ口出ししてくるな」

 

「あーっ、言ったな〜!」

 

それから夢乃は後ろから影人へとタックル気味に抱きつくと彼の脇腹をくすぐり始める。

 

「あひゃっ!?お前、やめ……くすぐったいだろ!このブラコン妹!」

 

「ブラコンですが何か〜?そんなの私には痛くも痒くも無いよ!」

 

正直、影人は夢乃のブラコン気質には割と呆れ果てていた。それでも彼はこの夢乃のブラコン気質を真っ向から否定はしていない。それにはある理由も存在するのだが、それはさておこう。

 

「夢乃も夢乃で学校あるんだから準備しろよな」

 

「え〜?私は集団登校の時間に合わせれば問題無いし、制服無しだから着替えの必要も無いから大丈夫だけどなぁ〜」

 

「ぐっ……」

 

夢乃は今、ちゃんと学校に行く用の私服を着ている。制服への着替えの手間が無いためにギリギリまで影人に構って欲しいと言わんばかりなのだ。

 

「……お前の妨害がしつこいから予め言っておくが、俺にこころと付き合う資格なんて無いんだよ」

 

「……え?それってどういう事?まさか、本当に向こうが告白とかしてもお付き合いしないつもり?」

 

影人は俯いたまま夢乃を振り切ってさっさと学校へと出かけてしまう。そんな兄の横顔は“こころと付き合えなくて苦しい”と言わんばかりの痩せ我慢をしたような物だったために夢乃はボソッと呟く。

 

「……お兄ちゃんの馬鹿。何また我慢してるの。それと、こころ先輩の気持ちぐらい考えてあげなよ……」

 

それから影人は一人で歩きながらこころの事を考えていた。……正直な所自分は今、こころに惹かれている。ダンスの時の真剣な顔つき。どこまでも真っ直ぐな向上心にダンスの綺麗さ、そして汗を拭いた後見せる息を整える時の顔。ニコニコとした笑顔に自分を慕ってくれる目線。彼女の声に息遣い。

 

むしろ、彼女を好きにならないはずが無かった。でも影人はその気持ちを殺そうと考えている。

 

「(俺がこころの隣にいたら……ダメだ。あの子はあの子で進むべき未来がある。特に、プリキュアに直接関わらせたら絶対にアウト。あの子はまだ中学生になったばかり。まだ間違っても心が強いなんて言えない)」

 

影人はこころがプリキュアに関わってしまうのが不安だった。そうすれば彼女の慕い、目指しているアイドルプリキュアとしてのイメージは儚く崩れ去る。恐らく、今の自分には到底目指せないと判断してしまうだろう。

 

「……だったら俺はこころとは付き合えない。付き合えば絶対にプリキュアの事に巻き込んでしまう。そうなったらきっと……」

 

自分は目の前でこころの心が折れるのを目の当たりにする。絶望に満ちた彼女の顔を影人は見たく無かった。

 

「ダメだダメだ……。俺がこころを不安にさせたら元も子もない」

 

影人は頬を叩いて気を引き締めると気を取り直して学校へと歩いていく。するとそこに一緒に登校していたうたとななが合流した。

 

「あっ、影人君。おっはよー!」

 

「おはよう、影人君」

 

「咲良さん、蒼風さん。おはよ」

 

「……珍しいな。咲良さんが遅刻ギリギリな登校になってないの」

 

「えへへ〜。今日は偶々早起きできたから気分を変えて早めに来てるんだ〜!」

 

「……それ、毎朝できないのかよ」

 

影人がうたのいつも通りの思考回路に呆れると溜め息を吐く。するとプリルンがうたの鞄から顔を出した。

 

「プリ!今日は何だか紫のお星様が夢の中でキラキラしてたプリ!だから興奮して飛び起きたらうっかり飛び回ってうたのお腹に頭を打ちつけたプリ〜!」

 

「……って、咲良さんの早起きの原因お前かよ……」

 

「プリルン、それは今日話さないって言ったでしょ……」

 

「プリプリ〜」

 

どうやら自力でうたが起きたのでは無いと知った影人は更に呆れ果てた。やはりうたが自力で早起きするのは難しいのかもしれないという事だろう。

 

「あっ、皆おはよう!」

 

するとそこに友達の東中みことが歩いてきた。これで四人が揃うとプリルンは一度鞄の中に隠れる。

 

「そういえば、影人君は今日からアイドル研究会に本格参加だよね!」

 

「そうだけど」

 

「楽しみにしててね!アイドル研究会、一度入ったら止まらないから」

 

そう言う東中の言葉はとても興奮しており、アイドル研究会を満喫してると言わんばかりだった。

 

「みこと、楽しそうだね!キュアアイドル研究会!」

 

「うん!今はキュアアイドル&キュアウインク研究会になったんだ〜!」

 

そんな風に東中がキュアアイドルのハートとキュアウインクのキラキラマークの両方が表裏の面に入った団扇を取り出す。

 

「ええっ!?」

 

