キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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うたの胸に秘めた本当の気持ち

ダークランダーが浄化され、ジョギが撤退したためにうたはハートガーデンから出ると周囲を見渡す。

 

「カイトさんは……良かった。見られてない……」

 

このハートガーデンから出てくるタイミングで誰かに見られてしまうのがうたとしては一番心配であったが、どうにか出てくる瞬間はバレずに済んだ。

 

「っと、早くカイトさんを探さないと!」

 

うたはカイトに心配をかけまいと急いで彼を探す。すると幸いにも割と近くに出ることができたのか……。カイトの事をすぐに見つけることができた。

 

「カイトさん!」

 

うたが声をかけると彼もまた気がついたのか、うたの方を振り向くと同時にうたが彼の前に到着。そして、カイトもまたうたの事を心配したのか。彼も慌てたような声で話しかけてくる。

 

「うたちゃん!?探したよ、どこ行ってたの?」

 

そして、うたはその質問に対してどう答えるか悩む。何しろ、プリキュアの事をカイトの目の前で堂々と言うわけにはいかない。ただ、うたはこういう時の都合の良い誤魔化し方が浮かぶような子では無いので……。

 

「すみません、えっと……その……どこに行ってたかと言うとですね……」

 

うたは何か良い言い訳の仕方が無いか迷う内に答えるまでに変な間ができてしまう。

 

「うーんと、えーっと……」

 

「兎に角、無事で良かった」

 

そんな様子のうたを見たカイトはうたにはやはり何か事情があるのだと察したのか、それ以上深く聞く事は無く。ひとまず無事である事に安心感を感じた事を伝える。

 

「ッ……」

 

うたはそんなカイトの笑顔にホッとしたような気持ちになりつつも、カイトに隠し事をしてしまっている現状がもどかしかった。

 

それからまたカイトとのデートを再開。しかし、楽しい時間はあっという間に終わるもので……。いつの間にやら日が傾く夕方の時間帯に。そのため、この日のデートもとうとう終わりになってしまうと遊園地から出た二人はその出口付近で別れの挨拶をする事に。

 

「あの、今日はありがとうございました」

 

「こちらこそ、ありがとう」

 

うたはカイトにそう言うとまた自分に見せてくるカイトからの笑顔を見て先程の観覧車での記憶がまた思い出される。

 

“誰でも笑顔に……したいと思ってる”

 

「あ、あの……」

 

先程自分に見せてくれたカイトのあの顔つきに対し、うたはジョギやダークランダーの介入のせいで言うことができていなかったカイトへの言葉を改めて伝える。

 

「カイトさんは誰でも笑顔にしてると思います!さっき、観覧車で……何だか寂しそうだった気がして。気のせいかもしれないですけど……」

 

カイトはうたからそう言われると、彼女が自分を気遣ってくれているのだと感じ、優しい言葉で返す。

 

「うたちゃんは優しいね……アイツの事を笑顔にしたいって、親友の事を思い出してさ」

 

それからカイトは空を見上げつつ、過去の記憶を思い出す。その言葉から察するに、カイトには過去に何かの未練があるらしい。

 

そしてそれはかつて、カイトがアイドルの道を進む中で笑顔にできなかった存在でもあるのだろう。

 

カイトはその親友を思い出す際にどこか暗い様子を浮かべてしまっていた。そのため、うたはそんなカイトを相手に彼を元気づけるべく歌を歌う。

 

「カイトさんなら笑顔に♪絶対できるよ♪ゼッタイ!♪アイドル!♪素敵な人だから〜♪」

 

うたが歌を歌い終わるとそれを聴いていたカイトの胸の中に元気が湧き上がってくる。そしてカイトは改めてうたの歌には人を元気にする力があるのだと感じ取った。

 

「ありがとう、元気出たよ!やっぱり良いね。うたちゃんの歌!……じゃあ、そろそろ帰ろっか」

 

カイトはその言葉を最後にそろそろ話を切り上げようとしていたのか、歩いて行こうとする。ただ、うたの方はそんなカイトを見て胸の奥からとある想いが湧き上がってきていた。

 

「あの!……えっと……その……また会えますか?また!会いたいです!」

 

「勿論だよ!」

 

うたが勇気を出して言った“また会いたい”という言葉に対し、カイトも同じ事を思っていてくれたのか……。彼も嘘偽りの無い微笑みでうたへと答えを返してくれた。そして同時にうたはここに来る前にずっと考え、悩んでいたカイトへの気持ちに思い至る。

 

「(皆、わかったよ。カイトさんへの気持ち……私、カイトさんに笑っていてほしい!)」

 

こうして、うたはカイトと今度こそ別れる事になり、自分の家がある喫茶グリッターの方へと帰ってきた。

 

「ただいま!」

 

「「「「「「おかえり(なさい)(プリ)(メロ)!」」」」」」

 

