キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
彼女達が既に本筋に絡んでいるというのはもうわかると思います。
そしてそのうたごえはミルフィーユ。略してうたミルですが。実はこのライブの話はうたミルアニメの8話で放送した回に該当する話になります。
なのでうたミルを知ってると少しお得にこのオリジナル回を見られる……かもしれません。
そんなわけで小説についての連絡でした。それではオリジナル回をどうぞ!
うたとカイトがデートした翌日の朝。影人達の姿はこの街にある駅の所にあった。
「あ、来た来た!なな先輩、こころ先輩!こっちです!」
「夢乃ちゃん!」
「おはようございます!」
この日の朝、駅に到着したのは影人、なな、こころ、夢乃の四人だけである。そして、この日の出かけるメンバーはこれで全員だった。
「それにしてもまさか本当にうた先輩達が来ないなんて……」
夢乃はキョロキョロと周りを見渡すが、やはりうたの姿は無い。加えて、プリルンやメロロンもこの場には来れていない。
「仕方ないだろ。咲良さん、本来ならもう書いていないといけない読書感想文を放置しちゃってたんだから」
「あはは……」
前にも説明した通り、学校の方から宿題として出されている読書感想文をまだこの時点でうたは書けていない。何しろ、カイトとのデートに気を取られ過ぎてまだ読書感想文を書くための本さえも決まっていないのだから。
「それで、この調子だとプリちゃんとメロちゃんも……」
「ああ。読書感想文の方はメロロンがいたからどうにかなってたけど……普通の宿題の方をな……」
「でも、あの二人なら何だかんだで着いてくると思ってたけど……」
ななはプリルンとメロロンの事なので宿題をやってなくても昨日の夜と今日の夜でやるから大丈夫と言い出して着いてくると思っていたようだ。
「あー……それなんだけど、昨日二人に勉強するように言った姫野さん曰くな……」
影人が言いづらそうな顔をしつつ先程姫野から来た連絡の事を思い出す。一方その頃、場所が移ってはなみちタウン出張所。そこにはしょんぼりした様子で勉強机に座るぷりんとめろんがおり、姫野はデフォルメの怒りのマークが付いた状態で教師のように立っていた。
「プリルン、メロロン、あなた達……宿題どれだけ溜めてるのかしら?」
「別にこのくらい大丈……」
「大丈夫だったらあなた達を無理矢理引き留めて無いわよ!」
そこにはぷりん、めろんとして学校に入った当初から殆ど進んで無い課題の山が存在しており、今までは何とかお咎め無しにしてもらっていたが……もう良い加減やらないと危険な状態になりつつある。
「せ、せめてお姉様だけでも今日のアカペラライブを……」
「ダメよ?自分の分は自分でやるから意味があるの。そりゃあ、わからない所を教え合うくらいなら別に私は何も言わない。だけど、メロロンが二人分やるなんて事は絶対に認めないからね」
「うぅ……」
めろんは姫野から強い口調で言われて“シュン”としてしまう。すると小声でぷりんがめろんに話しかけた。
「こうなったら、隙を見て抜け出して観に行くよ」
「え、えぇ……お姉様がそうするのでしたら……」
ぷりんとめろんはどうにかしてこの勉強の場から逃げ出すために何か方法は無いかとコソコソと作戦を立てていた。だが、姫野が……と言うよりは、女王様ことピカリーネはそれを許すつもりは無い。
「それと、あなた達が勉強を真面目にしてないと女王様が判断した場合……」
姫野がそう言った瞬間。“ポン”という音と共にぷりん、めろんの髪がモッサモサになってしまう。
「「うわぁああっ!?」」
「……モッサモサの刑が執行されます」
「ちょっ、ちょっと!女王様もヒメーノの味方なの!?」
ぷりんは慌てて姫野へと抗議するが、その姫野は一度溜め息を吐くとその手にスマホを出す。
「でしたら女王様、お願いします」
「「……へ?」」
姫野がそう語りかけるといつぞやの影人がピカリーネにやられたようにスマホ画面から彼女の姿が映し出される。
『プリルン、メロロン。今回あなた達にこのような処置をしたのは理由があります』
「じょ、女王様」
「女王様、どうしてなの?」
『あなた達が今回人間になる事ができたのは人間として学校へ通うという強い想いと願い。そしてうた達と紡いだ絆があったからこそできた物です』
「それは、そうだけど……」
『本来あなた達はまだ暫くの間、人間になれないはずでした』
ピカリーネの言う通り、プリルンとメロロンがどれだけ頑張っても今の人間としての姿になれなかった。そのため、二人は今のピカリーネの言葉に関して、何となく納得する。
『……しかし、あなた達は現に人間になって学校に通っている。それを私がとやかく言うつもりはありません』
「それだったら、何で勉強するように言うの?」
「そうですよ。私達だって今日は用事が……」
