キミとアイドルプリキュア♪〜輝けない少年と心の鼓動〜   作:BURNING

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開催決定!アイドルプリキュアの生ライブ

影人達がParabolaのライブ鑑賞をしてきた翌日。いつも通り影人達はアイドルプリキュア研究会での活動をしていた。ただし、うた、なな、レイの三人は用事があるためにここにはいなかったが。

 

『キミのハートにとびっきり♪元気をあげるね♪ゼッタイ!』

 

『ゼッタイ!』

 

『アイドル!』

 

『アイドル!』

 

そして、毎度の如くこの研究会がある度に行われているキュアアイドルの持ち歌。“笑顔のユニゾン”のライブシーンを使ってのコーレスを研究会員全員でやる形で楽しんでいた。勿論キラキライトのカラーはキュアアイドルのピンクである。

 

それから今現在出ているライブシーンの映像を使う形でのアイドルプリキュアのライブソングフルコースを終えると部屋を暗くするために使っていたカーテンを開け、机を戻しつつ床の掃除を行う。すると開口一番に東中がうっとりとしたような声を上げる。

 

「はぁ〜……アイドルプリキュア……最高!」

 

「「「最高!」」」

 

そんな東中の言葉に二人の研究会員も同調して声を上げると更に一緒に掃除をしていたぷりんが食いつく。

 

「うんうん!アイドルプリキュアのステージ、生で観たらもーっと最高だよ!」

 

「「「へぇっ!?」」」

 

その瞬間、ぷりんの発言を聞いて床掃除と机移動をしていた影人、こころ、めろんがギョッとしたような顔になりつつ唖然とした。こころなんてアホ毛がピーンと立つ程に驚いている。

 

何しろその言い回しだとぷりんがアイドルプリキュアのライブに実際に行ったような印象を与えてしまうからだ。そして他の研究会員がそれに食いつかないはずが無い。

 

『ええっ!?』

 

「ぷりん先輩、生でアイドルプリキュアのライブを観た事あるんですか!?」

 

アイドルプリキュア研究会の面々は驚きの声を上げると早速東中がぷりんへとその件について質問。その様子をめろんは完全に凍りついて見ており、こころは手を頭に置く程にぷりんのやらかしに頭を抱えたい思いだった。

 

「ああ……またこのパターンですよ……」

 

「お姉様……流石に時と場合を……」

 

尚、影人に至っては最早こうなるのを諦めてしまっているのか。逆に体力消耗を抑えるべくリアクションを取らないようにボーッとしたような無の顔になっていた。

 

「うん!い〜っぱい観てる!」

 

『い〜っぱい!?何で何で!?』

 

「えっとね……」

 

ぷりんが研究会の会員達からの疑問に対していつも通り純粋な様子で答えてしまおうとする。そして、流石にこれ以上彼女に喋らせるのは色々とアウトだと思ったのか……。こころとめろんが慌てて介入。誤魔化しにかかった。

 

「あーっと……そ、それはですね……」

 

夢の中で(・・・・)!沢山観てるって事!」

 

「そうそう!」

 

『なーんだ』

 

研究会員達はぷりんが夢の中でアイドルプリキュアの生ライブを観ているという話を聞き、転校して以来見てきたぷりんのキャラ的にそうなってもおかしく無いと感じたのか納得する。

 

「ねぇ、影人。何で二人は慌ててるの?」

 

「それは自分の胸に聞いてみろ。というか、お前も良い加減時と場合を考えな?」

 

ちなみにぷりんは何で自分の発言が遮られたのかわかっておらず……良い加減学習して欲しい所だったが、逆にここまで来ると周りのメンバーもぷりんのやらかしに対するフォローが前よりも上手くなっている程であった。

 

「あ〜……アイドルプリキュアの生ライブ〜。観たいなぁ……」

 

『観たい観たーい!』

 

それはさておき、東中や研究会員達がアイドルプリキュアの生ライブを観たいという気持ちは先程からどんどん高まっている。すると、そんな研究会員達のライブを観たいという要望にぷりんはある事を思いついた。

 

「……そうだ」

 

「(プリルン、何か思いついたな……。まぁ、何となくこの場面だとプリルンがこれから言いたい事は予想つくけど)」

 