デート帰りのうたを出迎えたのはそれぞれのデートの続きをしてきた影人、なな、こころ、プリルン、メロロン、レイの六人に加え、丁度グリッターでのバイト中の田中。そのお手伝いとして来ていた姫野の二人も揃っていた。

 

「皆、来てたんだ!」

 

うたはまさかのグリッターに他のメンバーが大集合していた事に嬉しさを感じつつ一同の元に向かう。

 

「ななとメロロン、こころとプリルン、影人とレイでデートしたプリ!」

 

「何それ楽しそう!」

 

うたは他の六人がそれぞれペアを組んでデートをしたという事実はまだ知らなかったためにとても興味深そうな顔を見せた。

 

そして、この話を知らないうたへとどんな事をしたのか共有する事に。まずは海に行ったこころとプリルンだ。

 

「私達は海に行って、貝殻拾ってきました!」

 

「キラッキランラン〜!」

 

「プリ!」

 

こころやプリルンの前には先程拾ってきた六枚の貝殻があり、しっかりとそれらはプリキュアのメンバーカラーである。

 

続いては、ななとメロロン。二人は図書館巡りでメロロンの欲しい本を探していた。

 

「私達は図書館に行ってきたんだよ」

 

「メロロンの本を一緒に探してもらって……ありがとメロ」

 

メロロンの前には“デートのすすめ”と呼ばれる本があり、メロロンは大好きな相手とのデートのために準備をしておきたいのだろう。

 

「どういたしまして〜!」

 

なながメロロンから感謝の言葉を受け取ると嬉しそうな声を上げる。それから最後は影人とレイの二人の話へ。

 

二人は“はなみちラウンド”でスポーツをしていた際にダークランダーの元に行く前、バッティングでの勝負をしていた。

 

「俺達はスポーツをする施設で遊んでたな」

 

「日頃のストレスとかを発散してたんだ」

 

「ストレス発散……影人君達も大変だね……」

 

するとうたがストレス発散目的でスポーツをしに行ったと聞いて影人達へと同情するように呟く。しかし、影人はそれを聞いて僅かに苛立った。何しろ、そのストレスの原因の一端を作ってるのが目の前にいるうたその人だからである。

 

「ああ、誰かさんのせいでな?」

 

「まぁまぁ、カゲ先輩落ち着いて」

 

「落ち着いてはいるよ。ただちょっと咲良さんの反応にイラってしただけだ」

 

影人はここで怒ったら折角ストレスを取り除いてきた意味が無くなるのでグッと我慢する事に。そんな話はさておき、続けてバッティング勝負の話だ。

 

「話を戻すけど、ストレス発散のついでに俺達でバッティング勝負をしたんだよな」

 

「ああ、バッティングセンターでどっちが沢山打ち返せるかってやつ?」

 

「そうだな」

 

「へぇ……それで、どっちが勝ったの?」

 

「勝負の結果は引き分けだったな」

 

影人がそう答えたように、結局バッティング勝負は最後の一球もお互いに打ち返した事で全くの両者互角の引き分けとなり、その健闘を讃えあったようである。

 

「なるほど、普段あまりやらない体験をしてきたんだね」

 

「そうだな。俺達二人だからできた体験だと思うぞ」

 

すると、ここまでそれぞれのデート模様を話していたのだが……最後は残っていたうたの話へと移った。

 

「うたのデートはどうだったのメロ?」

 

メロロンからの問いに対し、うたは答えようとした所でカイトとの時間を思い出すとそのまま赤くなって口籠もってしまう。

 

「うん……え~っと、え~っと……」

 

「「「「「「え?」」」」」」

 

「うた、どうしたのプリ?」

 

「……咲良さん、もしかして」

 

影人はうたがデートの様子を言わないのを見て何となく脈有りの反応をして貰ったのではと感じる。ななとこころはうたが良い反応を見せたという事で内容が余計に気になったような顔に。そして、うたはこのままでは不味いと考えたのか……ひとまずその場から逃げ出すべきと判断。

 

「え、え〜っと」

 

「うたちゃん……」

 

「ほほう?」

 

「……そうだ!わたし、宿題しないと~!」

 

うたは宿題という最もらしい理由を付けて誤魔化し、そろりそろりとその場から立ち去ろうとする。

 

「先輩、逃がしませんよ~!」

 

「メロ!」

 

しかし、興味津々のこころとメロロン相手に誤魔化せるはずも無く。うたはその進路を完全に二人に封鎖されてしまう。何ならななもうたの反応を見て甘い展開があったのだと察すると口元に手を当てており、どこか嬉しそうだった。

 

「か、影人君助けてぇええ!?」

 

「だからこんな時まで俺を頼るな。そもそもお前のデートだろ、諦めろ!」

 

「そうですよ、誤魔化すなんて勿体無いです!」

 

「観念して話すのメロ〜!」

 

「わかったわかった!話すから~!」

 

こうして、うたは観念してデートの中身についてを影人達の前で話す事になる。そしてその様子を田中や姫野が見ていると呟く。

 