ピカリーネは二人が学校に通うという行為を容認している以上、何故ここまでして勉強をするように言ってくるのか……二人には理解できなかった。しかし、それでもピカリーネは割と容赦無く無慈悲な宣告を下してしまう。
『……あなた達は学校に通うという強い思いで人間になったんです。でしたら、その道をあなた達が決めた以上は学校でやらないといけない事は全てやらないといけないんです。昼休みにゆっくりとした時間を過ごしたい、放課後に研究部で趣味を満喫したい。それらを楽しむ事をする以上……学校という場所で勉強をするのは避けて通れないのです』
要するに、学校に行くと決めたのは自分達なんだから学校から出る宿題を期日までに終わらせるというごく当たり前の事は当たり前にやれという事である。
「うっ……で、でも……」
『もしあなた達がこのまま勉強をしなかった場合……この勉強が終わるまでの間、ずっと髪の毛がモッサモサになります。また、逃げ出した場合は一生治らないモッサモサの呪いをかけますがそれでも宜しいですか?』
「「うわぁああっ!?す、すぐやりますぅううっ!!」」
「(女王様……割と容赦の無い方法を使いますね……)」
姫野は今回の件を自分で女王ことピカリーネに相談しておいた身でありながら、女王が二人にした仕打ちに苦笑いを浮かべてしまう。
そして一生モッサモサの刑は二人に対して効果覿面であり、二人はどうにかするために大慌てで勉強を開始する事になる。
「女王様、ありがとうございます……」
『いいえ、これも二人のためです。私としても学校に通っている以上、やるべき事はしっかりやってもらいたいので』
姫野はピカリーネへと感謝すると彼女もまた、プリルンとメロロンのために勉強をやらせる事になるのだった。
そして、場面がまた駅の方に戻ると影人が今描いたやり取りを簡潔にした物をなな達三人に伝える。
「成程……女王様が関与してるんですね」
「でも、一生モッサモサの刑ってかなり強い罰を与えるんだね」
「そうしないと二人が途中で逃げ出すと思ったんだろうな……。結局どれだけ罰があると脅しても二人の無断アップロードは抑制できてないわけだしさ」
影人はそんなやり取りをしつつ玲音と集合する予定の大学まで移動を開始する事になる。場所は玲音が今住んでいる手鞠沢高校から近い所なので影人達は朝早めの時間から電車に乗り込んで移動を開始していた。
「それにしても、この四人で出かけるの……かなり珍しいですよね」
「うん、普段はどこに行くにしてもうたちゃんがいるし……」
「私が入るのも珍しいですよね」
影人達は出かける際、基本的にうたも含めたメンバーで行く事が多く。逆に夢乃は一緒に行動しない時が多いためにこの四人でのお出かけは何気に初めてだったりする。
「そうだ、先輩達はParabolaの動画って観ました?」
「予習程度にだけど観たよ」
「はい、私も観ました!」
こころからの質問になな、夢乃は観たと返す。そして、当然のように影人も観ていた。
「Parabolaのメンバーは現時点で五人。まず一人目はゾーイ・デルニさん。Parabolaではリード及び1stコーラスを担当してる。元々アメリカからの留学生らしいんだけど……Parabolaのリーダー、聖さんが口説いて残ってもらったらしい」
影人はそう言いつつ順番にParabolaのメンバーを解説する。ちなみに、今は電車の四人座席で向かい合って四人が座っている状況だ。
そして、最初に話をしたのは金髪ロング髪をしてギャルのような明るい印象の女性。ゾーイ・デルニ。瞳はアメリカ人だからか水色でその姿から明るく社交的だと感じ取れる。
「私もリードの時の声を聴いたけど、本当にスッと高音が澄み渡るように響くんだよね。あと、ラ行を歌う時の独特の歌い方が特に印象的だった」
ななは前の玲音とのトレーニングの際にゾーイの事は聞いており、その歌声を度々聴くくらいハマっていた。
「二人目は2ndとリードの仙石喜歌さん。元々は自分の所属していた大学のアカペラをやってたんだけど……色々あってParabolaに引き抜かれたって経緯がある。
「色々って……何があったんですか?」
「レイレイ先輩に聞こうと思ったらはぐらかされたんだよ。まぁ、大方聖さんが何かしらやらかしたんだろうけど……」
影人は玲音から話を聞いた当初、こころと同じように疑問を抱いたが、知らない方が良いと玲音に言われてしまって結局謎のままという感じだ。
「ただ、喜歌さんはParabolaのコーラスメンバーの中で一番アカペラ歴が無いんだよな。確か、大学からアカペラを始めて一年もしない内に界隈では有名になって。それで引き抜かれたんだよな」
「ええっ!?入って一年も経たずに……」
「Parabolaからスカウトされるって……」
喜歌はオレンジに近い茶髪でミディアムくらいの髪で髪の先の方は跳ねて外側を向いているのが特徴であり、瞳は赤茶色に近い物で笑顔がとても印象的だ。彼女のコーラスは正に名前通りの喜ぶ歌を体現していると言っても過言では無い程である。
