キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜 作:BURNING
チョッキリーヌが呼び出したダークランダー相手に苦戦する三人のプリキュア達。そして、ダークランダーが優勢な状況を見たチョッキリーヌは笑みを浮かべる。
「ふふっ、流石のアイドルプリキュアも三人だけじゃあどうしようもできないみたいだね!」
「ダークランダー!」
ダークランダーも自分の力を誇示するかのように声を上げる。対してソウルビート達はダメージに耐えつつも立ち上がり、ダークランダーを見据えた。
「強い……」
「でも、Parabolaのライブを楽しみにして待っている人達がいるから絶対に負けられない」
「コイツの特徴は音をエネルギー波や衝撃波として飛ばしてくる遠距離攻撃。だが、遠距離攻撃しか無いのなら対策は幾らでもある」
ソウルビートはここまでの一連の戦いで何となく対策に関しては思いついていた。それを聞いてウインクが話しかける。
「あっ、もしかして私やソウルビートのバリアで止めるとか?」
「ああ。けど、まだそれだけじゃ完全な突破は厳しい。向こうにも全体攻撃があるからな」
そんな風に話をしているとチョッキリーヌも作戦会議をいつまでも許す程甘くは無いのかダークランダーに指示を出す。
「いつまで喋ってるつもりなんだい?そんなに隙を晒してくれるのなら遠慮なくやるよ!」
「ダーク……ラァアアン!!」
ダークランダーが音による衝撃波を正面に放つとソウルビート達はそれに対して三人がバラバラに動いて回避する。
「ウインク、キュンキュン!お前達は二人で固まって動いてくれ。ウインクが防御、キュンキュンがダークランダーの牽制。後は俺がどうにかする!」
「ッ、わかりました!」
「ソウルビートも気をつけて」
ソウルビートが二人に指示を出すと自分はダークランダーを他の二人と挟めるような位置に行くべく動く。対してダークランダーは挟まれる前に対処するべく再度全体に向けての衝撃波を放った。
「ダークランダー!」
「ウインクバリア!」
「ウインクの力、ソウルビートバリア!」
これに対してウインクとソウルビートがバリアを展開して攻撃を防御。防御手段を持たないキュンキュンはウインクと一緒にいるためそこまで問題は発生しない。
「チッ、ダークランダー。ソウルビートを……」
「させません!キュンキュンレーザー!」
キュンキュンが先程ソウルビートが言ったようにキュンキュンレーザーで牽制役としてダークランダーを攻撃。ダークランダーは回避に気を取られてソウルビートが回り込むのを許してしまう。
「ダーク!?」
「良し、貰った!」
ソウルビートはダークランダーの意識がウインク、キュンキュンへと一瞬向いていたのをチャンスと捉えて踏み込みつつ突撃。
「はぁああっ!」
ソウルビートが踏み込むと背後を向けていたダークランダーへと拳を放つ。しかし、その瞬間ダークランダーが叫ぶように声を上げると何故かいきなりソウルビートの前に何かの壁が発生した。
「ダーク!!」
「ッ!?」
ソウルビートは咄嗟にその壁へと拳を叩きつけるが、壁のような物にはヒビすら入らない。ただ、ソウルビートはその壁に拳を叩きつける際に違和感を感じていた。
「(何だ……この壁……反響するような波が起きてる?しかも、後から後から押し寄せてくるような反発感。これはまさか……)」
すると次の瞬間。ダークランダーの声の勢いが弱まったタイミングでいきなり壁が消え去ったかのように拳がすり抜ける。
「ッ!?」
「ダークラン!」
そして、いきなり拳が壁をすり抜けた影響でソウルビートはバランスを崩してしまう。
「しまっ……」
「ダーク……ラァアアン!!」
ソウルビートはこの状況に危険を感じてどうにか退避しようとするが、もう遅い。ダークランダーから放たれた音のエネルギー波がソウルビートを直撃。彼は吹き飛ばされるとハートガーデンに生えていくキノコに激突してそのまま落下。
同時にソウルビートが持っていた電源の付いてないキラキライトが飛び出して落ちてしまう。
「ソウルビート!?」
「そんな……今のって……」
完全に裏を取って有利になったはずのソウルビートが返り討ちにされた事にキュンキュンは動揺。ウインクも何故先程ソウルビートの攻撃が止められたのかわからずに混乱する。
そんな時、ソウルビートは今のダークランダーの一連の動きで先程の壁の正体に心当たりがあるのかそれを口にした。
「……音の壁。ダークランダーが発した声の音圧が俺の攻撃を止められるくらいの壁を作り出したのか」
「音の壁……あっ、だからソウルビートの攻撃が当たった時にブルブル震えていたんですか!」