「青春ですね」

 

「ええ、恋してるって感じです」

 

「プリ?」

 

田中と姫野の言葉を聞いてプリルンは意味がわかっていなさそうに首を傾げる事に。それから暫くして。デートの話を終えたうたは恥ずかしさのあまり突っ伏しており、顔から湯気を出していた。

 

「なな先輩!」

 

「うん、うたちゃんが“会いたい”って言った時の反応を見たらわかる! 」

 

「「これは脈有り(だよ)(です)!」」

 

うたの話を聞いたなな、こころはうたの純情とカイトの反応に脈があると見るや興奮。メロロンも仲良くなる二人を想像してうっとりとしていた。

 

「メロ〜。うたにも遂に恋の春が来たのメロ〜」

 

「恋の春って何プリ?今の季節は秋なのプリ」

 

「お前は本当にブレないよなぁ……」

 

ただし、プリルンだけはいつも通りこの恋の話に対して鈍い反応を返してしまう事になる。

 

「そうだ、俺は行けないからあまり言っても意味ないかもだけど……レイレイ先輩との約束の日は明日だからな」

 

「あっ、そっか!大学アカペラを観れるんだよね!」

 

「うん。レイレイ先輩が所属する事になるアカペラグループのライブ……凄く楽しみ」

 

「はい、今から想像するだけでも心キュンキュンします!」

 

レイの指摘通り、玲音から貰ったチケットで大学の方でParabolaのライブを観られるのは明日。そのためレイは改めて通告したのである。

 

「あ、それと一応確認しておくが……秋の読書感想文。皆もうちゃんと書いてるよな?」

 

「あ、はい!確か明後日提出ですよね」

 

「うん、バッチリ終わってるよ」

 

「プリルン達も終わってるプリ!」

 

ここの読書感想文とは、読者の秋に合わせて学校から出される全学年共通の宿題である。一応書く期間は1週間程あり、影人達はしっかり終わらせていた。

 

「あれ?そういや、プリルンって本を読めたっけ?」

 

「プリ?本は読んだけど難しくてわからなかったプリ!」

 

「ちょっ、まさかわからない事を感想文にしてないよな!?」

 

影人はプリルンが本の内容を理解してないと聞いて慌てる。もしプリルンがここでまともな文を書いてないのなら大問題になってしまうからだ。

 

「安心するのメロ。メロロンがねえたまと一緒に感想文を書いたから二人共バッチリなのメロ」

 

「おお……メロロンの感想文……なんかポエム多めの癖強めな気がするけど、メロロンがある程度見てくれたのなら多少は安心か」

 

影人はプリルンとメロロンも大丈夫という事でひとまず安心する。そして、当然だが影人自身やレイも終わっているため問題無い。……ただ、うただけはその限りじゃ無かったようで。

 

「あ……あぁ……しまったぁああっ!?」

 

「あー……うた先輩その感じだと終わってませんね?」

 

「うぅ……」

 

うたは今週の一週間。カイトとのデートの事で頭がいっぱいだったせいで読書感想文の事なんて頭から完全にすっぽ抜けてしまっていた。そして、今の時点で書いてないとなるとうたが夜だけで読書感想文を書くのは無理そうな感じである。

 

「どうする?徹夜で頑張ってみるか?」

 

「無理だよ……だって私。読書感想文のための本を読んですら無いもん……」

 

「あぁ……。それじゃあ明日は諦めるしか無いよね……」

 

「うん、レイレイ先輩には申し訳ないけど……私は諦めるよ」

 

うたはそう言って明日のお出かけをキャンセルせざるを得なかった。それを聞いてプリルンが答えを返す。

 

「それならプリルン達は楽しんで……」

 

「待ってください。プリルン、メロロン」

 

「プリ?」

 

「メロ?」

 

すると姫野からいきなり呼び止められて二人の頭に疑問符が浮かぶ。そして姫野は二人へとある通告を言い渡す。

 

「お二人共。読書感想文以外の宿題はやりましたか?」

 

「「あっ……」」

 

その瞬間、二人の頭から冷や汗が流れ始める。この調子だとやっていなさそうだった。

 

「……べ、べ、別に大丈……」

 

「ダメです。宿題しなさい。そもそも学校に行くと言い出したのはお二人ですよ?」

 

姫野から無慈悲にそう言われると二人の頭から冷や汗がダラダラと流れ始める。

 

「……さぁ、問答無用です。明日、お二人も出張所で勉強ですよ。まぁ、もし今日の夜だけで終わる量であるのなら今からやって終わらせるというのも良いですけど」

 

「メロォオオオッ!?」

 

「プリィイイイイッ!?」

 

こうして、翌日は玲音との約束でアカペラを観に行くはずだったが……勉強をやっていないせいでうた、プリルン、メロロンは行く事ができないという窮地に立たされてしまうのだった。




また次回もお楽しみに。
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