キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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ライブ開演直前のトラブル

夕方、日が沈み始める頃。アカペラライブが始まるまでの間に学園祭を楽しむという事で大学を回っていた影人達。彼等五人はそろそろアカペラライブの会場が開く時間になったために早めに会場に入ろうということで大学にあるコンサートホールへと向かう。

 

「いよいよアカペラライブ本番だね」

 

「はい、どんな凄いアカペラが聴けるのか……今から心キュンキュンしてます!」

 

「ふふっ、多分動画で観るよりも実際に見た方が凄い迫力だと思うよ」

 

「だとしたら尚更楽しみですね」

 

その頃、Parabolaの控室にて。何故か本番前なのに聖が控室の中にいなかった。そのため鈴蘭が声を上げる。

 

「ちょっとミズキ遅すぎない!?」

 

「まぁまぁ、でも私達がついて行かなかったのは失敗だったかもね〜」

 

「ミズキさん、どこに行ったんですか?」

 

鈴蘭が苛立つ中でゾーイがそんな彼女を宥めるように話し、喜歌がキョトンとしたような顔を見せていた。

 

「アイツ、本番直前のこのタイミングで電話がかかってきたって言ったきり戻ってきて無いのよ……」

 

「えっ、でもそういうのって今は時間が無いからって拒否すれば良いんじゃないんですか?」

 

「多分大型案件か何かで向こうも話せるタイミングが限られてるのかも……」

 

ただ、どちらにせよ今ここにリーダーである聖がいないのも確か。そう考えると本番直前なのにかなり不味い事になる。

 

「アイツ、早く戻って来いよ……」

 

鈴蘭がそんな風に呟く中、その聖は電話を丁度終えた所であり廊下を歩いていた。

 

「はい……失礼します」

 

聖は電話を終えると少し落ち込んだような声色だった。どうやら、タイミングが悪く大型案件を逃してしまったらしい。

 

「ッ……こんな所で止まるわけにはいかない」

 

聖は悔しさをあまり表に出してはいなかったものの、やはり大型案件を逃したというダメージはそこそこ大きかった。それでもこの後のアカペラライブに支障を出すわけにはいかないと気を取り直すと急いで控室に戻ろうとする。……だが、このタイミングで運悪く人間の闇を探すべく控室のある舞台裏まで侵入していたチョッキリーヌの目の前を通ってしまった。

 

「ッ、あれは……」

 

チョッキリーヌの目には聖が闇を出しているのがハッキリと映っており、そして彼女にとってそれは絶好のターゲットだった。

 

「ふふっ、表面に出してなくても内には巨大な闇を秘めてるね。この力を使い熟した私にはハッキリわかる。その闇……使わせてもらうよ」

 

チョッキリーヌは早速聖の胸に秘めた闇を抜き取るべく呪文を言いつつ指を鳴らす。

 

「お前の闇を見せてみな」

 

「ああああっ!?」

 

その瞬間、聖の胸から黒いリボンが生成。それは彼女の心の闇を示していた。

 

「チョッキリ呑まれてしまえ!」

 

チョッキリーヌがそう言いながらポーズを決めると黒いリボンが解かれて聖が闇の中へ。そのままチョッキリーヌは水晶と闇の球体を合わせて地面に叩きつける。

 

「さぁ来な!ダークランダー!」

 

「ダークランダー!」

 

これにより、召喚されたダークランダー。今回の個体は聖がアカペラシンガーだからかマイクをモチーフにしていた。

 

ただ、ダークランダーが召喚された際にそのままコンサートホールだとスペース的に狭かったのか……コンサートホールのある建物の外にダークランダーが出現してしまう。

 

そして、ダークランダーが出てきたという事実ははなみちタウンにいるプリルンことぷりんに伝わる。

 

「うぅ、もう頭が回らない……」

 

「げ、限界ですぅ……」

 

ただ、ぷりんもめろんも慣れない勉強漬けをされているせいか頭がパンクしかけていた。それでも宿題が終わらないとまたこうやって拘束されてしまう。そのためどうにか考えようとするが、ここでぷりんの体に悪寒が走った。

 

「ッ、ブルっと来た!?」

 

「まさか、ダークランダーですか!?」

 

二人はダークランダーの出現に行こうとする……のだが、先程から言うように彼女達は普段殆どしない勉強のせいで脳内はパンク寸前。それに勉強のよる疲労感も凄まじいためにそのまま妖精態に戻って倒れてしまう。

 

「お二人、大丈夫ですか!?」

 

「ひ、ヒメーノ。ダークランダーが出たのメロ」

 

そこに一応お目付役として残っていた姫野が来ると二人がダウンしているのを見て慌てる。そして、どうにかメロロンがダークランダー出現を彼女に伝えると姫野は今のプリメロの惨状にこの二人を出すのは危険だと感じた。

 

「お二人はここで休んでいてください。今のお二人は出れるような状態ではありませんから。……女王様」

 

『はい』

 

姫野はひとまずダークランダーがどの位置にいるかを確認するために女王に連絡。何しろ今はタイミング悪くアイドルプリキュアが分散してしまっている。そのため近い方にいるメンバーにまずはカバーしてもらう必要があるからだ。