先程ダークランダーが声を上げた際に発生した壁の正体はダークランダー自身が出した声による音圧の壁だった。だから声が持続している間はその防御力が衰える事は無く、逆に声が途絶えた瞬間に壁が消えたのだ。
「ッ、こんな奴どうやって勝てば……」
遠距離からだと声による制圧で圧倒。近づいても先程のようにバリアをされた後に至近距離から衝撃波攻撃なんてされたらどうしようもできない。
するとチョッキリーヌはソウルビートの近くに落ちているキラキライトの存在に気がついた。
「……うん?アレは確か目障りなキラキラな光を出すんだったね」
「ッ……」
ソウルビートはチョッキリーヌの言葉を聞いてキラキライトが狙われると感じて慌てて手を伸ばす。
「まさか!」
「うん、キラキライトを!」
ウインクとキュンキュンもキラキライトを狙われるのは不味いと感じる。キラキライトを壊されでもしたらキラッキランリボンバトンが生成不可能になり、プリキュア六人で使う大技であるキラッキランフォーユーも使えなくなってしまう。
そのため距離が離れていてもウインクとキュンキュンはチョッキリーヌやダークランダーを止めるために動き出さないといけなかった。
「ふっ、ダークランダー。今だよ」
「ダーク……ランダァアッ!!」
その瞬間、ダークランダーはプリキュア達がキラキライトに気を取られて隙だらけな瞬間を狙って再度音による衝撃波を全方向に向けて発生させる。
「ッ!?ぐああっ!」
「「うわぁああっ!!」」
それの直撃を受けたソウルビート、ウインク、キュンキュンは再度無防備な所を狙われてダメージを負い、倒れ込む。
「さぁ、ダークランダー。邪魔者は消えた。その目障りなキラキラを発生させるライトを踏み潰すんだよ!」
ダークランダーはチョッキリーヌからの指示を受けて落ちているキラキライトの元に歩いていく。
「く……うぅ、止めろ……チョッキリーヌ」
「はっ、止めて下さいだろ?それに、幾らお前達が頼んだって止めるなんて事するわけ無いんだけどね」
そして、とうとうキラキライトのすぐ近くにダークランダーが到達してしまう。一番近いソウルビートがどうにか手立てが無いか考えるとその脳裏に何かが浮かぶ。
「(こうなったら奥の手のソウルビートアトラクト使うしか無いか……。アレなら今からでもギリギリ……)」
ソウルビートはダークランダーにキラキライトを踏み潰されてからでは遅いと密かにソウルリンクライトを手にしてそのリボン部分をタッチしようとする。そんな時だった。
「はあっ!」
突如としてどこからともなく一つの影が走ってくるとダークランダーの目の前に出撃。そして、突然の乱入者にダークランダーが反応する間も無く蹴りが叩き込まれるとダークランダーは堪らず吹き飛ばされた。
「「「ッ!?」」」
そして、三人もその乱入者の方を向くと驚いたような顔つきに変わる。何しろそれはこの場に来ていなかったアイドル、ズキューン、キッスの誰にも該当しなかったからだ。
そこにいたのはプリキュアのような姿をした少女であり、姿は金髪のロングヘアーの髪に毛先は薄いピンクのグラデーション。インテークの上には二本のアホ毛が存在し、瞳の色は赤。薄紫のハートのハイライトでコスチュームはキュアキッスのように黒を基調としている。
ノースリーブワンピースの上から黒いケープを羽織り、ワンピースのスカート部分にはキュンキュンのイメージシンボルのような紫色のしずく型の装飾が多数あしらわれている。
足元には濃い紫色のサイハイソックスを履き、履き口には金色の装飾。
靴は濃紺色のショートブーツを合わせている。手には自らの頭から膝くらいの長さがある紫の杖を手にしており、杖の先端部にはクルクルと回せるタロットカードが存在していた。
「あの姿、もしかして……」
「私達の知らないアイドルプリキュアなの?」
「ッ……いや。プリキュアなのは間違いなさそうだけど……多分あの子はアイドルプリキュアとはまた違う存在だと思う」
三人がその少女がプリキュアのような見た目をしていたために余計に混乱しており、そしてその混乱具合は敵であるチョッキリーヌの方が大きかった。
「あ、アンタ。一体何者なんだい!?」
チョッキリーヌが慌てたような様子で声を上げるとその少女はチョッキリーヌの方を見て小さく呟く。
「……本当に、マシュタンの占いはよく当たる」
そして、彼女はそれからチョッキリーヌに問われた通りに自らの名を名乗った。
「神秘と秘密で包み込む。キュアアルカナ・シャドウ!さぁ、迷宮に誘いましょう」
キュアアルカナ・シャドウ。それはソウルビート達も知らない謎のプリキュアの登場であった。
「キュアアルカナ・シャドウだって!?そんな奴聞いた事も無いよ!」
「それは当たり前。だって……この時代にはいないはずのプリキュアだから」
「この時代……まさか過去か未来のプリキュアだと言うのか……」