それから研究会員達の意識は今やってるアイドルプリキュア研究会をまずは楽しむという事になったためにこれ以上ライブの話が出る事は無く……。影人達もホッとしながらアイドルプリキュア研究会を楽しむのだった。

 

それから翌日の夕方。影人達は喫茶グリッターに集合しており、そこには影人、うた、なな、こころ、ぷりん、めろん、レイの7人に加えてこのグリッターでバイト中の田中がいた。しかもタイミング良く、咲良家の他の人は全員出払っている。そういうわけで早速ぷりんがある事を提案した。

 

「はーい、私から提案がありまーす!」

 

『提案?』

 

影人達はぷりんから言われた提案という言葉が気になったのか首を傾げる。そのため彼女は早速それを発表した。

 

「私、アイドルプリキュアのライブがやりたいんだ!」

 

『ライブ?』

 

「ああ、それ昨日の研究会での!」

 

「やっぱりな……。プリルンならそういう提案をすると思った」

 

ぷりんが提案したのは勿論前日に話題に上がっていたアイドルプリキュアのライブであった。しかも映像とかでは無く一つの会場にアイドルプリキュアとそのファンが集まれる生ライブである。

 

「うん!直接会える生のライブ!」

 

「確かに、ファンの人達の殆どは今までネットの動画でしかライブを観た事が無いから」

 

「一応俺達は前にはなみちタウンのイベントであるはなみちタウンフェスで生ライブはやりかけたけどその時はカッティンダーに邪魔されたし、アイアイ島でのスーパーミラクルアイドルフェスティバルの方はだいぶ特殊なケースだもんな」

 

レイがこれまでにやったイベントの中で生ライブにカウントできそうな事例を二つ程挙げる。しかし、はなみちタウンフェスの方はカッティンダーの乱入やらで結局ライブその物は中止となっていた。

 

もう一つのアイアイ島でのスーパーミラクルアイドルフェスティバルの方は生ライブではあったものの、アイドルプリキュアがメインとは言い難いのに加えてそこに参加できるお客さんはそのフェスティバルに直接招待された人達のみ。

 

こちらの世界の人達の大部分はライブがあった事自体を知らないわけで。そう考えるとぷりんの生ライブをやりたいという提案はそこまでおかしな事では無いと言える。

 

「アイドルプリキュアの生ライブ……良いかも!」

 

「キラッキランラン〜♪!」

 

「私、大・大・大賛成です!」

 

「俺もやりたい気持ちはあるな。中止になってしまったはなみちタウンフェスのリベンジもしたいし」

 

これにより、プリキュアメンバーである六人が開催に賛成の意見を言った事で満場一致となりライブの開催が決定した。

 

「なら決まりだね。アイドルプリキュアの生ライブ」

 

「じゃあそうなるとまずは会場の用意から必要になりそうだな」

 

「「「え?」」」

 

影人がそう言うとうた、ぷりん、めろんが唖然としたような声を上げる。それに対して影人は溜め息を吐きつつ話をした。

 

「あのな?前のはなみちタウンフェスでもあっただろ。ライブをやるにはそれなりの規模の会場を押さえる必要があるんだよ。まぁ、規模にもよるけど用意する会場次第ではすぐに使えないパターンもあり得るし……」

 

影人が現実的な話をし始めたタイミングでレイがニヤリと笑みを浮かべる。そのため影人がレイの不気味な笑みが気になって指摘した。

 

「なぁ、レイ。何だその不気味な顔は」

 

「ああ、実はその事なんだけどな」

 

「会場の事なら問題ありません」

 

するとこのタイミングでグリッターのバイトをしていたはずの田中がやってくるといきなり会場について問題無いと言い始める。

 

「……へ?」

 

「話は聞かせていただきましたよ。ライブ会場ならもう既にある程度目星を付けているのと、先行してある程度押さえ済みです」

 

「は?は?」

 

田中の用意の良さと言うよりまるでそろそろライブをしたいと言い出すのを予想していたかのような動きに影人の顔面が凍りつくと唖然とする。

 

「わぁ……」

 

「良ーし!アイドルプリキュアのライブ、するぞー!」

 