 

「ダークランダーの位置、わかりますか?」

 

『正確な位置まではわかりませんが……恐らく影人達のいる大学の近くですね』

 

「わかりました。影人さん達に連絡をします」

 

姫野はピカリーネにお願いする形でダークランダーの大体の場所を特定。そのままの流れで近くにいる影人へと連絡を飛ばした。

 

「ッ、本当ですか!?」

 

『ええ。アカペラライブ直前なのにすみません……』

 

「わかりました。すぐに対応します」

 

影人は会場でその事実を姫野から知るとそれを伝えになな達の元に戻る。同時に玲音も困ったような顔を浮かべていた。

 

「皆、俺達の近くにダークランダーが出た」

 

「うえっ!?こんな時に……」

 

「実は聖さんも行方不明になったらしくて……」

 

「……は?」

 

影人は玲音から事情を聞いたであろうななからその話を受けて一瞬混乱する。だが、すぐに持ち前の状況処理能力で答えを導き出した。

 

「ついさっきタマさんから連絡が来たんだけど、ミズキさんが本番直前のこのタイミングになっても控室に戻って来ないから心配になって私に連絡をくれたんだ」

 

「マジですか……だとしたらダークランダーに取り込まれてる可能性が高いな……」

 

「じゃ、じゃあこのままじゃアカペラライブは……」

 

「恐らくやる事自体できない」

 

ダークランダーとして聖が取り込まれている間はParabolaのメンバーは揃わないためアカペラライブ自体をやる事ができない。この非常事態を影人達はそのままにするつもりは無かったため動き出すのは早かった。

 

「レイレイ先輩達はここにいてください。この件は俺達三人で解決します」

 

「ッ、お願い……」

 

玲音もダークランダー関連の話となると動くのはむしろ危険だと理解。彼女は影人達に聖の救出を託す形となる。

 

「夢乃、お前は……」

 

「わかってるよお兄ちゃん。レイレイ先輩の事は私が支える」

 

「頼むぞ。蒼風さん、こころ!」

 

「はい!」

 

「行こう!」

 

影人がテキパキとその場でできる最善手を取る形で非戦闘員の二人を残すとこの場で出る事ができる三人でダークランダーのいる屋外に出ていく。

 

「ダークランダー!」

 

すると外にはダークランダーの出現で既に屋外にいた人々は避難したのか……そこにはダークランダーとそれを呼び出したチョッキリーヌだけしかいなかった。

 

「二人共、行くぞ!」

 

それからななとこころの二人がアイドルハートブローチ、影人がソウルリンクライトを手にするとすかさずアイドルプリキュアへと変身を開始。

 

「「「プリキュア!ライトアップ!」」」

 

「「キラキラ!ドレスチェンジ!」」

 

「キラキラ!ソウルリンク!」

 

「「「YEAH♪」」」

 

ただ、今回は普段六人で変身している所を三人で変身している。そのため前にアイドル、ウインク、キュンキュンで同時変身していたバンクにアイドルをソウルビートに差し替えたようなバージョンという特殊なパターンであった。

 

「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」

 

「キミと踊る、ハートのリズム!心キュンキュン、キュアキュンキュン!」

 

「キミと輝く、ハートの鼓動!繋がる魂、キュアソウルビート!」

 

三人が変身完了すると今回は特殊なパターンだからか、個人名乗り後のチーム名名乗りの方は無しである。

 

そして、プリキュア達は降り立つとチョッキリーヌやダークランダーと対面した。

 

「アイドルプリキュア……こんな所にまで。アンタ達とはうんざりする程によく会うね!」

 

「それはこっちの台詞だっての!」

 

「ふっ、だけど見た所三人だけかい?それならこの勝負貰ったよ」

 

チョッキリーヌはアイドルプリキュアが三人だけの状況に笑みを浮かべる。それから双方睨み合いをしているとふとキュンキュンが違和感に気がつく。

 

「……あれ?そういえば何か足りないような……」

 

「あっ!ここハートガーデンじゃない!?」

 

キュンキュンの感じた違和感にウインクも気がついたのか、声を上げる。その違和感とはこの場所がハートガーデンでは無いという事だった。普段ならキッスが展開するハートガーデン。しかし、今この場にキッスがいないためにハートガーデンの展開ができていなかったわけだ。

 

「あははっ、ダークランダー。お前の存在が人々に闇を与える。その闇を吸収すれば今回こそ勝てるよ!」

 

「ッ、それはヤバいな」

 

ダークランダーの原動力となる力は人々の闇。そしてそれはちょっとした負の感情からも生まれてしまう。つまり、ダークランダーにより人々が怯える事でそれが更なるダークランダー召喚や強化の糧になってしまうのだ。

 

「こうなったら、一か八かやってみるか」

 

ソウルビートは手にソウルリンクライトを取り出すとそのダイヤルを黒に合わせて技を発動させる。

 

「頼むぞ。チュッ、ハートガーデン!」

 

ソウルビートはソウルリンクライトでキッスの力を引き出すとそのまま投げキッス。その瞬間、銀色の翼が生えたキッスの精が出現。それがハートガーデンを展開した。

 