ソウルビートは目の前にいるアルカナ・シャドウの口振りから何となくそんな空気感を感じていた。そして、チョッキリーヌは新たなプリキュアの出現に慌てて指示を出す。
「ッ、ダークランダー。あの新しいプリキュアをやるんだよ!」
「ダークラン……」
「遅い」
ダークランダーが声による攻撃をやろうとした瞬間。アルカナ・シャドウが踏み込んで一気に接近。そこから脚による連続キックを叩き込む。
「ンダァアアッ!?」
ダークランダーはそれには堪らず吹っ飛ばされて背中から叩きつけられた。
「声を発する直前があなたにとっての一番の隙。そしてあなたは声を出せないのなら私達に手も足も出ない」
アルカナ・シャドウはまるで先程までのプリキュアとダークランダーの戦いをずっと観察していたかのような口振りで話すとダークランダーはどうにか起き上がる。
「ダークランダー!」
すると今度は声では無く物理的な攻撃に切り替えてきたのかアルカナ・シャドウを殴ろうとするが、彼女は軽快な身のこなしで後ろに跳んで回避。
すかさず彼女は手にしていた杖……ティアアルカナロッドの先端に存在するタロットカードの部分を回転。それからをティアアルカナロッドを自身から見て反時計回りで円を描くように動かす。同時に彼女の周囲に7個の黒や紫で怪しく輝くキラキラマークが出現。アルカナ・シャドウが杖を構えつつ技名を言い放つ。
「アルカナスターレイン」
その直後に更にその周囲にこの7個のキラキラマークよりも一回り大きな同じ色のキラキラマークが12個出現。キラキラマークかが紫に光り輝くとその一つ一つからエネルギービームが照射。
「ダ!?」
ダークランダーはバリアを張ろうとするが、どこに展開するべきか迷っている間にアルカナスターレインはダークランダーへと降り注ぐ。
「強い……私のキュンキュンレーザーよりも遥かに威力ありませんか!?」
「うん。でも何でダークランダーはバリアを張らなかったんだろ」
「……張らないんじゃない。張れなかったの」
ウインクの疑問に対してアルカナ・シャドウはあくまで冷静に呟く。それと同時にダークランダーは膝を付いてかなり疲弊した様子を見せていた。
「さっきの声で作った壁。あれは音圧を高めないと意味が無い。だから広域に広げるのは無理」
「なるほど、さっきキュンキュンレーザーを防がなかったのと同じか」
「うん」
どうやらダークランダーによる音圧の壁は一点集中でしか出せないらしい。それを見抜いたからこそアルカナ・シャドウはアルカナスターレインやキュンキュンレーザーのような広域攻撃が弱点だとわかったのである。
「……後はあなた達でお願い」
アルカナ・シャドウはこれ以上はもう良いと言わんばかりに下がるとソウルビートは頷き、声をかける。
「任せろ。ウインク、キュンキュン。三人で行くぞ」
ソウルビートが落ちている自分のキラキライトを回収してからソウルリンクライトのダイヤルをピンクに合わせた。そして、この状態で三人が揃えばやる事は一つである。
♪決め歌 Trio Dreams♪
「「「ウー、レッツゴー!Try, try, trio dreams♪」」」
『Let's sing, let's swing, let's dance, let's bound,Let's smile, let's fly』
「「「ハート上げてくよ!」」」
今回はウインク、キュンキュンに加えてソウルビートがアイドルの代わりを務める形で技を使用。
三人のプリキュアは領域を展開しつつインカムを装着。同時にダークランダーは技の効果で席に強制着席。ソウルビートの力が入ってるせいでダークランダーは拘束から抜ける事ができず。そのまま歌が始まった。
「「「Sing!♪音符に夢乗せて〜♪キミ、あなたのもとへ〜for you!♪もっともっと輝き合えるね〜♪みんな、キラッキラン!♪瞳水晶にいつだって〜♪笑顔映し合おう〜promise!♪キミがいるからパワー、生まれるよ、今日も〜♪Try, try, trio dreams♪……プリキュア!ハイエモーション!」」」
ソウルビートは本来はアイドルのポジションであるセンターで歌い、三人が力を合わせる事で発生した虹のエネルギーを放つ。そしてその光はダークランダーへと降り注いでその体を浄化。勿論技名はハイエモーションのままである。
「「キラッキラッタ〜」」
そして、三人の光がダークランダーを浄化。生成されたキラルンリボンはキュンキュンが手にするのだった。
「ムッキーッ!何でこんな勝ち確状態から負けるんだい!覚えているんだよ!」
そして、チョッキリーヌは思わぬ乱入者のせいで敗北した事に怒りを感じながらもダークランダーが負けてはどうしようもできないために撤収する事になる。
また次回もお楽しみに。