『おー!』

 

こうして一同がアイドルプリキュアのライブをやるのにやる気になる中、脳の処理が追いついてない影人が慌てて反論する。

 

「ちょっ、待て待て待て待て待て待て!!」

 

「何ですかカゲ先輩。カゲ先輩もやりたいって言ってたじゃないですか」

 

「確かに俺はライブをやりたいって言ったし、やりたい側の立ち位置な事に変わりは無い。だけどこれだけはツッコませてくれ。会場押さえるの、幾ら何でも早過ぎないか!?」

 

影人が言いたいのは田中がしれっと語った会場確保の件だった。まずそもそも大前提として、そういうライブをやるのに必要な大型会場というのはライブ一週間前とかに急に言って押さえられる物では無い。

 

そういう所は普通他のイベントともバッティングする。何しろ音楽ライブをやりたいのはアイドルプリキュアだけでは無いからだ。

 

「レイ、お前まさか知っててずっと黙ってたわけじゃないよな?」

 

「何当たり前な事言ってるんだ影人。こういうのはサプライズで言うのが普通だろ」

 

「いやいやいや、幾ら何でもおかしい。俺達ほんのついさっきまでライブやるって決めてなかったんだぞ」

 

影人は会場を押さえた件をライブをやりたいと言い出すまで黙っていたレイへと詰め寄る。

 

「まぁ、実際の所は数ヶ月前から場所だけは田中さんと相談しててある程度確保しておいたんだ。はなみちタウンフェスが不発に終わった時点で絶対ライブをやりたいって言い出すと思ってさ」

 

「嘘だろ……俺らの思考をそんな前から読んでたわけ?」

 

「あははっ、ただの勘だよ」

 

影人はレイや田中に自分達の思考を全部読まれていたという事実に唖然とする。するとその直後にレイがとんでもない爆弾を投げ落とす。

 

「まぁ、会場を押さえられたのも結構ギリだったけどな?」

 

「え?」

 

「お前の言う通り、少し前まで会場を押さえた日は他のグループがライブをやる日だった。だけど、少し前にそのグループのメンバーが色々やらかしたせいでライブ自体がおじゃんになったんだとさ」

 

「……できれば聞きたく無かったな、そのトンデモ裏事情……」

 

何にせよ本来ならそのライブで動員するはずだったライブ会場の関係者の大半をそのまま使う事ができたために飛び入りという形だったが、アイドルプリキュアのライブの開催はできる状態を作りつつあった。

 

「でもお前、バッティングとか大丈夫だったのか?急だったとはいえ他の音楽グループとかとの兼ね合いもあっただろ」

 

「んー?それは……今は秘密かな」

 

「お前なぁ……」

 

影人はレイにまた振り回されているというわけで頭に手を置きつつ溜め息を吐く。そして、実際問題バッティングに関しては一応あったのだが……その辺の話は後回しでも大丈夫な事らしい。

 

「話はついたかな?」

 

「ああ悪い……。折角良い所だったのに邪魔しちゃったな」

 

「もう、影人ってば色々考え過ぎだよ?」

 

「お前の場合は色々と考えなさ過ぎだプリルン」

 

ななから聞かれて影人もこれ以上異論は無いと返し、影人がまた考え過ぎな事をぷりんが指摘するとこちらにはもう少し色々と考えて欲しいという指摘で返す。

 

「それじゃあ改めて。アイドルプリキュアのライブをするぞー!」

 

『おー!』

 

そんなわけで色々と影人が気になった事で揉めたものの、最終的に彼も納得。今度こそうたの掛け声と共にチームが纏まり、アイドルプリキュアのライブに向けてのスタートを切る事になるのだった。

 

〜おまけ シルキーアイス〜

 

時系列的には冒頭のアイドルプリキュア研究会が始まる少し前。メンバーが揃うまでの時間で影人がとある動画を観ており、ぷりんやめろんが気になってそれを覗いた。

 

(シルク)のような口溶け』

 

そこに映っていたのは綺麗な水色の髪をポニーテールに纏めた美少女であり、彼女は水着を着たセクシーな姿でバニラアイスを掬ってそれを口に運んだ。

 

『あーん、私はこれ。シルキーアイス』

 