東中の言葉にななは自分も研究対象になっているせいか顔が赤くなる。うたは褒められると喜ぶタイプだが、ななは照れくさくなるタイプのようだ。

 

すると四人が進むT字路の左側からこころがイヤホンにキュアアイドルの曲を流しながら登校していた。

 

「キミのハートにとびっきり♪」

 

こころはキュアアイドルのように夢中になって軽く振り付けまでしている状態である。周りから見れば変な子と見られかねないその状況だが、まだ周りは気づいてない様子だった。

 

「キュアウインク、可愛いよね!」

 

「うん!」

 

「………」

 

「(咲良さん。不自然にならないようにするための返事だろうけど、本人の前で堂々とそれ言うか?)」

 

影人はうたの言葉に内心でツッコミを入れる。ただ、うたの事なので空気を読む読まない関係無しに善意で言っているのだろうが。

 

「プリプリ」

 

プリルンもコッソリと鞄から出るとうたの肩に乗って小さく肯定。ななもそれを受けて嬉しそうになると彼女は歩いてくるこころを視認した。

 

「ゼッタイ!(ゼッタイ!)アイドル!(アイドル!)♪……あ」

 

丁度そのタイミングでこころは両手を広げながらそれなりに大きな声で歌ってしまうと周りから注目を浴びている事に気がついて固まる。

 

「こころ、好きなのはわかるが時と場合を考えてくれ……」

 

影人がそう言う間にうたは興奮した顔つきになるとこころの元に近寄っていく。

 

「うわぁ……それって私……」

 

「じゃなくて……キュ、キュアアイドルだよね?」

 

「まぁ、そうですけど……」

 

「咲良さん、とことん隠し事向かないタイプだなぁ……」

 

影人はうたの正直さには半ばもう諦めており、今回はななのフォローが間に合って安堵の顔を浮かべる。

 

「熱い気持ちがつい溢れてしまいました……」

 

「良いね良いねぇ。キラッキランラン〜!」

 

うたの何気ない言葉にこころは目を光らせるとその言葉がキュアアイドルの口癖だと指摘する。

 

「その言葉はキュアアイドルの!さては先輩……」

 

「ギクッ……」

 

まさかの口癖からの正体バレかとうたもギクリと冷や汗をかく。するとこころは鋭く指摘するように問いかけた。

 

「ファンですね?」

 

「へ?」

 

「ホッ……」

 

ただ、最悪の事態は避けられたためにななもホッとしたような顔つきで胸を撫で下ろす。多数の生徒が存在するここでご本人だとバレるのは色々と危険だからだ。

 

「ま、まぁ!?ファン……かな……」

 

「どうしましょう……カゲ先輩の近くにいる長くいるだけでもライバルとして強敵なのに先輩と同じくファンだなんて……ブツブツ……」

 

「……こころ?」

 

こころはうたや更にとばっちりとばかりにななの事も影人の事が気になっていると勝手に断定。どうやって自分が影人の印象に残れるようになるだろうかとブツブツと呟き始めた。

 

「前みたいに勘違いしないように言っておくけど違うからな?」

 

影人はこころが何を考えているか察すると否定の言葉を示す。すると東中がひとまずこころを紹介する事に。

 

「ひとまず、この子を紹介するね。彼女はアイドル研究会の会長をやってる紫雨こころちゃん。それで、こっちの三人は私の友達のうたちゃんにななちゃん、影人君だよ。あ、でも影人君の事はこころちゃんも知ってるよね」

 

東中に紹介されてこころは我に帰るとひとまず自分の自己紹介を済ませる事にした。

 

「申し遅れました。初めましてですね。うた先輩、なな先輩。私、キュアアイドル&キュアウインク研究会の会長で一年生の紫雨こころです。影人先輩とは昔一度会っていて、そこから知り合ってます」

 

こころが礼儀正しく頭を下げると顔を上げる。こころは本来は真面目な性格なのでこの辺りはしっかりしているという事だろう。

 

「キュアアイドルとキュアウインクの大ファンなの」

 

「はい!心キュンキュンしてます!」

 

「心……」

 

「キュンキュン?」

 

「こころちゃんはダンスが上手でね。キュアアイドル達の振り付けを教えくれたりするんだ!」

 

するとこころと東中でキュアアイドルがやってるハートを手で作ると東中の方が間違ってる事に気づいたこころは彼女の手を修正。どこからか取り出した研究会のポスターを出す。

 

「先輩達も良かったら研究会来てください。今日の昼休みに活動しますから。それと、影人先輩はよろしくお願いします」

 

「ああ。よろしく」

 

こころはうたへとポスターを手渡してから影人へとそう促すと先に登校していった。そんな中、プリルンはそのポスターを見て好奇心旺盛と言わんばかりの顔つきになる。

 

「行きたいプリ〜」

 

それから一同は学校へと登校するといつも通りの授業を受ける。そして、昼休みまで時間は進むのであった。




また次回もお楽しみに。
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