「まずこれだけの歌を入って一年くらいで出せるようになるって凄いですよ。私達なんて半年くらいやっても全然なのに」
「いや、流石にこれは喜歌さんが凄いんです。私達は寧ろ普通ですよこころ先輩……」
こころは喜歌の才能に驚く中で夢乃が冷静にフォローを入れた。影人はそろそろ次の人と言わんばかりにまた解説から入る。
「次、三人目はParabolaで1stから3rdのコーラスという幅広い音に対応した環木鈴蘭さん。知ってるかはわからないけど、インフルエンサーをやっててそのアカウントは世間でも人気がある。プリホリのコスメとかも偶に紹介してるよ」
「他のお二人と違ってリードはあまりやらないイメージだけど、1st〜3rdのコーラスって……間に音何段階あるのこれ?」
「多分、前にレイレイ先輩が言ってた音感が敏感って人に当てはまるんだと思う。だからコーラスのパートが次々変わってもピタッとそこに合わせられるのかも」
影人はそんな風に予想するが、そんな事並大抵の人ではできない。何しろ1st〜3rdまで全部の音を出せるとなると求められる音域も凄まじい事になる。流石にベースは担当してないが、余程の音感の持ち主じゃないとできないと考えていた。
「それにインフルエンサーをやってるだけあって他のメンバーよりも大人っぽさがありますよね」
その姿は黒髪をベースで髪を後ろの下の方で結っており、その結っている部分は紫色に染めている。また、瞳も紫に近いピンク色のような雰囲気で恐らくメイクをしてるのか……顔つきも大人の美女のような空気感を出していた。
「四人目はボイパだけど、南佳凛さん。この人はヒューマンビートボクサーっていうアカペラとは違うけどビートボックスをやってる人で。それこそ練習動画とかも出してる。めろん……メロロンも一部参考にしてるくらいだし、普通に上手い」
「でもさ、お兄ちゃん。この人の動画っていつも字幕付きって言うか……ボイパの実演以外での素の声を聞いた事が無いんだよね」
そう。佳凛が出しているボイパ練習の動画において、彼女自身の声による説明は無い。勿論技術はとんでもないレベルでただひたすらに上手いのだが……やはり声を出さずに解説の字幕が出るだけというのは違和感が出てしまう。
「うーん。自分で説明するの苦手なんでしょうか」
「動画の解説はしっかりしてるし……。影人君、レイレイ先輩から何か聞いてない?」
「確か佳凛さんはシャイなんだとか。確かParabolaのチームメイトと話す時もわざわざスマホにメッセージを打ち込んでるくらいだし」
それを聞いて一同は納得する。性格上の問題で話すのが難しいという事なら無理に話す必要は無いし、それに動画にするなら今そうしているように字幕という手が使えるだろう。何より、最悪の場合今はAIに喋ってもらうという手もある。
「でも、喋るのは苦手かもしれないけど……ボイパの技術は普通に上手い……。それにプロだから当たり前だけどメロちゃんのボイパを凌駕してる」
今更ながら佳凛の容姿の話をすると髪型がボブヘアを中心に一部を長く伸ばしており、髪色は黒がメインにしつつ下半分くらいはベージュのような色合いとなっていた。
また、瞳は黒に近い色で口元には酷使するである喉をカバーするためか黒いマスクを付けている。普段のコミュニケーションもメッセージであるために理に適ってはいるだろう。
「はい……それに、このボイパ……どうやって出してるのかわからない。だってこんなに長く音を出してるのに息継ぎ無しで続く物なの?」
「いや、多分無理ですよ。どこかで息継ぎはしてるはずです」
「プロレベルになると息継ぎのタイミングがわからないくらいに自然なのも結構ザラだから……」
佳凛のヤバさも再確認した所でとうとう最後の一人。勿論ラストは聖の話題へと移る事に。
「最後はParabolaのリーダー、藤代聖さん。この一人一人がアカペラにおけるエース級のメンバーを束ねているリーダー。そのやり方は割と強引な部分が大きいけど、このメンバー四人が何だかんだで着いて行ってる辺り実力は本物だ」
「直接会った事ないからわからないけど……アカペラにかける想いは相当強いよね。歌っている所からも伝わってくる」
「パートはリードと3rd。一応声質も低音寄りだから納得はできる。それにしても、ボイパの佳凛さん以外全員パートを入れ替えても問題無い辺りヤバいな」
普通アカペラは一人1パート担当というパターンが多いが歌っている途中でコロコロパートが変わるなんて離れ技をやってる時点でこのアカペラだけ周りと比べて相当に突出している事がわかる。
「そしてこの中に混ざれるレイレイ先輩も十分凄い人っていうのも再認識できたよ」
「あっ、目的地にもう着きそう」
「じゃあ、降りる準備するか」
そうこうしている間に電車が目的地に到着。降りる必要が出てきたために支度を始める。これにより、影人達は電車から降りて玲音との待ち合わせの場所に向かうのだった。
また次回もお楽しみに。