それは昭和時代に有名だったアイスのCMである。勿論これもまたUtaKotoneを調べる中で見つけた物であり、CMに出演しているこの女性の名は家入しるく。当時の彼女は現役高校生であり、ドラマにCMに引っ張りだこな人気俳優だったらしい。

 

「影人、何観てるの?」

 

「ん?ああ。昭和の頃に流行ってたCM。でもなんかこの家入しるくって人が親近感の湧く声をしててな」

 

「うーん……誰なのかしら。確かに私も引っかかるのよね」

 

ぷりんが純粋な目でCMを観る中で影人とめろんはこのしるくとの声にどこか聞き馴染みがある物を感じていた。

 

「影人君達どうしたの?」

 

するとそのタイミングで東中みことがやってくる。どうやら影人達三人が動画をジッと観ているのが気になったらしい。

 

「ああ、このCMに出てる人の声がどこか聞き馴染みがある物だな……って、うん?」

 

影人はそこまで言ったところで何かに気がつく。それを見た東中はキョトンとした様子だったが、影人の中で何かがカチャリとハマる音が聞こえた。

 

「あ……もしかするとさっきの話、東中さんの事かも」

 

「えっ、私?」

 

「ああ……確かに言われてみたらみことと声が近いかもね」

 

「そうなの?」

 

影人とめろんが何となく今観ていたCMのしるくと目の前で接している東中の声が似ていると思い至り、ぷりんは何が何だかよくわかってない様子だった。

 

「東中さんも聴いてみるか?」

 

「え、えっと……よくわかんないけど聴いてみるね」

 

尚、当の東中本人も話がよくわかってないために未だに少し困惑。それから影人のスマホを借りてCMを観る事に。

 

「それにしても昭和のCMってこんな感じなんだな……。今のような派手さは無いけど観てる人を惹きつけると言うか……」

 

「うん。この人綺麗だしアイスも凄く惹き込まれたよ!」

 

「いや、お姉様の場合はアイスの方が食べたいんじゃ……」

 

「あっ、バレちゃった?」

 

そんな風にやり取りをしていると何故か影人は背中に悪寒を感じる。そして、慌てて振り返るとそこには何故か瞳からハイライトが消えたこころが立っていた。

 

「こ、こ、こころさん?え、えっと……怖い顔してどうしたんですか?」

 

影人はこころから発せられるヤバい空気感を見て恐怖のあまり思わずこころへと敬語で話してしまう。対してこころはあくまで笑顔で影人へと話しかけた。

 

「カゲ先輩、そのCMに出てる人。凄く可愛くて大人っぽいですよね?セクシーな水着だって着てますし」

 

「いや、あのな?俺がこれを観てたのはそういう目的じゃ無くてだな」

 

「知ってますよ?親近感があるんですよね。その人の声に。だからわかってますよ?そういう目的じゃ無いって……」

 

影人はこころの声を聞く内にどんどん嫉妬や軽蔑のような物が混じっていくのを感じ取ると寒気が大きくなっていく。

 

「こころ、誤解だって!俺がこころ以外の人を異性として認識しない事わかってるだろ」

 

「ええ、カゲ先輩は私に一途ですからね。でもちょっと最近多くないですか?キッスに魅了されて人間態のプリルンやメロロンに魅了されて。この家入しるくさん、高校生くらいですよねー。それでこんなに魅力的な体つきしてて」

 

「いや、待て!少なくともこのCM以外は半分くらい不可抗力だから!」

 

「カゲ先輩。研究会が終わったらゆっくりOHANASI(おはなし)しましょうか。今後こういう誤解を招かないためにも……ね?」

 

こころからの目線が完全に冷え切った物だと感じた影人は慌ててめろんへと助けを求めようとする。しかし、こころはそれを見逃さない。

 

「カゲ先輩ダメですよ?メロロンに迷惑をかけるのは」

 

「ちょっ、先読みされた!?こころ、頼むから許してくれ!!」

 

こうして、影人は結局研究会後に少しだけお話をする事になった。そこでこころの機嫌は取り戻したのだが……どういうやり取りがあったかはご想像にお任せするとしよう。




また次回もお楽しみに。
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