「なっ!?」

 

「良し、上手く行った!」

 

ソウルビートがその場にいたプリキュアとチョッキリーヌ、ダークランダーがハートガーデンの中にいるのを確認してガッツポーズをする。

 

「まさかそんな奥の手があったとはね。だけど、これで条件はスタートに戻っただけだよ!行きな、ダークランダー!」

 

「ダークランダー!」

 

ダークランダーが早速アイドルプリキュアを潰すためにその目を光らせる。

 

「ウインク!」

 

「うん!」

 

ダークランダーに対してまずはウインクとソウルビートの二人が飛び出す。

 

「ダーク?」

 

ウインクが左、ソウルビートが右から回り込むようにして走り込むのに対してダークランダーは疑問符を抱く。すると考え事の時間は与えないという事でキュンキュンが動き出す。

 

「私もいますよ!キュンキュンレーザー!」

 

キュンキュンがブローチをタッチするとレーザーを放出。それがダークランダーへと飛んで行った。

 

「クラ!?」

 

ダークランダーは二人に撹乱されていた所にレーザーをまともに喰らう形となりダメージを受けて少しだけよろめく。そして、その瞬間を逃す二人では無い。

 

「「はぁあああっ!」」

 

二人による両サイドからのダブルキックが追撃としてダークランダーに命中。

 

「ダーク……」

 

「ズキューンの力、ソウルビートバズーカー!」

 

そこに更なる一撃としてソウルビートがエネルギーを高めた強力なエネルギー砲を発射。それを喰らったダークランダーは堪らず後ろに倒れ込む。

 

「なっ!?何やってるんだいダークランダー!相手は三人だよ!」

 

チョッキリーヌはダークランダーがまさかの三人に押される展開に焦る。そして、ダークランダー自身もこの状況に危機感を感じたのか……。起き上がると同時に叫び声を上げる。

 

「ダークラン……ダー!!」

 

その瞬間、凄まじい叫び声が衝撃波として周囲へと全方位攻撃。三人はその威力に防御姿勢を取るが、ウインクとキュンキュンは防御ごと押し切られて吹き飛ばされる。

 

「「うわぁああっ!?」」

 

「ウインク!キュンキュン!」

 

「ラーン!!」

 

その直後、ダークランダーがまるで発声練習をするかのような声を上げるとその衝撃波がエネルギー砲として放たれる。

 

「ッ!?ぐあっ!?」

 

流石にソウルビートもこれには耐え切れずに吹き飛ばされてウインクとキュンキュンの近くに激突。三人は立ち上がるものの、今回のダークランダーがかなり厄介な存在だと感じ取る。

 

「うぅ、声で攻撃してくるなんて……」

 

「前に戦ったピアノのマックランダーやスピーカーのマックランダーの時に似たような奴だけど……今回はダークランダーだからな」

 

その強さはその時の比では無い。しかも厄介なのは今回、アイドルプリキュア側は三人しかメンバーが揃ってないという事だ。勉強中のプリメロは勉強による負担でまだダウン中であり、うたを呼ぼうにもこの場所では彼女のいるはなみちタウンから物理的な距離が離れている。

 

「ラーン!ラーン!」

 

そんなアイドルプリキュア側の状況なんて知るかと言わんばかりにダークランダーは音によるエネルギー波を連発。プリキュア達はそれをどうにか避けるものの、このままやり合ってもジリジリと削られるのは明らかだ。

 

「どうにか手は無いのか……」

 

「ダーク……ラァアアン!!!」

 

「「「うわぁあああっ!?」」」

 

ソウルビートが手を考えている間にダークランダーは力を溜めると一気にそれを放出。凄まじい量の音圧が三人を襲い、その衝撃波がプリキュアの体にダメージを与えてしまうのだった。

 

同時刻、ハートガーデン展開直前までアイドルプリキュアやダークランダーがいた場所。そこには先程アイスを買っていたるるかがそのアイスを丁度食べ終わっており、マシュタンと共に周囲を見ていた。

 

「確かさっきこの辺に怪物がいたはず……暗かった空も戻ったし、解決したのかしら?」

 

「……多分違う」

 

るるかは何となくまだ怪物は倒されてないと察知しており、それから何故この場に先程の怪物がいないのかを考える。

 

「……もしかして、別空間に行った?」

 

「ああ、ファントムがやってた密室と一緒ね」

 

るるかは状況から見て怪物ことダークランダーが別の空間に行ったという結論に至るとマシュタンが問いかけた。

 

「るるか、どうするの?」

 

「目的は達成する。だから、私もそこに行く」

 

「なるほど、それもそうね。じゃあ私は待ってるわ」

 

マシュタンはそう言うと動き始めてるるかの手元から離れる。そして、るるかは首から下げていた首飾りを外すとある言葉を言った。

 

「……オープン、ティアアルカナロッド」

 

その瞬間、るるかの姿は眩い光に包まれていくと同時にその姿がどこかへと消えてしまう。マシュタンはそれを見届けるとさっさと隠れられそうな場所に行ってしまうのだった。




また次回もお楽しみに。
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